2020年05月11日

●「日本のPCR検査はなぜ少ないか」(EJ第5242号)

 この異様極まるゴールデンウィーク中に明確になったことがあ
ります。それは、日本の新型コロナ対策は失敗だったということ
です。EJも安倍政権や厚労省の対策を若干買い被っていたとこ
ろがあって、そこは修正しなければなりません。
 5月1日に、専門家会議が発表した実効再生産数は次の通りと
なっています。
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        ◎実効再生産数
         全国 ・・・・ 0・7
         東京 ・・・・ 0・5
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 実効再生産数が「1」以下になるいうことは、感染が終息へと
向っていること示しています。もし「2」であるとすると、感染
者1人が2人に感染させるということですから、1人が2人、2
人が4人、4人がむ8人というように、指数関数的に感染者が急
増し、オーバーシュートを起こしてしまいます。
 かつて東京は「2・5」だったのが「0・5」になったのです
から、本来であれば感染押さえ込みは大成功で、自粛要請を撤廃
してもいいはずです。しかし、政府は、緊急事態宣言を5月31
日まで延長を決定したのです。どうしてでしょうか。おそらく、
実効再生産数の数値の信頼性に不安があったのではないかと思い
ます。実効再生産数を算出する責任者は、北海道大学の西浦博教
授ですが、計算式を公開して欲しいといっても応じてくれていま
せん。おそらく今の段階で、計算式について、あれこれ批判され
たくないのでしょう。
 実効再生産数を算出するとき、当然のことながら、感染者数の
データを使いますが、感染者数というのは、PCR検査を受けて
判明した人たちであり、PCR検査を受ける人が少ないと、当然
感染者の人数も少なくなり、大勢の感染者数を見逃している可能
性が出てきます。したがって、諸外国では、少しでも症状が疑わ
れる人はもちろん、症状はないが念のため受けておこうという人
も含めて、大勢の人の検査を行っています。
 日本のPCR検査数の少なさは際立っています。日本の10万
人当たりの検査数は188件です。これに対し、爆発的な感染の
起きたイタリアやドイツは約3000件を超えているし、シンガ
ポールは1708件、韓国は1198件です。
 なぜ、日本のPCR検査件数は少ないのでしょうか。
 ここからはあくまでEJの推理ですが、日本の検査体制はきわ
めて脆弱であり、大量の検査に対応できなかったものと思われま
す。当然ですが、そのことを熟知しているのは厚生労働省です。
 PCR検査を担うのは地方衛生研究所ですが、2008年現在
地方衛生研究所は全国に77あるものの、そのうち55は環境研
究所との合併型であり、常勤職員は都道府県レベルで41名、指
定都市では36名ほどしかおらず、近年減少の傾向が顕著だった
といえます。実際に1研究所あたりの予算は4億円であり、年々
減少の傾向にあったのです。これについて「朝日新聞デジタル」
は、次のように報道しています。
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 専門家会議は分析で、SARS(重症急性呼吸器症候群)やM
ERS(中東呼吸器症候群)が国内で広がらず、「検査を担う地
方衛生研究所の体制拡充を求める声が起こらなかった」と指摘。
地方衛生研究所が今回のような新しい病原体を大量に検査するこ
とは想定されていなかったという。また、保健所の業務過多や、
通常業務をこなしながら検査にあたる地方衛生研究所の人員など
が十分でなく、感染者が急増した大都市を中心に3月下旬以降、
検査待ちが多く報告されるようになったとした。
                  https://bit.ly/2zrmq8A ─────────────────────────────
 新型コロナウイルスの初期段階の症状は普通の風邪と変わらな
いので、大勢が検査に押し掛けると、検査体制が壊れ、医療崩壊
につながりかねないと厚労省は考えたのです。そこで、真に検査
しなければならない人に検査を絞るため、保健所に「帰国者・接
触者相談センター」を設置して、検査のための一定の基準を設け
たのです。それが次の基準です。
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    ・37・5度以上の発熱が4日以上続いた場合
    ・高齢者や妊婦、基礎疾患のある人には2日間
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 しかし、厚労省の予想以上に多くの人が電話をかけてきたので
す。そこで、保健所としては、上記の基準を厳格に適用せざるを
得なくなります。しかも、そのうち基準を満たしている人でさえ
受け入れることが困難になり、電話をたらし回しにするケースが
増えるようになったのです。これによって、保健所のイメージは
一段と悪くなりましたが、保健所自体がパンク寸前の状態になっ
たのです。厚労省も、加藤厚労相も当然そのことは熟知していま
したが、これといって手を打っていないのです。
 ところが、ここにきてPCR検査数の少なさが問題視されると
加藤厚労相は「37・5度以上の発熱が4日」の「基準」の見直
しに言及します。厚生労働委員会での藤厚労相の発言です。
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 この「受診・相談の目安」は検査機関に対するものではまった
くございません。これは従前から申し上げている通りです。国民
のみなさんに「そうした状況になったら必ず受診をしてください
ね」と。しかも当時は2月ですから通常の風邪、あるいはインフ
ルエンザなどの他の疾患もありました。そうしたなかで、「風邪
だから」ということで待つのではなくて、4日続くのであれば、
これは新型コロナウイルスの疑いがあるので受診したり相談して
ください。そういう趣旨でつくったものなんです。
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           ──[消費税は廃止できるか/083]

≪画像および関連情報≫
 ●加藤厚労大臣 相談目安「我々から見れば誤解」発言にネッ
  ト怒りの声「ふざけるな」「酷い」
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   厚生労働省は8日、新型コロナウイルスへの感染を調べる
  PCR検査をめぐり、疑いのある人が保健所などの相談セン
  ターに相談する際の目安を改めた。37・5度以上の発熱な
  どを削除し、息苦しさや強いだるさ、高熱などの強い症状が
  ある場合はすぐに相談するよう求めた。高齢者や糖尿病など
  基礎疾患がある重症化しやすい人は、軽い風邪症状でもすぐ
  に相談するとしている。
   新たな目安によると、息苦しさ(呼吸困難)や強いだるさ
  (倦怠(けんたい)感)、高熱など強い症状のいずれかがあ
  る場合や、重症化しやすい人で発熱やせきなど比較的軽い風
  邪症状がある場合は、いずれもすぐに帰国者・接触者相談セ
  ンターに相談する。また、これらに当てはまらない人でも比
  較的軽い風邪症状が続く場合にはすぐに相談する。特に症状
  が4日以上続く場合は必ずするよう強調した。個人差がある
  ため症状が強いと思う場合はすぐに相談するよう求めた。目
  安に該当しなくても可能だと明記した。
   相談を踏まえて、検査するかどうかは引き続き医師が判断
  する。当初の目安は2月17日に政府の専門家会議がまとめ
  厚労省が都道府県などに通知した。軽症者が医療機関に殺到
  して医療崩壊するのを防ぐといった狙いから、風邪の症状や
  37・5度以上の発熱が4日以上続いた場合、強いだるさや
  息苦しさがある場合とされていた。重症化しやすい人につい
  ても、2日程度続いた場合としていた。
                  https://bit.ly/3bjoLjn
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厚生労働委員会での加藤厚労相の答弁.jpg
厚生労働委員会での加藤厚労相の答弁
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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