2020年07月14日

●「コロナ禍を予告した映画多く存在」(EJ第5288号)

 2020年1月〜3月まで、新型コロナウイルスの感染者が世
界中に拡大するなか、カナダでは、あるテレビ映画がカナダTV
Aネットワークによって放映され、「ジャスト・タイムリー」と
話題になっています。
 実はこの映画が撮影されたのが、2019年で、中国で最初の
感染者が発見されるよりも前なのです。しかし、その内容は、現
在の世界の現状を“予言”していたかのように正確で、リアルな
描写の数々に、誰もが驚かずにはいられない映画です。この映画
は7月には日本にも配信されており、その予告編(日本語対応)
をご紹介します。
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     映画『アウトブレイク/感染拡大』予告編
           1分19秒  https://bit.ly/2ZkaekH ─────────────────────────────
 実は、この『アウトブレイク』という題名の映画は、1995
年に米国でも制作制作されているのです。ダスティン・ホフマン
主演の映画ですが、これはパンデミック映画の古典的地位を占め
ていると、映画評論家が批評しています。これについても、英語
ですが予告編があるので、ご覧ください。
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       映画『アウトブレイク』予告編
           2分25秒  https://bit.ly/3gVGCAh ─────────────────────────────
 もうひとつあります。映画『コンティジェン』です。この映画
は、中国起源のウイルスがコウモリから子豚に感染し、中華レス
トランのコックへ感染。そのコックと握手した人物が米国にウイ
ルスを持ち込み、パンデミックとなってスーパーを襲撃、都市封
鎖が実施される。武漢ウイルスの感染ルートに酷似している点が
不気味です。予告編は次の通りです。
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       映画『コンティジョン』予告編
            1分02秒 https://bit.ly/2CuP8ac ─────────────────────────────
 映画『コンティジェン』のキャッチコピーは、映画の内容もさ
ることながら、なかなか強烈です。「【恐怖】はウイルスより早
く感染する」というのです。
 映画『コンティジェン』について、ノンフィクション作家の川
添恵子氏は、「悪夢は予告されていた」というレポートで、次の
ように述べています。
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 ウイルスよりも「恐怖」のほうが、人を支配する、特別かつ確
実な「感染力」を持った“魔物”ではないかと。捕捉すると、直
接会わなくても「恐怖」は「感染力」がある。 ──川添恵子氏
              『WiLL』/2020年8月号
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 いずれも、現在の事態をまるで予測したような映画ですが、こ
ういう映画は比較的作り易いといえます。政府として、ウイルス
への最初の対応を誤ってしまうと、こうなってしまうことが十分
予測できるからです。そういう意味で、いわゆる、この種のパン
デミック映画は、そういう事態にならないための啓蒙映画である
といえます。
 英国人の著名コラムニストに、マーチン・ウルフ氏という人が
います。世界銀行のエコノミストなどを経て1987年にフィナ
ンシャル・タイムズに入社しています。経済政策の間違いが第2
次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持ち、一貫し
て経済問題について執筆し、現在最も影響力のあるジャーナリス
トとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目
するといいます。
 そのマーチン・ウルフ氏は、今回のコロナ禍について、フィナ
ンシャル・タイムズ紙に次のように書いています。
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 これは、第2次世界大戦以降、世界が対峙する圧倒的に最大の
危険であり、1930年代の大恐慌以来、最大の経済的惨事だ。
世界は大国が分裂し、政府の上層部が恐ろしいほど無能な状態で
この瞬間を迎えた。我々はいずれこの局面を通り過ぎるが、その
先には何が待ち受けているのか。多くのことが依然、不透明だが
重要な不確実性のひとつは、近視眼的な指導者たちがこの世界的
な脅威にどう対応するかにかかっている。   ──宮崎正弘著
        『──次に何が起きるか/WHAT NEXT
             /コロナ以後全予測』/ハート出版
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 マーチン・ウルフ氏が、今回のコロナ禍を世界大恐慌に次ぐ最
大の経済的惨事になると予測したのは、「(米中)の大国が分裂
し、政府の上層部が、恐ろしいほど無能な状態で、この瞬間を迎
えたからである」としています。
 とくに米国のトランプ大統領は、次の言葉に代表されるように
あまりにも事態を楽観視していたといえます。3月の段階での大
統領の発言です。
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     イースター(4月12日)までに解決する
              ──トランプ米大統領
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 しかし、米国を筆頭に欧米で死者が戦争並みの犠牲を超えてい
ることを知って、ウォール街も経済学者も愕然とします。それま
での被害者想定を4月初旬までトランプ大統領と同様にきわめて
楽観的に診ていたのです。
 米国の死者は、その時点で朝鮮戦争での犠牲者を超えていたし
それどころか、被害は、香港風邪の規模をはるかにオーバーし、
チェルノブイリを超え、広島の原爆犠牲者を超えたのです。
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/032]

≪画像および関連情報≫
 ●世界経済に「大遮断」の危機/マーティン・ウルフ氏
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   国際通貨基金(IMF)は4月14日に発表した最新の世
  界経済見通しの中で、世界の現状を「グレート・ロックダウ
  ン」と表現した。だが、筆者は現状を踏まえると、むしろ、
  「グレート・シャットダウン(大遮断)」と呼んだ方がよい
  と考える。そもそも今の惨状はロックダウン(都市封鎖)が
  根本の原因ではないし、封鎖を強行していなかったとしても
  世界経済は崩壊していただろうし、封鎖を解除しても経済の
  崩壊は続くかもしれないからだ。
   呼び方はともかく、これだけははっきりしている。これは
  第2次世界大戦後、世界が直面する最大の危機であり、19
  80年代の大恐慌以降、最大の経済的惨事だ。しかも世界は
  大国間の溝が深まり、多くの国の政府の高いレベルが恐ろし
  い無能ぶりをさらけ出す中で、この危機を迎えている。この
  危機はいずれ終わるが、その後、どんな世界が待ち受けるの
  か――。
   IMFは、今年1月時点では迫り来る厄災に気づいていな
  かった。中国が他国に全く情報を伝えていなかっただけでな
  く、自国政府内でも、適切に情報交換をしていなかったため
  だ。おかげで我々はパンデミック(世界的な大流行)のただ
  中にあり、甚大な被害を受けている。
                  https://amba.to/3iZ3JeK
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マーティン・ウルフ氏.jpg
マーティン・ウルフ氏

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする