2020年12月01日

●「前夜祭経費と河井夫妻裁判の関係」(第5381号)

 官房副長官の杉田和博氏は79歳。前任のNSS局長の谷内正
太郎氏と「辞めるときは一緒」と誓い合っていたそうです。その
谷内氏が辞任し、安倍首相まで辞任したのです。とくに杉田氏は
高齢でもあるので、辞める動機は強かったはずなのに、なぜ残留
したのでしょうか。
 それは、菅氏が残留を必死に懇願したからです。なぜ、残留を
求めたかについては、次の2つの理由があります。
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  1.自己の金銭にまつわる過去を握りつぶすための布石
  2.虎を野に放たず、官邸に“幽閉”し、管理下に置く
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 「1」に関しては、総理になった後のトラブルを封印するため
です。これについては、『選択』の次の記事が参考になります。
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 菅が「政治とカネ」の問題で躓くのではないかと懸念する声は
自民党関係者に少なくなない。地縁も血縁もない土地で市議にな
り、国政へと進出する過程で「身辺が綺麗なはずがない」。秘書
として仕えた元建設大臣の故・小此木彦三郎の幅広い人脈には、
今なら「反社会的勢力」と断じられかねない面々もいたという。
             ──『選択』/2020年10月号
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 「2」に関しては少し説明が必要です。菅首相は「行政の縦割
り打破」を強く訴えています。これは、菅首相の持論なのですが
これは「外国人労働者の受け入れ拡大」問題と関係があります。
これについては、関係省庁が賛意を示すなか、警察だけが「外国
人の犯罪が増える」として強硬に反対しています。
 こういう問題では、杉田氏と北村氏が、もし「反・菅」である
なら、野に放つよりも、官邸に幽閉した方がメリットがあるし、
「親・菅」であるなら、なおさら官邸に置いてその影響力を利用
できるメリットがある。そういうこともあって、2人の残留を強
く、求めたものと思います。
 ここで注意しなければならないことがあります。安倍首相と菅
官房長官(いずれも当時)は「一体」であるということです。2
人が一緒になって安倍政権の8年間を支えてきたからです。政権
維持という2人の目的は一致しており、ほとんどの実務はすべて
官房長官である菅氏がやってきています。つまり、安倍首相は菅
官房長官に全幅の信頼を置いて任せてきたのです。
 考えてみると、河井克行氏にしても、菅原一秀衆院議員ととも
に「菅側近」といわれています。しかし、河井克行氏については
内閣総理大臣補佐官と自民党総裁外交補佐をしており、菅氏以上
に安倍首相と近い関係にあります。まして広島の参院選について
は、溝手顕正議員(岸田派)と安倍首相との確執もあって、河井
氏は安倍首相に近い関係であるといえます。
 2019年の参院選では、安部事務所のある秘書が河井案里陣
営に入って、河井克行氏と連携してさまざまな支援をしているの
です。この秘書が検察の事情聴取において「桜を見る会」の前夜
祭の経費の事務所補填を認めているのです。これについて、11
月27日発行の「日刊ゲンダイ」は次のように報道しています。
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 キーマンの第一秘書は2007年に入所。安倍後援会の代表と
政党支部の会計責任者を務める「地元・山口事務所のまとめ役」
(永田町関係者)だ。実は河井夫妻の買収事件でも“暗躍”して
いた。昨夏の参院選で広島選挙区に入り、案里陣営の一員として
奔走したという。選挙戦を仕切った夫の克行とは“連携”してい
た可能性が高い。この事件では選挙でバラまかれたカネの原資が
安倍の意思で党本部から夫妻の政治団体に渡った1億5000万
円だった疑いがくすぶっている。
     ──「日刊ゲンダイ」/2020年11月27日発行
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 問題はこの「1億5000万円」原資は何かということです。
自民党本部から河井夫妻の政治団体に振り込まれていますが、こ
れは「裏金」といわれているのです。なぜなら、他の候補者に関
しては、選挙支援資金としては約1500万円が振り込まれてい
るからです。この資金について、政治資金に詳しい神戸学院大教
授の上脇博之氏は次のように述べています。
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 原資は、使途の報告義務のない官房機密費や自民党の政策活動
費などの可能性がある。前夜祭のとりまとめや河井夫妻の支援を
巡って、第一秘書は「裏金担当」を担ったのではないか。担当は
1人ではなく、東京や山口に何人かおり、安倍前首相の意を受け
て動いていたのでしょう。    ──上脇博之神戸学院大教授
     ──「日刊ゲンダイ」/2020年11月27日発行
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 この1億5000万円はおそらく官房機密費ではないかと思わ
れます。官房機密費は、会計検査院に対しても領収書や支払先を
明らかにする必要はなく、なかでも「政策推進費」と呼ばれるお
金は、菅義偉官房長官自身(当時)が管理し、菅氏に渡った時点
で支出が「完了」したものと扱われるのです。
 この官房機密費と政策推進費は、官房長官が管理し、自ら使途
を決めているのです。そういう意味で、「桜を見る会」の前夜祭
の補填金については、菅首相には無関係のことであるといえない
のです。問題は、検察がどこまで踏み込むかです。今のところ河
井克行氏は、買収に使ったとされる資金は、あくまで自己資金と
主張していますが、今後の河井克行氏の裁判では、自民党本部か
ら振り込まれた1億5000万円の資金との関係についても追及
を受けるはずです。
 このように、「桜を見る会」の前夜祭の経費補填の問題は、河
井克行氏の裁判と無関係ではないのです。しかし、これは自民党
の危機であり、おそらく静かに幕引きが画策されるはずです。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/125]

≪画像および関連情報≫
 ●菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は78億円!
   河井夫妻や安倍応援団にも?
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   菅義偉首相率いる内閣が信じられないことに60%以上と
  いう高い支持を受けている。これは、この国も国民の忘れっ
  ぽさや、付和雷同的な傾向もさることながら、メディアが総
  裁選の最中から菅首相の実像を一切伝えず、「苦労人」「パ
  ンケーキおじさん」「仕事人内閣」などともちあげ続けてき
  たことが大きい。
   何度でもいうが、菅首相は安倍政権下で起きた行政の私物
  化、不正、スキャンダル、そして民主主義を破壊する強権政
  治の実行部隊長だったのだ。森友公文書改ざん、黒川弘務検
  事長の定年延長、山口敬之逮捕の、河井克行・案里夫妻の選
  挙買収問題、カジノ利権、沖縄いじめ、テレビ局への圧力。
  菅首相をめぐる罪科を挙げるとキリがないほどだが、今回、
  取り上げたいのは「官房機密費」の問題だ。
   というのも、第二次安倍政権が2019年12月末までに
  支出した、官房長官の裁量で機動的に使える予算である「官
  房機密費」(内閣官房報償費)は、なんと計86億3100
  万円余。しかも、その9割以上が領収書のない「ヤミ金」な
  のだ。官房機密費は「政策推進費」と、情報提供者への謝礼
  などに使う「調査情報対策費」、情報収集のための贈答品な
  どに使う「活動関係費」の3つからなり、このうち、「調査
  情報対策費」「活動関係費」は領収書が必要となる。問題は
  「政策推進費」だ。       https://bit.ly/2JlUTun
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安倍前首相と菅首相
安倍前首相と菅首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする