2020年10月30日

●「トランプかバイデンか米大統領選」(EJ第5361号)

 11月3日の大統領選まで、今日を含めてあと5日です。トラ
ンプ大統領か、バイデン候補か、どちらが選ばれるかによって、
とくに中国への政策が変化するのはほぼ確実であり、日本にとっ
ても大きな影響があります。今回は、米大統領選を中心に述べる
ことにします。
 世論調査から判断する限り、バイデン候補の圧勝のようにみえ
ます。しかし、「トランプ対バイデン」という対立の構図ではな
く、次の対立になっています。
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         トランプVSトランプ嫌い
         トランプVS武漢ウイルス
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 つまり、バイデン候補の存在が希薄なのです。バイデン候補へ
の支持は、消極的選択であるということができます。誰もバイデ
ン候補を積極的には支持していませんが、トランプよりもマシと
考えているのです。
 バイデン候補には、致命的な噂があります。それは彼が「認知
症ではないか」の疑いです。集会で、自分の妻と娘の名前を間違
えたり、ある集会では次のようにいってしまったのです。
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   新型コロナでアメリカでは1億2千万人が死んでいる
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 これは、もちろん「12万人」の間違いです。それにしてもヒ
ド過ぎます。おまけに、あるテレビ番組に出演して、次のように
宣言してしまったとも伝えられています。トランプ氏がいったの
ではなく、バイデン氏がいったのです。
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        I'm Going to Beat Joe Biden..
        私はジョー・バイデンをブッ倒す!
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 ジャーナリストの堤堯氏によると、バイデン氏が大統領になる
と、2つの懸念が生ずるというのです。
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          1.対中国政策の変化
          2.日本に対する姿勢
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 「1」について、堤堯氏は次のように述べています。バイデン
氏は、かなりの金満政治家であると指摘しています。
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 (オバマ政権の副大統領のとき)バイデンは息子を連れて訪中
し、帰国後ほどなく、中国の投資会社から息子の投資ファンドに
15億ドルが振り込まれた。討論会でトランプにそのことを追及
されて、バイデンは否定したけど、財務省の資料には息子が金銭
を受領していたことが示されている。
 例のウクライナ疑惑だって、ありゃトランプの疑惑じゃなくて
バイデンの疑惑だよ。だってウクライナへの支援金10億ドルを
エサに、息子をウクライナのガス会社ブリスマ・ホールディング
スの役員に押し込んで、60万ドルの年収を得させているんだか
らね。いずれも外交をツールにした収賄だよ。これについて問わ
れた息子はテレビで「若気のいたりだった」と半ば認めている。
(中略)歴代民主党政権は、クリントン政権も、オバマ政権も中
国には甘かった。クリントン財団には中国から何百万ドルもの寄
付金が振り込まれている。 ──『月刊Haneda』/12月号より
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 「2」については、オバマ政権のときに次の有名な話を思い出
していただきたいのです。2013年、副大統領だったバイデン
氏は、日中韓の3ヶ国を歴訪し、帰国すると、安倍首相に次のよ
うに電話したのです。
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 「安倍首相は靖国に参拝しないと思うよ」と、朴槿恵大統領に
は、伝えておいた。     ──バイデン米副大統領(当時)
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 おそらく安倍首相は、この電話にカチンときたはずです。自分
のカウンターパートは、オバマ大統領であって、バイデン副大統
領ではない。出過ぎた真似をしやがると思ったのでしょう。その
数日後、安倍首相はSPを伴って靖国神社を参拝したのです。メ
ンツを潰されたバイデン副大統領は、国務省の副報道官を通じて
次の声明を出したのです。
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 日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかし、日本の指
導者が、近隣諸国との関係を悪化させる行動を取ったことに、米
国は失望(disappointed)している。      ──米国務省
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 もちろん、トランプ氏にもいろいろな問題はあります。しかし
日本にとっては共和党の大統領の方がよいのです。オバマ政権の
ときは、先方の都合でなかなか訪米できず、やっと会えたと思っ
たら、食事抜きのビジネスライクな軽い会談だったのです。つま
り、日本の安倍政権は軽く扱われたのです。
 選挙の情勢はトランプ氏にとって不利であることは確かですが
トランプ氏には「隠れトランプ」という次の存在があります。
 第1は、共和党支持者であり、「小さな政府」や「アメリカ・
ファースト」を支持するグループ。第2は、宗教右派(白人福音
派)であり、米国人口の30〜40%を占めています。第3は、
白人至上主義者であり、黒人や有色人種に米国を乗っ取られるの
が我慢ならない人たちです。そして第4は、「ディープ・ステー
ト(影の政府)」に立ち向かうという「Qアノン」を中心とする
グループです。
 前回の大統領選もこの「隠れトランプ」によって事前の予想を
完全に覆しています。今回はどうなるのでしょうか。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/105]

≪画像および関連情報≫
 ●トランプ大統領“大逆転のシナリオ”実は「隠れトランプ」
  は4年前より増えている!
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   いよいよ迫った11月3日に行われるアメリカ大統領選。
  民主党候補のバイデン元副大統領の優勢が伝えられるが、そ
  れでも現地では「最後はトランプが勝つだろう」という声が
  絶えないという。4年前に大逆転勝利を演出した、投票日ま
  で姿を現さない「隠れトランプ」支持者がいるからだ。この
  アメリカの現状を解き明かした著書『隠れトランプのアメリ
  カ』(扶桑社)を10月20日に刊行した横江公美氏(東洋
  大学教授)が緊急寄稿した。
   これまでのアメリカ大統領選挙であれば、民主党のジョー
  ・バイデン元副大統領が世論調査で約10ポイントも先行し
  ている現状をみて、バイデン勝利を疑う人はいなかっただろ
  う。しかし、いまアメリカ人は誰もが、口に出すか出さない
  かは別として、「それでもトランプが勝つかもしれない」と
  思っている。トランプ大統領を支える共和党員は、最終盤ま
  で劣勢と言われながら巻き返した2016年の再現を狙って
  「隠れトランプ」支持者の存在を信じている。そして、一方
  の民主党員たちは「隠れトランプ」にひっくり返された前回
  の選挙がトラウマとなっているのだ。今回の大統領選挙にお
  いてメディアの世論調査で新たに登場した質問がある。「隣
  人は、どの候補を支持していると思いますか?」この問いは
  まさに「隠れトランプ」支持者を探そうとする質問だ。アメ
  リカのメディアも「隠れトランプ」をあぶり出すことに躍起
  になっている。         https://bit.ly/2G4Efhx
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「トランプVSバイデン」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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