えてみます。6月20日現在の世界の主要各国の感染者数と死者
数は、次のようになっています。
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2020年6月20日現在
感染者数 死者数
アメリカ 2231325人 119109人
ブラジル 1032913人 48954人
ロシア 569063人 7841人
イギリス 301815人 42461人
イタリア 238415人 34561人
フランス 195953人 29619人
ドイツ 188586人 8854人
カナダ 100629人 8346人
中国本土 83352人 4634人
日 本 18528人 968人
https://tmsnrt.rs/37QB86y ─────────────────────────────
これをみると、日本は感染者数で世界第50位、20日現在、
死者数は1000人以下です。これは、中国との付き合いが深い
日本としては、世界各国に比べると、非常に低い数値であり、数
値から見る限り、日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大を押
さえ込んだといえます。
しかし、日本政府が感染防止のためにやったことを分析すると
いくつもの大きな手抜かりがあり、正しく対応していれば、被害
をもっと小さくできたはずです。もともと日本人は、衛生意識が
強い国民であり、政府の対応が遅れても、この程度の被害に今の
ところ止めているのです。これは大変なことです。
日本政府の感染拡大に対する対応の遅れは、日本での最初の感
染者の何人かを見ればよくわかります。
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1.1月16日 中国人男性 神奈川県在住 神奈川県
2.1月24日 中国人男性 武漢市在住 東京
3.1月25日 中国人女性 武漢市在住 東京
4.1月26日 中国人男性 武漢市在住 愛知県
5.1月28日 中国人男性 武漢市在住 愛知県
6.1月28日 日本人男性 奈良県在住 奈良県
7.1月28日 中国人女性 武漢市在住 北海道
8.1月29日 日本人女性 大阪府在住 大阪府
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日本での最初の感染者の発見は1月16日、神奈川県に在住す
る30代の中国人の男性であり、武漢に里帰りし、日本に帰って
きて、感染が判明したのです。武漢の実家の父親も新型コロナウ
イルスに感染しており、彼はその濃厚接触者であるといえます。
感染経路は明確です。
日本での感染者の2人目は、1月24日に東京都内の病院で確
認された武漢市在住の40代の男性で、武漢から香港経由で日本
に19日に入国し、症状が出たので、東京の病院で治療を受けて
感染が判明したのです。
第3人目から第5人目までもすべて武漢在住の中国人の日本へ
の観光者です。第3人目は、1月25日に東京の病院でコロナと
診断された30代の中国人女性であり、武漢からは21日に日本
に入国しています。
第4人目と第5人目は、ともに武漢在住の中国人の男性で、1
月26日と1月28日に、愛知県の病院と医療施設で、コロナの
感染が確認されています。
日本での第1人目から第5人目の感染者は、すべて武漢在住の
中国人で、直前に感染地の武漢から日本に入国しているのです。
しかも、第4人目と第5人目は、1月22日に日本に入国してい
ます。第1人目から第5人目までは、「武漢→日本」のルートで
入ってきており、日本政府はこのルートを1日も早く閉じる必要
があったはずです。しかし、日本政府は何もせず、中国からの観
光客をフリーパスで受け入れていたのです。もっとも、空港で水
際対策とか称して、検温チェックぐらいはしていたはずですが、
それ以外は何もせず、入国を許していたわけです。
日本政府として、そんなことはわかっていたと思いますが、習
近平主席の国賓での来日(予定は4月)があって、この時点での
武漢からの入国拒否の決断はできなかったのではないかと思われ
ます。しかし、国民の生命と財産を守るのが政府の仕事であるな
らば、この不決断は政府に重大な責任があります。
それに1月22日といえば、WHOが中国の習近平主席の要請
を受け入れて、緊急事態宣言を見送った日です。もし、このとき
WHOが緊急事態宣言を発出し、日本がこれを理由にして、直ち
に中国からの、とくに武漢からの旅行者の入国拒否を行っていれ
ば、やはり感染者は大幅に減っていたはずです。そういう意味に
おいて、WHOの対応は厳しく批判されるべきですし、テドロス
事務局長は責任をとって辞任すべきです。
第6人目の感染者は、奈良県在住の60代の日本人男性ですが
彼は観光バスの運転手であり、武漢からの中国人観光客グループ
を乗せたバスの運転を担当し、長時間を観光客とともに車内で過
ごしていたことからの感染と思われます。これは、このウイルス
がヒトからヒトに移ることの証明になります。
第7人目は、武漢市在住の40代の中国人女性で、北海道を観
光旅行中に感染が判明しています。第8人目は大阪府在住の日本
人女性であり、武漢市からの団体旅行客を案内するバスガイドを
務め、感染しています。バスの運転手と同じ2次感染者です。
中国政府は、23日に武漢市を封鎖しているのに、日本政府は
依然として、中国からの旅行客へ門戸を開いて、やすやすと受け
入れていたのです。これは、政府の大失策であるといえます。
──[『コロナ』後の世界の変貌/018]
≪画像および関連情報≫
●日本の新型コロナウイルス対策が評価されない理由
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新型コロナウイルス感染症(COVID−19)時代にお
ける「英雄」的な場所と、「悪者」的な場所が明らかになり
つつある。前者には香港、韓国、台湾が含まれる。後者は特
に中国だ。北京はウイルスを制圧したかもしれないが、それ
は明らかに独裁主義的なやり方であった。否、制圧できたの
だろうか?そのデータには大きな疑問が残る。
日本はこれらの両極の間の不安定なところに位置づけられ
る。成熟し、安定した民主主義国家であり、隣国の韓国より
も新型コロナウイルス感染症による死亡率が低い。人口が2
倍以上で、国民は世界で最高齢であるにもかかわらずだ。日
本のこの人口統計学的特徴は、パンデミックに対する同国の
独特の脆弱(ぜいじゃく)さをもたらしている。
しかし日本は、主要メディアやソーシャルメディアで正当
な評価も敬意も得られていない。多くの議論において、日本
は無視されるか中国と並列に扱われている。新型コロナウイ
ルスへの対応に関して外交上の批判すら受けている。
なぜだろうか?まさか、検査なし?
日本に対する主な疑念は、検査を広範囲に行わないことで
意図的に統計上の新規感染者数を抑えてきたのではないか、
というものだ。これは疑惑というより単なる事実に近い。日
本の方針は当初から、せきが出て不安な全国民を病院に向か
わせて待合室をいっぱいにするような事態を避けるというも
のであった。認めようと認めまいと、正当な戦略ではある。
https://bit.ly/2zQjR0H
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春節における中国人観光客/銀座