2020年12月03日

●「菅政権のメディアとの向き合い方」(第5383号)

 11月29日のCNNの報道によると、バイデン陣営はホワイ
トハウスの広報チームを構成する高官7人の顔ぶれを発表してい
ます。全員女性です。女性がすべての主要ポストを独占するのは
はじめてのことです。
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 大統領報道官 ・・・・・・・・・・・・ ジエン・サキ氏
 大統領副報道官 ・・・・・・・・・・ カリーヌ・ピア氏
 ホワイトハウス広報部長 ケイト・ベディングフィールド氏
 ホワイトハウス副広報部長 ・・・・・ ピリ・トバール氏
 副大統領報道官 ・・・・・・・・ シモーン・サンーズ氏
 副大統領広報部長 ・・・・ アシュレー・エティエンヌ氏
 大統領夫人広報部長 ・・ エリザベス・アレキサンダー氏
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 大統領報道官のジエン・サキ氏は、オバマ前政権で、ホワイト
ハウス広報部長や国務省報道官を歴任、2004年大統領選で民
主党候補ジョン・ケリー氏の選挙陣営、2008年と2012年
の大統領選でオバマ陣営の広報を担当した経歴を持つ人物です。
 実は、菅首相も内閣広報官に女性を任命しています。菅首相は
2013年7月以来、安倍官邸で内閣広報官を務めてきた経産省
出身の長谷川栄一氏に代えて、総務省出身で安倍前首相の秘書官
などを務めた山田真貴子氏を女性では初めての内閣広報官に起用
しています。菅首相はかつて総務大臣を経験しているので、山田
真貴子氏の能力を高く評価していたのです。ところが、日本では
こういうことがほとんどニュースにならないのです。
 これまで官邸では、今井尚哉首相補佐官を頂点とした「経産省
官邸」が権勢を振るっていたのですが、菅政権になって首相はそ
れを一掃したのです。そして首相秘書官として、外務省出身の高
羽陽氏を「広報担当」に任命しています。この高羽陽氏について
「現代ビジネス」は次のように書いています。
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 総理がミーティングで首相秘書官を紹介するとき、高羽さんの
ことだけ「オレの高羽です」と言うので驚きました。他の秘書官
は「厚労の鹿沼(均)くんです」という感じなのに。7人いる首相
秘書官の序列が決まりつつある。官房長官時代から秘書官として
菅総理を支えてきた5人のうち、外務省出身の高羽陽氏の株がう
なぎ上りなのだ。東大法学部を出て95年に外務省へ入省した高
羽氏は、北米局北米第二課長などを務めたのち官邸に入った。以
前から周囲の評価はきわめて高い。(中略)
 当初、官邸における高羽氏の主な役割は、総理のスピーチライ
ターだとみられていた。だが、いまでは演説の原稿のみならず、
各省庁との調整、さらには専門外であるはずの広報戦略や内政に
ついても、高羽氏が中心となって打ち合わせる。他の秘書官との
扱いの差は明らかだ。        https://bit.ly/3mtEjYb
                   ──「現代ビジネス」
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 内閣広報官とはどういう仕事をしているのでしょうか。
 10月26日夜の「ニュースウオッチ9」に菅総理が出演した
ときのことです。終り際のことですが、日本学術会議任命問題に
ついて、キャスターから何回も質問され、「説明できることとで
きないことってあるんじゃないでしょうか。105人の人を学術
会議が推薦してきたのを政府がいま追認しろと言われているわけ
ですから。そうですよね?」と、いかにも不機嫌そうに語ったと
いうのです。
 その翌日のことです。NHKの報道局に一本の電話がかかって
きたのです。電話をかけてきたのは山田真貴子内閣広報官。次の
ように抗議してきたのです。
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 「総理、怒っていますよ」あんなに突っ込むなんて、事前の打
ち合わせと違う。どうかと思います。──山田真貴子内閣広報官
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 お叱りを受けたのは、官邸との「窓口役」といわれる原聖樹政
治部長。この件は理事のあいだでも大きな問題となり、局内は騒
然となったそうです。総理が国会初日に生出演するだけでも十分
異例であるうえ、そのうえ内容にまで堂々と口を出すとは、安倍
政権のときより強烈であると。
 安倍首相の場合、新聞であれば、読売、産経、日経。テレビで
あれば、日本テレビ、フジテレビ、NHK、ときとして、テレビ
東京にだけ出演し、それ以外のメディアには冷たい対応に終始し
たのです。つまり、安倍首相は、組織ごとに「懐柔と排除」を明
確にしてきているのに対して、菅首相の場合は、記者や、キャス
ターや評論家など「個別撃破」を行うのです。
 なかでも異色だったのは、共同通信社の論説副委員長だった柿
崎明二氏を首相補佐官にしたことです。接点としては、菅首相と
柿崎氏は同じ秋田県南部の出身であり、地縁による縁故採用のよ
うなもの。しかし、その当の柿崎氏は、親しい知人に対して「何
をしていいかわからない」といっているそうです。あまりの環境
の違いに戸惑っているのでしょうか。しかし、安倍前総理は「メ
ディア関係者を官邸に入れるのは良くない」といって、反対して
いたようです。
 菅首相は、総理就任に当って、非常に多くの民間人に会って、
食事を共にし、直接話を聞いています。これは、官房長官のとき
もそのようにしていたそうです。その結果、内閣官房参与への就
任が決まった人を添付ファイルにしてあります。
 これを見ると、面白いことがわかります。増税に反対する高橋
洋一氏に対して、増税賛成の熊谷亮丸氏というようにバランスを
とっていることや、ひときわ目を引くのは、村井純氏を内閣官房
参与にしていることです。村井純氏は、日本のインターネットの
父といわれる人物で、あまりテレビなどに出ませんが、デジタル
対策のアドバイザーとしてはまさに最適任であると思います。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/127]

≪画像および関連情報≫
 ●官僚人事、誰が決める:官邸主導で何が変わったか
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   日本の官僚人事は誰が決めているのか。その答えを探して
  いくと、戦後ずっと問題になってきた政治と官僚の関係が見
  えてくる。「政治主導」というスローガンを人事面でも実現
  しようとする閣僚。彼らの意向を推し量りながら自分たちの
  思惑を通そうとする役人たち。外部から見れば決定のプロセ
  スは不透明極まりない。第2次安倍晋三内閣の下、2014
  年に「内閣人事局」が創設されて以降、昇格を人質にとられ
  た官僚側に政治家の顔色をうかがう傾向が出てきたとの指摘
  もある。
   中央官庁の幹部人事は通常国会の閉幕後に実施されるケー
  スが多い。6月か7月というタイミングだ。多くの省庁では
  事務次官や各局長といった幹部から、課長、係長まで一斉に
  異動する。1つのポストには長くて3年、短ければ1年程度
  の在籍が普通だ。局長のすぐ下のポストである審議官以上の
  約600人については、内閣人事局の承認が必要になる。
   各省の人事部局が一般職員の異動原案を作り、局長以上の
  幹部は事務次官や官房長が決めていく。各省に不文律があり
  例えば、財務省なら「主計局長が事務次官に昇格する」と決
  まっていた。戦後、主計局長から次官になれなかったのは、
  わずかな例外があるだけだ。   https://bit.ly/3ogikod
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菅首相が面会・会食した主な民間人
菅首相が面会・会食した主な民間人
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする