している動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」を安全保
障上の脅威であるとして、この動画アプリを運営する「バイトダ
ンス」との取引を45日後から禁止するという内容の大統領令に
署名したのです。合わせて、中国の会員制SNS「微信(ウィチ
ャット)」を運営する中国のIT大手である騰訊(テンセント)
との取引も禁止するとしたのです。
「ティックトック」を巡っては、トランプ大統領がバイトダン
スに対して、同社の経営権とアルゴリズムとデータをすべてを米
国に引き渡さない限り、米国内で1億人が利用する同アプリの禁
止も辞さないと表明しています。
9月23日現在、米ウォルマートとオラクルが共同してバイト
ダンスと協議をしており、45日後の事業停止は中断されていま
すが、根本的なところでモメているようです。
問題は、米ウォルマートとオラクルがバイトダンスと提携して
米国内に作る新会社「ティックトックグローバル」の経営権をど
ちらが握るかですが、肝心なところで、双方の言い分が食い違っ
ているのです。
23日時点でわかっていることは、新会社の出資比率が次のよ
うになっていることです。
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オラクル ・・・・ 12・5%
ウォルマート ・・・・ 7・5%
バイトダンス ・・・・ 80・0%
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数字だけを見ると、新会社の支配権は、完全にバイトダンスが
握っています。しかし、オラクル側としては、バイトダンス本体
に米投資会社が40%出資しており、60%の過半数は米側が握
るといっていますが、この言い分は少しおかしいです。トランプ
大領の命令にもかかわらず、バイトダンスとオラクルらは、玉虫
色決着を模索しているようです。
一番問題になっているのは、ティックトックアプリの「ソース
コード」をどちらが握るかですが、バイトダンス側は、「提携案
には、いかなるアルゴリズムや技術に関する移転にも触れていな
い」としています。このような状況では、とてもまとまるはずの
ない提携話といえます。
そもそもトランプ大統領が、なぜティックトックは危険である
と思ったのでしょうか。それは、彼自身がティックトックによっ
てある被害を受けたからです。その前に、そもそもティックトッ
クとは何かについて知る必要があります。
ティックトックとは、簡単にいうと、15秒から1分ほどの短
い動画を作成して投稿できる「短尺動画プラットフォーム」のこ
とです。既にユーチューブがありますし、それほど目新しいもの
ではないのですが、何が問題なのか考えます。
このアプリのユーザーは13歳未満の子供が多く、AIが組み
込まれているので、アクセスする動画からユーザーの好みや性格
を分析し、そのユーザーに合った動画を供する機能などがあるの
ですが、こういったことを含めたユーザーの個人情報を収集する
機能に問題が多いとされています。そのため2016年頃から問
題になっており、FTC(連邦取引委員会)が乗り出して、バイ
トバンスと協議していたのです。
トランプ大統領が直接被害を受けたのは、6月20日の夜のこ
とです。その日、トランプ陣営は、オクラホマ州タルサで11月
の大統領選に向けた選挙集会を開いたのですが、これが大失敗に
終ったのです。日本経済新聞の関連記事を示します。
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領が20日に南部オクラ
ホマ州で開いた選挙集会で大量の空席が発生したのは、ショート
動画アプリ「TikTok」の利用者らが欠席を前提に大量の申し込み
を呼びかけたのが、一因との見方が出ている。SNS(交流サイ
ト)の威力を示す例として注目を集めている。
同州タルサ消防局によると、1万9000人を収容できる会場
に実際に入った参加者は3分の1以下の6200人にとどまった
という。トランプ陣営の幹部は21日のFOXニュースのインタ
ビューで、トランプ氏の支持者が集会に反対するグループとの衝
突を恐れて来場しなかったと説明した。(中略)
51歳の中西部アイオワ州在住の女性は、11日深夜に「ステ
ージ上で彼を独りぼっちにさせよう」と訴える動画を「TikTok」
に投稿した。翌朝までには200万回以上も視聴されたという。
多くのユーザーは「妨害行為」が探知されないよう1〜2日で投
稿を削除した。延べ数10万人分の入場が登録された可能性があ
るという。 https://s.nikkei.com/3mQ3QLC
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ティックトックは、ツイッターやインスタグラムと同様に、S
NSの一種です。一応ツイッターは文字、インスタグラムは写真
ティックトックは動画がメインになっています。なぜ、一応かと
いうと、ツイッターやインスタグラムでも、動画をアップロード
できるからです。それなのに、ティックトックはなぜ流行したの
でしょうか。
確かにツイッターやインスタグラムで動画を投稿できますが、
いささかハードルが高いのです。しかし、ティックトックは、動
画用のテンプレートが用意されています。このテンプレートのお
かげで、ユーザーは音楽やネタを用意するなどの労力をかける必
要がなく、誰でも気軽に動画を投稿することができます。ティッ
クトックに10代のユーザーが多いのは、このテンプレートのお
かげであると思われます。現在のスマホは、短い動画であれば簡
単に撮れるので、それが流行に拍車をかけたものと思われます。
なお、本稿の執筆時点(24日)時点では、米国のティックト
ック問題は解決していません。
──[『コロナ』後の世界の変貌/084]
≪画像および関連情報≫
●TikTokはホントに危険?8つのリスクとその対処法を解説
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ティックトックに投稿した動画の背景に映っている景色か
ら、投稿者の家や撮影場所を特定され、個人情報が流出する
恐れがあります。
最近は画像解析などの技術が進んでいるため、写真のほん
の少しの映り込みや何枚かの写真を照合することで、撮影場
所や投稿者本人の特定が可能になります。動画は写真以上に
情報量が多いため、かなり気をつけて撮影しなければ、画像
投稿以上に個人情報が狙われる危険性が高いといえます。
また、アカウント名から個人を特定されることもあるため
個人に関する情報をアカウント名に使わないことはもちろん
近隣の有名な場所や建物の名前など、個人情報が掴めそうな
単語は使わないことが鉄則です。
ティックトックは音楽に合わせて歌って踊るなどといった
楽しさを共有することが本来の目的であり、出会いを目的と
したものではありません。しかし、動画の投稿者に対しコメ
ント欄から出会いを持ち掛けるなどといったマナー違反を犯
す人もいます。
動画のように公開する情報が多いツールでは、出会い系の
ツールとして利用しようとしている人もいることを覚えてお
いてください。また、動画を投稿しているのは10代が中心
かもしれませんが、それを見ているユーザーは、スマホユー
ザー全体に広がっていると認識した方が良いでしょう。
https://nr.tn/2FYKnI2
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