2020年06月26日

●「なぜ、日本は中国に配慮するのか」(EJ第5276号)

 新型コロナウイルスの日本の感染症対策については賛否の意見
が分かれています。しかし、日本側の中国に対する過分な気遣い
があったとする記事を2月20日付のワシントン・ポスト紙は報
道しています。
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 “Critics said Abe appeared keener to avoid offending
  China ahead of a visit by President Xi Jinping
 planned for April than tackling the problem head on.”
 「安倍は目の前にある差し迫った問題に取り組むよりも、4月
に計画されている習近平の訪日を前にして、ともかく中国を不愉
快にさせてはならないと必死なのである」と多くの評論家が言っ
ている。 ──2020年2月20日付、ワシントン・ポスト紙
                  https://bit.ly/312LsH9 ─────────────────────────────
 2月に入って日本は、「湖北省に滞在歴のある」中国人の入国
は制限したものの、2月12日までは、中国のそれ以外の地域か
らの観光客などは受け入れています。そして2月13日からは、
湖北省にプラスして浙江省の滞在歴のある中国人の受け入れも制
限していますが、それ以外の地域からは、フリーパスで入国でき
たので、きわめて緩やかな規制といえます。
 このような甘過ぎる日本の対応に対して米国は、1月31日に
「自国民以外の中国全域からの入国者は全員拒否」を宣言してお
り、大きな違いがあります。遠藤誉氏によると、これに対して、
当の中国政府は米国の対応を「非常に非友好的である」として強
く非難する一方、日本のそれを「非常に友好的な国」として、絶
賛の嵐を送っているといいます。
 これだけではないのです。どう考えても、中国へのゴマ刷り的
行為としか思えないことを安倍政権はやっています。遠藤誉氏の
ブログから2月20日付の記事を引用します。
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 2月7日、自民党の二階幹事長が公明党の斎藤幹事長と共に東
京にある中国大使館を訪れ、中国に新型肺炎への対応に関して、
(経費的などの)支援を申し出ただけでなく、中国が新型肺炎と
実によく闘っていると、WHOのテドロス事務局長並みに習近平
を褒めそやした。
 そのため、中国の中央テレビ局CCTVでは、連日このニュー
スをくり返し報道した。とくに二階幹事長が孔鉉佑・駐日中国特
命全権大使に「隣国であるだけに、隣の家で何か起こったのと同
じことだ」と言ったその場面をクローズアップしていた。
 二階氏の中国絶賛という一連の流れの中で、中国政府は、2月
15日、王毅外相に、ドイツのミュンヘンで開催された第56回
ミュンヘン安全保障会議において、茂木外相と会談させ、習近平
の国賓としての4月来日に関して、「これまで通り実行する」意
思確認を行わせている。       https://bit.ly/2V81fRf
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 この二階幹事長の中国へのゴマ刷りは、WHOのテドロス事務
局長のそれとまったく同じです。日本がこんなことをしておいて
テドロス事務局長を批判できません。このようなニュースは、日
本のメディアは報道しないのです。安倍政権は、なぜそこまで中
国に低姿勢なのでしょうか。
 1月23日のことです。23日といえば、中国政府が武漢市を
封鎖した日です。その日に安倍首相は、在中国日本大使館のウェ
ブサイトに次のメッセージを寄せています。WBSの滝田洋一氏
の本に出ています。もちろん現在では、この安倍首相のメッセー
ジは削除されています。コロナ禍がなければ安倍首相がこのよう
なメッセージを出すことはわかりますが、よりによって武漢封鎖
の日に掲載していることは大いに疑問があります。
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 春節に際して、そしてまた、オリンピック・パラリンピック等
の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽し
みにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、そ
の土地ならではの日本らしさを感じて頂ければ幸いです。
                      ──滝田洋一著
        『コロナクライシス』/日経プレミアシリーズ
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 安倍首相が中国に気を遣う理由は3つあると思います。1つは
中国からの観光客が日本のインバウンド市場において最大の消費
者だということです。2つは、4月には習近平国家主席が国賓と
して来日することが予定されていたこと。そして、3つは7月に
は東京オリンピックを控えていたことです。こういう日本にとっ
て大切な時期に、コロナ禍が起きたのです。日本にとって不幸と
しかいいようがありませんが、安倍首相にとって中国への配慮が
頭をよぎったとしても不思議ではありません。
 台湾の「今周刊」のブログによると、なぜ、日本が中国に気を
遣うのかについて、次のように書いています。
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 日本政府観光局(JNTO)によると、中国からの訪日観光客
数は、2015年に韓国と台湾を抜いて、1位に躍り出た。その
後、中国人観光客数は増加の一途をたどり、2019年には、延
べ959万人が日本を訪れたという。これは訪日外国人観光客の
30%を占めており、2位の韓国18%、3位の台湾15%を大
きく引き離している。
 中国からの訪日客は、数の多さだけでなく、消費力もすさまじ
い。中国人観光客の日本における旅行消費額は、2018年に、
1・5兆円にのぼった。これは全体の34%を占める数字だ。言
い方を変えると、2014年に安倍首相が打ち出した「観光立国
政策」に、中国が大きな貢献をしたということだ。そんな上客を
軽くあしらうことなどできるだろうか。https://bit.ly/3dtaimc
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         ──[『コロナ』後の世界の変貌/020]

≪画像および関連情報≫
 ●新型コロナ感染拡大でも、日本が「中国人」を受け入れ
  続ける理由
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   いよいよ日本国内で新型コロナウイルスの感染拡大が本格
  的に始まった。というよりも、2月4日にタイ保健省が、1
  月下旬に日本を旅行したタイ人夫婦が感染したと報告をした
  ことからも、単に我々が認識していなかっただけで、ずいぶ
  ん前から国内では感染拡大が始まっていた可能性が高い。
   つまり、3700人を「軟禁」したダイヤモンド・プリン
  セスの前で、マスコミが「速報です!また新たな感染者が確
  認されました」なんてお祭り騒ぎをしていたときには既に、
  日本のいたるところで「スーパー・スプレッダー」(一度に
  多人数を感染させる患者)が徘徊(はいかい)し、満員電車
  であなたの隣でゲホゲホやっていたかもしれないのだ。
   なんて話を聞くと、「すべては安倍政権のずさんな危機管
  理が悪い!責任をとって総辞職せよ!」といきり立つ方も多
  いかもしれない。
   ご存じのように、454人(17日時点)という「史上最
  悪の船内感染」となったダイヤモンド・プリンセスの対応を
  アメリカなどが批判している。ニューヨーク・タイムズは、
  「公衆の衛生に関わる危機について『こうしてはいけない』
  と教科書に載る見本だ」など笑いものにしているのだ。
   中世からペストなどの「伝染病」と長く戦い、クルーズ文
  化の発祥でもある欧米では、「汚染された船内」に乗客を閉
  じ込めるのは二次、三次感染を引き起こす「悪手」という位
  置付けで、隔離するにしても、ちゃんと生活ができて、当局
  側もしっかりと監視下における施設を用意するのが常だ。
                  https://bit.ly/2ClcLlx
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安倍首相の国会答弁.jpg
安倍首相の国会答弁
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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