2020年07月27日

●「米政府による中国総領事館の閉鎖」(EJ第5296号)

 7月21日、米国政府は驚くべき行動を起こしています。突然
ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を通告し、当総領事館の3日
以内の閉鎖と職員の撤収を求めたのです。22日、この件に関し
ポンペオ国務長官は次のように述べています。この情報は、新聞
記事よりも詳細な情報の一部です。全文を読みたいときはURL
をクリックすれば読むことができます。
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 中国との闇雲な関与の古い方法論は失敗した。我々はそうした
政策を継続してはならない。戻ってはならない。自由世界はこの
新たな圧政に勝利しなくてはならない。
 米国や他の自由主義諸国の政策は中国の後退する経済をよみが
えらせたが、中国政府はそれを助けた国際社会の手にかみついた
だけだった。中国に特別な経済待遇を与えたが、中国共産党は西
側諸国の企業を受け入れる対価として人権侵害に口をつぐむよう
強要しただけだった。
 中国は貴重な知的財産や貿易機密を盗んだ。米国からサプライ
チェーンを吸い取り、奴隷労働の要素を加えた。世界の主要航路
は国際通商にとって安全でなくなった。
 今日の中国は国内でより独裁主義的となり、海外ではより攻撃
的に自由への敵意をむき出しにしている。トランプ大統領は言っ
てきた。「もうたくさんだ」と。https://s.nikkei.com/3jA36Zx
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 米国政府がここまでやるのは、よくよくのことです。なぜ、南
部テキサス州ヒューストンなのかについて、スティウェル国務次
官補(東アジア太平洋担当)は、米南部にはハイテク、宇宙など
の重要産業があり、そのため、中国軍による知的財産窃盗の「震
源地」になっていたといっています。スティウェル氏は、中国の
窃盗行為がここ半年間で急増しているのは、新型コロナウイルス
のワクチン開発競争も関係していると述べています。
 この突然の中国総領事館の閉鎖に対して、中国政府は猛反発し
ており、中国の米国の在外公館の閉鎖を検討しているものと思わ
れます。米国の在外公館は中国内に7か所あり、なかでも千数百
人のスタッフがいる香港総領事館の縮小や閉鎖を検討していると
いう情報もあります。
 当然中国政府としては、米国による一方的な中国総領事館の閉
鎖に対しては、相応の報復措置をとってくるものと思われ、米中
関係はさらに悪化することは確実です。加えて中国は、米国のみ
ならず、英国との関係も悪化しつつあるのです。
 このところボリス・ジョンソン首相率いる英国政府が中国政府
によるウイグル族への人権侵害を激しく批判しはじめています。
ウイグル族の人権侵害に関しては、トランプ米大統領が先月「ウ
イグル人権法案」に署名し、成立させていますが、英国もこれと
歩調を合わせています。
 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を引き起
こしながら、香港の「一国二制度」を奪い、軍事的覇権を強める
中国の習近平政権に対し、米英両国が「人権」というカードで米
英両国が足並みを揃えて対峙するかたちをとっています。これは
中国にとって大変な脅威です。
 それだけではないのです。香港市民が持つ「英国海外市民(B
NO)旅券」に関しても、中国政府は「有効性を認めない」とい
う声明を出しています。「英国海外市民(BNO)旅券」という
のは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民の持つ旅券
のことですが、英国政府は、この旅券の保有者に関し、7月22
日に次の声明を出しています。
─────────────────────────────
 BNO旅券の保有者とその扶養親族に対し、2021年1月か
ら特別ビザを発行する。この特別ビザで英国に5年間住むと、英
国の永住権が与えられ、その1年後に市民権も得られる。
                    ──英国政府の発表
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 英国政府は、中国の新型コロナウイルスの初期対応に不信感を
高めており、それに加えて、香港の旧宗主国として、中国の「国
家安全維持法」の施行に香港の基本的人権が侵害されるとの懸念
から、BNO旅券の保有者とその扶養親族に対し、救済策を打ち
出したものと思われます。
 なお、英国は既に香港政府と結んだ犯罪人の引き渡し条約の停
止を表明し、香港住民の英国への移住の促進や、次世代通信規格
「5G」分野での中国のファーウェイの排除などを打ち出すなど
反中政策を相次ぎ打ち出しているのです。
 こうした米国や英国の対応について、中国事情に詳しい石平氏
は、次のように述べています。
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 人権や民主主義の本家である英国の果敢な対応は、歴史的な一
歩だ。高く評価する。次は、フランスやドイツなど欧州の他の先
進国の姿勢が問われる。これまで尻込みしていた国が反発して報
復に出れば、かえって国際社会から見放されるだろう。
      ──石平氏/2020年7月21日発行/夕刊フジ
─────────────────────────────
 ヒューストンの中国総領事館は、米国政府から閉鎖を通告され
ると、すぐ機密文書を燃やして処分したようです。それも相当大
量の文書を処分したようで、消防隊まで出動しています。火事と
間違えるほどですから、大変な量を処分したことになります。と
ころで、なぜ、焼却という方法を選んだのでしょうか。
 デジタルデータの消去は、相当注意しても、復元される可能性
が高いし、データ通信はもっとリスクがあります。結局、焼却し
てしまうのが、一番安全な方法と思われます。したがって、大量
の書類を焼却したということは、見られては困る文書がたくさん
あった証拠ともいえます。このように、中国への包囲網は拡大し
つつあります。これに対して、中国はどう対応しようとしている
のでしょうか。  ──[『コロナ』後の世界の変貌/040]

≪画像および関連情報≫
 ●米の中国総領事館閉鎖/スパイ活動のほか「米への敵対
  行為」が原因か
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   米国務省のオルタガス報道官は7月22日、米政府がテキ
  サス州ヒューストンの中国総領事館に対して、72時間以内
  に閉鎖するよう通告したと発表した。報道官は声明で「米国
  の知的財産と米国民の個人情報を守るため」「中国による主
  権の侵害や米国民への脅迫を容認しない」と強調した。中国
  総領事館の閉鎖は、1979年に米国が中国共産党政権と国
  交を樹立して以来、初めてのことだ。
   デイビッド・スティルウェル国務次官補はニューヨーク・
  タイムズ紙に対して、在ヒューストン中国総領事館の蔡偉総
  領事と中国人外交官2人を、ヒューストン空港で現行犯逮捕
  したと語った。総領事らは、偽の身分証明書を使って、中国
  人訪問客を中国国際航空(エアチャイナ)の中国行きチャー
  ター機に乗せようとしたという。
   スティルウェル国務次官補は、在ヒューストン中国総領事
  館は、中国軍のスパイ活動の拠点だと指摘した。中国軍が中
  国人留学生を米大学に送りこみ、情報を窃盗している。さら
  に、同氏は、過去6カ月、中国当局による米科学分野の研究
  での窃盗が加速化していると述べ、中共ウイルス(新型コロ
  ナウイルス)のワクチン開発と関連していると考えている。
  中国総領事館はこれまでにも、エアチャイナを利用して、米
  国にいる諜報員の中国逃亡を手伝ったことがある。
                  https://bit.ly/2WOH9w2
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posted by 平野 浩 at 07:14| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

●「どこからも同情されない国になる」(EJ第5295号)

 沖縄県・尖閣諸島周辺での中国海警局の武装公船などの侵入が
続いており、22日で「100日」連続です。世界中が中国発の
新型コロナウイルス対策で必死になっているスキを見て、中国は
尖閣諸島に毎日堂々と公船を乗り入れているのです。
 5日のことですが、中国公船が30時間以上領海侵犯し、外交
ルートを通じて「釣魚島(尖閣諸島の中国名)周辺の中国領海で
日本漁船を操業させないよう管理すべきだ」と主張してきていま
す。つまり、日本の実効支配を弱めようとしてきているのです。
安倍政権に支配されている日本のメディアは、ニュースを積極的
に伝えませんが、このままいくととんでもないことになります。
 これに対して、21日、エスパー米国防長官は、英・国際戦略
研究所で講演し、このことを次のように批判しています。
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 中国は、東シナ海と南シナ海で攻撃的な行動を続けている。日
本の施政下にある尖閣諸島周辺海域で、侵入の回数と時間を増や
している。             ──エスパー米国防長官
             2020年7月22日付、朝日新聞
─────────────────────────────
 中国を止めるには、尖閣海域を封鎖する必要があります。その
ためには、米軍の射撃練習場になっている尖閣諸島・大正島など
に、日本が自衛隊の軍事拠点を作り、米軍とともに軍事演習を行
えばいいのです。そうすると、中国は太平洋に出る手段を失うこ
とになります。もはや習近平国家主席の日本国賓招待などは、も
し決行すれば、日本中で超大デモが起き、日本は大恥をかくこと
になります。
 どのように考えても、現在の中国にとって、現在の時点で武力
にものをいわせて尖閣諸島を占拠すれば、中国は完全に世界から
孤立します。コロナ災禍で、中国は世界中から信頼を失っていま
す。米軍も日米安全保障条約上、日米両軍が総力を挙げて、島の
奪還に動かざるを得なくなります。
 しかし、中国にも人物がいるようです。中国軍部の代表的なタ
カ派である中国攻防大学戦略研究所の戴旭教授です。この人は、
10年前に「2010年インターネット9大風雲児」と呼ばれ、
故郷の河南省では「河南の三傑」の1人ともいわれています。
 戴旭教授は、「中国が米国について思いもよらなかった4つの
こと」というタイトルで講演を行っていますが、中央日報のサイ
トから、その4つとは何かについて、要約・整理してお伝えする
ことにします。
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 戴氏が話す最初の「中国が米国について思いもよらなかったこ
と」は、中国に対する米国の怨恨がこれほどまでに大きかったと
いうことだ。これによると、トランプ米大統領は、中国に対して
少しの好感さえ持っていない。トランプ氏は中国を「貿易テロリ
スト」「グローバル経済侵略者」「詐欺師」「こそ泥」「ルール
破壊者」などと呼んでいるが、これは中国が、夢にも思っていな
かったことだ。
 中国の第二の「思いもよらなかったこと」は、米国のやり方が
情け容赦のない非常に手厳しいものだったということだ。米国政
府の中国バッシングが少しの談判の余裕も与えず、そして電撃的
に行われるとは、中国官僚や専門家のほとんどが予測できなかっ
た。米中貿易が密接に絡み合い、長い歳月をかけて形成されたも
ので、中国は米国の気が触れない限り、中国産製品に対する関税
を2000億ドル(約21兆4000億円)も追加で課すわけが
ないと考えたが、米国は中国に対して相次いで強硬姿勢を取り、
中国の予想をはるかに超えた。
 第三のことは、中国がこのように米国から不利益を被っている
にも関わらず、中国に同情や支持を示す国が一つもないという点
だ。多くの国々が米国の貿易政策に反対しながらも、これによる
最大被害者である中国の味方になって反米戦線を構築しようとい
う国はない。中国は今まで世界各国に援助を惜しんでこなかった
し、援助を受けた国々もまた中国から多くの利益を持っていった
が、いざ重要な時期には中国と共に行動する国がない。
 第四のことは、中国バッシングのために米国国内が一糸乱れず
統一戦線を構築した点だ。米国の共和党と民主党は事あるごとに
対立しながらも、中国に対する政策だけは完全に統一された立場
を見せている。特に驚くのは、米議会で中国のために話をしよう
という政治家がたった一人もいないということだ。
            ──中央日報/中央日報日本語版より
                  https://bit.ly/2E4eFb7 ─────────────────────────────
 この戴旭教授の講演は、本当の意味での中国の反省であるかど
うかわかりませんが、そのように考えている有名人がいるという
ことは、わるいことではないと思います。要するに、中国は米国
という国を間違ってとらえていたということになります。戴旭教
授は、この講演で、「米国に対する新しい認識」についても触れ
ていますが、これについては、次のサイトを参照してください。
─────────────────────────────
  ◎米国にやられてもわれわれに同情する国はない(2)
   米国に対する新しい認識  https://bit.ly/2ZOxd7P
─────────────────────────────
 上記の「米国に対する新しい認識」でも述べられていることで
すが、戴旭教授は、中国政府に対して、「米国は戦略のプロであ
り、一度米国から『敵』という烙印を押されると、反テロ戦争で
見せたように、米国は、すべての手段を動員して最後まで追いか
けてくる恐さがある」と、米国という国に対して、警戒心をあら
わにしています。さらに、たとえトランプ大統領が選挙で交代し
ても、「米国を偉大にする」という核心戦略は不変であるとも述
べています。本当に中国は、そうあって欲しいし、尖閣において
も、いまのようなことはやめて欲しいものです。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/039]

≪画像および関連情報≫
 ●徹底的な隔離はなぜ実行できたのか/中国の「大衆を動かす
  仕組み」の底力
  ───────────────────────────
   中国に「居民委員会(居委会)」と呼ばれる組織がある。
  日本で言えば町内会とか、町の自治会みたいな位置づけの組
  織だが、もちろん社会主義体制なので、その性格は大いに異
  なる。いわば中国という国の政策を実行するための、住民の
  代表で組織された実働部隊である。今回の新型コロナウイル
  スに感染症の蔓延で、事実上の「全国民自宅軟禁」の政策を
  実行し、感染の拡大阻止を実現するうえで最も大きな役割を
  担ったのが、この「居委会」だと思う。
   居委会は、中国という国の「いざ」という時の底力、権力
  体制のすさまじさを、まざまざと見せつけた。表舞台ではあ
  まり目立たないが、この居委会を手がかりに、中国社会の仕
  組みについて今回は考えてみたい。
   中国国内の感染拡大が落ち着きを見せ、経済活動が動き始
  めたのとは逆に、日本では感染爆発の危機が叫ばれるように
  なって、日本にいたビジネスパーソン、大学が休みになった
  留学生などが中国に戻る例が私の周囲にも増えてきた。空港
  によって扱いは多少違うが、例えば上海の場合、それらの人
  たちは国籍を問わず、中国入国後は14日間の自宅もしくは
  指定ホテルでの隔離の対象となる(注:その後、上海では日
  本からの渡航者は14日間の隔離対象から除外された。他の
  主要感染国からの渡航者は、3月26日現在、同措置が継続
  中)。             https://bit.ly/2CE8NVA
   ──────────────────────────

エスパー米国防長官.jpg
エスパー米国防長官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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