2020年05月13日

●「実効再生産数はエクセルで出せる」(EJ第5244号)

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大に関しては、日本のノー
ベル賞受賞の学者が、政府に対して、いろいろアドバイスをして
いることが目立っています。2012年のノーベル生理学・医学
賞をジョン・ガードン教授と共同受賞の山中伸弥教授や2018
年のノーベル医学・生理学賞受賞の本庶佑教授などは、テレビな
どに出演して、積極的にアドバイスしています。
 山中伸弥教授は自ら実効再生産数の計算にも挑戦しています。
山中教授によると、実効再生産数は、エクセルで計算できるそう
です。さすが学者です。山中伸弥教授のやった方法をご紹介して
おきます。
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 1.次の論文(英文)から、実効再生産数を計算するためのエ
  クセルシートをダウンロード。  https://bit.ly/3dCoqdh
 2.次の論文から、シリアル・インターバルの平均を6・3日
  標準偏差を4・2日と仮定する。 https://bit.ly/2SU5TRI
 3.大阪府、北海道、京都市のウェブサイトから感染者数の推
  移をダウンロードする。
 4.エクセルに感染者数を入力し、実効再生産者数を算出。
                  https://bit.ly/3cmrjhP ─────────────────────────────
 上記手順にしたがって、山中教授が計算した大阪府のグラフを
添付ファイルにしておきます。大阪府は4月21日に「1」を下
回り、その後ずっと「1」を切った状態を維持しています。解除
条件をクリアしていることになります。
 5月4日のことです。安倍首相は、緊急事態宣言の延長の説明
する会見で、次のように述べています。
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 多くの国民の皆さまに誤解をいただきたくないのは、大切なの
は、実際に重症になっている方の数、重症者に対して対応できて
いるかっていうことと、死亡者の数なんだろうと思います。亡く
なっている方については、欧米に比べてはるかに日本は少ないん
ですが、他の肺炎で亡くなっている方に、実はコロナで亡くなっ
ている方が多く混じっているんではないかという疑問に対しては
日本はCTの検査をだいたい肺炎で亡くなる方については最終的
には行っていて、新型コロナウイルス感染症が疑われるかどうか
ということについては、これも大変お医者さまにとっては直ちに
判断がつくということでございますので、そういうことはないと
いうことではないかと思ってます。  https://bit.ly/2SPybN6
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 安倍政権の新型コロナ対策に対する国民の評価はきわめて厳し
いものがあります。8日から10日に実施した日本経済新聞の世
論調査によると、安倍政権のコロナ対応に対して「評価する」は
38%であるのに「評価しない」は55%になっています。「国
民の生命と財産を守る」という発言を繰り返している安倍首相に
対する評価としててはまさに致命的です。
 それに加えて、昨日のEJで取り上げた加藤厚労相による責任
回避の「誤解」発言によって国民の怒りは増幅しています。11
日のテレビでは、政権寄りのメディアでさえ、厚労省への批判を
強めています。安倍政権の対応しだいでは、政権の命取りになる
ことは必至です。
 そのせいか、安倍首相は、日本が唯一他国に対して主張できる
と信じている新型コロナ感染症による死亡者が少ないことを強調
したものと思われます。そこで、2020年5月10日現在の新
型コロナ感染症の死者数の国際比較を示しておきます。日本の死
者数は613人で、100万人当りの死者数では4・9人で、一
番少なくなっています。
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         感染者数    死亡者 人口百万人当死者
 アメリカ 1309541  78794    239・4
 スペイン  223578  26478    564・2
 イタリア  218268  30395    501・6
 イギリス  216525  31662    479・7
  ロシア  198676   1827     12・5
 フランス  176782  26313    392・8
  ドイツ  171324   7549     90・4
   中国   83990   4637      3・2
   韓国   10840    256      5・0
   日本   15747    613      4・9
               ──2020年5月10日現在
    注:日本はクルーズ船を除く/https://bit.ly/3cy4oQI
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 確かに日本は、PCR検査数は少ないものの、新型コロナ感染
症による死者数については、人口の規模から見ても、他国に比べ
て低く押さえ込まれていることは事実です。これは、CTをはじ
めとする医療機器の保有数で、日本は他国より突出しており、こ
れによって死者数が押さえられているのではないかということは
4月30日のEJ第5238号で指摘しています。この関連情報
については、5月10日付、日本経済新聞でも、次の見出しを掲
げて指摘しています。
─────────────────────────────
    ◎コロナ重症度CTで判定
    肺炎の症状で見極め、態勢整わぬPCR補う
         ──2010年5月10日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 しかし、生きている人でも、PCR検査がなかなか受けられな
い日本の検査態勢において、果して本当に新型コロナ感染症によ
る死亡が疑われる肺炎の死者のPCR検査を保健所は本当に行っ
ているのかどうかは疑問です。そのあたりのところを明日のEJ
において検討してみたいと考えています。
           ──[消費税は廃止できるか/085]

≪画像および関連情報≫
 ●「人口10万人あたりの死亡者数は日本は少ない」は
  本当!?」/辺真一氏
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   西村康稔経済再生相が4日、「日本は人口10万人あたり
  の(新型コロナウイルス感染者の」死亡者の数は世界に比べ
  て少ない)と発言していた。日本の感染対応が他の国に比べ
  れば「うまくいっている」とでも言いたいのか、何の慰めに
  もならない。
   西村大臣はおそらく6万8587人の死亡者を出している
  米国を筆頭に数万人の死亡者を出してしまったスペイン、イ
  タリア、英国、フランス、ドイツなど欧州諸国を含め1千人
  以上の死者が確認されているイランやトルコなど20数か国
  と比較して、日本なりの「成果」を誇りたかったのかもしれ
  ないが、比較対象がそもそも間違っている。
   西村大臣の発言は、成績の悪い学生が自分よりも成績の悪
  い友達と比較して「俺はあいつよりはましだ」と言っている
  ようなものだ。そうではないだろう。他国と比較するならば
  自分よりも成績の良い友達を引き合いに出して、反省し、頑
  張らなければいつまで経っても成績は上がらない。そもそも
  1000人あたりのPCR検査数では米国は16.3、ドイ
  ツは30.4という具合に欧米諸国は1.9の日本とは比較
  にならないぐらい多く行っているので感染者、死亡者が多い
  のはある意味では避けられない。 https://bit.ly/2xQfxxi
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大阪における実効再生産数の推移(山中教授計算).jpg
大阪における実効再生産数の推移(山中教授計算)

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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