2020年04月30日

●「日本のCT普及率が死者を減少化」(EJ第5238号)

 現在、EJが追及しているテーマを「週刊現代」/5月2〜9
日号が取り上げたので、早速買って読んでみました。まず、その
ことについて述べることにします。
 結論から先にいうと、「わからない」という結論のようです。
要するに、新型コロナウイルスによる日本の致死率の低さについ
て、うまく説明する専門家がいないようです。大前研一氏が、新
型コロナウイルスの対策に取り組む専門家に対して、わからない
ことは正直に「わからない」といって欲しいと訴えていますが、
そういう専門家が少ないようです。
 「週刊現代」では、日本人の致死率の低さについて、9つの仮
説を上げて説明していますが、ズバリ、これが致死率の低い原因
であるという結論を見送っています。「週刊現代」の9つの仮説
を以下に示しておきます。
─────────────────────────────
 【仮説@】クラスター対策が成功したから
 【仮説A】これからどんどん死ぬから
 【仮説B】隠れコロナ死が多いから
 【仮説C】ウイルスが変異したから
 【仮説D】BCGの予防接種を受けているから
 【仮説E】実は多くの日本人がすでに抗体を持っているから
 【仮説F】日本人の衛生意識が高いから
 【仮説G】日本人の生活習慣
 【仮説H】日本語の特性
             ──『週刊現代』/5月2〜9日号
─────────────────────────────
 この9つの仮説のなかの新説といえるものは、仮説Hの「日本
語の特性」ではないかと思います。「人に会うな」というのは、
会話で飛ぶ飛沫によって感染することを防ぐ対策ですが、日本語
の発声は欧米諸国の人が使う言語より、唾が飛びにくい特性があ
るというのです。
 発声学が専門の京都府立医科大学特認教授の藤田佳信氏は次の
ように述べています。
─────────────────────────────
 日本語はほとんど口を動かさずに話せる言語です。一方、アメ
リカ英語では、発音に強弱をつけます。「The」や「Hot」など、
初めの子音が強く、母音を長く伸ばして息を出したり、腹から息
を出すこともあります。呼気をたくさん使う言葉が多いため、唾
が多く飛散しますし、同時に息をたくさん吸い込むことになりま
す。       ──京都府立医科大学特認教授の藤田佳信氏
             ──『週刊現代』/5月2〜9日号
─────────────────────────────
 とても面白い意見であるとは思いますが、日本の致死率の低さ
がこのようなもので説明できるはずがありません。しかし、EJ
のネットでの調査では、それらしき説得力のある原因を把握して
います。それは、「週刊現代」の9つの仮説にない原因で、テレ
ビのワイドショーなどでもこれまで指摘されていないものです。
ネットはその調べ方で、非常に貴重な情報が見つかるものです。
 今回は、そのひとつをご紹介します。EJでは、要約しかでき
ないので、関心があれば、詳細はその論文の方を読んでいただき
たいと思います。
─────────────────────────────
 ◎五本木クリニック/院長ブログ
  「日本はPCR検査を積極的に行わないので、新型肺炎の致
  死率が高い」は大間違い。    https://bit.ly/2zGIM6r
─────────────────────────────
 今や日本では、PCR検査を絞ったことが感染拡大の失敗であ
るという声が強くなりつつありますが、この「院長ブログ」では
それを否定する論調になっています。
 この院長ブログの後半で指摘されていることは、日本の医療機
器が世界と比較して突出しているという指摘です。その一つに、
「CT」があります。CTという医療機器はあまりにも有名にな
りましたが、その意味を示しておきます。
─────────────────────────────
         CT= Computed Tomography
            コンピュータ断層撮影法
─────────────────────────────
 添付ファイルに、「100万人当りのCT数」のグラフを付け
ていますが、日本のCTの保有数は、他国に比して、ダントツで
トップです。1位の日本に対して、2位オーストラリア、3位ア
メリカ、4位アイスランド、5位韓国と続きますが、日本の保有
数はまさにダントツです。私が勤務していた大手生保会社の医務
室でもCTは装備されており、いつでもCTを撮ることができま
した。企業レベルでも日本では保有するようになってきます。
 新型コロナウイルスに罹患して恐いのは肺炎です。日本の場合
PCR検査は簡単には受けられませんが、CTであれば、ほとん
どの病院で撮影できます。今やCTを撮影することは、日本では
ごく当たり前のことになっているからです。これについて、院長
ブログでは、次のように述べています。
─────────────────────────────
 日本では1万人につき1台のCTが普及しています。先進国と
考えて差し支えのないG7では4万人につきCTは1台。世界中
を震撼させている新型肺炎の診断にはCTが非常に有用であるこ
とは、中国の研究者も認めています。 https://bit.ly/2zGIM6r ─────────────────────────────
 なぜ、この事実を誰も指摘しないのでしょうか。日本では、P
CR検査が受けられない患者が、早い段階でCT検査を行い、肺
炎が進行し、深刻化しないように治療されていたことが死者数を
減らしていたのではないでしょうか。CT検査があまりにも当た
り前になっているので、誰も気が付かないのではないかと思いま
す。         ──[消費税は廃止できるか/079]

≪画像および関連情報≫
 ●CT普及率、日本の高さ突出/日本経済新聞/2014
  ───────────────────────────
   人間の体の内部を診る「コンピューター断層撮影装置(C
  T)」や磁気共鳴画像装置(MRI)は1台数千万円から数
  億円と高価だ。経済協力開発機構(OECD)が毎年発表し
  ている「OECDヘルススタティスティクス2014」によ
  ると、日本はCTやMRIの普及率が突出して高い。11年
  時点の人口100万人当たりの設置台数は、日本は、CTが
  101台、MRIが47台ある。いずれも、OECD加盟国
  のうち調査できた30カ国の平均の4倍近い。2番目に多い
  米国の13年時点を大きく上回る。人間ドックでCTやMR
  Iを使う検査が定着し、病気の精密検査で保険が適用される
  ことが導入を後押ししている。メーカー間の販売競争が激し
  いことも大きい。     https://s.nikkei.com/2VMvE8k
  ───────────────────────────

100manninatarinoCTsuu.jpg
100万人あたりのCT数

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする