2020年07月10日

●「コロナで変わる世界10大リスク」(EJ第5286号)

 ユーラシア・グループというシンクタンクがあります。毎年年
初に「世界10大リスク」というものを発表していて、その内容
について、全世界の政治や経済の関係者たちが注目しています。
2020年についても1月初めに発表されましたが、3月19日
になって、グローバル・リスクの評価を変更しています。
─────────────────────────────
 ◎世界10大リスク/2020
   1.不正!誰が米国を統治するか      ↑
   2.超大国間デカップリング        ↑↑
   3.米中関係               ↑↑
   4.頼りにならない多国籍企業       ――
   5.モディ政権が推し進めるインドの変貌  ↑
   6.地政学的変動下にある欧州       ――
   7.政治VS気候変動の経済学       ↓↓
   8.シーア派の高揚            ――
   9.不満が渦巻く中南米          ↑↑
  10.トルコ                ↑
 ◎リスク記号の説明
  ↑ :リスクが高まる    ↓↓:リスクが大幅に減る
  ↑↑:リスクが大幅に高まる ──:リスク変わらず
  ↓ :リスクが減る       https://bit.ly/2BUpqvT
                      ──滝田洋一著
        『コロナクライシス』/日経プレミアシリーズ
─────────────────────────────
 第1位に「不正!米国を統治するか」が上がっています。ユー
ラシア・グループによると、米国の国内政治をこれまでトップに
したことはないそうです。それは、これまでの米国の政治制度・
枠組みが世界で最も強固であり、強靭なものであったからです。
なぜ、「不正!」が付いているのでしょうか。これについて、ユ
ーラシア・グループーは、次のように説明しています。
─────────────────────────────
 制度・枠組上の制約は、トランプ大統領を(これまでの大統領
たちと同じように)その公約の大部分を断念することを余儀なく
させてきたが、彼が国を分断するのを、止めることはできなかっ
た。国家たるものが、これほど二極化した状態のまま、先に進む
ことが可能なのだろうか?下院はトランプの弾劾を可決したが、
上院の裁判で彼は無罪になると予想される。こうした動きの結果
11月の大統領選挙の正統性は、次のようにして、失われるだろ
う。すなわち、民主党は、大統領を法を超越した存在にするため
に弾劾案が政治的にもみ消されたと感じる一方で、トランプは、
弾劾手続が、もはや有効な政治的制約手段でなくなったので、選
挙結果に干渉する力を得たと感じるようになる。
                 https://bit.ly/2BUpqvT
─────────────────────────────
 問題は、第2位と第3位の米中関係です。この項目を「リスク
が大幅に高まる」としています。第2位の「超大国間デカップリ
ング」は、貿易にプラスして、5Gに代表される先端技術分野で
の米中のせめぎ合いだったのですが、新型コロナの流行は、この
分断を加速させる結果になったのです。これに関して、ユーラシ
ア・グループは次のように説明しています。
─────────────────────────────
 すでに米中間における技術・人材・投資の有益な流れを混乱さ
せているこのデカップリングは、米中紛争の中心にある一握りの
戦略的技術分野(半導体、クラウドコンピューティング、5G)
を超えて、より広範な経済活動へと拡大していく。市場規模が5
兆ドルに達する世界のテクノロジー産業全体のみならず、メディ
アやエンターテインメントから学術研究に至るまで、他の多くの
産業や機関にも影響を与え、ビジネス、経済、そして文化におけ
る深く解消し難い分裂をつくりだしていく。
                 https://bit.ly/2BUpqvT
─────────────────────────────
 第3位の「米中関係」も「リスクが大幅に高まる」深刻な問題
です。2019年の「世界10大リスク」では、「米中関係」は
2位にランクされていたのです。その理由としては、2018年
暮れに、カナダ当局が米国の要請を受けて、中国通信機器最大手
である華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責
任者(CFO)を逮捕したからです。この問題は現在も決着して
いないのです。
 今回の新型コロナに関連して、「米中関係」は一層深刻化して
います。これについて、WBSの滝田洋一氏は、次のようにコメ
ントしています。
─────────────────────────────
 米中両国ともに今回の爆発的な感染拡大を、新たな地政学的な
さや当てと見なしている。米国は今回の感染症を、「中国ウイル
ス」と呼び、それを引き起こした中国を非難する。一方、中国は
コロナの早期封じ込めに成功したとして、それを自らの統治シス
テムの正当化に用いている。中国は金融や医薬品の提供を通じた
「コロナ外交」を仕掛けている。
 20年11月の大統領選が近づくにつれて、受け身に立たされ
ているトランプ大統領は中国非難を強めるだろう。対する中国は
米ジャーナリストの追放に象徴される、強権的な報復に打って出
ようとしている。米中間の緊張の高まりとともに、鳴り物入りで
喧伝された米中貿易合意の履行にも疑問符が付く。米中通商協議
の第2段階など思いも寄らない。華為技術(ファーウェイ)など
中国のハイテク企業に対する米国の取り扱いや香港、台湾問題は
対立激化の火種である。「たとえコロナ・パンデミック」が終息
したとしても、米中は新たな冷戦に突入しているであろう。
                ──滝田洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/030]

≪画像および関連情報≫
 ●今年の世界最大のリスクは「米大統領選」 米企業が予測
  ───────────────────────────
   米コンサルティング会社ユーラシアグループは1月6日、
  2020年の「世界のリスク」トップ10を発表した。1位
  には「米大統領選」がランキング。政府や議会、司法への信
  頼が揺らぐなか、選挙結果が有権者に受け入れられず混乱す
  る可能性を指摘した。
   リーダーなき世界を「Gゼロ時代」と名付けて注目された
  国際政治学者イアン・ブレマー氏が社長を務める同社は、年
  初にその年の世界政治や経済に深刻な影響を及ぼしそうな事
  象を予測している。米国内政を1位にあげるのは初めてとい
  う。ブレマー氏はトランプ米大統領の弾劾(だんがい)やロ
  シアなどによる選挙干渉の可能性をあげ、「多くの人が『不
  正を仕組まれた』と感じる前代未聞の選挙になる」と懸念。
  トランプ氏の勝敗にかかわらず訴訟が起こされ、政治的空白
  が生まれる恐れがあるとして、その状況を「米国版ブレグジ
  ット」と評した。
   2位と3位には、米中経済の分離(デカップリング)の拡
  大と、米中対立の激化をあげた。先進国で分断が進む現状や
  気候変動とともに、「数十年間、グローバル化が機会を生み
  出し、貧困を減らし、平和をもたらしてきたが、2020年
  は国際政治の転換点になる」としている。
                  https://bit.ly/3fdSyg3
  ───────────────────────────

WBS/滝田洋一氏.jpg
WBS/滝田洋一氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary