2019年10月01日

●「韓国のデモに異変が出てきている」(EJ第5099号)

 韓国では、相変わらず毎日のようにデモが行われています。し
かし、現在では反日デモはなりを潜め、「文在寅辞めろ!」のデ
モが拡大しています。それは、直接的にはチョ・グク法相の一連
のスキャンダルや、韓国経済の危機的状況による文在寅政権への
批判が高まっているためですが、韓国国民は、文在寅大統領が最
近口にしはじめた次の言葉に不安を感じ始めたのです。
─────────────────────────────
 平和統一こそ経済大国の近道。2032年に「ソウル/平壌
 五輪/45年に1つの国、ワン・コリア」へ
       ──8月15日光復節での文在寅大統領の演説
─────────────────────────────
 つまり、文在寅政権による北朝鮮主導の赤化統一への警戒が強
くなっているのです。しかし、文政権はメディア統制を強めてお
り、この動きが拡大しないようコントロールしています。
 それにしても2018年から現在にかけて韓国が日本に対して
行ってきている行動は、日本人には理解しがたいことがあまりに
も多いです。これについては、以前のEJでも述べましたが、そ
の原因について、作家で、数学者の藤原正彦氏が、「中国への卑
屈、日本への軽蔑」と題して、次のような見事な筆致で述べてい
るので、その一部を引用します。
─────────────────────────────
 2000年にわたる中国の支配下で、朝鮮の人々の意識に刷り
込まれていったのが「華夷秩序」という考え方でした。これは、
中国こそが優れた文明を持つ世界の中心(華)であり、その世界
から外れた周辺の異民族を夷狄(蛮族)とみなすものです。「華
夷秩序」に則れば、本来は朝鮮民族は夷狄ですが、朝鮮は中国の
冊封下に入って、属国として礼を尽くしていたため、「中華」の
一員として認められていました。朝鮮は小中華としての「誇り」
を持っていたのです。
 ただ、小中華としての朝鮮が大中華である中国を凌駕すること
はあり得ないため、必然的に朝鮮の人々は、大国に対しての「卑
屈」を感じることになります。その心理的ストレスを解消しよう
と、中華の外にある日本を蛮族として「軽蔑」することで、心の
均衡を保ってきたのです。優越感をプラス、劣等感をマイナスと
すると、大体どの人も両方を足すと0になるようになっているの
です。中国に対する「卑屈」と日本に対する「軽蔑」。この2つ
の感情が常にセットとなり、長い歳月にわたって朝鮮の人々の精
神的支柱として存在してきました。
      ──『文藝春秋』10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
─────────────────────────────
 藤原正彦氏は、上記の「中国に対する『卑屈』と日本に対する
『軽蔑』」の例として、韓国における米軍のTHAAD(地上配
備型ミサイル迎撃システム)配備を上げています。THAAD設
置の場所を提供したロッテグループに対し、中国は徹底的な不買
運動、韓国ツァーの全面中止など、今の韓国が日本にやっている
のと同じようなことを中国は韓国に対して行い、ロッテを中国か
ら、遂に追い出してしまっています。また、現代自動車も北京工
場の一つが閉鎖に追い込まれています。
 それにもかかわらず、そのとき韓国では、中国を非難するデモ
は一切起きていないのです。「華夷秩序」上では、目上である中
国からの圧力は仕方がないと考えるからです。しかし、それが目
下(と朝鮮人は思っている)の日本が何か韓国に不利益なことを
すると、信じられないほど執拗に、延々とデモや不買運動が起き
るのです。日本は蛮族ですから、何をしてもよいと考えているの
でしょうか。「華夷秩序」の論理ではそうなるのです。
 もちろん国民全般がそのように考えて、デモや不買運動を起こ
しているのではなく、すべて官制のデモです。青瓦台が指揮して
やらせているのです。当然メディアもコントロールし、他国にそ
ういう不利益な情報が流れないようにしています。こうなると、
韓国はもはや民主主義国とはいえなくなります。
 その韓国において、『反日種族主義』(添付ファイル)という
本がベストセラーになっています。李栄薫(イ・ヨンフン)ソウ
ル大学名誉教授ら6人の学者の共著である同書のテーマは、「歴
史問題に関する嘘や無知、誤解に基づく韓国の『反日』は、未発
達な精神文化の表れであり、これを克服しなければ韓国社会の発
展はない」というものです。よくぞいってくれたという本です。
日本語版も出るようなので、読んでみたいと思います。
 こういう本が堂々と出版される韓国は、中国よりはよほどマシ
ですが、政治の上層部にはまるで効いていない。現在、スキャン
ダルを重ねているチョ・クグ氏がこの本を読み、次のように感想
を述べたことをテレビで知りました。
─────────────────────────────
 『反日種族主義』を読んだが、ウソをウソで塗り固めていて
 吐き気をもよおした。         ──チョ・グク氏
─────────────────────────────
 このような本が出ても、小さいときから「反日教育」で刷り込
まれてきているので、受け付けないのです。しかし、一般人であ
れば別として、チョ・グク氏は名門ソウル大学の教授であり、物
事を客観的に判断できるはずの学者です。しかも、データは豊富
にあり、それらを分析できる能力があるはずです。それによって
真実が見えないはずがないのです。
 例えば、竹島が韓国の領土ではないことなどは、学者であれば
それも紹介されているように、彼が途方もなく優れた学者である
ならば、客観的にデータを見ればわかるはずです。それでも国の
ために、政治的にそのようにはみないことにしているのかもしれ
ません。だから、この国では、『反日種族主義』のように、真実
を記述した本が出たとしても、青瓦台は平然とそれを否定して反
日政策を続けるのです。このままでは、韓国は危険な状態に陥っ
てしまうはずです。     ──[中国経済の真実/098]

≪画像および関連情報≫
 ●「この国は嘘つきの天国」韓国ベストセラー本の中身
  ───────────────────────────
  <今の韓国社会の雰囲気とは真逆を行く書籍、『反日種族主
  義』だが、韓国の書店でベストセラーになっている>
   日本でも注目されている韓国のベストセラー本『反日種族
  主義』が、引き続き売れている。ソウルにいるデイリーNK
  ジャパン記者によれば、ソウル市中心部の大型書店で今週も
  総合ランキング1位である。
   李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学名誉教授ら、6人の学
  者の共著である同書のテーマをざっくり言うと、「歴史問題
  に関する嘘や無知、誤解に基づく韓国の『反日』は、未発達
  な精神文化の表れであり、これを克服しなければ韓国社会の
  発展はない」というものだ。
   最近の韓国社会の雰囲気とは真逆に置かれる内容だが、否
  定派も含め、同書を手に取る人が圧倒的に多いのも韓国社会
  の現実なのだ。日韓関係の悪化を受けて、歴史関係の書籍が
  全体的に売れているというが、同書に追随する本は見当たら
  ない。ただ、前出のデイリーNKジャパン記者によれば、同
  書が売れに売れながらも、その内容に基づく「大論争」が始
  まる気配はまだ見えないという。同書は従軍慰安婦、徴用工
  日韓併合などについて韓国の「常識」に強烈に異を唱えてい
  るわけだから、その内容を受け入れられない学者や運動家は
  ひとつひとつ根拠を挙げて論駁しなければならない。そうす
  れば、同書にも誤りがあることが判明するかもしれない。
                  https://bit.ly/2oeDrxp
  ───────────────────────────

「反日種族主義」韓国書店第1位.jpg
「反日種族主義」韓国書店第1位
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月02日

●「文在寅では韓国が地球から消える」(EJ第5100号)

 既にご紹介している『文藝春秋』10月号「総力特集/日韓断
絶」には、「韓国高官X」なる人物が登場し、作家の麻生幾氏と
対談しています。高官といってもいろいろあるので、もう少し正
確にいうと、次のようになります。
─────────────────────────────
 韓国大統領直属の情報機関「国家情報院」のエリート情報部
 員として、長年、対日関係の最前線で活躍してきている。こ
 れまで、日韓関係が悪化するとき、X氏はその中心にいて解
 決に尽力してきている人物。現職かOBかは、本人の身の安
 全上明らかにできない。
 ──『文藝春秋』2019年10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
─────────────────────────────
 このX氏いわく「文在寅では大韓民国が地球から消える」と心
配しています。このX氏が訴える韓国文在寅政権の内情は、驚く
べきものであり、一読の価値があります。『文藝春秋』は、現在
でも購入可能であるので、興味のある方は一読されることをお勧
めします。EJでは、残念ながら、その一部しかお伝えすること
ができないからです。
 朴槿恵政権は、最初のうちこそ、日本と対話することに頑なで
あったものの、オバマ米大統領の仲介もあって、当時最大の問題
であった慰安婦問題について日本と韓国は協議を重ね、遂に解決
へと導いたのです。これは、安倍政権と朴槿恵政権の最大の業績
といえるものです。積年の課題を解決したからです。それを文在
寅政権は、完全に破壊してしまったのです。これについて、高官
X氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 バク・クネ大統領時代に、慰安婦問題の合意に尽力した者たち
の多くは、優秀で一流だった。しかし、ムン政権になって、積弊
(過去の積もりに積もった弊害)という名の下、多数の職員が逮
捕され、取り調べを受け、辞職を余儀なくされた。
 国情院の誰もが、ムン政権に逆らえない。逆らえば、ムン政権
が密かに「査定対象者」と指定した上で、これもまた人事という
恐怖感で呪縛している司法機関に通告し、あらぬ疑惑を捏造し、
簡単に逮捕してしまうからだ。現在のムン政権とは、政府職員を
恐怖で縛り付けることが常態化している、つまり独裁国家と同じ
なのだ。        ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 文大統領は、司法に自分の腹心を送り込み、司法をコントロー
ルしようとしています。徴用工判決もこの工作によって出された
ものであり、文政権はそれに深く関わっています。文大統領は、
GSOMIAを就任時点から、何とか破棄すべく考えていたとい
われます。もし、GSOMIAの破棄に成功すると、北朝鮮と中
国に大きな貸しをつくることができるからです。
 文大統領は、就任早々、国情院に対し、次の命令を出している
ことがわかっています。
─────────────────────────────
 日本政府機関に対しては、北朝鮮に関する一切の情報を提供
 してはならない。提供するのは、北朝鮮のミサイル発射情報
 に関する数値的データのみでいい。   ──文在寅大統領
            ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 なんのことはない。拉致に関する情報は日本に提供するなと、
韓国の大統領自身が国情院に命令しているのです。GSOMIA
が締結されたのは、2016年11月のことですが、これによっ
て衝撃を受けたのは、中国です。そして2017年11月に文在
寅政権に対し、「三不一限」を約束させています。「三不一限」
とは、次の3つの約束です。
─────────────────────────────
 ◎「三不一限」
  1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらないこと
  2.韓米日安保協力を軍事同盟に発展させてはならない
  3.THAAD(サード)の追加配備には拒否を貫くこと
─────────────────────────────
 もしかすると、徴用工判決からはじまり、慰安婦合意の破棄、
レーダー照射事件などの韓国の一連の不可解な日本に対する対応
は、GSOMIAを破棄するための工作だった可能性すらあるの
です。しかし、文大統領は、GSOMIAがいかに韓国の安全保
障上重要であるかがまるでわかっていないようです。韓国高官X
氏は、GSOMIAの破棄について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ジーソミア破棄で(韓国)国民が覚悟を持たなければならない
ことは、同盟国を守るためにアメリカが作成し、運用していた安
全保障システムを、その同盟国の韓国が「破壊」した、という事
実である。その安全保障システム≠フ中心となるべきものがジ
ーソミアだった。ジーソミアは単なる象徴ではない。USW(対
潜水艦戦)で圧倒的な情報を握る自衛隊から素早く戦術情報を受
け取ることは半島有事において欠かせないものであり、SLBM
(水中発射弾道ミサイル)を搭載した北朝鮮潜水艦のローカライ
ズ(位置特定)情報がリアルタイムで入ってくるかどうかは、韓
国のみならず、在韓米軍の存亡にもかかわる。
            ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 文政権になってから、日本の対韓政策が180度変わっていま
す。内閣官房関係者は、内閣官房の高官から、様々な会議を通じ
て、「北朝鮮と韓国は一体化しているとの認識で、注視し、情報
収集に当ってほしい」との指示があったといいます。米国と日本
政府は、かなり以前から、すべてのことがわかったうえでの対応
をしてきたものと考えられます。
              ──[中国経済の真実/099]

≪画像および関連情報≫
 ●特集・韓国大統領/なんとも事大主義で夜郎自大
  ───────────────────────────
   韓国の文在寅政権が窮地に陥っている。文氏が「外交の天
  才」(韓国大統領府)ぶりを発揮した結果、同盟国・米国の
  トランプ大統領には軽視され、頼みの中国にはないがしろに
  され、ラブコールを送り続ける北朝鮮には馬鹿にされ、日本
  との関係では、約束破りを続けて、戦後最悪の修復不能状態
  となった。
   日本が安全保障上の理由で対韓輸出管理の厳格化を実施し
  たのは、韓国による日韓請求権協定破りへの対抗・報復措置
  という以前の軽微な措置だが、韓国には甚大な影響を及ぼし
  ている。文政権の経済政策の失敗により、先行きが暗かった
  韓国経済はさらに下降することになった。
   文政権は、もともとの経済失政をすべて日本に押し付ける
  気だろうが、それで韓国の景気が浮揚するわけでも何でもな
  い。韓国人がちょっと気の毒になりはするが、その韓国人自
  身が文氏をリーダーに選んで高い支持率を与え、文氏の扇動
  に乗せられて反日デモを行ったり、日本製品不買運動に走っ
  たりしているのだから、どうしようもない。毎度繰り返され
  る反日の光景は、ただ日本人を呆れさせるばかりである。こ
  の外交も経済もどん詰まりの現状は、文政権と韓国自身が招
  いた自業自得であり、一切の責任は文氏にある。
                  https://bit.ly/2m0WuKN
  ───────────────────────────

GSOMIA破棄を決めた文在寅韓国大統領.jpg
GSOMIA破棄を決めた文在寅韓国大統領
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月03日

●「米国は韓国をどのように考えるか」(EJ第5101号)

 前回のテーマは「米中ロ覇権争いの行方」でしたが、話の中心
は中国です。今回のテーマはズバリ「中国経済の真実」であり、
メインはもちろん中国です。そういうわけで、このところEJは
180回にわたり、中国について特集を組んでいます。
 しかしながら、今後中国がどうなるかについては、関連書のほ
とんどを読みましたが、一向に見えてきません。現代の中国は、
社会主義国にして、市場経済を営むという、今までになかった国
家の壮大な実験をやっているような気がします。こと経済政策に
関しては、やっていることは無謀であり、もし自由主義社会であ
れば、とっくに経済が破綻してもおかしくない状況ですが、現在
も膨張を続けています。しかし、大きな危険をはらんでおり、あ
る日突然破綻しても、おかしくはありません。
 ただ、中国問題にとって最大の不安要素は「台湾」です。何し
ろ、台湾をめぐって、米中の局地戦争が起きても、おかしくない
からです。9月25日のことですが、米議会の上下両院の外交委
員会は、米政府に対し、香港の自治が十分に認められているかの
検証を義務付ける「香港・人権・民主主義法案」をそれぞれ全会
一致で可決しています。この法案は、この後、両院の本会議での
可決を受けて、トランプ大統領が署名すれば成立します。
 これに対して、中国外務省の耿爽副報道局長は、次のように反
発しています。
─────────────────────────────
      強烈な憤慨と断固たる反対を表明する
         ──2019年9月27日付、日本経済新聞
─────────────────────────────
 これを受けてか、香港のデモはさらに激しさを増しています。
これがそのまま台湾問題に波及します。こんな話があります。5
月中旬のことですが、台湾のNSC(国家安全会議)のトップが
訪米します。訪米の目的は、ジョン・ボルトン安全保障担当補佐
官と会談するためです。ボルトン補佐官の発言です。
─────────────────────────────
 朝鮮半島情勢については、これまで韓国が守っているラインが
ある。つまり三十八度線だ。しかし、近い将来、そのラインは、
東シナ海にまで下りてくる。つまり、朝鮮半島情勢が直接、台湾
に繋がる。台湾はそのことに覚悟をもって備えて欲しい。
       ──ボルトン安全保障担当大統領補佐官(当時)
 ──『文藝春秋』2019年10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
─────────────────────────────
 ボルトン氏のこの発言は重要です。そこには、「韓国の存在が
ない」からです。ボルトン補佐官は辞めましたが、米国による台
湾の戦略的位置づけは、彼の個人的な考え方であるはずがないし
米国の方針です。
 米国は、おそらく北朝鮮と韓国は将来連邦国家になるとみてい
ます。そうなったとき、米国にとって朝鮮半島はもはや同盟国で
はなく、脅威的対象国になるとみています。そのため、2018
年に次の2つの法律を相次いで成立させたのです。
─────────────────────────────
 2018年 3月16日/        「台湾旅行法」
 2018年12月31日/「アジア再保証イニシアチブ法」
─────────────────────────────
 「台湾旅行法」では、米国大統領の台湾訪問を狙い、「アジア
再保証イニシアチブ法」によって台湾に継続的な武器の供与を可
能にし、事実上の米台安全保障条約にしようとしています。
 文在寅韓国大統領はおそらくこう考えています。彼は、来年の
選挙に勝って、憲法を改正し、1期5年の、大統領の任期を2期
10年にしようとしています。そのうえで、さらに憲法の改正を
行い、社会主義民主国家を宣言、北朝鮮との統一連邦国家への道
を具体的に進めると思われます。この場合、連邦国家といっても
実質的に北朝鮮に同化されてしまうはずです。韓国高官のX氏は
もし連邦国家になると、名実ともに大韓民国という国家は消滅し
てしまうとして、危機感を募らせているのです。
 こういう情報もあります。韓国内には、朝鮮労働党の秘密党員
がたくさん潜伏しています。これらの秘密党員が2014年6月
15日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(当時第一書記)に対
して、忠誠を誓う「誓詞文」を送っています。そこには、10カ
条の誓約が書かれていますが、その一部をご紹介します。
─────────────────────────────
 「韓国の、自由民主主義体制をたたき潰し、全朝鮮半島に主体
(チュチェ)思想化を実現するのに、一命を藁(わら)のように
ささげます」「駐韓米軍を南半分から完全に追い払う」「南側政
府の警察、検察など司法部と行政部に浸透し、政府の行政機関を
マヒさせ」などなど、恐ろしいことが書いてあるのですが、最後
に40の個人・団体名があり、そこに「文在寅」の名前があると
いうのです。 ──9月27日発行/D(電子)版「夕刊フジ」
       関連ユーチューブ動画 https://bit.ly/2onZ7qN ─────────────────────────────
 これは、月刊「Hanada」10月号に掲載されているので
すが、同誌は、増刷分を含めて現在売り切れています。最初の報
道から1ヶ月以上経っていますが、韓国政府からは、同誌に対し
て何のクレームもないそうです。これに関するユーチューブによ
る動画(5分2秒)もあるので、ぜひご覧ください。
 このように、米中貿易戦争といいますが、中国だけではなく、
北朝鮮、韓国を含めて見る必要があります。2019年1月4日
から、主として米中の覇権争い、それに加えて、隣国韓国と日本
の関係について書いてきましたが、このテーマは、本日で終了し
ます。長い間のご愛読感謝いたします。10月7日からは、新し
いテーマでお送りします。なお、明日、10月4日のEJはEJ
5000号記念の特別版をお届けいたします。
              ──[中国経済の真実/100]

≪画像および関連情報≫
 ●韓国はもはや「内戦」状態/北朝鮮が全半島を支配する日
  ───────────────────────────
   「韓国は革命前夜だ」と言ったら、韓国人の洪ヒョン氏が
  「前夜ではありません。すでに内戦です」と反論した。憲法
  裁判所が朴槿恵大統領弾劾訴追を承認して、罷免の決定を下
  したのが今年3月10日だった。保守派はこの判断を合憲だ
  とは認めず、「国民抵抗権」の旗印の下に「国民抵抗本部」
  を設置し、街頭に出て弾劾を弾劾すると気勢を上げる。憲法
  裁判所の判断を暴力によって覆そうとする試みを法治国家の
  枠組みのどこに位置づけ得るのか。洪氏はこう説明する。
   「韓国憲法は、国家が正常に機能しない場合、国民抵抗権
  で立ち上がることを認めています。これは韓国が北朝鮮と対
  峙して生まれた国家だからこそ設けられた、憲法で保証され
  た国民の権利なのです。北朝鮮の支配下で、ルールだからと
  いって従えば、韓国の自由や民主主義が死んでしまう。その
  ときに立ち上がる権利を保障したのです」
   いま国民抵抗本部に集まる人々が増えているという。組織
  の中心軸を構成するのが、韓国の陸・海・空の退役軍人の会
  だ。現役の軍人を除く軍関係者が勢揃いしていることの意味
  は大きい。保守派の人々の抱く強い危機感は、5月9日の大
  統領選挙で文在寅氏が当選する可能性が高いと言われていた
  時点から強まっていた。そして実際、文氏は韓国の大統領に
  なった。洪氏はかつてこう語っていた。
                  https://bit.ly/2maMkYd
  ───────────────────────────

ボルトン前安全保障担当大統領補佐官.jpg
ボルトン前安全保障担当大統領補佐官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月04日

●「EJ5千号発行記念祝賀会が開催」(EJ第5102号)

 今回はEJの特別号です。2019年9月18日、「EJ50
00号発行記念祝賀パーティー」が茅場町証券会館、ホテルオー
クラレストランニホンバシで開催され、長年にわたるEJの読者
が雨のなか、多数参加されました。また、当日会場には出席され
ませんでしたが、大勢の方から、お祝いのメッセージとともに、
記念品代をお寄せいただいております。
 EJの書き手としての私、平野浩として、このような会を開い
ていただいたことについて、今回の発起人を務めていただいた8
人の方々をはじめ、雨のなか祝賀パーティーにご参加していただ
いた方々、記念品代をお寄せいただいた方々に対し、厚く御礼申
し上げます。本当にありがとうございました。EJの本号をかり
まして、御礼申し上げます。本号は、特別号として、「エレクト
ロニック・ジャーナル」について書くことにします。
 EJ第1号を配信したのは、1998年10月15日のことで
す。メールマガジンとして約50人ほどの方に配信したことを覚
えています。それ以来、私が今まで守っていることがあります。
それは、基本的にEJは「配信してほしい」と希望した人にしか
配信しないことです。1998年当時のITといえば、メールと
ウェブサイトが中心であり、ブログはまだ登場していなかったの
です。ブログが登場するのは、2005年のことです。
 EJは、もともと私の明治生命での最後の職場になった明生シ
ステムサービス(MSS)の時代に、私は「家庭教授部」という
部の部長をしていました。確か10人前後の部員がいましたが、
それらの部員と技術情報を共有するために、毎日「電子情報」を
配信していたのです。実は、EJの前身はこの「電子情報」なの
です。当時日本のITは、スタートしたばかりであり、そのリテ
ラシーは、今から考えると、信じられないくらい、初歩的なレベ
ルに止まっていたのです。
 1998年12月28日のEJ第50号で伝えているEJの配
信者は全部で69人です。内訳は、明治生命本社関係9人、明治
生命OB8人、MSS18人、その他外部関係34人、全体の約
半数は外部の人です。なぜ、明治生命本社関係が少ないかという
と、当時の明治生命は、特定の手続きをした人以外は、外部から
メールを送信できなかったからです。
 EJ第50号には、次の記述があります。こんなことは、今で
は信じられないと思うでしょうが、当時のITのリテラシーは、
その程度のレベルだったのです。
─────────────────────────────
 1998年の年の終りに明治生命に関して、若干苦言を呈した
いと思います。私は、今年の9月25日の最後の「電子情報」で
メールアドレスの敬称(社長、専務、常務など)をやめるよう金
子社長に提案しました。そのようなことをやっているのは明治生
命だけだからです。それにメンテナンスに膨大な手間がかかるな
どの理由からです。名前の方は変化しませんが、役職は毎年変化
するからです。あわせて、社外にインターネットを通じてメール
を出すとき、コードで届くのは何とかならないかということも提
案しました。社内では、コードと氏名の変換プログラムによって
漢字で読めますが、社外に送るときは相手にコードで届いてしま
う点です。 ──1998年12月28日付、EJ第50号より
─────────────────────────────
 当時明治生命では、社内メールには役職が付いていたのです。
関係者としては「役職なし」を提案したのですが、上層部はがん
として聞き入れなかったのです。そのため、私は当時の金子社長
にメールで「役職全廃」をストレートに提案したのです。金子社
長からは「前向きに検討する」という返信メールをいただきまし
たが、実際に役職が撤廃されるまで相当時間がかかったのです。
1998年というのは、ことITに関しては、日本では、そのよ
うなレベルでした。完全な内部指向です。
 EJは「作品型情報」を目指しています。読み切りのコンテン
ツではなく、作品として残せるコンテンツにするというのが作品
型情報の意味です。1つのテーマについて書くとき、膨大な情報
を集めます。とくに本は、何冊も読みます。当然本からの引用は
多くなります。そのため、EJを読んでいただくと、読み手は、
結果として多くの本を参照したことになるのです。しかし、テー
マ全体としては、私の主張を貫いているつもりです。
 少しでも文章を読み易くするために、ツイッターをやっていま
す。交流を目的とする使い方ではなく、情報発信型のツイッター
です。2010年1月4日からはじめましたが、以来一日も休ま
ず、ツイートを発信しており、現在フォロワーは、2・2万人い
ます。これ以上はなかなか増えません。このあたりが、私の限界
ではないかと感じています。
 ツイッターは、長い文章を140字にまとめる訓練に役立ちま
す。しかもツイッターは、「いいね」と「リツィート」の数とし
て数値で評価されるので、コンテンツの影響度を客観的に知るこ
とができます。2・2万人のフォロワーの内容は多士済々です。
なかには有名人も多くいます。有名人は、何十万、何百万という
フォロワーを持つ人が多いので、それらの有名人の方が、私のツ
イートをリツィートすると、とんでもない数の人にツイートが届
くことになります。その結果、フォロワーが増えるのです。
 400字原稿用紙7枚の量のEJを毎日書いて配信するのは、
正直いって大変です。最近では、さすがに息切れしつつあるのが
現状です。しかし、ひとつ書き上げると、大きな達成感を感じる
ことができます。今やそれが、生き甲斐になりつつあります。
 今後、何号まで書き続けられるか、私にもわかりません。しか
し、熱心に読んでくださる読者がいて、それを実感できるとき、
続ける意欲が湧いてきます。9月18日の5000号記念のパー
ティーは、改めて、継続してEJを書く意欲が湧いて来たような
気がします。本当にありがとうございました。10月7日からは
新しいテーマに取り組む予定です。
              ──[中国経済の真実/101]

≪画像および関連情報≫
 ●EJ5000号パーティー風景

「乾杯」パーティー写真1.jpg
 
「乾杯」パーティー写真1

「懇談」パーティー写真2.jpg
「懇談」パーティー写真2

「オペラ歌手」パーティー写真3.jpg
「オペラ歌手」パーティー写真3
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月07日

●「消費増税は経済成長を阻んでいる」(EJ第5103号)

 2019年10月1日、遂に消費税率が8%から10%にアッ
プされました。自民党と旧民主党野田内閣が合議した「社会保障
と税の一体改革」がやっと実現したことになります。しかし、こ
れが原因で、解散総選挙の結果、旧民主党は大敗を喫し、安倍内
閣が誕生しています。旧民主党は、公約にない増税をこともあろ
うに自民党と組んで実施したことで、国民の信を失い、野党に転
落し、現在の野党細分化の原因になったのです。
 この「社会保障と税の一体改革」では、当時5%であった消費
税は、次のように10%に引き上げる計画でした。
─────────────────────────────
    ◎2014年 4月 ・・ 5% →  8%
    ◎2015年10月 ・・ 8% → 10%
─────────────────────────────
 今考えると、これがいかに無謀な計画であったかということは
改めて考えるまでもなく、歴然としています。5%の税率を4年
弱で倍の10%にしようというのですから、超大緊縮政策になり
ます。日本は、そんな計画を早急に実施しなければならないほど
深刻な財政状況ではないからです。
 しかし、この計画がつくられたのは、元財務大臣の谷垣前自民
党総裁と、財務省に完全に洗脳された元財務大臣の野田首相(当
時)の2人が組んだからです。「社会保障と税の一体改革」を引
き継いだ安倍首相は、それを計画通り実施することが自らが推進
するアベノミクスにとって大きなマイナスになると肌で感じて、
2回にわたって、次のように増税を延期しています。
─────────────────────────────
  ◎2014年 4月 ・・ 5% → 8%に引き上げ
  ◎2015年10月 ・・ 1年6ヶ月、増税を先送り
  ◎2017年 4月 ・・ 2年6ヶ月、増税を先送り
─────────────────────────────
 安倍首相の経済政策であるアベノミクスには大きな問題があり
ますが、財務省と対立し、2回にわたって増税を先送りしたこと
は評価に値します。もちろん国家財政の状況によっては、増税を
しなければならないことはあります。しかし、消費税の増税だけ
は、絶対にやってはならないのです。増税すべき税は所得税など
他にたくさんあります。
 なぜ、消費税は増税すべきではないのでしょうか。これには、
いくつも理由があります。しかし、為政者から見ると、消費税は
薄く幅広く取ることのできる「美味しい」税金なのです。だから
財務省は国民を洗脳してまでも実現したい税金です。それに、日
本はまだ完全にはデフレの状況を脱していないのです。そのよう
なデフレの状況下で、2回も消費税を引き上げているのです。こ
れでは経済は成長しません。
 世界第2位の経済大国の座は、とっくの昔に中国に奪われ、今
やその規模は3倍にまで拡大しています。日米の経済格差は開く
ばかり、インドや韓国にも追い抜かれつつあります。韓国の文在
寅政権が、「日本何するものぞ」と日本を軽く見るのも経済がま
るで成長していないからです。過去20年間の日本の経済成長率
は、ダントツの世界最下位です。それは日本がデフレから脱却で
きておらず、そのデフレ下で、消費税を何回も上げたことと無関
係ではありません。消費税増税が、経済成長の足を引っ張ってい
るのではないかと思われます。
 そこで、今回のEJのテーマは、消費税を中心に日本の経済政
策にメスを入れようという企画です。
─────────────────────────────
     現在の日本の経済政策は間違っていないか
       ─消費税増税は諸悪の根源である─
─────────────────────────────
 10月1日の夕方、れいわ新撰組、山本太郎代表は、新宿西口
小田急デパート前で、街頭演説をしています。そこには大勢の人
が集まって山本代表の話を真剣に聞いていたのです。そこで山本
太郎代表は、聴衆に次のことを強調しています。そのとき、気に
なる話があります。
─────────────────────────────
 消費税増税で社会保障は充実しない。財政再建も進まない。
 それは、法人税の減税の穴埋めに使われるだけである。
             ──れいわ新撰組/山本太郎代表
─────────────────────────────
 この指摘は新鮮です。本当であれば、とんでもない話です。実
は増税分のほんの一部しか社会保障には回らないのです。8%を
10%にすることによって国には約5・5兆円入ってきますが、
その使い道について、政府は次のように決めています。
─────────────────────────────
    1.借金(国債)の返済 ・・ 約2・8兆円
    2.教育・子育ての充実 ・・ 約1・7兆円
    3.  社会保障の充実 ・・ 約1・0兆円
      ───────────────────
                   約5・5兆円
─────────────────────────────
 安倍政権は、教育無償化を声高らかに宣言していますが、その
財源には1・7兆円、その他の社会保障に回るのは、たったの1
兆円でしかないのです。実に入ってくる税収の半分以上の2・8
兆円が国債の返還、つまり借金の返済に回るのです。これが最大
の問題であるといえます。
 財務省は、これまで20〜30年以上もかけて、「日本の借金
はGDPの2倍以上」もあり、財政健全化を図らないと、大変な
ことになると、メディアをコントロールするなど、あらゆる手段
を講じて、国民を洗脳してきています。
 しかし、この考え方は、根本から間違っています。なぜ、消費
税の増税はだめなのかについて、明日から検討していきたいと考
えています。      ──[消費税増税を考える/001]

≪画像および関連情報≫
 ●選択肢は社会保障を維持するかどうか/時事オピニオン
  ───────────────────────────
   2010年7月、参議院選挙の際に自由民主党が「消費税
  10%への引き上げ」を公約に掲げ、民主党の44議席を上
  回る51議席を獲得するなど、「消費税10%」は現実味を
  帯びてきた。では、そもそも消費税の増税はなぜ10%にす
  る必要があるのか?
   まず、初めに押さえておきたいのは日本の人口構成の推移
  だ。日本は現時点でも高齢者(65歳以上)の割合が世界で
  一番多い国となっていて、しかも高齢化率(人口に占める高
  齢者の割合)のスピードも、かつてどの先進国も経験したこ
  とのない速さで進んでいる。そのため、医療や介護や年金と
  いった社会保障の分野において、国の負担は増え続けること
  になる。
   そこで、政府の「社会保障国民会議」がさまざまなシミュ
  レーションを行い、医療と介護と年金において現在の社会保
  障の水準を維持するには、2025年度までに消費税を10
  %にする必要があることを08年11月の「最終報告」で公
  表した。内訳は、基礎年金で1%弱(現在の社会保険方式が
  前提)、医療と介護で4%弱、少子化対策で0・4〜0・6
  %程度で、合計5%程度。現在の消費税が5%なので合計で
  10%になる。これが10%という数字の根拠である。つま
  り、いま私たちには、大きく次の2つの選択肢がある。「社
  会保障は維持できなくても、このまま消費税を上げないでほ
  しい」か「少なくとも現在くらいの社会保障は維持してほし
  い」か、である。        https://bit.ly/30MRc3M
  ───────────────────────────

10月1日/れいわ新撰組山本太郎氏.jpg
10月1日/れいわ新撰組山本太郎氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月08日

●「消費増税は法人税減税の穴埋めか」(EJ第5104号)

 れいわ新撰組の山本太郎代表は、「消費税の税収は、法人税減
税の穴埋めに使われている」と訴えています。山本太郎代表は、
何を根拠にそう主張しているのでしょうか。山本代表の10月1
日の次の動画を参照にまず、この問題から入ることにします。
─────────────────────────────
      「増税!空気を読め!/消費税廃止」
       山本太郎(れいわ新選組代表)街頭演説会
          東京・新宿駅西口小田急デパート前
               https://bit.ly/2om46ZB
─────────────────────────────
 消費税3%が導入されたのは、1989年のことです。それ以
来3回の税率アップがあって10%になっています。山本代表は
1989年から2016年までの消費税による税収累計額と、そ
の間、何回か法人税減税があったわけですが、その法人税の税収
減少額とを比較しています。山本代表が街頭演説で使っているグ
ラフは、添付ファイルにしてありますが、ここでは、数字によっ
て比較します。
─────────────────────────────
   ◎1989年からの消費税収と法人税収の減少額
       消費税税収累計 ・・ 263・0兆円
      法人税減少額累計 ・・ 192・5兆円
─────────────────────────────
 山本代表は「消費税税収の73%が、法人税収の減少分に割り
当てられている」と主張しています。もし、本当であれば、これ
は、とんでもないことです。多くの人は、消費税増税は、社会保
障を充実させ、国の借金の返済のためだと考えているからです。
 しかし、この意見には疑問を持つ人が多いと思いますし、そう
かといって、間違っているともいえないところがあります。政府
としては、法人税を下げることによって、多くの外国企業が日本
に進出し、日本にお金を落とすことによる増収もあると反論する
はずです。しかし、お金に色はついていないので、国民からみる
と、入ってくる税金が、本当のところ、何に使われているか、必
ずしも明確ではない。だから、政府は「法人税の減少を消費税で
カバーしているわけではない」と反論できます。
 しかし、調べてみると、消費税の導入とその税率引き上げの時
期は、奇妙なほど法人税の減税の時期と一致しています。この事
実を知ると、山本太郎代表の主張していることが、信憑性を帯び
てくるのです。
─────────────────────────────
 ◎1989年/消費税3%を導入
  1989年/法人税42%から40%に引き下げ
  1990年/法人税40%から37・5%に引き下げ
 ◎1997年/消費税3%から5%に増税
  1998年/法人税37・5%から34・5%に引き下げ
  1999年/法人税34・5%から30・0%に引き下げ
  2012年/法人税30・0%から25・5%に引き下げ
 ◎2014年/消費税5%から8%に増税
  2014%/復興特別法人税の前倒し廃止
  2015年/法人税25・5%から23・9%に引き下げ
  2016年/法人税23・9%から23・4%に引き下げ
  2018年/法人税23・4%から23・2%に引き下げ
 ◎2019年/消費税8%から10%に増税
                  https://bit.ly/30SVmHw ─────────────────────────────
 この事実を突き付けられると、法人税の減税分が消費税による
税収増でカバーされているという山本代表の主張を「そんなバカ
な」とはいえなくなります。
 ところで、今回の消費税の8%から10%の引き上げについて
国民はどのように考えているでしょうか。
 日本経済新聞社とテレビ東京が、9月11〜12日に実施した
調査によると、次のようになっています。
─────────────────────────────
  消費税率10%への引き上げに賛成 ・・・・ 52%
  消費税率10%への引き上げに反対 ・・・・ 42%
             https://s.nikkei.com/2VjlASd ─────────────────────────────
 なんと「賛成」が50%を超えています。消費税10%への引
き上げについて多くの調査が行われてきましたが、「賛成」が5
割を超えたことは、はじめてのことです。政府の洗脳が効果を上
げてきた証拠です。その結果、多くの国民が、「社会保障を支え
るためなら、増税もやむなし」と考えつつあります。しかし、今
後膨張する社会保障の財源として消費税をあてることになると、
今後消費税率が、20%、30%とうなぎ上りにアップすること
は必至です。これについて、安倍政権の広報機関といわれる読売
新聞(オンライン)は、次のように書いています。
─────────────────────────────
 少子高齢化の進展に合わせて社会保障費は着実に増えていく。
これを支えるには、毎年安定した税収が見込める税が望ましい。
だが、法人税は、企業業績の浮き沈みによって増減する。所得税
も賃金や雇用に連動するため、景気が悪化すれば大きく減る。こ
うした税に比べて、消費税には税収が景気に左右されにくい特長
がある。生活を維持するため、一定の消費が必要だからだ。消費
税は公平性も高い。所得税は、働く現役世代を中心に課税するの
に対し、高齢者を含め商品やサービスを購入する人から幅広く徴
収するためだ。安倍内閣は、現役世代への支援を手厚くする「全
世代型社会保障」の実現を主要政策に掲げている。負担を現役世
代にしわ寄せしないためにも、消費税の活用が重要である。
                  https://bit.ly/2LNXWKA ─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/002]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税廃止が野党とこの国に残された唯一の活路
  ───────────────────────────
   「『憲法の重要性』とか『立憲主義』みたいな話って、多
  くの方には残念ながら、響かないと思うんですよね。目の前
  の生活でそれどころじゃない。今月を乗り切れるかどうか。
  それなら野党は、こうやって皆さんの暮らしを楽にします、
  と提案できなきゃ。第二次安倍政権が誕生してから、野党が
  今日まで負け続けてきた理由は、経済政策が弱すぎたこと。
  そこに尽きると思う。
   なぜなら、例えば与野党が安保法制や特定秘密保護法で激
  しく対立した時、世論調査では『自民党ちょっとやり過ぎだ
  よね』という答えが圧倒的に多かったわけです。そんなこと
  が何度もあったにもかかわらず、6年間の間に、5回選挙を
  やって、すべて野党は負けたわけですよね。その現実と向き
  合わなきゃならないですよ。
   理由は何か。野党はよく財政再建、財政規律と言いますよ
  ね。ですが、それを実際にやろうとすると何が起こるか、と
  言ったら、財政カットと増税がセットになるわけです。要す
  るに、『我々が勝ったら、今より生活が苦しくなります』と
  国民に宣言しているようなものですよね。20年以上もデフ
  レが続くこの状況でそんなことをやったら、本当にこの国は
  壊れてしまう。そういう民意に野党が寄り沿わないのは、ち
  ょっとあまりにも状況が飲み込めていないんじゃないでしょ
  うか」この男、左なのか右なのか。その言動は本気なのか、
  パフォーマンスに過ぎないのか。一般国民に寄り添う庶民派
  なのか、それともポピュリストか――。いま日本政界でもっ
  とも毀誉褒貶の激しい政治家、それが山本太郎だろう。
           時任兼作氏/ https://bit.ly/2Rr5FiU
  ───────────────────────────

1989年からの消費税収と法人税収の減少額.jpg
1989年からの消費税収と法人税収の減少額

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月09日

●「消費増税で高額所得者を潤わせる」(EJ第5105号)

 今回のテーマは、いつかは取り上げようと考えていたのですが
情報が徹底的に不足していました。ところが、今年に入って、安
倍内閣が、10月1日から予定通り消費税率の10%引き上げを
決断した思われる状況になって、急に消費税関連の本が多数出版
されるようになったのです。
 著者は、元内閣府官房参与からはじまって、元財務省官僚出身
の作家、元国税庁調査官、経済アナリスト、元国税庁出身で、政
府税制調査会特別委員など、プロばかり。私は、それらの本のほ
とんどを入手し、ていねいに読みこなした結果、そのからくりの
全貌がわかってきました。
 メディアは知っていて沈黙していますが、国民を愚弄するとん
でもないからくりです。多くの人は、そのからくりに気が付いて
いないし、完全に騙されています。
 といっても、安倍内閣は、そのスタート時点(2012年12
月)で、既に「社会保障と税の一体改革」の与野党合意はできて
おり、法律になっていました。つまり、安倍内閣はその実行だけ
を託されたことになります。これは、野田佳彦首相と谷垣禎一自
民党総裁(当時)が組んで、与野党で合意して成立させた法律で
す。2人とも財務大臣の経験者です。したがって、その目的は、
「財政の健全化」であって、「社会保障」ではない。だから「税
と社会保障の一体改革」と、「社会保障」と「税」を逆にして呼
ばれるようになっています。「社会保障と税の一体改革」──こ
れが正しいのです。
 本来であれば、2015年10月に10%に引き上げる予定で
したが、安倍内閣は2度にわたり、先送りしたので、4年遅れて
10%になっています。これについて、既に政界を引退している
谷垣禎一氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍首相は消費増税には警戒的だったし、14年4月に5%か
ら8%に上げたときに苦労された。私と首相との間には経済の見
方や消費税の果すべき役割に関する考えに若干の違いがあった。
それぞれの持つ経済観や財政観が完全に一致しているわけではな
いのが政治だ。それよりも、ここまできたことを喜ぶということ
だろう。             ──谷垣禎一元自民党総裁
       2019年10月2日付、日本経済新聞朝刊より
─────────────────────────────
 ところで、安倍首相自身は、本当に税制に通じているのでしょ
うか。安倍首相は第1次政権で「消えた年金」で苦労したことも
あり、年金には詳しいですが、税制は詳しいとは思えません。税
制を中心にすべてを仕切っているのは財務省です。もっとも現在
の麻生財務相はわかっているとは思えませんが・・・。この人は
知ったかぶりをするだけの人物です。
 つねづね不思議に思っていることがあります。安倍首相が予定
の増税を延期するたびに、経団連の会長がそれを「財政再建が心
配である」などと批判していることです。一人例外はいましたが
そのことにはあえて言及しないことにします。増税は、大企業に
とってもマイナスであり、延期されれば助かるばずなのに、なぜ
批判するのかと思ったものです。
 しかし、昨日のEJで述べたように、消費税の導入や税率が上
がるときには、法人税の減税が行われていますが、それだけでは
なく、所得税の減税も行われているのです。しかし、減税で潤っ
たのは、高額所得者だけです。したがって、多くの人は、所得税
の減税のことは知りません。経団連などの大企業のトップは高額
所得者ですから、彼らは企業と自分自身に対する二重の減税の恩
典にあずかっているわけです。だから、増税が延期されると、不
満を漏らすのです。これが一つのからくりです。
 所得税の税収は、1991年には26・7兆円以上あったので
す。それが2018年には19兆円になっています。7・7兆円
減少しています。一方、法人税は、消費税が導入された1989
年には19兆円あったのですが、2018年には12兆円に減っ
ています。7兆円の減少です。1991年から2020年までの
約30年の間に所得税と法人税の税収は、14・7兆円も減って
います。つまり、消費税の税収の大半は、所得税と法人税の減税
の穴埋めで使われているのです。
 その減少分は、大企業と、そのトップを含む高額所得者(安倍
首相も麻生財務相も入る)たちをたっぷりと潤していることにな
ります。まだあります。大企業は、法人税減税で潤った分を社員
に分配せず、内部留保として貯め込んでいます。2017年度の
法人企業統計によると、企業の「利益剰余金」、いわゆる「内部
留保」は446兆4844億円と、前年度比9・9%増え、過去
最高になっています。増加は6年連続ですが、9・9%増という
伸び率はこの6年間で最も高いのです。いいですか、500兆円
ですよ!日本のGDPの一年分に匹敵します。これでは、社会保
障などに回せるお金はごくわずかになるのは当然です。
 米国では、景気対策といえば「減税」ですが、高額所得者は別
として、日本政府は絶対に減税はしません。そのとき、減税でき
ない理由として財務省がいうのは「日本は財政が厳しいから」で
す。ほとんどの国民はそう思っていますが、これは財務省の長年
によるメディアを巻き込んだプロパガンダの成果といえます。こ
れについては、改めて詳しく説明しますが、日本の財政は何ら問
題はない。国民は完全に騙されています。信じ難いことに、今回
の消費増税に50%の国民が賛成しています。驚きです。野党は
何をやっているんだといいたいです。一緒になって増税するのを
助けているのか!
 財務省による「消費税=社会保障の財源」の位置付けでは、消
費税の税率はどんどん上昇します。これによって国民はますます
貧しくなり、経済は停滞し、格差社会化が一段と進行します。日
本は消費税の導入によってデフレになり、それが3回にわたって
増税され、20年間デフレは持続し、今後さらに深化します。
            ──[消費税増税を考える/003]

≪画像および関連情報≫
 ●「社会保障のための増税」はまやかしである
  ───────────────────────────
   6月に閣議決定された「骨太の方針2019」は、10月
  の10%への消費税増税を明記。「社会保障に対する安定的
  な財源を確保する」などとしている。しかし「社会保障のた
  めの消費税増税」という議論は、法人税や所得税を減らす分
  を消費税分で置き換えるに過ぎず、まやかしの議論であるこ
  とはこの間の経緯を見ても明らかだ。1989年度から20
  18年度までの消費税収は累計372兆円。一方で、同時期
  の法人税の減収分は累計291兆円となる。消費税収の約8
  割が法人税収の穴埋めに使われたことになる。
   消費税導入時との比較では、現在の税収構造は、減税等に
  より所得税収、法人税収が低下。消費税収が、所得税収に匹
  敵するまでに増えているにもかかわらず、国の税収全体はほ
  とんど増えていない。財務省は2018年度一般会計の決算
  概要を発表。「国の税収はバブル期を超え最高」などと報じ
  られた。しかし、バブル期の1990年度と比べると、基幹
  3税のうち増えたのは消費税だけで、13兆円の増。所得税
  と法人税は、それぞれ6・1兆円減だ。
   第2次安倍内閣発足以来の7年間で、社会保障費は4兆2
  720億円も削減されてきた。さらにこの先も社会保障の給
  付抑制、負担増を実施する計画だ。https://bit.ly/2OvpOVt
  ───────────────────────────

谷垣禎一元自民党幹事長.jpg
谷垣禎一元自民党幹事長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月10日

●「日本の消費税税率は本当に低いか」(EJ第5106号)

 日本の消費税は10%になりましたが、日本人は消費税に関し
て、漠然と次のイメージを持っています。
─────────────────────────────
      日本の消費税の税率は低いほうである
─────────────────────────────
 何となくヨーロッパの国の消費税は「高い」というイメージが
あります。2019年3月現在、消費税が一番高い国は、ハンガ
リーの27%です。以下、23%以上の国をご紹介します。
─────────────────────────────
  1.27% ハンガリー
  2.25% クロアチア、スウェーデン、デンマーク
        ノルウェー
  3.24% アイスランド、ギリシャ、フィンランド
  4.23% アイルランド、ポーランド、ポルトガル
                  https://bit.ly/2AQqCwr ─────────────────────────────
 逆に、消費税の低い国はどこでしょうか。今のところ一番低い
税率は5%です。
─────────────────────────────
  1.  5% 台湾、カナダ、ニウエ
  2.  7% マレーシア、シンガポール、タイ、パナマ
  3.7・5% バハマ、スイス
  4.  8% 日本(10月1日から10%)
                  https://bit.ly/2AQqCwr ─────────────────────────────
 しかし、消費税率だけを比較しても、真の比較にはならないの
です。たとえば、英国は消費税率は20%ですが、食料品の税率
は0%です。また、ドイツは19%ですが、食料品の軽減税率は
7%と日本より低いのです。それに加えて、低所得者に対する社
会保障の充実度の差もあります。したがって、税率だけで比較し
ても意味がないのです。そこで、主要国の消費税率を食料品の軽
減税率をつけて比較してみます。
─────────────────────────────
 ◎主要国の消費税率
      国名    消費税率   食料品の消費税率
    イギリス     20%          0
    フランス     20%       5・5%
    イタリア     22%      4〜10%
     ドイツ     19%         7%
    スペイン     21%      4〜10%
     スイス    7・7%       2・5%
   ノルウェー     25%        15%
  スウェーデン     25%        12%
      日本     10%         8%
                     ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 これを見ると、日本の消費税の場合、税率8%までは、食料品
の軽減税率はなく一律8%であったし、税率を10%に上げる時
点で食料品については、これまでの8%の税率をそのまま適用す
るというザツな制度設計をしています。低所得で、年金暮らしの
高齢者に対して、“優しさ”というものがないのです。しかも、
そういう低所得者から吸い上げた消費税を、法人税の減税や高額
所得者への減税の穴埋めに使って恥じることがない。
 「社会保障と税の一体改革」では、軽減税率を導入することが
条件となっていたのに、7年という年月があったにもかかわらず
ロクに研究もせず、十分な実験もせず、実施間際になって、バタ
バタと複雑なシステムを構築しています。
 しかし、その5%還元のシステムも、中小店舗に絞ったうえ、
何チャラペイによる複雑なシステムを導入し、しかも来年の6月
までの期間限定です。これでは、スマホを持っていないお年寄り
や、持っていたとしても、設定ができない人を切り捨ててしまっ
ています。そこには、“優しさ”のカケラもありません。
 これに関して、元国税調査官の大村大次郎氏は、欧米先進国の
手厚い社会保障制度について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 欧米の先進国では、生活に困る人が出ないような社会保障シス
テムができ上がっている。失業者のいる家庭には、失業扶助制度
というものがあり、失業保険が切れた人や、失業保険に加入して
いなかった人の生活費が補助される。
 この制度はイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、スウェー
デンなどが採用している。たとえばドイツでは、失業手当と生活
保護が連動しており、失業手当をもらえる期間は最長24ヶ月だ
が、もしそれでも職が見つからなければ、社会扶助(生活保護の
ようなもの)が受けられるようになっている。
 また、18歳未満の子供を持つ家庭には別途の手当が支給され
るし、公共職業安定所では、扶養家族がいるものを優先するなど
の配慮がされている。
 他の先進諸国でも、失業手当の支給が切れてもなお職が得られ
ない者は、失業手当とは切り離した政府からの給付が受けられる
制度を持っている。だから、不景気になったり、リストラの嵐が
吹き荒れても、国民は路頭に迷うことがないのだ。
               ──大村大次郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 こういう主張に対し政府は、日本は「高福祉・高負担」を受け
入れていないのだから、ヨーロッパとは違うというと思います。
しかし、そもそも政府自民党は、そういう福祉のあり方について
国民に真剣に提案したことが、かつてあっただろうか。
            ──[消費税増税を考える/004]

≪画像および関連情報≫
 ●異端理論よりもタチが悪い財務官僚の特権意識/田中秀臣氏
  ───────────────────────────
   世界的な経済政策論争の焦点が、「緊縮政策」か「反緊縮
  政策」かという対立にあることは、2008年のリーマンシ
  ョック前後から顕在化していた。日本では、90年代から続
  く長期停滞で、既にこの論争の対立軸に沿った経済政策の是
  非が長い間争われている。今日、話題の中心である消費増税
  を巡る論争も、緊縮と反緊縮の路線対立だといえる。
   日本経済新聞などは、安倍晋三首相が、10月の消費税率
  10%引き上げを決定し、噂される今夏の衆参同日選挙は回
  避の方向で動いていると観測記事を出した。だが、この観測
  が正しいかどうかはもちろんわからない。
   筆者は、嘉悦大の高橋洋一教授と月刊誌『WiLL』(2
  019年7月号)で、消費増税が実施されるか否かについて
  いくつかの政治的シナリオを具体的に提起しながら、対談し
  た。高橋教授も筆者も、一つの可能性として、安倍首相が外
  交的な成果によって支持率を高め、消費増税を延期せずに参
  院選だけを行う可能性を議論した。
   対談はトランプ米大統領の訪日前に収録されたので、その
  ときの外交上の成果は、安倍首相が訪朝して拉致問題などで
  進展を見ることを念頭に置いていた。今日では、イラン訪問
  による米国との仲裁役や6月の20カ国・地域(G20)首
  脳会議(サミット)で議長を務めたことによるイメージアッ
  プが具体的に上げられる。    https://bit.ly/2pN4yAj
  ───────────────────────────

5%還元店舗.jpg
5%還元店舗
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月11日

●「平成は消費税の導入の時代である」(EJ第5107号)

 2019年4月30日に「平成」が終わり、5月1日から「令
和」がはじまっています。テレビでは、さまざまな角度から平成
という時代を振り返っていましたが、平成の時代から消費税がス
タートしたことを強調した番組は少なかったと思います。しかし
経済・財政という観点からみると、消費税は、平成の世からはじ
まったのです。それも自民党の竹下内閣が、強行導入した法律で
す。成立までの流れをメモしておきます。
─────────────────────────────
      大平 正芳首相/1979年 1月
          ・「一般消費税」閣議決定
      中曽根康弘首相/1987年 2月
          ・「売上税」法案国会提出
      竹下  登首相/1988年12月
          ・遂に「消費税法」が成立
─────────────────────────────
 最初に消費税構想を口にしたのは大平正芳首相です。「一般消
費税」として閣議決定をしましたが、評判は最悪で、1979年
10月の総選挙の最中に導入断念を宣言したものの、選挙では大
敗を喫しています。しかし、自民党は、このときから、消費税の
導入を心に誓っていたようです。
 8年後、中曽根康弘首相は、「売上税」と名前を変えて、法案
を国会に提出しています。1987年2月のことです。しかし、
この法案は国民的な猛反対に遭い、同年5月に早々に廃案になっ
ています。
 しかしそれでも自民党はあきらめず、1988年12月に竹下
内閣で消費税法が成立しています。税率は3%。そして、198
8年12月に消費税法は施行されました。施行の直前、竹下首相
が、日本橋の三越本店で、消費税を支払ってネクタイを購入する
パフォーマンスを演じたのを今でも鮮明に覚えています。
 ところで、平成元年(1989年)という年は、どういう年で
あったのでしょうか。
 一言でいうと、バブルの絶頂期だったといえます。1989年
の大納会(証券取引所の年末の最終取引日)において、日経平均
株価は、3万8915円を記録しています。当時の世界企業時価
総額ランキングでは、上位50社中32社を日本企業が占め、日
本経済は「わが世の春」を謳歌していたのです。
 それが2019年のランキングでは、50社中43位にトヨタ
自動車が入っているのみのたったの1社になっています。これは
日本経済のかじ取りを誤ったとしかいいようがないです。
 変化が起きたのは1990年1月からです。1990年の大発
会(証券取引所の年始の最初の取引日)で、株価が全面安になっ
たのです。この異変に日本経済の担い手である霞が関の官僚、自
民党の政治家、そして経団連の大企業は、何が起きたか、まるで
理解できていなかったのです。
 それから、約30年、日本経済は低迷したままです。日本経済
は、深刻なデフレに陥り、令和の時代が始まっても、デフレから
完全に脱却できていない。はじめのうちは「失われた10年」と
いっていましたが、それはやがて「失われた20年」といわれる
ようになり、ついに何もいわなくなっています。「失われた30
年」はさすがに恥ずかしいからです。
 そんなデフレのなかにあって、消費税の税率は3回も引き上げ
られています。明らかな経済運営の大失敗です。1997年4月
に橋本龍太郎首相は、3%の消費税を5%に引き上げましたが、
増税は自らが決めたものではなく、村山政権からの引き継ぎだっ
たのです。当時は、自民・社会・さきがけ政権(自社さ政権)で
あり、野党との連立政権であったのです。
 その村山富市首相(社会党)のもとで、3%から5%の引き上
げが決められており、次の橋本政権にその実行が託されていたの
です。これは、自民党と民主党が組んで決めた「社会保障と税の
一体改革」の実現が、安倍政権に託されたのと同じ構図です。不
思議なことに、増税にはなぜか野党が一枚加わっています。これ
は野党のイメージをすこぶる悪くしています。
 ひどかったのは、1997年4月の橋本政権による消費税3%
〜5%への引き上げです。何が起きたかについては、中央大学名
誉教授、富岡幸雄氏の著書から引用します。
─────────────────────────────
 この引き上げが日本経済に与えたダメージは大きく、折からの
アジア通貨危機も重なり、きわめて深刻な事態を引き起こしまし
た。不良債権の処理を先送りにしていたツケが回り、北海道拓殖
銀行が破綻、山一証券が自主廃業を余儀なくされるなど、潰れる
ことはにないいわれた名門企業が破綻しました。バブル崩壊と消
費税のダブルパンチにより、日本経済はデフレによる不況という
「深い谷底」に突き落されたのです。「失われた10年」は、い
つしか「失われた20年」となり、結局は平成の30年間、日本
は停滞どころか、没落の道を歩みつづけました。
 1990年以前の30年間、先進6ヶ国(米国、西ドイツ、日
本、フランス、英国、イタリア)の中で、最も高かった国民1人
当りの国内総生産(GDP)の伸び率は、90年以降、6ヶ国中
の5位に転落。日本より下にはイタリアしかいなくなりました。
                      ──富岡幸雄著
        『消費税が国を滅ぼす』/文春新書/1233
─────────────────────────────
 デフレが持続しているのに増税をする──これは、絶対にやっ
てはならない禁じ手です。まして、消費税の増税は絶対にやって
はならないのです。それを日本政府は3回もやっているのです。
これではデフレからは脱却できません。なぜなら、消費税の増税
は、経済を疲弊させ、デフレを深化させる「経済の厄病神」だか
らです。なぜ、消費税が経済の厄病神なのかについて、来週から
のEJで明らかにしていきます。
            ──[消費税増税を考える/005]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税10%へ綱渡り 貿易戦争の影
  ───────────────────────────
   米中の貿易戦争という景気への逆風が吹く中で10月に消
  費税率が10%に上がる。バラマキ色が強い対策で景気と参
  院選という剣が峰を乗り越えて増税にこぎつけ、さらに「ポ
  スト10%」の議論も進めて超高齢社会を乗り切る算段を立
  てられるか。
   「8%から10%に2%引き上げる予定です」。昨年10
  月15日、安倍晋三首相は臨時閣議で消費増税対策の検討を
  指示した。その数日前に首相官邸内で詰めた首相発言の原案
  には「予定」の2文字はなかった。「『引き上げる予定』が
  いいんじゃないか」。首相との打ち合わせが終わった後にも
  かかわらず、官邸で影響力のある高官の一存で付け加えられ
  たのだ。財務省など霞が関の官僚には「官邸はまだ見送りの
  余地が残したいのか」と衝撃が広がった。財務省幹部は「歳
  出をケチらずに、増税の環境整備のためにやれることはなん
  でもやれという意味だろう」と受け止めた。景気の腰折れは
  政権運営に直結する。14年4月に消費税率を8%に引き上
  げた後は急激に消費が落ち込んだ。これを経験した首相はそ
  の後に2度の増税延期を決断した。政府内では増税対策が急
  ピッチに進んだ。財務省の太田充主計局長らは「効果がある
  対策はなんでもやる」とカジを切った。
               https://s.nikkei.com/2IFscpc
  ───────────────────────────
 ●添付ファイルの図出典/https://s.nikkei.com/2IFscpc

