2020年10月19日

●「25年までに必ず起きる台湾有事」(EJ第5352号)

 今週のEJは、10月16日のEJ(第5351号)の最後の
部分から始めます。そうです。沖縄周辺の海域で、日米共同統合
演習「Keen Sord(鋭利な刀)」 実施の話からです。
 なぜ、この時期に、沖縄周辺で日本と米国、そしてカナダも艦
艇一隻を派遣し、日米共同統合演習を行うのでしょうか。それは
中国が「台湾強襲Xデー」をこの時期に設定する可能性が高いか
らです。そのXデーは、10月26日から11月5日までの11
日間に設定されています。
 10月13日のことです。CNNは、次のような気になる記事
を発信しています。
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 香港(CNN)中国の習近平(シーチンピン)国家主席は13
日、南部・広東省の軍基地を訪れ、「戦争への備えに全身全霊を
注ぐ」よう部隊に求めた。国営新華社通信が伝えた。習氏は今回
潮州市に駐屯する人民解放軍海軍陸戦隊(海兵隊)を視察。兵士
らに「高度な警戒態勢を維持」するよう指示し、「絶対的な忠誠
と純粋さ、頼もしさ」を求めた。
 習氏が広東省を訪問したのは、14日に行われた深セン経済特
区設立40周年の記念式典で演説するためだった。深セン経済特
区は1980年代に外資誘致を目的に設立され、中国を世界2位
の経済大国に押し上げるうえで重要な役割を果たした。
 ただ、米中間では、台湾問題や新型コロナウイルスをめぐる見
解の相違が激しい対立を招き、過去数十年で最も緊張が高まった
状態が続いている。米議会スタッフによると、ホワイトハウスは
12日、連邦議会に対し、高機動ロケット砲システム(HIMA
RS)など3種類の先端兵器を台湾に売却する計画を通知した。
これに対し、中国外務省の趙立堅報道官は「台湾への武器売却計
画の即時中止」を米国に要求。台湾との軍事的なつながりを全て
断つよう求めた。          https://bit.ly/31fjnMa
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 尋常なことではありません。習近平国家主席が、戦争のさい、
真っ先に行動を起こす人民解放軍海軍陸戦隊(海兵隊)に対し、
「戦争に備えよ」と指示したのですから。新型コロナウイルスで
世界が苦しみ、混乱しているなか、中国はあえて戦争に言及して
みせたのです。海軍陸戦隊というのは、上陸作戦に投入される部
隊で、台湾や尖閣諸島への作戦を念頭に置いた部隊とみられてい
ます。これに対し、米海軍は14日、ミサイル駆逐艦「バリー」
を台湾海峡に派遣し中国を牽制したのです。
 まさか、この時期に戦争とは考えられないという人もいるかも
しれませんが、『文藝春秋』/2020年8月号に、朝日新聞編
集委員の峯村健司氏による10ページの次のレポートが掲載され
ています。台湾併合の戦争はあってもおかしくないのです。
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 ◎習近平の「台湾併合」極秘シナリオ/日本は確実に巻き込
  まれる         朝日新聞論説委員・峯村健司氏
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 峯村健司氏は、このレポートにおいて、台湾周辺を巡る軍事的
緊張の高まりについて、次のように分析しています。
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 2020年4月、空母「遼寧」を含む6隻の中国艦艇が台湾東
部と南部で軍事演習を実施した。これに対抗するように、米軍も
台湾周辺での活動を強めている。6月中旬には、台湾東部のフィ
リピン海に空母「ロナルド・レーガン」を展開させたほか、「セ
オドア・ルーズベルト」と「ニミッツ」も合同演習を実施。この
地域で空母が同時に3隻展開されるのは、朝鮮半島情勢が緊迫し
た17年11月以来のことだ。
 日本も無縁ではない。6月18日には国籍不明の潜水艦が奄美
大島沖の接続水域内を潜ったまま西進。防衛大臣の河野太郎(当
時)は会見で「中国のものだと推定している」と明かした。自衛
隊の探知能力に関わるため、潜水艦の国籍を公表するのは異例の
こと。最近の中国海軍の動きについて、自衛隊関係者は「前例が
ないほど活発になっている」と警戒する。台湾を巡るアジア情勢
は、すでに臨戦態勢に入ったと言ってよい。
             ──朝日新聞論説委員・峯村健司氏
              『文藝春秋』/2020年8月号
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 こういう情勢であるので、台湾有事はいずれ必ず起きますが、
日米プラスカナダが、米大統領選をはさむ10月26日から11
月5日までの11日間に中国が台湾併合のための戦闘を起こす可
能性は少なくなったといえます。なぜなら、中国は孫子の兵法の
国であり、負け戦は絶対にやらないからです。中台の安全保障が
専門の米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」のイアン
・イーストン氏は、2020年中に中国の計画が実行される可能
性があるかどうかについて、次のように述べています。
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 新型コロナによって国際情勢の先行きが不透明になり、計画は
遅れるかもしれません。それでも、2025年までに軍事侵攻し
た場合、成功確率は50%はあるとみています。
              『文藝春秋』/2020年8月号
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 かつて、マッカーサー元帥は、「台湾は空母20隻分の価値が
ある」といっていたのです。つまり、中国が台湾を手に入れると
東シナ海、南シナ海に空母20隻を手に入れたのと同じになると
いう意味です。これだけのメリットのある台湾併合を中国が諦め
るはずがありません。そう遠くない時期に中国は台湾に対して攻
撃を仕掛けるはずです。そのとき、日本は深刻な状況に陥るはず
です。台湾には、米軍基地がないので、在日米軍が日本から発進
することになるからです。そうすれば、日本は中国のミサイルに
よる攻撃を受ける恐れが十分にあります。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/096]

≪画像および関連情報≫
 ●「戦後日本を生きた世代は何を残すべきか」
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   しばしば「戦後世代」という言葉を聞く。いったい何歳ぐ
  らいの人のことか。本書『戦後日本を生きた世代は何を残す
  べきか』(河出書房新社)は評論家の佐高信さんと、寺島実
  郎さんの対談だ。佐高さんは1945年生まれ、寺島さんは
  47年生まれ。ともに70代のシニア。「戦後の第一世代」
  だが、相変わらず意気軒高のようだ。「われらの持つべき視
  界と覚悟」という副題が付いている。
   佐高さんは慶應義塾大学卒。高校教員、経済誌編集長を経
  て評論家として独立、辛口の毒舌で知られる。多数の著書が
  ある。寺島さんは早稲田大学政経学部大学院修了。三井物産
  戦略研究所会長や日本総研理事長などを経て多摩大学学長。
  1994年には「新経済主義宣言─政治改革論議を超えて」
  (『中央公論』1994年2月号)で第15回石橋湛山賞を
  受賞している。テレビのコメンテーターとしてお見かけする
  ことも多い。
   二人は2歳しか年齢が違わないので、おおむね同世代と言
  える。寺島さんにとって、佐高さんは「兄貴のような存在」
  だという。おそらくはともに脱脂粉乳の給食で育ち、「三丁
  目の夕日」のような昭和30年代を経て地方から上京。19
  60年代後半の学生運動の高揚を、身近で見聞したことだろ
  う。その後、寺島さんは、大手商社員として「ジャパン・ア
  ズ・ナンバーワン」へと突き進む日本経済の躍進を自ら牽引
  し、佐高さんはその姿を、どちらかと言えば裏側からシニカ
  ルに見る立場だった。      https://bit.ly/3j6ZnRZ
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台湾海峡を航行する米駆逐艦「バリー」.jpg
台湾海峡を航行する米駆逐艦「バリー」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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