2020年06月29日

●「世界で最も危険な場所それは日本」(EJ第2577号)

 中国への過分の配慮があるのではないかという疑いが持たれて
いる日本の新型コロナウイルスへの防疫体制にとって不幸だった
のは、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で起きた
集団感染です。ダイヤモンド・プリンセス号は、約11万6千ト
ンの大型旅客船であり、船籍は英国、航行会社は米国企業だった
のです。なお、この船は日本で建造されています。つまり、日本
生まれなのです。
 ダイヤモンド・プリンセス号は、1月20日に横浜港を出港し
鹿児島、香港、ベトナム、台湾、沖縄の各地に寄港して、2月3
日に横浜に帰港しています。船内では、航行中の1月25日に、
80代の旅客の男性が香港で下船した後、新型コロナウイルスの
感染が発覚したことがわかり、日本政府当局は、ダイヤモンド・
プリンセス号を横浜港に隔離して、船内の乗客乗員のウイルス検
査を実施したところ、次々と感染者が発見されたのです。
 横浜港に停泊した時点では、乗客・乗員は次の通りです。
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 ◎乗船者全員 ・・・ 3711人
     乗客 ・・・ 2666人(日本人:1281人)
     乗員 ・・・ 1045人
 ◎陽性判定者 ・・・  705人 (陽性率18・9%)
     死者 ・・・    6人 (致死率0・85%)
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 2月の中旬までは、新型コロナウイルスの感染拡大といえば、
中国の湖北省、なかでも武漢が中心でしたが、ダイヤモンドプリ
ンセス号のニュースが世界に広がると、感染拡大の話題の中心は
日本に移っています。メディアはまるで日本国内で感染が広がっ
ているように報道したのです。これについて、古森義久氏は、次
のように述べています。
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 この感染者の急増は、当初は日本国内での感染者として扱われ
全世界から注視されることとなった。同船の乗客たちは船内に閉
じこめられた形となり、その隔離のなかで感染者の数が連日、急
速に増えていくという状態となった。
 こうした窮状は日本側のコロナウイルスの検査実施能力が人数
的にまだ限られていたことや、船内の防疫措置が完全ではなかっ
たことが原因とされた。結果として世界各国のメディアがこの状
況「閉じ込められた船内での恐怖のコロナウイルスの感染拡大」
として報道した。 ──古森義久著/『新型コロナウイルスが世
界を滅ぼす/非常事態で問われる国家のあり方』/ビジネス社刊
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 この時期、米国は新型コロナウイルスの感染が広がっておらず
米国としては、世界最高といわれるCDC(米国疾病管理予防セ
ンター)があって、ウイルスの感染など問題ではないというスタ
ンスだったので、米国のメディアは、日本の対応をコンテンパン
に批判したのです。この時期のニューヨーク・タイムス紙とワシ
ントンポスト紙は、次のように日本を批判しています。
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◎2020年2月11日付、ニューヨーク・タイムズ紙
 日本政府は、公衆衛生危機の際にけっして行ってはならない対
応をしており、教科書に載るやってはならない見本である。
◎2020年2月13日付、ワシントンポスト紙
 日本政府は、乗客の検査と下船のために、なぜもっと迅速な対
応が取れなかったのか。乗船している乗客乗員は、感染の危険に
さらされ続ける。
◎2020年2月19日付、ニューヨーク・タイムズ紙
 日本の対応が感染症に関する専門知識を必ずしも持ち合わせて
いない公務員によって行われていることが問題である。日本には
疾病管理を専門に扱う政府機関がない。https://bit.ly/3eyilzp
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 米国において、新型コロナウイルスの感染者が見つかったのは
1月21日のことです。しかし、このときの感染の主戦場は武漢
だったので、誰も気にとめている様子はなかったのです。それで
いてWHOが1月30日に緊急事態宣言(PHEIC)を発出す
ると、米国務省は同日、中国全土への渡航禁止令を出し、31日
には中国訪問者の入国拒否発表しています。アレックス・アザー
保健福祉長官は「公衆衛生に関する緊急事態」を宣言。過去14
日以内に中国を訪れた外国人に対し、入国を禁止する措置をとり
また、過去14日以内に湖北省を訪れた米国人に対しても、14
日間は、自宅などで待機することを命令しています。初動はきわ
めてパーフェクトだったのです。
 その頃のトランプ大統領が何を考えていたか、トランプ氏のツ
イートをご紹介することにします。
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◎1月22日:中国から来たのは1人で、我々はその人を管理下
 に置いている。まったく問題ない。
◎2月 2日:中国から来るのをほぼ抑え込んだ。
◎2月10日:4月までには、理論上、少し暖かくなれば、奇跡
 的に消え去るようだ。それが本当だと願っている。ただ、我々
 の国はよくやっている。習(近平)国家主席と話をしたが、中
 国はものすごい努力をしている。きっと、すべてうまく行くと
 思っている。
◎2月11日:この国では、基本的に12人しか感染者がいない
 し、そのほとんどは回復していて、完全に回復した人もいる。
 だから実際にはさらに少ない。
◎2月24日:新型コロナウイルスはアメリカではほぼ掌握され
 ている。すべての人および関係各国と連絡を取っている。CD
 CとWHOは精一杯、非常に賢明な取り組みを続けている。
                  https://bbc.in/2CBVGUB ─────────────────────────────
         ──[『コロナ』後の世界の変貌/021]

≪画像および関連情報≫
 ●日本批判、次は自国へ/「対岸の火事」終わる―新型肺炎・
  クルーズ船隔離
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   新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイ
  ヤモンド・プリンセス」から下船が始まった。壮大な「隔離
  の実験」(英紙ガーディアン)と報じられた2週間が終わり
  下船した日本人以外の乗客乗員は順次帰国。海外各紙が「対
  岸の火事」として載せた日本への批判は、次は自国に突き付
  けられている。
   英紙サンは2月18日、ダイヤモンド・プリンセスを「疫
  病船」と見出しに掲げ「隔離計画にしくじって、中国本土以
  外で最大の感染拡大を引き起こした」と日本の対応を非難し
  た。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルも17日、船内
  で感染が拡大した点を問題視し「2週間も船内に大勢を押し
  込めた日本政府の方針に、日本国外の専門家からは疑問の声
  が上がっている」と指摘した。
   米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソ
  ニー・ファウチ所長は、17日の米紙USAトゥデーに対し
  「隔離は失敗した」と断言。「船の中でどんどん感染した。
  船内で隔離が甘かったからだ」と批判した。
   英紙ガーディアンも18日、ダイヤモンド・プリンセスを
  「感染で煮え立っている鍋だ」と語る専門家の言葉を紹介。
  ブルームバーグ通信は19日、日本が「世界で最も危険な場
  所の一つになりつつある」と伝えた。
                  https://bit.ly/2A2iVpX
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横浜港のダイヤモンドプリンセス号.jpg
横浜港のダイヤモンドプリンセス号
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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