2020年02月14日

●「政府の借金は返さなくてもいいか」(EJ第5187号)

 政府の借金──財務省やメディアは「国の借金」と称していま
すが、「政府の借金」というべきです。メディアの表記は、明ら
かに財務省が指導しています。「国の借金」というときは、民間
(企業・個人)が入るので、意味が違ってきます。それでも、財
務省はあえて「国の借金」と表現します。増税したいからです。
これに関して、次の基本的な疑問があります。
─────────────────────────────
      政府の借金は返済しなければならないか
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 民間(企業・個人)の借金は、もちろん返済する必要がありま
す。そんなことは常識です。財務省は、そういう民間の常識を巧
みに政府の借金に利用しようとしていますが、民間の借金と政府
の借金は明らかに違うものです。
 政府の借金に関する興味ある話があるのでご紹介します。以下
EJ風にまとめますが、オリジナルサイトは、巻末の≪画像およ
び関連情報≫に掲載しておきますので、EJを読んだ後に、興味
があれば、そちらの方も読んでください。
 100人の村人のいる村があります。この村にはときどき盗賊
団が攻め込んでくるので、監視カメラ付きの高い壁を作る必要性
に迫られていたのです。どこかの大国の大統領も同じようなこと
をいっていましたね。それはともかく、その費用には、1000
万円ほどかかるのですが、村にはそんなお金はありません。
 そこで村長は、村人からお金を借りることにしたのです。1人
10万円の拠出になります。この拠出金によって、監視カメラ付
きの高い壁ができて、村人の生活は以前よりも安全になったので
すが、村には1000万円の借金ができたことになります。
 問題はその借金をどのようにして村人に返すのかということで
す。税金として集める方法があります。村人全員が壁のお蔭で助
かっているので、「壁利用税」を徴収する方法があります。村人
全員から毎年1万円の壁利用税を徴収する方法です。村から1万
円の拠出金が返済され、10年で10万円が完済されるというわ
けです。その後も壁利用税を続けるとしたら、それは村に資金と
してストックされ、その後の壁や監視カメラの修復用に使えるな
ど、役に立つと思います。
 しかし、毎年1万円の壁利用税を払って、毎年その1万円が戻
されるというのは、村人の立場に立つと、プラスマイナスゼロに
なるので、借金が返ってこないのと同じことになります。この場
合は、村人全体で、壁の建設費用を負担したということになり、
これ自体は何の問題も生じないことになります。つまり、村の借
金は返済しなくても問題はないということです。
 この村には、裕福の程度に応じて、次の3段階があると仮定す
ることにします。お金持の人20人、普通の人30人、貧乏な人
50人です。壁の建設は急ぐので、お金持ちの20人に50万円
ずつ負担してもらい、1000万円の資金を作り、壁を建設した
とします。この場合、お金持ちの20人は村として必要な支出を
「仮の負担」をしたことになります。
 壁の建設費用は村人全員で負担するのですが、その資金はお金
持ち20人がいったん立て替えたことになります。つまり、「実
際の負担」の前に「仮の負担」をしたのです。実際の負担とは税
金というかたちで集めることになります。
─────────────────────────────
      お金持ち20人 ・・・・ 20万円
      普通の人30人 ・・・・ 10万円
      貧乏な人50人 ・・・・  6万円
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 以上のように、村人全員がお金を税金として村に収めて、その
集めたお金を仮に負担してくれた人(お金持ち)に返すのです。
これは、政府が国債を発行して資金を集め、必要なことに使って
国債を償還することに匹敵します。
 つまり、こういうことになります。政府にお金を貸すというこ
とは、政府が国民のために使うお金を仮に負担することであり、
政府に税金を納めるということは、そのお金を実際に負担すると
いうことになります。
 これが正しいとすると、政府の借金返済問題は、仮の負担を実
際の負担にどのように再分配するかの問題に過ぎないということ
になります。まして、日本の場合、国債のほとんどが国内で消化
されているので、つまり、国民が政府に貸している場合、政府の
借金問題は、国民との間での再分配をどうするかという話でしか
なくなるのです。
 もうひとつ大事なことがあります。壁を建設するのに支払った
1000万円がどこに行くかの問題です。もし、村の建築業者に
壁の建設を頼んだとすると、その1000万円は村に落ちること
になります。
 話を簡単にするため、村にはお金持ち20人の持つ1000万
円しかなかったと仮定します。村長はその1000万円を借りて
壁を建設し、壁を作る仕事をした人に総額1000万円支払った
とします。そうすると、村人の手元の資金は1000円と変わり
ませんが、1000万円を調達したお金持ち20人は、村に対し
て、貸付債権1000万円を保有することになります。貸付債権
とは、「村債」、国でいえば「国債」です。
 そうすると、村人の持つ金融資産としては、1000万円の現
金と、村債1000万円で、合計2000万円を持っていること
になります。つまり、政府がお金を借りて使うと、その分だけ国
民の財産が増えるということになるのです。
 わかったようでわからない話かもしれませんが、この話によっ
て、政府の借金は民間の借金とは根本的に性格の異なるものであ
ることは理解していただけると思います。財務省は、増税をしや
すくするため、政府の借金と民間の借金を一緒にして説明してい
るのです。その方が彼らにとって都合がよいからです。
           ──[消費税は廃止できるか/028]

≪画像および関連情報≫
 ●「経済学を疑え!」/政府の借金は返す必要がない
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  「今日は、政府が国民に借りた借金は返す必要が無いという
  話をしよう」
  「えっ、借金は返すのが当たり前でしょう」
  「まあ、話を聞いてよ。例によって、100人の村人がいる
  村の話だ」
  「聞いてあげるわ」
  「この村の周辺で賊が出るようになって、襲撃に備えるため
  村の周囲を壁で囲おうということになったんだ」
  「ほう」
  「壁を作る工事には1000万円かかる。そのための財源が
  無かったので、村民から借りることにする」
  「ふーん。村人は100人いるから、一人あたり10万円っ
  てこと?」
  「そうなるね。村人は一人10万円ずつ村長にお金を貸して
  計1000万円で壁が作られた」
  「良かった良かった。これで安心ね」
  「そうだね。さて、問題は借金の返済だ。村長は村人に10
  万円ずつ返さなきゃいけない」
  「どうやって返すの?」
  「税金で集めるしかないね。村長は、壁使用税という名目で
  一人あたり年間1万円の税金を集めることにした」
  「えー!村長が働いて稼いで返すんじゃないの?」
  「村長がそんなことをする義理はないよ。壁を作ったのは誰
  のためだった?」        https://bit.ly/2UIOdKn
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100人の村.jpg
100人の村
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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