2020年05月14日

●「コロナ疑似の死者の検査は不可欠」(EJ第5245号)

 これまで日本では、PCR検査を行う基準を厳しく設定し、検
査人数を絞ってきています。これは、誰が何といおうと、事実で
す。当然これによって、新型コロナ感染症による死者数も少なく
なります。なぜなら、この感染症による死者数は、絞ったPCR
検査の結果、陽性と判定された人からの死者であるからです。そ
うなると、PCR検査数が少なければ、死者の数も当然少なくな
ります。当たり前の話です。
 誰でも考えることがあります。新型コロナ感染症による死因は
重症化した肺炎です。日本の肺炎による死者は、年間約10万人
出るそうですが、その死者のなかに新型コロナ感染症による死者
も相当含まれているのではないかという疑惑です。
 これに対して安倍政権は一貫して、一般肺炎の死者で────も新型コ
ロナ感染症が疑われれば、死後PCR検査をしていると明言し、
安倍首相自身もそれを認める趣旨の発言をしています。
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 日本では、肺炎で亡くなる方について、新型コロナウイルス感
染症が疑われるケースでは、必ずPCR検査を行っている。
                       ──安倍首相
─────────────────────────────
 確かに新型コロナ感染症による肺炎は、一般的肺炎とは異なる
「間質性肺炎」であり、これはCT検査をやれば、ほとんど判明
できます。日本では、CTが一般医療機関にも普及しており、肺
炎の患者であれば、ほとんどの人がCTを受けることができるの
で、間質性肺炎を発見しやすいのです。
 4月のいつかの「羽鳥慎一モーニングショー」で、この問題が
取り上げられたことがあります。そのとき、安倍政権の代弁者と
いわれる田崎史郎氏がゲストとして出演していたのです。彼は新
型コロナ問題が始まってからは、TBSの「ひるおび」に毎日出
演していますが、ときどき「羽鳥慎一モーニングショー」にも出
演しています。
 玉川徹氏が例によって「PCR検査が少なければ、新型コロナ
感染症による死者が少ないのは当然である。私は一般肺炎の死者
のなかには、相当数の新型コロナ感染症の死者が含まれていると
思っている。まさか、肺炎の死者すべてにPCR検査なんかやら
ないでしょう」という主張を展開すると、田崎史郎氏は次のよう
に反論したのです。
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 そのまさかなことをやっているんです。CTで検査すればわか
るので、少しでも新型コロナ感染症が疑われれば、肺炎の死者に
対して、全件PCR検査をやっているんです。 ──田崎史郎氏
─────────────────────────────
 田崎史郎氏の言には一理あります。肺炎で死者が出た場合、死
因に少しでも新型コロナ感染症が疑われれば、PCR検査をしな
いで遺族に遺体を返すと、葬儀などでクラスター感染が起きてし
まうからです。志村けんさんが亡くなったさい、遺族は死に目に
会えないまま、志村さんの遺体は、お骨になって戻ってきている
のです。私としては、クラスター潰しに重点を置いていた日本の
ことであり、当然新型コロナ感染症が疑われる肺炎による死者の
PCR検査は必ず行われているものという前提で、4月30日の
EJ第5238号で、日本のこの感染症による死者数の少なさを
前向きに取り上げたのです。
 ところが、新しい情報によって、この前提が崩れつつあるので
す。日本法医病理学会という団体があります。死亡者の死因を調
べる法医学や病理学の大学研究者が多数参加している団体ですが
この団体が、4月の中旬に全国の解剖医を対象にして、次のタイ
トルのアンケート調査を実施したのです。
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 法医解剖、検案からの検体に対する新型コロナウイルス検査
                  ──日本法医病理学会
─────────────────────────────
 アンケートの結果ですが、このアンケートに回答したのは26
機関、検査を実施しようとしたのは23機関です。その23機関
がどうなったのかについては、次の通りです。
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      @検査できたケース ・・・ 11件
       ・保健所9件、他の検査機関2件
      A検査不能のケース ・・・ 12件
       ・保健所は疑いの強いものに限定
─────────────────────────────
 アンケートの中身については、詳しく述べることはしませんが
保健所から「疑いの強いものに限定」の条件を付けられたり、厚
労省が一定の条件が整わないものは検査できないともいわれ、一
般検査機関は「死体は受け付けない」と最初から拒否されるケー
スが多いのです。このアンケートの結果について、この問題を取
り上げた「リテラ」では、次のように締めくくっています。
─────────────────────────────
 (このアンケートの結果)解剖医の間に「死体は検査してもら
えない」という認識が広まり、諦めムードさえ漂っていることが
うかがえる。解剖医が最初から保健所に検査を依頼しなくなって
いるケースも出てきているのではないか。しかも、問題はこの数
字や実態が「解剖医」のアンケートであることだ。解剖医は変死
や異状死の死因を解明する専門家であるため、死因を厳密に特定
する必要がある。にもかかわらず、保健所から検査を拒否され、
「死体は検査してもらえない」という認識が広まっているのだ。
多くのパターンは解剖医まで行かない段階で臨床医が死因を判断
するのだが、その場合は当然、解剖医などより死因の特定のハー
ドルが低い。だとしたら、全体では何倍もの死亡者検査拒否、検
査諦めがあると考えるのが普通だろう。https://bit.ly/2yCJHER
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           ──[消費税は廃止できるか/086]

≪画像および関連情報≫
 ●遺体の感染検査、保健所拒否相次ぐ 法医学者依頼に―独自
  実施の大学も・新型コロナ
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   亡くなった人の死因を調べる全国の大学の法医学教室など
  が今年1月以降に扱った遺体で、新型コロナウイルス感染の
  有無を調べる検査を、保健所に拒否される事例が相次いでい
  る。独自に検査を始めた大学もあるが、法医学者は「遺体で
  も感染の有無は重要な情報で、検査を徹底する体制を国が整
  備すべきだ」と指摘する。
   日本法医病理学会は4月、全国約80の大学や機関に所属
  する法医学者らにアンケート調査を実施。26機関が回答し
  1月下旬以降、保健所に依頼した遺体のPCR検査を断られ
  た事例が12件あることが分かった。
   ある機関では4月上旬、自宅で死亡していた1人暮らしの
  70代男性を解剖した。関係者の証言で、男性は数日前から
  微熱があったことが判明したため、新型コロナへの感染を疑
  い保健所に相談したところ、「(感染者への)濃厚接触が明
  確でないため検査対象ではない」と拒否された。
   別の機関では同月上旬、院内で複数の感染者が出た病院に
  入院し、死亡した30代男性を解剖。死因が新型コロナであ
  る可能性は低かったが、遺体と接触した関係者への感染拡大
  を懸念して保健所に検査を依頼したが、断られた。一方、依
  頼を受け保健所などが検査したケースも11件あった。死後
  のコンピューター断層撮影(CT)検査で肺炎が疑われた男
  性などで、すべて陰性だったという。
                  https://bit.ly/2zwrVmu
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モーニングショーで激突する2人.jpg
モーニングショーで激突する2人
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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