2020年01月16日

●「324兆円の対外純資産への貢献」(EJ第5167号)

 本日は木曜日、ひとつ予告があります。私はウィークデイに家
にいるときは、テレビ朝日の「羽鳥愼一モーニングショー」を視
ています。とくに木曜日は玉川徹氏の『そもそも総研』があるの
で、長年の習慣で、継続して視聴しています。なかなか中身のあ
るコーナーであると思っています。
 本日の『そもそも総研』は、「消費税ゼロ」の特集が予定され
ています。藤井聡京都大学大学院教授が出席されることは確かで
山本太郎氏が出席される可能性もあります。本当は、先週の予定
だったのですが、米国とイランの戦争危機によって、1週間延期
されたのです。現在発売中の『文藝春秋』でも、山本太郎氏によ
る「『消費税ゼロ』で日本は甦る」という論文が掲載されており
目下大きな話題になっています。EJの今回のテーマと同じであ
り、視聴されることをお勧めします。
 約342兆円の対外純資産は、どのようにして積み上げられた
のでしょうか。それは、はっきりしています。貿易黒字を稼ぎ続
けたからです。貿易というものは、そのほとんどが外貨、主とし
てドルで決済が行われます。日本は資源のない国なので、燃料や
原材料を手に入れるにも外貨が必要です。
 手持ちのドルがない場合、円を売ってドルを手に入れます。そ
のとき、為替レートが問題になります。「1ドル=100円」と
すれば、100円を売って、1ドルを手に入れます。このように
して、原材料を輸入し、製品を作り、それを2ドルで売ったとし
ましょう。この場合、「1ドル=100円」のままであるとする
と、そのうち原材料分の1ドルを売って、円に替えたとしても、
1ドルの黒字分がドルで残ります。
 日本は十分外貨準備を持っているので、そのドルで原材料を仕
入れ、製品の代金もドルで受け取り、多くの場合、ドルのままス
トックされる。日本は、このようにして、ドルを稼ぎ続け、それ
が長年にわたって黒字として積み上がっていったのです。つまり
原材料を外貨で仕入れ、売上代金も外貨で受け取り、それが外貨
そのままストックされ、積み上がって行ったのです。それが驚く
なかれ、約342兆円の対外純資産として積み上がったのです。
ドルに換算すると「3兆ドル」になります。これについて、既出
の大西つねき氏は次のように述べています。
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 その3兆ドル分の外貨は、それを日本人がお金(円)で買った
からではなく、モノやサービスという実体価値を売った対価とし
て貯まったもので、円の流出なしに外貨だけが貯まっているので
す。ですから、その分の円は、海外には存在しません。
                ──大西つねき著/白順社刊
 『私が総理大臣ならこうする/日本と世界の新世紀ビジョン』
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 それにしても、約342兆円の対外純資産は、驚きを禁じ得な
い。だから、日本人には実感がないのです。本当の原因は何であ
るか、考えてみる必要があります。
 昨年来、トヨタ自動車など、一流企業のトップが相次いで発言
した気になる言葉があります。その言葉とは「もはや日本型経営
はできなくなりつつある」です。それが現実のものとしてあらわ
れたのは、1月13日付の日本経済新聞のトップ記事です。同紙
は一面トップで、次のことを伝えています。
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             「黒字リストラ」拡大
       /昨年9100人デジタル化に先手
       ──2020年1月13日付、日本経済新聞朝刊
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 「黒字リストラ」とは、黒字の好業績でも人員削減策を打ち出
すことをいいます。実際に、2019年に早期・希望退職を実施
した上場企業35社中、最終損益が黒字だった企業は60%を占
めています。具体的にいうと、これらの企業は、来るべき総デジ
タル化時代に備えて、比較的給与は高いのにICTに弱い中高年
齢層に退職・転職を勧奨し、ICTに強い若手の人材確保に着手
しているのです。これが「黒字リストラ」です。
 そもそも日本企業の従業員給与は低過ぎるのです。中国の通信
機器メーカー華為技術(ファーウェイ)が日本の就職情報誌に提
示した新卒の初任給が40万円、修士修了者は43万円でした。
日本の一流企業の初任給の倍額です。
 しかし、日本の企業から見ると、約2倍ですが、ファーウェイ
が特別高いわけではないのです。欧米企業の技術系社員の初任給
が50万円台のところはザラだからです。古い話ですが、私が大
手生保会社に入社したときの給与は約1万1千円。そのとき、日
本アイ・ビー・エム社の大卒初任給が2万円だったことを今でも
鮮明に覚えています。日本企業の従業員給与は、一貫して不当に
低いといえます。これについて大西つねき氏は、いささか怒りを
交えながら、次のように述べています。
─────────────────────────────
 (企業の)コストカットは決してお金のカットだけでは終わり
ません。報酬だけ減らし、同じかそれ以上の価値を要求するのが
コストカットです。つまり、生産性向上の強要に他なりません。
そして、日本の労働者は身を削りながらも世界一の生産性でそれ
に応え続けて来ました。にもかかわらず、日本のホワイトカラー
の生産性は低いとまで揶揄される。なぜか?それはあろうことか
その生産性に見合うだけの、本来受け取るべき報酬を受け取れて
いないからです。こんな不当なことがあるでしょうか?
               ──大西つねき著の前掲書より
─────────────────────────────
 約342兆円の対外純資産は、低い給与で働き続けた日本人の
タダ働きの積み上げられた結果であると大西氏はいうのです。す
べてについて大西氏の言説に同意するわけではありませんが、確
かに本質を衝いた鋭い意見であると思います。
           ──[消費税は廃止できるか/008]

≪画像および関連情報≫
 ●ファーウェイ/新卒年収3200万円実名入り社内文書流出
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   中国IT大手ファーウェイ(華為技術)の任正非CEOの
  名前で、2019年卒新入社員の年俸について記載された社
  内メールが流出し、中国で大きな話題となっている。ファー
  ウェイは元々高年収で知られるが、今回のメールでは最も優
  秀な8人のために、最高額で201万元(約3200万円)
  の年棒が用意されていることが明らかになったからだ。ファ
  ーウェイやリストに掲載された学生たちは否定するコメント
  は出しておらず、中国メディアは本物だと結論付けている。
   流出したメールには、「8人の突出した新入社員」の名前
  と年俸プランが記載されている。学歴はいずれも博士で最高
  額は201万元、最低は、89・6万元(約1400万円)
  だった。メールには年俸とともに実名が記載されていたこと
  から彼らの情報もあっという間に調べられ、拡散している。
   最高年棒の1人である鐘氏は、華中科技大学(学部)を卒
  業。ハイテク総合研究と自然科学の最高研究機関である中国
  科学院で博士号を取得した。専門はパターン認識とスマート
  システム。もう1人の秦氏は浙江大学(学部)を卒業。香港
  科技大学のロボット研究所で博士号を取り、国際的な学会で
  多数の論文を発表している。ファーウェイは、理系学生の就
  職先として極めて人気が高い。ある調査によると2018年
  中国のトップ大学である清華大学からは167人(学部生2
  人、修士134人、博士31人)が入社した。
                  https://bit.ly/2RoyE7F
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ファーウェイ本社.jpg
ファーウェイ本社
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税は廃止できるか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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