2020年04月21日

●「3つの不作為を重ね緊急事態宣言」(EJ第5232号)

 最近前東京都知事の舛添要一氏がいろいろなところで発言して
います。舛添氏にはいろいろありましたが、そういう過去の出来
事はこのさい置いて、今は彼の意見にも耳を傾ける必要がありま
す。忘れている人は多いと思いますが、2009年にも新型イン
フルエンザが発生したことがあります。そのとき、舛添要一氏は
麻生内閣の厚労相として、陣頭指揮をとっています。
 2009年4月24日のことです。北米で、おかしなインフル
エンザが流行しているとの情報が入り、WHO(世界保健機関)
が世界的流行の警戒水準をフェーズ4に引き上げたのです。日本
ではこれを受けて、4月28日に対策本部を設置し、専門家会議
も立ち上げています。なかなか素早い対応です。そのときの日本
への感染状況について、次の記事があります。
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 わが国では、2009(平成21)年5月9日に成田空港検疫
で、新型インフルエンザの患者が検知され、その後、5月16日
神戸市、ついで5月17日大阪府内で確定例の確認があり、兵庫
県内、大阪府内の高校を中心にした集団感染が明らかとなった。
地域での学校閉鎖や濃厚接触者に自宅待機を要請するなどの対策
が行われ、そのために兵庫県内や大阪府内での一般社会への広が
りはかなり抑えられ、重症者・死亡者の発生はなく、ウイルスも
いったんは消え去ったとみなされた。 https://bit.ly/3ezCcyD ─────────────────────────────
 今回の安倍政権の新型コロナウイルスへの対応について、舛添
氏は、緊急事態宣言を出すに当って次の「3つの不作為」があっ
たことを指摘しています。トリアージというのは、治療の優先度
の決定のことです。
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     第1の不作為
      ・PCR検査を徹底させていない不作為
     第2の不作為
      ・医療機関でトリアージをしない不作為
     第3の不作為
      ・経済対策をていねいに打たない不作為
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 舛添氏がいうのは、この3つのことをやらずして、緊急事態宣
言を発出したことは、失敗であるといいます。そもそも政府が動
き出すのが、あまりにも遅過ぎたのではないかと、舛添氏は指摘
しているのです。
 武漢で、新型コロナウイルスが確認されたのは2019年12
月下旬のことです。日本国内で感染第1号が確認されたのは、1
月中旬ですが、その人が武漢滞在歴のある中国人だったせいか、
政府はまったく動いていません。1月下旬には都内の屋形船で集
団感染が発覚しましたが、それでも政府は動いていません。感染
した理由がわかっていたからです。本来は、遅くとも、この時点
で政府は動くべきだったといえます。
 政府が重い腰を上げたのは、2月13日、80代女性が感染後
に死亡してからです。14日に専門家会議を設置し、16日に初
会合を開いています。つまり、日本国内で感染者が出てから1ヶ
月の間、政府はこの問題について、何もやっていないのです。舛
添氏の指摘する通り、あまりにも遅いといえます。
 それに安部政権は、緊急事態宣言を出すに当り、「休業補償」
について一切口にしていません。これについて、舛添氏は、次の
ようにいっています。
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 安部政権には首尾一員性が全くない。仕事を休めと言うのなら
生活を保障しなければ政策として成り立ちません。アクセルとブ
レーキを同時に踏み込んでいるようなもので、前に進まない。
                      ──舛添要一氏
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 国が国民に対して「仕事を休め」という以上、何らかの補償を
するのは常識です。欧米ではそのようにしているし、なぜ、日本
ではしないのでしょうか。この問題については、4月16日付の
EJ第5229号でも取り上げています。
 これについて、安倍首相も西村経済再生担当相も、それから政
権の代弁ジャーナリストの田崎史郎氏も、「世界のどのような国
も休業補償などをやっている国はない」と一貫しています。しか
し、これは奇異な話です。欧米各国は、間違いなく、そういう補
償をやっているからです。何を勘違いしているのでしょうか。
 この話には、後日譚があります。共同通信が4月11日にネッ
トで配信した次の記事があります。
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◎西村氏、国の休業補償改めて否定
     /7都府県知事の要請に応じず
 西村康稔経済再生担当相は11日、新型コロナウイルスに備え
る改正特別措置法(新型コロナ特措法)の緊急事態宣言の対象と
なっている7都府県の知事らとテレビ電話で会談した。7都府県
は、休業要請に応じた事業者らに国が補償するよう求めたが西村
氏は「世界のどの国も休業補償していない」と述べ、応じない考
えを改めて示した。全国知事会長の飯泉嘉門徳島県知事も11日
7都府県とは別に西村氏とテレビ会談し、休業補償を「国の責任
で支援の在り方を工夫してほしい」と要望。休業補償に対する国
と自治体の温度差が改めて浮き彫りになった。
                  https://bit.ly/2Kipruo ─────────────────────────────
 ところが、11日、22時26分に、「世界のどの国も休業補
償していない」という部分が削除され、大幅に修正されているの
です。なぜ、内容が変わったのでしょうか。おそらく官邸が共同
通信側に何らかの圧力をかけたものと考えられます。これについ
ては、明日のEJで述べることにします。
           ──[消費税は廃止できるか/073]

≪画像および関連情報≫
 ●「今ごろ発令は遅い」/緊急事態宣言に県民
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   新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の対象地
  域が4月16日に全国へ拡大したことについて、県民からは
  富山も対象地域となったことを評価しながらも、「宣言を出
  すのが遅い」という指摘が上がった。国民全員に現金10万
  円を給付する政府方針には、歓迎の声の一方、「財政的なつ
  けが長期にわたる」との意見もあった。
   高岡市太田、会社員、吉井まゆみさん(49)は「それぞ
  れの都道府県で感染拡大防止に取り組んでいるが、日本全国
  で一斉に行うことが大切」と全国への拡大を評価。ただ「宣
  言を出すのが遅い。経済のことを考えると仕方なかったのか
  もしれないが、まずは国民の命が大切」と話した。
   同市蓮花寺、県立大修士2年、長谷航希さん(23)も、
  「3月の連休前に宣言を出していれば感染者をもっと抑える
  ことができたのに」とした。
   現時点で多くのイベントが中止となり、外出を自粛する人
  も増えている現状を踏まえ、入善町入膳、自営業、屋木由美
  さん(61)は「緊急事態宣言が出た後も、今と変わらず感
  染防止を徹底することが大切」と語った。現金10万円の給
  付で「所得制限なし」の方針が示されたことには、「審査が
  ない分、素早い給付が期待できる」と歓迎の声があった。砺
  波市豊町、会社員、宮坂信次さん(54)は「子育て世代に
  とって現金給付はありがたいことだと思う」と述べた。
                  https://bit.ly/2XNFjNu
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舛添要一氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする