2020年01月20日

●「お金の仕組みについて考えるとき」(EJ第5169号)

 1月10日のEJ第5164号で示したように、米国の対外純
資産は、2017年現在、マイナス885兆7919億円です。
約マイナス8兆ドルです。これは、何を意味しているかというと
世界中がそれだけのお金を米国に貸していることを意味します。
世界中が米国のドルに投資しているのです。
 この天文学的な数字の借金を抱えていても、世界は米国に依然
として投資をしています。普通の国ならとっくの昔に破綻し、I
MFの管理下に置かれていると思われるのに、そうならないのは
米国が基軸通貨国であるからです。それでは、基軸通貨国とは何
でしょうか。基軸通貨とは、国際為替相場での取引が多い通貨の
ことで、一般にメジャー・カレンシーと呼んでいます。基軸通貨
の条件には次の3つがあります。
─────────────────────────────
   第1の条件:通貨価値が安定している国の通貨である
   第2の条件:政治、経済、軍事の強い国の通貨である
   第3の条件:国際金融市場が整備・確立していること
─────────────────────────────
 19世紀半ばから100年間は当時の覇権国家であった英国の
ポンドが基軸通貨でしたが、IMF体制が確立した20世紀半ば
以降は唯一の超大国である米国のドルがその地位にあります。
 既出の大西つねき氏は、日本のホワイトカラーの生産性が低い
ことに強い疑問を抱いており、これをドルが基軸通貨であること
と関連して次のように述べています。
─────────────────────────────
 アメリカドルが国際取引の決済通貨、特に原油の決済通貨であ
り続けたこと、そしてその国際決済通貨であるドルを、世界で唯
一勝手に発行できるということ、そして、その間題を覆い隠す力
による外交、特に日本のような従属的な国との関係、為替レート
の恣意的なな操作など、恐らく見えていないことも含めれば、そ
の間の深さは想像を絶します。その根本を問うこともなく、単に
ホワイトカラーの給料を今の為替レートで換算して国際比較した
ところで、何の意味もないどころか、日本人に対する侮辱です。
アメリカのホワイトカラーが高い給料を取れるのは、そのお金を
外国(特に日本)から借りているからに過ぎません。そして、そ
の換算の元となる為替レートは、外国が否応なしにアメリカに貸
し続けている(ドルに投資し続けている)から、何とか今の水準
を保っているに過ぎません。   ──大西つねき著/白順社刊
 『私が総理大臣ならこうする/日本と世界の新世紀ビジョン』
─────────────────────────────
 日本には1000兆円を超える政府の借金があり、しかも増え
つつある──これは後払いの税金のようなものであり、なるべく
早く解決すべきであると多くの日本人は考えています。マスメデ
ィアがそのように報道するからです。
 この問題を解決するために、お金の発行の仕組みについて理解
する必要があります。それは、お金の本質について考えることに
つながるからです。
 現在、お金に関係のあることについて、次の2つのことが話題
になっています。
─────────────────────────────
          1.    リブラ
          2.デジタル人民元
─────────────────────────────
 「リブラ」とは、フェイスブックが提案する仮想通貨であり、
現在、話題を呼んでいます。リブラは、ビットコインのような通
常の仮想通貨とは違い、価格変動が起こりにくい設計を取り入れ
世界共通のお金というものを実現させようとしています。
 もうひとつ金融関係者を動揺させているのが、2の「デジタル
人民元」です。デジタル人民元の詳細はわかっていませんが、今
年発行されるという情報はあります。中国中央銀行は、これにつ
いての調査チームを2014年の段階で立ち上げています。そし
て、その発行が1月25日の旧正月に合わせるという情報すらあ
るのです。2019年の末のことですが、人民銀行幹部が次のよ
うな謎の発言をしています。
─────────────────────────────
        デジタル人民元はDCEPである
 DCEP=Digital Curency/Electronuc Payment ─────────────────────────────
 欧州中央銀行のラガルド総裁は、このデジタル人民元の後追い
と思われますが、「デジタルユーロ」の発行を検討していると発
言しています。これらの仮想通貨についてEJとしては、現在の
テーマの範囲を超えるので、今年の別テーマとして取り上げる予
定ですが、2020年は、お金の本質について真剣に考えざるを
得ない年になる可能性があります。
 現在、金融のデジタライゼーションは、地球規模で加速してい
ますが、デジタル人民元は、中国の通貨そのものをデジタル化す
ることを意味しています。これによって、中国国内では、中央銀
行による通貨の紙幣、硬貨の発行が停止され、中国国民は、すべ
てスマホアプリか、新規に発行される電子決済用IDカードで支
払いを行い、財布は持ち歩かなくなります。通貨はその性格上必
ずデジタル化される運命にあるといえます。
 さて、ここで問題です。「紙幣=お金」ではありませんが、日
本中の紙幣を集めると、その総額はいくらになると思いますか。
次の3つのなかから正しいものはどでしょうか。
─────────────────────────────
          1. 500兆円
          2. 100兆円
          3.1300兆円
─────────────────────────────
 この3択の問題の正解については、明日のEJでお知らせする
ことにします。    ──[消費税は廃止できるか/010]

≪画像および関連情報≫
 ●リブラに対抗するデジタル人民元発行が近づく
  ───────────────────────────
  デジタル人民元とも呼ばれる中国の中銀デジタル通貨の発行
  が、いよいよ近づいてきたようだ。政府系シンクタンクであ
  る中国国際経済交流センターの黄奇帆副理事長は10月28
  日の講演で、中国人民銀行(中央銀行)が「世界で初めてデ
  ジタル通貨を発行する中央銀行になる可能性がある」と述べ
  た。一方、27日に新華社が報じたところでは、全国人民代
  表大会(全人代)は暗号資産(仮想通貨)の発行に向けた準
  備となる、暗号資産(仮想通貨)に関する新法を可決した。
  新法は、「暗号資産ビジネスの発展を支え、サイバー空間と
  情報の安全性を確保する」のが狙いとされ、その発行は1月
  1日となる。この新法の制定に、デジタル人民元発行の環境
  を整える狙いがあるのだとすれば、デジタル人民元が来年年
  初から発行される可能性もある。
   デジタル人民元の詳細については依然として明らかではな
  いが、黄副理事長は、その発行技術にはブロックチェーン技
  術を利用する考えを初めて示した。今まではブロックチェー
  ン技術は幾つかの選択肢の一つとされていた。習近平国家主
  席は24日、中国が産業上の優位を目指す上で今後もブロッ
  クチェーン技術の「最前線に立ち続ける」よう求めた。その
  発言の背景には、デジタル人民元の発行技術には、ブロック
  チェーン技術を利用するという決定があったと見られる。
                  https://bit.ly/2NwqVTx
  ───────────────────────────

中国人民銀行.jpg
中国人民銀行
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary