2019年11月05日

●「1997年からデフレ経済に突入」(EJ第5121号)

 安倍首相がアベノミクスの成果について誇らしげに語るとき、
いつも決まっていう言葉があります。
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 アベノミクスによって、日本経済は、もはやデフレとはいえ
 ない状況になっている。          ──安倍首相
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 しかし、2017年以降、安倍首相は、この言葉を口にしなく
なっています。それもそのはず、添付ファイルのグラフを見てい
ただくとわかるように、GDPデフレーターが、2017年から
マイナスになっており、デフレに逆戻りしているからです。
 ところで、「GDPデフレーター」とは何でしょうか。
 GDPデフレーターについて知る必要があります。経済学では
GDPデフレーターを次のように定義しています。
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 GDPデフレーターとは、ある国(地域)の名目GDPから
 実質GDPを算出するために用いられる物価指数である。
   名目GDP ・・・ 物価変動の影響を排除していない
   実質GDP ・・・ 物価変動の影響を排除済みである
                    ──ウィキペディア
                  https://bit.ly/34kHyHZ
─────────────────────────────
 したがって、GDPデフレーターの増加率が、プラスであれば
インフレーション、マイナスであればデフレーションとみなせる
のです。つまり、日本経済は2017年からデフレに逆戻りして
います。IMFや内閣府は、2年以上の継続的な物価下落をデフ
レと定義しています。
 確かに、2013年から民主党の野田政権から政権を引き継い
だ安倍政権は、アベノミクスによって、2014年から2016
年までは、GDPデフレーターはプラスになっており、デフレか
ら一応脱却したといえますが、2017年から再デフレに突入し
てしまっています。「もはやデフレとはいえない」とは、さすが
にいえない状況です。
 ところで、日本の現在のGDPは、約500兆円ですが、19
80年時点では250兆円しかなかったのです。約40年かかっ
てやっと倍増したことになります。そこで、日本の名目GDPの
推移を確認することにします。グラフにすることができないので
数字であらわすことにします。
 まず、1980年〜1996年までを2年ごとの数字を並べて
みると、次のようになります。
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  ◎1980〜1996年名目GDP推移  増加率
   1980年 ・・・ 250兆円
   1982年 ・・・ 282兆円 112・8%
   1984年 ・・・ 313兆円 119・9%
   1986年 ・・・ 350兆円 111・8%
   1988年 ・・・ 393兆円 112・2%
   1990年 ・・・ 453兆円 115・2%
   1992年 ・・・ 495兆円 108・8%
   1994年 ・・・ 501兆円 101・2%
   1996年 ・・・ 525兆円 104・7%
                  https://bit.ly/2Ny7pp3
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 これを見ると何のことはない。1980年から14年後に日本
の名目GDPは500兆円に達しています。倍増です。増加率は
すべて100%以上で順調に伸びています。
 しかし、1998年に入ると、状況が一変します。1998年
〜2012年までは、次のようになっています。
─────────────────────────────
  ◎1998〜2012年名目GDP推移  増加率
   1998年 ・・・ 527兆円 100・3%
   2000年 ・・・ 526兆円  99・8%
   2002年 ・・・ 515兆円  97・9%
   2004年 ・・・ 520兆円 100・9%
   2006年 ・・・ 526兆円 101・1%
   2008年 ・・・ 520兆円  98・8%
   2010年 ・・・ 500兆円  96・1%
   2012年 ・・・ 494兆円  98・8%
                  https://bit.ly/2Ny7pp3
─────────────────────────────
 増加率を見るとすぐわかるように、明らかに減速しています。
 藤井聡教授は、この間の名目GDPの伸びについて、次の指摘
をしています。
─────────────────────────────
 1997年以降、名目GDP、つまり、私達の所得の総額が縮
小する局面に入った。それ以後、米国バブルやリーマンショック
震災、そして安倍内閣下のアベノミクスなどの影響を受けて上下
してはいるものの、1997年以降、かつてのような力強い成長
は見られなくなった。そして、この1997年という時こそ、我
が国が3%から5%へと消費税を増税させた年なのだ。(中略)
 我が国は、1997年に「デフレ経済」に突入し、それ以後、
一向にそのデフレ状況から脱却できなくなったのである。
                   ──藤井聡著/晶文社
         『「10%消費税」が日本経済を破壊する』
─────────────────────────────
 1990年から日本経済は低成長期に入ったといわれますが、
1996年まではそれなりに成長してきています。しかし、19
97年以降は、上記の数値でも明らかなように、確かに成長しに
くくなっています。しかし、これだけのデータでは、原因が消費
増税とは断定できないと思います。他のデータも当ってみる必要
があります。      ──[消費税増税を考える/019]

≪画像および関連情報≫
 ●山一や拓銀の破綻から20年を経て想うこと
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   今年(2017年)の秋で、1997年11月に相次いだ
  北海道拓殖銀行(拓銀)や山一証券などの経営破綻から20
  年が過ぎた。その当時、筆者は霞が関から松江財務事務所に
  派遣され単身赴任を始めたばかりであったが、「社員は悪く
  ありません」で記憶に残る山一社長の号泣記者会見の模様な
  ど、当時の状況を今も鮮明に覚えている。言うまでもないが
  拓銀は都市銀行の一角を占め、山一も四大証券の一角を占め
  る超名門企業であるとともに、「ツウ・ビッグ・ツウ・フェ
  イル」が典型的に当てはまる巨大金融機関でもあった。この
  11月は、三洋証券の破綻で始まったが、拓銀や山一までも
  が破綻したと聞いて、金融の世界がメルトダウンして行くよ
  うなうすら寒さを覚えたものである。また、この1997年
  であるが、7月にはタイを起点とする「アジア通貨危機」が
  発生し、日経平均株価もまたまた再暴落して行く中での金融
  危機でもあった。
   それから20年が過ぎた今、筆者が思うことはこの97年
  の金融危機が1980年代後半の資産価格(地価と株価)の
  高騰が紛れもなく「バブル」であったことを人々に自覚させ
  たことである。それと共に、90年代初頭からの資産価格の
  下落がバブルの崩壊であることを思い知らせたのである。
                  https://bit.ly/2oFXUvJ
  ───────────────────────────
 ●グラフ出典──三橋貴明著「米中覇権戦争/残酷な未来透視
  図/世界を救う最後のトリデは日本だった!」/ビジネス社


日本のGDP成長率とGDPデフレータ(_対前年比).jpg
日本のGDP成長率とGDPデフレータ(_対前年比)
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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