2020年03月30日

●「日本のウイルス封じ込めの考え方」(EJ第5216号)

 新型コロナウイルスの蔓延が止まらず、行動を制限されるなか
うっとうしい毎日が続いてます。各企業では、ちょうど新年度を
迎えるこの時期に感染のピークが来つつあるので、入社式、新入
社員研修などの年度始の恒例行事に重大な影響が出ています。
 新型コロナウイルス蔓延の問題は、経済全般に深刻な影響を及
ぼし、一部野党の掲げる消費税減税の実現の可能性も出ているの
で、関連話題として取り上げ検討します。膨大な赤字国債も発行
せざるを得ないので、MMTが嫌でも関心のマトになります。
 ウイルス蔓延の問題は、連日ワイドショーで取り上げられ、い
つも見ていますが、一番内容が濃かったのは、22日(日)放映
の『NHKスペシャル/パンデミックとの闘い』です。ネット上
で映像を見つけたので、ご覧になっていない方は、ぜひ視ていた
だきたいと思います。ただし、4月3日/17時で映像は見られ
なくなります。
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   ◎2020年3月22日放映
    『NHKスペシャル/パンデミックとの闘い〜
          感染拡大は封じ込められるか〜』
                      65分
              https://bit.ly/2QQmjcK
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 この番組には、ワイドショーには一回も出演していない厚労省
クラスター対策班のメンバーの一人、押谷仁東北大学大学院医学
系研究科微生物学分野教授が出演していますが、この専門家の発
言がとくに注目されます。
 まず、3月27日正午の時点での感染者数の多い各国の数値を
押さえておきます。
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            感染者数    死亡者数
     米国    85505    1288
     中国    81340    3292
     イタリア  80589    8165
     スペイン  56188    4089
     ドイツ   43938     267
     イラン   29406    2234
     フランス  29155    1696
     英国    11658     578
     スイス   10714     161
     韓国     9332     139
     日本     1387      46
                  https://bit.ly/3arCncy ─────────────────────────────
 こうして見ると、日本の感染者数と死亡数の少なさは群を抜い
ています。しかも、日本は中国と距離的にも近く、相互交流も多
いのに、この数字は明らかに少な過ぎます。そのため、日本はオ
リンピックが迫っている関係上、あえて検査数を絞って、感染者
の数を少なくしているのではないかと、海外から疑いの目が向け
られています。日本人のなかにも、そう思っている人は少なくな
いと思います。
 しかし、上記の『NHKスペシャル』で、押谷仁教授は少し違
う意見を述べています。その部分をご紹介します。
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アナ:日本は、検査数が少ないので、見逃している感染者が多数
 いるのではないかという指摘もあるんですが。
押谷:本当に多数の感染者を見逃しているのであれば、日本でも
 既にオーバーシュートが起きているはずです。しかし、現実に
 オーバーシュートは起きていない。日本のPCR検査は、クラ
 スターを見つけるために十分な検査がなされていて、そのため
 に日本では、オーバーシュートは起きていない。
  実は、このウイルスは、80%の人はだれにも感染させてい
 ないのです。つまり、このウイルスは、全ての感染者を見つけ
 ないといけないウイルスではないのです。クラスターさえ、見
 つけられていればある程度制御できる。むしろ全ての人に、P
 CR検査を受けさせるということになると、医療機関に多くの
 人が殺到して、医療機関で感染が拡がってしまう危険があって
 むしろPCR検査を抑えているのです。その結果において、日
 本はこの状態で踏みとどまっているのです。──押谷仁教授/
      『NHKスペシャル/パンデミックとの戦い』より
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 押谷教授がいう「このウイルスは、全ての感染者を見つけない
といけないウイルスではない」という部分が重要です。このウイ
ルスは感染しても、とくに若い人の場合、そのまま治ってしまう
ケースが多いのです。しかし、そういう人が密閉空間にいると、
大勢の人が感染するリスクが高くなります。だから、密閉空間の
集会など、国民の行動を規制せざるをえないのです。
 しかし、片っ端から検査すれば、そういう軽い感染者も含めて
大勢の感染者が見つかり、隔離しなければならなくなります。そ
うなると、隔離場所の確保が困難になり、病院でも院内感染とい
うクラスターが発生し、重症者を受け入れることができず、医療
崩壊が起こりかねなくなります。院内感染が恐いのは、医師も感
染してしまうことです。
 そうであるなら、有限の受け入れ可能な病床数を念頭に置いて
そこに重症者のみを受け入れ、治療する方がベターであるという
のが日本の考え方のようです。しかし、多くのクラスターが発生
し、それが結合すると、まさにオーバーシュートが起きてしまい
イタリアのように重症者でも治療できない悲惨な医療崩壊が起き
てしまいます。心配なのは、押谷先生が映像を見る限り、とても
お疲れのように見えることです。日本の医療の優秀性は、死者の
少ないことで証明されています。医療崩壊だけは絶対に起こして
はならないのです。  ──[消費税は廃止できるか/057]

≪画像および関連情報≫
 ●日本は本当に「持ちこたえている」のか?
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   ニューヨークタイムズ(NYT)紙は、これまで何度かP
  CR検査の実態を記事にし、検査数を増やせと訴えてきた。
  その結果、ニューヨーク州は全米の州のなかで確認された感
  染者数(confirmed cases) がいちばん多い州になり、いま
  や連日1000人以上の新型コロナウイルスの感染者が確認
  されるようになった。
   それに比べ日本はどうだろうか?確認された感染者の数は
  1日平均30〜50人ほどだ。ニューヨーク州の人口は、約
  2000万人。日本の人口の約6分の1である。そこで、連
  日1000人以上の確認された感染者が出ていることを思う
  と、日本のあまりの少なさに疑問を持たれる人も多いのでは
  なかろうか?
   確認された感染者数の少なさをもって、政府も専門家委員
  会も「(日本は)持ちこたえている」としている。が、はた
  してこれは本当なのか?そもそも検査数を絞りに絞って、症
  状がひどくならないと検査していないのだから、なんの根拠
  もないのではなかろうか?
   ということで、ではアメリカではどのようにPCR検査が
  行われているのか?NYT紙の記事から見てみたい。特筆す
  べきは、なんと記者がやっとのことで検査を受け、陽性にな
  った体験手記が掲載されたことだ。https://bit.ly/2ygi9ob
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NHKスペシャル『パンデミックとの闘い』のシーンより.jpg
NHKスペシャル『パンデミックとの闘い』のシーンより
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする