2020年06月16日

●「緊急事態宣言見送り万死に値する」(EJ第5268号)

 先日、久しぶりに書店に行ったところ、滝田洋一氏の新刊書を
見つけたので、購入しました。
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                    滝田洋一著
    『コロナクライシス』/日経プレミアシリーズ
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 私は、テレビ東京の報道番組「ワールド・ビジネス・サテライ
ト/WBS」を必ず見ており、いつも滝田洋一氏のニュース解説
を聞いています。この番組の現在のメインキャスターは大江麻理
子氏ですが、私は、現在東京都知事の小池百合子氏がキャスター
をしていた頃からこの番組を視聴しており、私の重要な知識源の
ひとつになっています。
 さて、滝田洋一氏の本で、1月22日〜1月末日まで──今と
なっては、この期間は新型コロナウイルスの日本の防疫にとって
非常に重要な10日間だったのですが──そのあたりの一般には
知られざる情報が載っていましたので、そのことについて、ご紹
介したいと思います。
 もし、WHOの緊急委員会が1月22日に緊急事態(PHEI
C)宣言を出していたら、日本の感染拡大の状況は大きく変わっ
ていたと思うのです。この時点でWHOが緊急事態宣言を出せば
日本政府は少なくとも武漢からの中国人の受け入れを制限してい
たと思われるからです。なぜなら、この宣言は、国際的に懸念さ
れる公衆衛生上の緊急事態宣言を意味するからです。
 日本政府は、習近平国家主席の国賓としての招聘を決めている
ので、中国人の入国制限措置は取りにくかったことは確かです。
しかし、WHOが緊急事態宣言を出せば話は別です。なぜなら、
入国制限をする強力な理由になるからです。日本だけでなく、世
界中の親中国の国家もWHOのお墨付きがあれば、入国制限をす
る国が続出したはずです。そういう意味において、WHOが22
日に緊急事態宣言を見送ったことは万死に値します。
 もっとも、この1月20日前後の日本の状況は、新型コロナウ
イルスの感染について、中国武漢の不幸な出来事ぐらいの感覚で
しか受け止めていなかったと思います。日本国内の新型コロナ患
者が最初に見つかったのは1月16日のことだったからです。
 この人は、30代の男性で、1月3日から発熱症状があり、6
日に武漢市から日本に帰国しています。9日になると、39度の
高熱が出て、肺炎の症状が見られたことから、10日から入院し
15日は自宅療養中だったといいます。しかし、この時点では、
ヒトヒト感染が起きるかどうかも不明だったのです。その重要な
情報を中国もWHOも隠蔽していたフシがあります。したがって
多くの日本人は、「武漢なんか行くから、そういう病気にかかる
んだ」ぐらいの感覚でほとんど警戒していなかったと思います。
滝田洋一氏は、著書で、この頃の印象について、次のように述べ
ています。
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 奇妙なことに、中国からの情報の時計は止まっていた。41人
の患者が確認され、61歳の男性1人が死亡、6人が重症──武
漢市の当局が感染の拡大を隠蔽していたためだが、日本で患者が
見つかったのに、なぜ現地で患者が増えないのだろう、ともっと
疑問を抱くべきだった。足元の出来事に目を奪われ、全体観を持
てなかったのは、記者としての反省点である。 ──滝田洋一著
        『コロナクライシス』/日経プレミアシリーズ
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 22日にWHOの緊急委員会が、PHEICを見送ったことに
ついて、仏紙「ルモンド」は、中国は、中国の友好国に圧力をか
けて、PHEIC発出に反対したと書いています。明らかに中国
は、この時点ではこのウイルスの感染を世界的に拡大させたかっ
たことは確かです。
 滝田洋一氏は、WHOの緊急会合に関連して、ウェブサイトに
掲載された写真のことを書いています。添付ファイルをご覧くだ
さい。その時点で掲げられていたのは、上の写真です。一見発生
地の中国のように見えますが、よく見ると日本の成田空港です。
NTTの電話が映っているからです。こんなところまでWHOは
中国に気を遣っているのです。滝田氏は、この件についてウェブ
で発信しているので、WHOも気が付いたのでしょう。その後、
下の写真に差し替えられています。下の写真の国籍は明確ではあ
りませんが、中国ではないと思います。テドロス事務局長は、そ
んなところまで中国に配慮しているのです。
 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の小森義久氏は、1月の最
後の10日間がどれほど日本にとって重要であったかについて、
自著で、次のように述べています。
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 この1月の最後の10日ほどは、日本としても感染者を武漢か
ら自国内には入れないための防止策をとるには、もっとも効果の
ある期間でもあったのだ。だが安倍政権は、中国から日本へのウ
イルスの流入を止めるためには、なにもしなかった。
 他方、1月下旬の段階では他の多くの諸国がすでに中国からの
自国への入国を禁止、あるいは制限していた。北朝鮮、ロシア、
オーストラリア、フィリピン、香港、タイ、台湾、モンゴルなど
多数の国や地域が中国滞在歴のある外国人の入国、入城を全面停
止するようになった。明らかに危険な感染症の広がりを防ぐため
の医療上の必要、人道的な見地からの措置だった。その措置には
中国人を排斥するなどという民族差別的な意図などは皆無だった
ことは明白である。入国禁止の対象となったのは中国籍の人間と
いうことではなく、あくまで中国領内に最近まで滞在していた外
国人とされていたのだ。           ──小森義久著
           『新型コロナウイルスが世界を滅ぼす/
      非常事態で問われる国家のあり方』/ビジネス社刊
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         ──[『コロナ』後の世界の変貌/012]

≪画像および関連情報≫
 ●新型コロナウィルス対応から見る世界保健機関(WHO)
  の危機対応体制の課題
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   新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、国際協調が、全
  世界を巻き込む国家の危機においていかに脆いものであるか
  を白日の下に明らかにした。現代社会は、ヒト、モノ、カネ
  そして情報が国境を越えて流通するのを量的、質的、そして
  時間的に促進するグローバリゼーションによって、築かれて
  きた。しかし、今回の感染症危機は、まさにこのグローバリ
  ゼーションから復讐を受けているようだ。中国の武漢で最初
  の症例が報告されてから、世界中の死者が20万人を超える
  というグローバルな危機的状況に陥るまでわずか5か月しか
  かかっていない。そして、グローバル化したサプライチェー
  ンは、各国の危機管理にも大きな影響を及ぼした。世界各国
  がほぼ同時多発的に危機的状況へと陥いる中、感染症対応の
  ための医療機器や防護服、マスクをめぐり一部の国家間では
  中世さながらの争奪戦が起きる始末であった。
                  https://bit.ly/2zu0tGr
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  ●添付ファイルの出典/https://bit.ly/3hmLQ94

WHOのウェブサイトの写真.jpg
WHOのウェブサイトの写真
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 『コロナ』後の世界の変貌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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