予算のバラマキ、景気に影を落とす貿易戦争.jpg
予算のバラマキ、景気に影を落とす貿易戦争
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月15日

●「消費税最大の欠陥は逆進性である」(EJ第5108号)

 消費税といえば何といってもヨーロッパです。消費税というア
イデアは、1953年にフランス財務省の官僚であるモーリス・
ローレという人が考え出したものです。一方、米国には、合衆国
全体としては消費税という制度はないのです。
 フランスなどヨーロッパの国々は国土は比較的小さく、陸続き
ですから、人の移動が頻繁に行われます。日本でいえば、東京か
ら大阪に出掛けるような感覚で、ヨーロッパの国の人々は気軽に
外国に出掛けて行きます。
 こういうヨーロッパの国の場合、EUができる以前は、あまり
高い直接税(例えば所得税)をかけると、人々が外国に逃げてし
まい、どうしても徴税漏れが多くなります。もし、直接税が安い
国があると、そこに移住してしまうこともあるのです。そこで消
費に税金をかける消費税が考え出されたものと思われます。
 これに対して米国は直接税中心の国です。その国土は広く、国
内からは簡単に逃げられません。たとえ税金を支払わないで、ど
の州に逃げても、どこまでも追い掛けて税を徴収できます。しか
し、米国の場合、州ごとに税率が異なる「売上税」という間接税
が存在します。
 ヨーロッパの消費税について、元財務官僚で、嘉悦大学教授の
高橋洋一氏は、フランスの消費税について、次のような独特の見
解を述べています。
─────────────────────────────
 フランスで消費税が考案された理由には、フランス人がプライ
バシーを重視することも影響しているかもしれません。所得税は
いわば個人の懐に入り込む税制です。国家がプライバシーに介入
しないように考案された可能性もあります。
 増税派のなかには「ヨーロッパは高福祉にするために消費税率
を高くしている」という人がいますが、もともと消費税は福祉目
的とは何の関係がありません。消費税は目的税ではなく、一般財
源です。                  ──高橋洋一著
     『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書/1174
─────────────────────────────
 消費税の最大の欠陥は「逆進性」にあるといわれます。ところ
で、「逆進性」とは何でしょうか。
 日本の税金は「累進税」です。所得が多い人ほど税負担が重く
なるようになっています。「たくさん稼いでいる人、すなわち所
得が多い人からは、たくさん税金を払ってもらう」というのが累
進税です。これはきわめて合理的です。
 これに対して消費税は「逆進税」です。所得が多い人ほど税負
担が軽くなる税金です。これを「逆進性が強い」というのです。
 年収5000万円の人がいます。仮に年間1000万円消費す
るとします。残りの金額は貯蓄や投資に回せます。10%の消費
税がかかると、消費税額は年間100万円。収入に対して負担し
ている消費税の割合は2%です。
 一方、200万円の所得の人がいます。年間200万円では、
貯蓄する余裕はないので、収入するほぼ全額が消費に回ると考え
られます。そうすると、年間の消費額は200万円、消費税額は
年間20万円、収入に対する税負担は10%です。そうすると、
次のように収入が低いほど、税負担は重くなります。
─────────────────────────────
   年収5000万円 ・・・ 消費税負担 → 2%
   年収 200万円 ・・・ 消費税負担 →10%
─────────────────────────────
 これが消費税の逆進性です。貯蓄する余裕がないので、収入の
ほとんどを消費、それも食料品の購入に充てることになります。
そういう消費を狙ってかける税金が消費税です。これについて、
元国税調査官の大村大次郎氏は、消費税の逆進性について次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 税金には本来、所得の再分配の機能がある。所得の高い人から
多くの税金をとり、所得の少ない人に分配する、という機能であ
る。経済社会の中で生じたさまざまな矛盾を、それで是正しよう
ということだ。でも消費税は、所得の再分配と、まったく逆の機
能となっている。もし消費税が税収の柱になっていけば、お金持
ちはどんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になる。
 これは、単なる理論的なことだけではない。実際「格差社会」
という言葉が使われはじめたのは、消費税が導入されてからであ
る。消費税と格差社会は時代的にまったくリンクしているのだ。
消費税が導入される前は日本は一億総中流社会と言われていた。
国民全部が、自分たちのことを中流階級だと思っでいたわけだ。
 つまり貧しい人がいなかったということだ。格差が広がったの
は、消費税が導入されてからなのである。  ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 日本は世界第3位の経済大国です。しかし、所得格差のレベル
は、先進国でワースト8位です。いつのまにか格差社会になって
しまったのです。確かに、大村大次郎氏の指摘するように「日本
は格差社会である」といわれるようになったのは、消費税導入の
時期と一致します。
 橋本健二著の『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)によ
ると、「格差社会」という言葉が日本社会を表現する言葉として
使われたのは、1988年11月19日付の朝日新聞社説「『格
差社会』でいいのか」からであり、その直後の1988年12月
に消費税法が成立しています。
 逆進性の強い消費税を導入し、それに加えて法人税の減税と高
額所得者への所得税の減税を続ければ大村氏のいう「お金持ちは
どんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になる」こと
により、格差社会になるのは必然です。
            ──[消費税増税を考える/006]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税の逆進性を考える/大竹文雄の経済脳を鍛える
  ───────────────────────────
   国会で消費税増税が議論されている。野田佳彦首相は、消
  費増税に「政治生命をかける」としている。その割に、消費
  税に関する議論は建設的ではないように感じてしまう。増税
  は不可避のもとで、消費税なのか所得税なのか、という議論
  があれば、もう少し変わるのではないだろうか。消費税を否
  定する際の最大の根拠は、所得税は累進的だが、消費税は逆
  進的だというものだ。このことをもう少し考えてみよう。
   正確には、所得税は累進的にできるが、消費税は逆進的に
  しか課税できない、というべきであろう。所得に課税する場
  合であっても、比例的あるいは逆進的に課税されている場合
  もある。例えば、社会保険料はその例である。基本的に定率
  で課されている上、社会保険料には負担の上限もある。その
  ため、所得に対する社会保険料の支払額は逆進的になる。し
  かし、所得税は、通常、課税最低限がある上、限界税率が所
  得とともに上昇するので、所得に対する所得税負担率の比率
  である平均税率は上昇していく。
   これに対して、消費税は逆進的だと言われる。所得に対す
  る消費の比率である平均消費性向が、所得が低いほど高く、
  所得が高くなるにしたがって小さくなっていくという特徴が
  あるからだ。低所得者であっても生きていくためには消費を
  せざるを得ず、その消費に税金がかけられる。高所得者は、
  その所得の一部しか消費しなくても生きていけるのに、多額
  の貯蓄には課税されなくてすむ。なるほど消費税は逆進的で
  不公平に見える。        https://bit.ly/2Vxydte
  ───────────────────────────

嘉悦大学教授/高橋洋一氏.jpg
嘉悦大学教授/高橋洋一氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary