2019年10月01日

●「韓国のデモに異変が出てきている」(EJ第5099号)

 韓国では、相変わらず毎日のようにデモが行われています。し
かし、現在では反日デモはなりを潜め、「文在寅辞めろ!」のデ
モが拡大しています。それは、直接的にはチョ・グク法相の一連
のスキャンダルや、韓国経済の危機的状況による文在寅政権への
批判が高まっているためですが、韓国国民は、文在寅大統領が最
近口にしはじめた次の言葉に不安を感じ始めたのです。
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 平和統一こそ経済大国の近道。2032年に「ソウル/平壌
 五輪/45年に1つの国、ワン・コリア」へ
       ──8月15日光復節での文在寅大統領の演説
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 つまり、文在寅政権による北朝鮮主導の赤化統一への警戒が強
くなっているのです。しかし、文政権はメディア統制を強めてお
り、この動きが拡大しないようコントロールしています。
 それにしても2018年から現在にかけて韓国が日本に対して
行ってきている行動は、日本人には理解しがたいことがあまりに
も多いです。これについては、以前のEJでも述べましたが、そ
の原因について、作家で、数学者の藤原正彦氏が、「中国への卑
屈、日本への軽蔑」と題して、次のような見事な筆致で述べてい
るので、その一部を引用します。
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 2000年にわたる中国の支配下で、朝鮮の人々の意識に刷り
込まれていったのが「華夷秩序」という考え方でした。これは、
中国こそが優れた文明を持つ世界の中心(華)であり、その世界
から外れた周辺の異民族を夷狄(蛮族)とみなすものです。「華
夷秩序」に則れば、本来は朝鮮民族は夷狄ですが、朝鮮は中国の
冊封下に入って、属国として礼を尽くしていたため、「中華」の
一員として認められていました。朝鮮は小中華としての「誇り」
を持っていたのです。
 ただ、小中華としての朝鮮が大中華である中国を凌駕すること
はあり得ないため、必然的に朝鮮の人々は、大国に対しての「卑
屈」を感じることになります。その心理的ストレスを解消しよう
と、中華の外にある日本を蛮族として「軽蔑」することで、心の
均衡を保ってきたのです。優越感をプラス、劣等感をマイナスと
すると、大体どの人も両方を足すと0になるようになっているの
です。中国に対する「卑屈」と日本に対する「軽蔑」。この2つ
の感情が常にセットとなり、長い歳月にわたって朝鮮の人々の精
神的支柱として存在してきました。
      ──『文藝春秋』10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
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 藤原正彦氏は、上記の「中国に対する『卑屈』と日本に対する
『軽蔑』」の例として、韓国における米軍のTHAAD(地上配
備型ミサイル迎撃システム)配備を上げています。THAAD設
置の場所を提供したロッテグループに対し、中国は徹底的な不買
運動、韓国ツァーの全面中止など、今の韓国が日本にやっている
のと同じようなことを中国は韓国に対して行い、ロッテを中国か
ら、遂に追い出してしまっています。また、現代自動車も北京工
場の一つが閉鎖に追い込まれています。
 それにもかかわらず、そのとき韓国では、中国を非難するデモ
は一切起きていないのです。「華夷秩序」上では、目上である中
国からの圧力は仕方がないと考えるからです。しかし、それが目
下(と朝鮮人は思っている)の日本が何か韓国に不利益なことを
すると、信じられないほど執拗に、延々とデモや不買運動が起き
るのです。日本は蛮族ですから、何をしてもよいと考えているの
でしょうか。「華夷秩序」の論理ではそうなるのです。
 もちろん国民全般がそのように考えて、デモや不買運動を起こ
しているのではなく、すべて官制のデモです。青瓦台が指揮して
やらせているのです。当然メディアもコントロールし、他国にそ
ういう不利益な情報が流れないようにしています。こうなると、
韓国はもはや民主主義国とはいえなくなります。
 その韓国において、『反日種族主義』(添付ファイル)という
本がベストセラーになっています。李栄薫(イ・ヨンフン)ソウ
ル大学名誉教授ら6人の学者の共著である同書のテーマは、「歴
史問題に関する嘘や無知、誤解に基づく韓国の『反日』は、未発
達な精神文化の表れであり、これを克服しなければ韓国社会の発
展はない」というものです。よくぞいってくれたという本です。
日本語版も出るようなので、読んでみたいと思います。
 こういう本が堂々と出版される韓国は、中国よりはよほどマシ
ですが、政治の上層部にはまるで効いていない。現在、スキャン
ダルを重ねているチョ・クグ氏がこの本を読み、次のように感想
を述べたことをテレビで知りました。
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 『反日種族主義』を読んだが、ウソをウソで塗り固めていて
 吐き気をもよおした。         ──チョ・グク氏
─────────────────────────────
 このような本が出ても、小さいときから「反日教育」で刷り込
まれてきているので、受け付けないのです。しかし、一般人であ
れば別として、チョ・グク氏は名門ソウル大学の教授であり、物
事を客観的に判断できるはずの学者です。しかも、データは豊富
にあり、それらを分析できる能力があるはずです。それによって
真実が見えないはずがないのです。
 例えば、竹島が韓国の領土ではないことなどは、学者であれば
それも紹介されているように、彼が途方もなく優れた学者である
ならば、客観的にデータを見ればわかるはずです。それでも国の
ために、政治的にそのようにはみないことにしているのかもしれ
ません。だから、この国では、『反日種族主義』のように、真実
を記述した本が出たとしても、青瓦台は平然とそれを否定して反
日政策を続けるのです。このままでは、韓国は危険な状態に陥っ
てしまうはずです。     ──[中国経済の真実/098]

≪画像および関連情報≫
 ●「この国は嘘つきの天国」韓国ベストセラー本の中身
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  <今の韓国社会の雰囲気とは真逆を行く書籍、『反日種族主
  義』だが、韓国の書店でベストセラーになっている>
   日本でも注目されている韓国のベストセラー本『反日種族
  主義』が、引き続き売れている。ソウルにいるデイリーNK
  ジャパン記者によれば、ソウル市中心部の大型書店で今週も
  総合ランキング1位である。
   李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学名誉教授ら、6人の学
  者の共著である同書のテーマをざっくり言うと、「歴史問題
  に関する嘘や無知、誤解に基づく韓国の『反日』は、未発達
  な精神文化の表れであり、これを克服しなければ韓国社会の
  発展はない」というものだ。
   最近の韓国社会の雰囲気とは真逆に置かれる内容だが、否
  定派も含め、同書を手に取る人が圧倒的に多いのも韓国社会
  の現実なのだ。日韓関係の悪化を受けて、歴史関係の書籍が
  全体的に売れているというが、同書に追随する本は見当たら
  ない。ただ、前出のデイリーNKジャパン記者によれば、同
  書が売れに売れながらも、その内容に基づく「大論争」が始
  まる気配はまだ見えないという。同書は従軍慰安婦、徴用工
  日韓併合などについて韓国の「常識」に強烈に異を唱えてい
  るわけだから、その内容を受け入れられない学者や運動家は
  ひとつひとつ根拠を挙げて論駁しなければならない。そうす
  れば、同書にも誤りがあることが判明するかもしれない。
                  https://bit.ly/2oeDrxp
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「反日種族主義」韓国書店第1位.jpg
「反日種族主義」韓国書店第1位
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2019年10月02日

●「文在寅では韓国が地球から消える」(EJ第5100号)

 既にご紹介している『文藝春秋』10月号「総力特集/日韓断
絶」には、「韓国高官X」なる人物が登場し、作家の麻生幾氏と
対談しています。高官といってもいろいろあるので、もう少し正
確にいうと、次のようになります。
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 韓国大統領直属の情報機関「国家情報院」のエリート情報部
 員として、長年、対日関係の最前線で活躍してきている。こ
 れまで、日韓関係が悪化するとき、X氏はその中心にいて解
 決に尽力してきている人物。現職かOBかは、本人の身の安
 全上明らかにできない。
 ──『文藝春秋』2019年10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
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 このX氏いわく「文在寅では大韓民国が地球から消える」と心
配しています。このX氏が訴える韓国文在寅政権の内情は、驚く
べきものであり、一読の価値があります。『文藝春秋』は、現在
でも購入可能であるので、興味のある方は一読されることをお勧
めします。EJでは、残念ながら、その一部しかお伝えすること
ができないからです。
 朴槿恵政権は、最初のうちこそ、日本と対話することに頑なで
あったものの、オバマ米大統領の仲介もあって、当時最大の問題
であった慰安婦問題について日本と韓国は協議を重ね、遂に解決
へと導いたのです。これは、安倍政権と朴槿恵政権の最大の業績
といえるものです。積年の課題を解決したからです。それを文在
寅政権は、完全に破壊してしまったのです。これについて、高官
X氏は次のように述べています。
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 バク・クネ大統領時代に、慰安婦問題の合意に尽力した者たち
の多くは、優秀で一流だった。しかし、ムン政権になって、積弊
(過去の積もりに積もった弊害)という名の下、多数の職員が逮
捕され、取り調べを受け、辞職を余儀なくされた。
 国情院の誰もが、ムン政権に逆らえない。逆らえば、ムン政権
が密かに「査定対象者」と指定した上で、これもまた人事という
恐怖感で呪縛している司法機関に通告し、あらぬ疑惑を捏造し、
簡単に逮捕してしまうからだ。現在のムン政権とは、政府職員を
恐怖で縛り付けることが常態化している、つまり独裁国家と同じ
なのだ。        ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 文大統領は、司法に自分の腹心を送り込み、司法をコントロー
ルしようとしています。徴用工判決もこの工作によって出された
ものであり、文政権はそれに深く関わっています。文大統領は、
GSOMIAを就任時点から、何とか破棄すべく考えていたとい
われます。もし、GSOMIAの破棄に成功すると、北朝鮮と中
国に大きな貸しをつくることができるからです。
 文大統領は、就任早々、国情院に対し、次の命令を出している
ことがわかっています。
─────────────────────────────
 日本政府機関に対しては、北朝鮮に関する一切の情報を提供
 してはならない。提供するのは、北朝鮮のミサイル発射情報
 に関する数値的データのみでいい。   ──文在寅大統領
            ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 なんのことはない。拉致に関する情報は日本に提供するなと、
韓国の大統領自身が国情院に命令しているのです。GSOMIA
が締結されたのは、2016年11月のことですが、これによっ
て衝撃を受けたのは、中国です。そして2017年11月に文在
寅政権に対し、「三不一限」を約束させています。「三不一限」
とは、次の3つの約束です。
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 ◎「三不一限」
  1.米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらないこと
  2.韓米日安保協力を軍事同盟に発展させてはならない
  3.THAAD(サード)の追加配備には拒否を貫くこと
─────────────────────────────
 もしかすると、徴用工判決からはじまり、慰安婦合意の破棄、
レーダー照射事件などの韓国の一連の不可解な日本に対する対応
は、GSOMIAを破棄するための工作だった可能性すらあるの
です。しかし、文大統領は、GSOMIAがいかに韓国の安全保
障上重要であるかがまるでわかっていないようです。韓国高官X
氏は、GSOMIAの破棄について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ジーソミア破棄で(韓国)国民が覚悟を持たなければならない
ことは、同盟国を守るためにアメリカが作成し、運用していた安
全保障システムを、その同盟国の韓国が「破壊」した、という事
実である。その安全保障システム≠フ中心となるべきものがジ
ーソミアだった。ジーソミアは単なる象徴ではない。USW(対
潜水艦戦)で圧倒的な情報を握る自衛隊から素早く戦術情報を受
け取ることは半島有事において欠かせないものであり、SLBM
(水中発射弾道ミサイル)を搭載した北朝鮮潜水艦のローカライ
ズ(位置特定)情報がリアルタイムで入ってくるかどうかは、韓
国のみならず、在韓米軍の存亡にもかかわる。
            ──『文藝春秋』2019年10月号
─────────────────────────────
 文政権になってから、日本の対韓政策が180度変わっていま
す。内閣官房関係者は、内閣官房の高官から、様々な会議を通じ
て、「北朝鮮と韓国は一体化しているとの認識で、注視し、情報
収集に当ってほしい」との指示があったといいます。米国と日本
政府は、かなり以前から、すべてのことがわかったうえでの対応
をしてきたものと考えられます。
              ──[中国経済の真実/099]

≪画像および関連情報≫
 ●特集・韓国大統領/なんとも事大主義で夜郎自大
  ───────────────────────────
   韓国の文在寅政権が窮地に陥っている。文氏が「外交の天
  才」(韓国大統領府)ぶりを発揮した結果、同盟国・米国の
  トランプ大統領には軽視され、頼みの中国にはないがしろに
  され、ラブコールを送り続ける北朝鮮には馬鹿にされ、日本
  との関係では、約束破りを続けて、戦後最悪の修復不能状態
  となった。
   日本が安全保障上の理由で対韓輸出管理の厳格化を実施し
  たのは、韓国による日韓請求権協定破りへの対抗・報復措置
  という以前の軽微な措置だが、韓国には甚大な影響を及ぼし
  ている。文政権の経済政策の失敗により、先行きが暗かった
  韓国経済はさらに下降することになった。
   文政権は、もともとの経済失政をすべて日本に押し付ける
  気だろうが、それで韓国の景気が浮揚するわけでも何でもな
  い。韓国人がちょっと気の毒になりはするが、その韓国人自
  身が文氏をリーダーに選んで高い支持率を与え、文氏の扇動
  に乗せられて反日デモを行ったり、日本製品不買運動に走っ
  たりしているのだから、どうしようもない。毎度繰り返され
  る反日の光景は、ただ日本人を呆れさせるばかりである。こ
  の外交も経済もどん詰まりの現状は、文政権と韓国自身が招
  いた自業自得であり、一切の責任は文氏にある。
                  https://bit.ly/2m0WuKN
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GSOMIA破棄を決めた文在寅韓国大統領.jpg
GSOMIA破棄を決めた文在寅韓国大統領
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2019年10月03日

●「米国は韓国をどのように考えるか」(EJ第5101号)

 前回のテーマは「米中ロ覇権争いの行方」でしたが、話の中心
は中国です。今回のテーマはズバリ「中国経済の真実」であり、
メインはもちろん中国です。そういうわけで、このところEJは
180回にわたり、中国について特集を組んでいます。
 しかしながら、今後中国がどうなるかについては、関連書のほ
とんどを読みましたが、一向に見えてきません。現代の中国は、
社会主義国にして、市場経済を営むという、今までになかった国
家の壮大な実験をやっているような気がします。こと経済政策に
関しては、やっていることは無謀であり、もし自由主義社会であ
れば、とっくに経済が破綻してもおかしくない状況ですが、現在
も膨張を続けています。しかし、大きな危険をはらんでおり、あ
る日突然破綻しても、おかしくはありません。
 ただ、中国問題にとって最大の不安要素は「台湾」です。何し
ろ、台湾をめぐって、米中の局地戦争が起きても、おかしくない
からです。9月25日のことですが、米議会の上下両院の外交委
員会は、米政府に対し、香港の自治が十分に認められているかの
検証を義務付ける「香港・人権・民主主義法案」をそれぞれ全会
一致で可決しています。この法案は、この後、両院の本会議での
可決を受けて、トランプ大統領が署名すれば成立します。
 これに対して、中国外務省の耿爽副報道局長は、次のように反
発しています。
─────────────────────────────
      強烈な憤慨と断固たる反対を表明する
         ──2019年9月27日付、日本経済新聞
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 これを受けてか、香港のデモはさらに激しさを増しています。
これがそのまま台湾問題に波及します。こんな話があります。5
月中旬のことですが、台湾のNSC(国家安全会議)のトップが
訪米します。訪米の目的は、ジョン・ボルトン安全保障担当補佐
官と会談するためです。ボルトン補佐官の発言です。
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 朝鮮半島情勢については、これまで韓国が守っているラインが
ある。つまり三十八度線だ。しかし、近い将来、そのラインは、
東シナ海にまで下りてくる。つまり、朝鮮半島情勢が直接、台湾
に繋がる。台湾はそのことに覚悟をもって備えて欲しい。
       ──ボルトン安全保障担当大統領補佐官(当時)
 ──『文藝春秋』2019年10月号「総力特集/日韓断絶/
                 憤激と裏切りの朝鮮半島」
─────────────────────────────
 ボルトン氏のこの発言は重要です。そこには、「韓国の存在が
ない」からです。ボルトン補佐官は辞めましたが、米国による台
湾の戦略的位置づけは、彼の個人的な考え方であるはずがないし
米国の方針です。
 米国は、おそらく北朝鮮と韓国は将来連邦国家になるとみてい
ます。そうなったとき、米国にとって朝鮮半島はもはや同盟国で
はなく、脅威的対象国になるとみています。そのため、2018
年に次の2つの法律を相次いで成立させたのです。
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 2018年 3月16日/        「台湾旅行法」
 2018年12月31日/「アジア再保証イニシアチブ法」
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 「台湾旅行法」では、米国大統領の台湾訪問を狙い、「アジア
再保証イニシアチブ法」によって台湾に継続的な武器の供与を可
能にし、事実上の米台安全保障条約にしようとしています。
 文在寅韓国大統領はおそらくこう考えています。彼は、来年の
選挙に勝って、憲法を改正し、1期5年の、大統領の任期を2期
10年にしようとしています。そのうえで、さらに憲法の改正を
行い、社会主義民主国家を宣言、北朝鮮との統一連邦国家への道
を具体的に進めると思われます。この場合、連邦国家といっても
実質的に北朝鮮に同化されてしまうはずです。韓国高官のX氏は
もし連邦国家になると、名実ともに大韓民国という国家は消滅し
てしまうとして、危機感を募らせているのです。
 こういう情報もあります。韓国内には、朝鮮労働党の秘密党員
がたくさん潜伏しています。これらの秘密党員が2014年6月
15日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(当時第一書記)に対
して、忠誠を誓う「誓詞文」を送っています。そこには、10カ
条の誓約が書かれていますが、その一部をご紹介します。
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 「韓国の、自由民主主義体制をたたき潰し、全朝鮮半島に主体
(チュチェ)思想化を実現するのに、一命を藁(わら)のように
ささげます」「駐韓米軍を南半分から完全に追い払う」「南側政
府の警察、検察など司法部と行政部に浸透し、政府の行政機関を
マヒさせ」などなど、恐ろしいことが書いてあるのですが、最後
に40の個人・団体名があり、そこに「文在寅」の名前があると
いうのです。 ──9月27日発行/D(電子)版「夕刊フジ」
       関連ユーチューブ動画 https://bit.ly/2onZ7qN ─────────────────────────────
 これは、月刊「Hanada」10月号に掲載されているので
すが、同誌は、増刷分を含めて現在売り切れています。最初の報
道から1ヶ月以上経っていますが、韓国政府からは、同誌に対し
て何のクレームもないそうです。これに関するユーチューブによ
る動画(5分2秒)もあるので、ぜひご覧ください。
 このように、米中貿易戦争といいますが、中国だけではなく、
北朝鮮、韓国を含めて見る必要があります。2019年1月4日
から、主として米中の覇権争い、それに加えて、隣国韓国と日本
の関係について書いてきましたが、このテーマは、本日で終了し
ます。長い間のご愛読感謝いたします。10月7日からは、新し
いテーマでお送りします。なお、明日、10月4日のEJはEJ
5000号記念の特別版をお届けいたします。
              ──[中国経済の真実/100]

≪画像および関連情報≫
 ●韓国はもはや「内戦」状態/北朝鮮が全半島を支配する日
  ───────────────────────────
   「韓国は革命前夜だ」と言ったら、韓国人の洪ヒョン氏が
  「前夜ではありません。すでに内戦です」と反論した。憲法
  裁判所が朴槿恵大統領弾劾訴追を承認して、罷免の決定を下
  したのが今年3月10日だった。保守派はこの判断を合憲だ
  とは認めず、「国民抵抗権」の旗印の下に「国民抵抗本部」
  を設置し、街頭に出て弾劾を弾劾すると気勢を上げる。憲法
  裁判所の判断を暴力によって覆そうとする試みを法治国家の
  枠組みのどこに位置づけ得るのか。洪氏はこう説明する。
   「韓国憲法は、国家が正常に機能しない場合、国民抵抗権
  で立ち上がることを認めています。これは韓国が北朝鮮と対
  峙して生まれた国家だからこそ設けられた、憲法で保証され
  た国民の権利なのです。北朝鮮の支配下で、ルールだからと
  いって従えば、韓国の自由や民主主義が死んでしまう。その
  ときに立ち上がる権利を保障したのです」
   いま国民抵抗本部に集まる人々が増えているという。組織
  の中心軸を構成するのが、韓国の陸・海・空の退役軍人の会
  だ。現役の軍人を除く軍関係者が勢揃いしていることの意味
  は大きい。保守派の人々の抱く強い危機感は、5月9日の大
  統領選挙で文在寅氏が当選する可能性が高いと言われていた
  時点から強まっていた。そして実際、文氏は韓国の大統領に
  なった。洪氏はかつてこう語っていた。
                  https://bit.ly/2maMkYd
  ───────────────────────────

ボルトン前安全保障担当大統領補佐官.jpg
ボルトン前安全保障担当大統領補佐官
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2019年10月04日

●「EJ5千号発行記念祝賀会が開催」(EJ第5102号)

 今回はEJの特別号です。2019年9月18日、「EJ50
00号発行記念祝賀パーティー」が茅場町証券会館、ホテルオー
クラレストランニホンバシで開催され、長年にわたるEJの読者
が雨のなか、多数参加されました。また、当日会場には出席され
ませんでしたが、大勢の方から、お祝いのメッセージとともに、
記念品代をお寄せいただいております。
 EJの書き手としての私、平野浩として、このような会を開い
ていただいたことについて、今回の発起人を務めていただいた8
人の方々をはじめ、雨のなか祝賀パーティーにご参加していただ
いた方々、記念品代をお寄せいただいた方々に対し、厚く御礼申
し上げます。本当にありがとうございました。EJの本号をかり
まして、御礼申し上げます。本号は、特別号として、「エレクト
ロニック・ジャーナル」について書くことにします。
 EJ第1号を配信したのは、1998年10月15日のことで
す。メールマガジンとして約50人ほどの方に配信したことを覚
えています。それ以来、私が今まで守っていることがあります。
それは、基本的にEJは「配信してほしい」と希望した人にしか
配信しないことです。1998年当時のITといえば、メールと
ウェブサイトが中心であり、ブログはまだ登場していなかったの
です。ブログが登場するのは、2005年のことです。
 EJは、もともと私の明治生命での最後の職場になった明生シ
ステムサービス(MSS)の時代に、私は「家庭教授部」という
部の部長をしていました。確か10人前後の部員がいましたが、
それらの部員と技術情報を共有するために、毎日「電子情報」を
配信していたのです。実は、EJの前身はこの「電子情報」なの
です。当時日本のITは、スタートしたばかりであり、そのリテ
ラシーは、今から考えると、信じられないくらい、初歩的なレベ
ルに止まっていたのです。
 1998年12月28日のEJ第50号で伝えているEJの配
信者は全部で69人です。内訳は、明治生命本社関係9人、明治
生命OB8人、MSS18人、その他外部関係34人、全体の約
半数は外部の人です。なぜ、明治生命本社関係が少ないかという
と、当時の明治生命は、特定の手続きをした人以外は、外部から
メールを送信できなかったからです。
 EJ第50号には、次の記述があります。こんなことは、今で
は信じられないと思うでしょうが、当時のITのリテラシーは、
その程度のレベルだったのです。
─────────────────────────────
 1998年の年の終りに明治生命に関して、若干苦言を呈した
いと思います。私は、今年の9月25日の最後の「電子情報」で
メールアドレスの敬称(社長、専務、常務など)をやめるよう金
子社長に提案しました。そのようなことをやっているのは明治生
命だけだからです。それにメンテナンスに膨大な手間がかかるな
どの理由からです。名前の方は変化しませんが、役職は毎年変化
するからです。あわせて、社外にインターネットを通じてメール
を出すとき、コードで届くのは何とかならないかということも提
案しました。社内では、コードと氏名の変換プログラムによって
漢字で読めますが、社外に送るときは相手にコードで届いてしま
う点です。 ──1998年12月28日付、EJ第50号より
─────────────────────────────
 当時明治生命では、社内メールには役職が付いていたのです。
関係者としては「役職なし」を提案したのですが、上層部はがん
として聞き入れなかったのです。そのため、私は当時の金子社長
にメールで「役職全廃」をストレートに提案したのです。金子社
長からは「前向きに検討する」という返信メールをいただきまし
たが、実際に役職が撤廃されるまで相当時間がかかったのです。
1998年というのは、ことITに関しては、日本では、そのよ
うなレベルでした。完全な内部指向です。
 EJは「作品型情報」を目指しています。読み切りのコンテン
ツではなく、作品として残せるコンテンツにするというのが作品
型情報の意味です。1つのテーマについて書くとき、膨大な情報
を集めます。とくに本は、何冊も読みます。当然本からの引用は
多くなります。そのため、EJを読んでいただくと、読み手は、
結果として多くの本を参照したことになるのです。しかし、テー
マ全体としては、私の主張を貫いているつもりです。
 少しでも文章を読み易くするために、ツイッターをやっていま
す。交流を目的とする使い方ではなく、情報発信型のツイッター
です。2010年1月4日からはじめましたが、以来一日も休ま
ず、ツイートを発信しており、現在フォロワーは、2・2万人い
ます。これ以上はなかなか増えません。このあたりが、私の限界
ではないかと感じています。
 ツイッターは、長い文章を140字にまとめる訓練に役立ちま
す。しかもツイッターは、「いいね」と「リツィート」の数とし
て数値で評価されるので、コンテンツの影響度を客観的に知るこ
とができます。2・2万人のフォロワーの内容は多士済々です。
なかには有名人も多くいます。有名人は、何十万、何百万という
フォロワーを持つ人が多いので、それらの有名人の方が、私のツ
イートをリツィートすると、とんでもない数の人にツイートが届
くことになります。その結果、フォロワーが増えるのです。
 400字原稿用紙7枚の量のEJを毎日書いて配信するのは、
正直いって大変です。最近では、さすがに息切れしつつあるのが
現状です。しかし、ひとつ書き上げると、大きな達成感を感じる
ことができます。今やそれが、生き甲斐になりつつあります。
 今後、何号まで書き続けられるか、私にもわかりません。しか
し、熱心に読んでくださる読者がいて、それを実感できるとき、
続ける意欲が湧いてきます。9月18日の5000号記念のパー
ティーは、改めて、継続してEJを書く意欲が湧いて来たような
気がします。本当にありがとうございました。10月7日からは
新しいテーマに取り組む予定です。
              ──[中国経済の真実/101]

≪画像および関連情報≫
 ●EJ5000号パーティー風景

「乾杯」パーティー写真1.jpg
 
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2019年10月07日

●「消費増税は経済成長を阻んでいる」(EJ第5103号)

 2019年10月1日、遂に消費税率が8%から10%にアッ
プされました。自民党と旧民主党野田内閣が合議した「社会保障
と税の一体改革」がやっと実現したことになります。しかし、こ
れが原因で、解散総選挙の結果、旧民主党は大敗を喫し、安倍内
閣が誕生しています。旧民主党は、公約にない増税をこともあろ
うに自民党と組んで実施したことで、国民の信を失い、野党に転
落し、現在の野党細分化の原因になったのです。
 この「社会保障と税の一体改革」では、当時5%であった消費
税は、次のように10%に引き上げる計画でした。
─────────────────────────────
    ◎2014年 4月 ・・ 5% →  8%
    ◎2015年10月 ・・ 8% → 10%
─────────────────────────────
 今考えると、これがいかに無謀な計画であったかということは
改めて考えるまでもなく、歴然としています。5%の税率を4年
弱で倍の10%にしようというのですから、超大緊縮政策になり
ます。日本は、そんな計画を早急に実施しなければならないほど
深刻な財政状況ではないからです。
 しかし、この計画がつくられたのは、元財務大臣の谷垣前自民
党総裁と、財務省に完全に洗脳された元財務大臣の野田首相(当
時)の2人が組んだからです。「社会保障と税の一体改革」を引
き継いだ安倍首相は、それを計画通り実施することが自らが推進
するアベノミクスにとって大きなマイナスになると肌で感じて、
2回にわたって、次のように増税を延期しています。
─────────────────────────────
  ◎2014年 4月 ・・ 5% → 8%に引き上げ
  ◎2015年10月 ・・ 1年6ヶ月、増税を先送り
  ◎2017年 4月 ・・ 2年6ヶ月、増税を先送り
─────────────────────────────
 安倍首相の経済政策であるアベノミクスには大きな問題があり
ますが、財務省と対立し、2回にわたって増税を先送りしたこと
は評価に値します。もちろん国家財政の状況によっては、増税を
しなければならないことはあります。しかし、消費税の増税だけ
は、絶対にやってはならないのです。増税すべき税は所得税など
他にたくさんあります。
 なぜ、消費税は増税すべきではないのでしょうか。これには、
いくつも理由があります。しかし、為政者から見ると、消費税は
薄く幅広く取ることのできる「美味しい」税金なのです。だから
財務省は国民を洗脳してまでも実現したい税金です。それに、日
本はまだ完全にはデフレの状況を脱していないのです。そのよう
なデフレの状況下で、2回も消費税を引き上げているのです。こ
れでは経済は成長しません。
 世界第2位の経済大国の座は、とっくの昔に中国に奪われ、今
やその規模は3倍にまで拡大しています。日米の経済格差は開く
ばかり、インドや韓国にも追い抜かれつつあります。韓国の文在
寅政権が、「日本何するものぞ」と日本を軽く見るのも経済がま
るで成長していないからです。過去20年間の日本の経済成長率
は、ダントツの世界最下位です。それは日本がデフレから脱却で
きておらず、そのデフレ下で、消費税を何回も上げたことと無関
係ではありません。消費税増税が、経済成長の足を引っ張ってい
るのではないかと思われます。
 そこで、今回のEJのテーマは、消費税を中心に日本の経済政
策にメスを入れようという企画です。
─────────────────────────────
     現在の日本の経済政策は間違っていないか
       ─消費税増税は諸悪の根源である─
─────────────────────────────
 10月1日の夕方、れいわ新撰組、山本太郎代表は、新宿西口
小田急デパート前で、街頭演説をしています。そこには大勢の人
が集まって山本代表の話を真剣に聞いていたのです。そこで山本
太郎代表は、聴衆に次のことを強調しています。そのとき、気に
なる話があります。
─────────────────────────────
 消費税増税で社会保障は充実しない。財政再建も進まない。
 それは、法人税の減税の穴埋めに使われるだけである。
             ──れいわ新撰組/山本太郎代表
─────────────────────────────
 この指摘は新鮮です。本当であれば、とんでもない話です。実
は増税分のほんの一部しか社会保障には回らないのです。8%を
10%にすることによって国には約5・5兆円入ってきますが、
その使い道について、政府は次のように決めています。
─────────────────────────────
    1.借金(国債)の返済 ・・ 約2・8兆円
    2.教育・子育ての充実 ・・ 約1・7兆円
    3.  社会保障の充実 ・・ 約1・0兆円
      ───────────────────
                   約5・5兆円
─────────────────────────────
 安倍政権は、教育無償化を声高らかに宣言していますが、その
財源には1・7兆円、その他の社会保障に回るのは、たったの1
兆円でしかないのです。実に入ってくる税収の半分以上の2・8
兆円が国債の返還、つまり借金の返済に回るのです。これが最大
の問題であるといえます。
 財務省は、これまで20〜30年以上もかけて、「日本の借金
はGDPの2倍以上」もあり、財政健全化を図らないと、大変な
ことになると、メディアをコントロールするなど、あらゆる手段
を講じて、国民を洗脳してきています。
 しかし、この考え方は、根本から間違っています。なぜ、消費
税の増税はだめなのかについて、明日から検討していきたいと考
えています。      ──[消費税増税を考える/001]

≪画像および関連情報≫
 ●選択肢は社会保障を維持するかどうか/時事オピニオン
  ───────────────────────────
   2010年7月、参議院選挙の際に自由民主党が「消費税
  10%への引き上げ」を公約に掲げ、民主党の44議席を上
  回る51議席を獲得するなど、「消費税10%」は現実味を
  帯びてきた。では、そもそも消費税の増税はなぜ10%にす
  る必要があるのか?
   まず、初めに押さえておきたいのは日本の人口構成の推移
  だ。日本は現時点でも高齢者(65歳以上)の割合が世界で
  一番多い国となっていて、しかも高齢化率(人口に占める高
  齢者の割合)のスピードも、かつてどの先進国も経験したこ
  とのない速さで進んでいる。そのため、医療や介護や年金と
  いった社会保障の分野において、国の負担は増え続けること
  になる。
   そこで、政府の「社会保障国民会議」がさまざまなシミュ
  レーションを行い、医療と介護と年金において現在の社会保
  障の水準を維持するには、2025年度までに消費税を10
  %にする必要があることを08年11月の「最終報告」で公
  表した。内訳は、基礎年金で1%弱(現在の社会保険方式が
  前提)、医療と介護で4%弱、少子化対策で0・4〜0・6
  %程度で、合計5%程度。現在の消費税が5%なので合計で
  10%になる。これが10%という数字の根拠である。つま
  り、いま私たちには、大きく次の2つの選択肢がある。「社
  会保障は維持できなくても、このまま消費税を上げないでほ
  しい」か「少なくとも現在くらいの社会保障は維持してほし
  い」か、である。        https://bit.ly/30MRc3M
  ───────────────────────────

10月1日/れいわ新撰組山本太郎氏.jpg
10月1日/れいわ新撰組山本太郎氏
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2019年10月08日

●「消費増税は法人税減税の穴埋めか」(EJ第5104号)

 れいわ新撰組の山本太郎代表は、「消費税の税収は、法人税減
税の穴埋めに使われている」と訴えています。山本太郎代表は、
何を根拠にそう主張しているのでしょうか。山本代表の10月1
日の次の動画を参照にまず、この問題から入ることにします。
─────────────────────────────
      「増税!空気を読め!/消費税廃止」
       山本太郎(れいわ新選組代表)街頭演説会
          東京・新宿駅西口小田急デパート前
               https://bit.ly/2om46ZB
─────────────────────────────
 消費税3%が導入されたのは、1989年のことです。それ以
来3回の税率アップがあって10%になっています。山本代表は
1989年から2016年までの消費税による税収累計額と、そ
の間、何回か法人税減税があったわけですが、その法人税の税収
減少額とを比較しています。山本代表が街頭演説で使っているグ
ラフは、添付ファイルにしてありますが、ここでは、数字によっ
て比較します。
─────────────────────────────
   ◎1989年からの消費税収と法人税収の減少額
       消費税税収累計 ・・ 263・0兆円
      法人税減少額累計 ・・ 192・5兆円
─────────────────────────────
 山本代表は「消費税税収の73%が、法人税収の減少分に割り
当てられている」と主張しています。もし、本当であれば、これ
は、とんでもないことです。多くの人は、消費税増税は、社会保
障を充実させ、国の借金の返済のためだと考えているからです。
 しかし、この意見には疑問を持つ人が多いと思いますし、そう
かといって、間違っているともいえないところがあります。政府
としては、法人税を下げることによって、多くの外国企業が日本
に進出し、日本にお金を落とすことによる増収もあると反論する
はずです。しかし、お金に色はついていないので、国民からみる
と、入ってくる税金が、本当のところ、何に使われているか、必
ずしも明確ではない。だから、政府は「法人税の減少を消費税で
カバーしているわけではない」と反論できます。
 しかし、調べてみると、消費税の導入とその税率引き上げの時
期は、奇妙なほど法人税の減税の時期と一致しています。この事
実を知ると、山本太郎代表の主張していることが、信憑性を帯び
てくるのです。
─────────────────────────────
 ◎1989年/消費税3%を導入
  1989年/法人税42%から40%に引き下げ
  1990年/法人税40%から37・5%に引き下げ
 ◎1997年/消費税3%から5%に増税
  1998年/法人税37・5%から34・5%に引き下げ
  1999年/法人税34・5%から30・0%に引き下げ
  2012年/法人税30・0%から25・5%に引き下げ
 ◎2014年/消費税5%から8%に増税
  2014%/復興特別法人税の前倒し廃止
  2015年/法人税25・5%から23・9%に引き下げ
  2016年/法人税23・9%から23・4%に引き下げ
  2018年/法人税23・4%から23・2%に引き下げ
 ◎2019年/消費税8%から10%に増税
                  https://bit.ly/30SVmHw ─────────────────────────────
 この事実を突き付けられると、法人税の減税分が消費税による
税収増でカバーされているという山本代表の主張を「そんなバカ
な」とはいえなくなります。
 ところで、今回の消費税の8%から10%の引き上げについて
国民はどのように考えているでしょうか。
 日本経済新聞社とテレビ東京が、9月11〜12日に実施した
調査によると、次のようになっています。
─────────────────────────────
  消費税率10%への引き上げに賛成 ・・・・ 52%
  消費税率10%への引き上げに反対 ・・・・ 42%
             https://s.nikkei.com/2VjlASd ─────────────────────────────
 なんと「賛成」が50%を超えています。消費税10%への引
き上げについて多くの調査が行われてきましたが、「賛成」が5
割を超えたことは、はじめてのことです。政府の洗脳が効果を上
げてきた証拠です。その結果、多くの国民が、「社会保障を支え
るためなら、増税もやむなし」と考えつつあります。しかし、今
後膨張する社会保障の財源として消費税をあてることになると、
今後消費税率が、20%、30%とうなぎ上りにアップすること
は必至です。これについて、安倍政権の広報機関といわれる読売
新聞(オンライン)は、次のように書いています。
─────────────────────────────
 少子高齢化の進展に合わせて社会保障費は着実に増えていく。
これを支えるには、毎年安定した税収が見込める税が望ましい。
だが、法人税は、企業業績の浮き沈みによって増減する。所得税
も賃金や雇用に連動するため、景気が悪化すれば大きく減る。こ
うした税に比べて、消費税には税収が景気に左右されにくい特長
がある。生活を維持するため、一定の消費が必要だからだ。消費
税は公平性も高い。所得税は、働く現役世代を中心に課税するの
に対し、高齢者を含め商品やサービスを購入する人から幅広く徴
収するためだ。安倍内閣は、現役世代への支援を手厚くする「全
世代型社会保障」の実現を主要政策に掲げている。負担を現役世
代にしわ寄せしないためにも、消費税の活用が重要である。
                  https://bit.ly/2LNXWKA ─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/002]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税廃止が野党とこの国に残された唯一の活路
  ───────────────────────────
   「『憲法の重要性』とか『立憲主義』みたいな話って、多
  くの方には残念ながら、響かないと思うんですよね。目の前
  の生活でそれどころじゃない。今月を乗り切れるかどうか。
  それなら野党は、こうやって皆さんの暮らしを楽にします、
  と提案できなきゃ。第二次安倍政権が誕生してから、野党が
  今日まで負け続けてきた理由は、経済政策が弱すぎたこと。
  そこに尽きると思う。
   なぜなら、例えば与野党が安保法制や特定秘密保護法で激
  しく対立した時、世論調査では『自民党ちょっとやり過ぎだ
  よね』という答えが圧倒的に多かったわけです。そんなこと
  が何度もあったにもかかわらず、6年間の間に、5回選挙を
  やって、すべて野党は負けたわけですよね。その現実と向き
  合わなきゃならないですよ。
   理由は何か。野党はよく財政再建、財政規律と言いますよ
  ね。ですが、それを実際にやろうとすると何が起こるか、と
  言ったら、財政カットと増税がセットになるわけです。要す
  るに、『我々が勝ったら、今より生活が苦しくなります』と
  国民に宣言しているようなものですよね。20年以上もデフ
  レが続くこの状況でそんなことをやったら、本当にこの国は
  壊れてしまう。そういう民意に野党が寄り沿わないのは、ち
  ょっとあまりにも状況が飲み込めていないんじゃないでしょ
  うか」この男、左なのか右なのか。その言動は本気なのか、
  パフォーマンスに過ぎないのか。一般国民に寄り添う庶民派
  なのか、それともポピュリストか――。いま日本政界でもっ
  とも毀誉褒貶の激しい政治家、それが山本太郎だろう。
           時任兼作氏/ https://bit.ly/2Rr5FiU
  ───────────────────────────

1989年からの消費税収と法人税収の減少額.jpg
1989年からの消費税収と法人税収の減少額

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2019年10月09日

●「消費増税で高額所得者を潤わせる」(EJ第5105号)

 今回のテーマは、いつかは取り上げようと考えていたのですが
情報が徹底的に不足していました。ところが、今年に入って、安
倍内閣が、10月1日から予定通り消費税率の10%引き上げを
決断した思われる状況になって、急に消費税関連の本が多数出版
されるようになったのです。
 著者は、元内閣府官房参与からはじまって、元財務省官僚出身
の作家、元国税庁調査官、経済アナリスト、元国税庁出身で、政
府税制調査会特別委員など、プロばかり。私は、それらの本のほ
とんどを入手し、ていねいに読みこなした結果、そのからくりの
全貌がわかってきました。
 メディアは知っていて沈黙していますが、国民を愚弄するとん
でもないからくりです。多くの人は、そのからくりに気が付いて
いないし、完全に騙されています。
 といっても、安倍内閣は、そのスタート時点(2012年12
月)で、既に「社会保障と税の一体改革」の与野党合意はできて
おり、法律になっていました。つまり、安倍内閣はその実行だけ
を託されたことになります。これは、野田佳彦首相と谷垣禎一自
民党総裁(当時)が組んで、与野党で合意して成立させた法律で
す。2人とも財務大臣の経験者です。したがって、その目的は、
「財政の健全化」であって、「社会保障」ではない。だから「税
と社会保障の一体改革」と、「社会保障」と「税」を逆にして呼
ばれるようになっています。「社会保障と税の一体改革」──こ
れが正しいのです。
 本来であれば、2015年10月に10%に引き上げる予定で
したが、安倍内閣は2度にわたり、先送りしたので、4年遅れて
10%になっています。これについて、既に政界を引退している
谷垣禎一氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍首相は消費増税には警戒的だったし、14年4月に5%か
ら8%に上げたときに苦労された。私と首相との間には経済の見
方や消費税の果すべき役割に関する考えに若干の違いがあった。
それぞれの持つ経済観や財政観が完全に一致しているわけではな
いのが政治だ。それよりも、ここまできたことを喜ぶということ
だろう。             ──谷垣禎一元自民党総裁
       2019年10月2日付、日本経済新聞朝刊より
─────────────────────────────
 ところで、安倍首相自身は、本当に税制に通じているのでしょ
うか。安倍首相は第1次政権で「消えた年金」で苦労したことも
あり、年金には詳しいですが、税制は詳しいとは思えません。税
制を中心にすべてを仕切っているのは財務省です。もっとも現在
の麻生財務相はわかっているとは思えませんが・・・。この人は
知ったかぶりをするだけの人物です。
 つねづね不思議に思っていることがあります。安倍首相が予定
の増税を延期するたびに、経団連の会長がそれを「財政再建が心
配である」などと批判していることです。一人例外はいましたが
そのことにはあえて言及しないことにします。増税は、大企業に
とってもマイナスであり、延期されれば助かるばずなのに、なぜ
批判するのかと思ったものです。
 しかし、昨日のEJで述べたように、消費税の導入や税率が上
がるときには、法人税の減税が行われていますが、それだけでは
なく、所得税の減税も行われているのです。しかし、減税で潤っ
たのは、高額所得者だけです。したがって、多くの人は、所得税
の減税のことは知りません。経団連などの大企業のトップは高額
所得者ですから、彼らは企業と自分自身に対する二重の減税の恩
典にあずかっているわけです。だから、増税が延期されると、不
満を漏らすのです。これが一つのからくりです。
 所得税の税収は、1991年には26・7兆円以上あったので
す。それが2018年には19兆円になっています。7・7兆円
減少しています。一方、法人税は、消費税が導入された1989
年には19兆円あったのですが、2018年には12兆円に減っ
ています。7兆円の減少です。1991年から2020年までの
約30年の間に所得税と法人税の税収は、14・7兆円も減って
います。つまり、消費税の税収の大半は、所得税と法人税の減税
の穴埋めで使われているのです。
 その減少分は、大企業と、そのトップを含む高額所得者(安倍
首相も麻生財務相も入る)たちをたっぷりと潤していることにな
ります。まだあります。大企業は、法人税減税で潤った分を社員
に分配せず、内部留保として貯め込んでいます。2017年度の
法人企業統計によると、企業の「利益剰余金」、いわゆる「内部
留保」は446兆4844億円と、前年度比9・9%増え、過去
最高になっています。増加は6年連続ですが、9・9%増という
伸び率はこの6年間で最も高いのです。いいですか、500兆円
ですよ!日本のGDPの一年分に匹敵します。これでは、社会保
障などに回せるお金はごくわずかになるのは当然です。
 米国では、景気対策といえば「減税」ですが、高額所得者は別
として、日本政府は絶対に減税はしません。そのとき、減税でき
ない理由として財務省がいうのは「日本は財政が厳しいから」で
す。ほとんどの国民はそう思っていますが、これは財務省の長年
によるメディアを巻き込んだプロパガンダの成果といえます。こ
れについては、改めて詳しく説明しますが、日本の財政は何ら問
題はない。国民は完全に騙されています。信じ難いことに、今回
の消費増税に50%の国民が賛成しています。驚きです。野党は
何をやっているんだといいたいです。一緒になって増税するのを
助けているのか!
 財務省による「消費税=社会保障の財源」の位置付けでは、消
費税の税率はどんどん上昇します。これによって国民はますます
貧しくなり、経済は停滞し、格差社会化が一段と進行します。日
本は消費税の導入によってデフレになり、それが3回にわたって
増税され、20年間デフレは持続し、今後さらに深化します。
            ──[消費税増税を考える/003]

≪画像および関連情報≫
 ●「社会保障のための増税」はまやかしである
  ───────────────────────────
   6月に閣議決定された「骨太の方針2019」は、10月
  の10%への消費税増税を明記。「社会保障に対する安定的
  な財源を確保する」などとしている。しかし「社会保障のた
  めの消費税増税」という議論は、法人税や所得税を減らす分
  を消費税分で置き換えるに過ぎず、まやかしの議論であるこ
  とはこの間の経緯を見ても明らかだ。1989年度から20
  18年度までの消費税収は累計372兆円。一方で、同時期
  の法人税の減収分は累計291兆円となる。消費税収の約8
  割が法人税収の穴埋めに使われたことになる。
   消費税導入時との比較では、現在の税収構造は、減税等に
  より所得税収、法人税収が低下。消費税収が、所得税収に匹
  敵するまでに増えているにもかかわらず、国の税収全体はほ
  とんど増えていない。財務省は2018年度一般会計の決算
  概要を発表。「国の税収はバブル期を超え最高」などと報じ
  られた。しかし、バブル期の1990年度と比べると、基幹
  3税のうち増えたのは消費税だけで、13兆円の増。所得税
  と法人税は、それぞれ6・1兆円減だ。
   第2次安倍内閣発足以来の7年間で、社会保障費は4兆2
  720億円も削減されてきた。さらにこの先も社会保障の給
  付抑制、負担増を実施する計画だ。https://bit.ly/2OvpOVt
  ───────────────────────────

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谷垣禎一元自民党幹事長
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2019年10月10日

●「日本の消費税税率は本当に低いか」(EJ第5106号)

 日本の消費税は10%になりましたが、日本人は消費税に関し
て、漠然と次のイメージを持っています。
─────────────────────────────
      日本の消費税の税率は低いほうである
─────────────────────────────
 何となくヨーロッパの国の消費税は「高い」というイメージが
あります。2019年3月現在、消費税が一番高い国は、ハンガ
リーの27%です。以下、23%以上の国をご紹介します。
─────────────────────────────
  1.27% ハンガリー
  2.25% クロアチア、スウェーデン、デンマーク
        ノルウェー
  3.24% アイスランド、ギリシャ、フィンランド
  4.23% アイルランド、ポーランド、ポルトガル
                  https://bit.ly/2AQqCwr ─────────────────────────────
 逆に、消費税の低い国はどこでしょうか。今のところ一番低い
税率は5%です。
─────────────────────────────
  1.  5% 台湾、カナダ、ニウエ
  2.  7% マレーシア、シンガポール、タイ、パナマ
  3.7・5% バハマ、スイス
  4.  8% 日本(10月1日から10%)
                  https://bit.ly/2AQqCwr ─────────────────────────────
 しかし、消費税率だけを比較しても、真の比較にはならないの
です。たとえば、英国は消費税率は20%ですが、食料品の税率
は0%です。また、ドイツは19%ですが、食料品の軽減税率は
7%と日本より低いのです。それに加えて、低所得者に対する社
会保障の充実度の差もあります。したがって、税率だけで比較し
ても意味がないのです。そこで、主要国の消費税率を食料品の軽
減税率をつけて比較してみます。
─────────────────────────────
 ◎主要国の消費税率
      国名    消費税率   食料品の消費税率
    イギリス     20%          0
    フランス     20%       5・5%
    イタリア     22%      4〜10%
     ドイツ     19%         7%
    スペイン     21%      4〜10%
     スイス    7・7%       2・5%
   ノルウェー     25%        15%
  スウェーデン     25%        12%
      日本     10%         8%
                     ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 これを見ると、日本の消費税の場合、税率8%までは、食料品
の軽減税率はなく一律8%であったし、税率を10%に上げる時
点で食料品については、これまでの8%の税率をそのまま適用す
るというザツな制度設計をしています。低所得で、年金暮らしの
高齢者に対して、“優しさ”というものがないのです。しかも、
そういう低所得者から吸い上げた消費税を、法人税の減税や高額
所得者への減税の穴埋めに使って恥じることがない。
 「社会保障と税の一体改革」では、軽減税率を導入することが
条件となっていたのに、7年という年月があったにもかかわらず
ロクに研究もせず、十分な実験もせず、実施間際になって、バタ
バタと複雑なシステムを構築しています。
 しかし、その5%還元のシステムも、中小店舗に絞ったうえ、
何チャラペイによる複雑なシステムを導入し、しかも来年の6月
までの期間限定です。これでは、スマホを持っていないお年寄り
や、持っていたとしても、設定ができない人を切り捨ててしまっ
ています。そこには、“優しさ”のカケラもありません。
 これに関して、元国税調査官の大村大次郎氏は、欧米先進国の
手厚い社会保障制度について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 欧米の先進国では、生活に困る人が出ないような社会保障シス
テムができ上がっている。失業者のいる家庭には、失業扶助制度
というものがあり、失業保険が切れた人や、失業保険に加入して
いなかった人の生活費が補助される。
 この制度はイギリス、フランス、ドイツ、スペイン、スウェー
デンなどが採用している。たとえばドイツでは、失業手当と生活
保護が連動しており、失業手当をもらえる期間は最長24ヶ月だ
が、もしそれでも職が見つからなければ、社会扶助(生活保護の
ようなもの)が受けられるようになっている。
 また、18歳未満の子供を持つ家庭には別途の手当が支給され
るし、公共職業安定所では、扶養家族がいるものを優先するなど
の配慮がされている。
 他の先進諸国でも、失業手当の支給が切れてもなお職が得られ
ない者は、失業手当とは切り離した政府からの給付が受けられる
制度を持っている。だから、不景気になったり、リストラの嵐が
吹き荒れても、国民は路頭に迷うことがないのだ。
               ──大村大次郎著の前掲書より
─────────────────────────────
 こういう主張に対し政府は、日本は「高福祉・高負担」を受け
入れていないのだから、ヨーロッパとは違うというと思います。
しかし、そもそも政府自民党は、そういう福祉のあり方について
国民に真剣に提案したことが、かつてあっただろうか。
            ──[消費税増税を考える/004]

≪画像および関連情報≫
 ●異端理論よりもタチが悪い財務官僚の特権意識/田中秀臣氏
  ───────────────────────────
   世界的な経済政策論争の焦点が、「緊縮政策」か「反緊縮
  政策」かという対立にあることは、2008年のリーマンシ
  ョック前後から顕在化していた。日本では、90年代から続
  く長期停滞で、既にこの論争の対立軸に沿った経済政策の是
  非が長い間争われている。今日、話題の中心である消費増税
  を巡る論争も、緊縮と反緊縮の路線対立だといえる。
   日本経済新聞などは、安倍晋三首相が、10月の消費税率
  10%引き上げを決定し、噂される今夏の衆参同日選挙は回
  避の方向で動いていると観測記事を出した。だが、この観測
  が正しいかどうかはもちろんわからない。
   筆者は、嘉悦大の高橋洋一教授と月刊誌『WiLL』(2
  019年7月号)で、消費増税が実施されるか否かについて
  いくつかの政治的シナリオを具体的に提起しながら、対談し
  た。高橋教授も筆者も、一つの可能性として、安倍首相が外
  交的な成果によって支持率を高め、消費増税を延期せずに参
  院選だけを行う可能性を議論した。
   対談はトランプ米大統領の訪日前に収録されたので、その
  ときの外交上の成果は、安倍首相が訪朝して拉致問題などで
  進展を見ることを念頭に置いていた。今日では、イラン訪問
  による米国との仲裁役や6月の20カ国・地域(G20)首
  脳会議(サミット)で議長を務めたことによるイメージアッ
  プが具体的に上げられる。    https://bit.ly/2pN4yAj
  ───────────────────────────

5%還元店舗.jpg
5%還元店舗
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2019年10月11日

●「平成は消費税の導入の時代である」(EJ第5107号)

 2019年4月30日に「平成」が終わり、5月1日から「令
和」がはじまっています。テレビでは、さまざまな角度から平成
という時代を振り返っていましたが、平成の時代から消費税がス
タートしたことを強調した番組は少なかったと思います。しかし
経済・財政という観点からみると、消費税は、平成の世からはじ
まったのです。それも自民党の竹下内閣が、強行導入した法律で
す。成立までの流れをメモしておきます。
─────────────────────────────
      大平 正芳首相/1979年 1月
          ・「一般消費税」閣議決定
      中曽根康弘首相/1987年 2月
          ・「売上税」法案国会提出
      竹下  登首相/1988年12月
          ・遂に「消費税法」が成立
─────────────────────────────
 最初に消費税構想を口にしたのは大平正芳首相です。「一般消
費税」として閣議決定をしましたが、評判は最悪で、1979年
10月の総選挙の最中に導入断念を宣言したものの、選挙では大
敗を喫しています。しかし、自民党は、このときから、消費税の
導入を心に誓っていたようです。
 8年後、中曽根康弘首相は、「売上税」と名前を変えて、法案
を国会に提出しています。1987年2月のことです。しかし、
この法案は国民的な猛反対に遭い、同年5月に早々に廃案になっ
ています。
 しかしそれでも自民党はあきらめず、1988年12月に竹下
内閣で消費税法が成立しています。税率は3%。そして、198
8年12月に消費税法は施行されました。施行の直前、竹下首相
が、日本橋の三越本店で、消費税を支払ってネクタイを購入する
パフォーマンスを演じたのを今でも鮮明に覚えています。
 ところで、平成元年(1989年)という年は、どういう年で
あったのでしょうか。
 一言でいうと、バブルの絶頂期だったといえます。1989年
の大納会(証券取引所の年末の最終取引日)において、日経平均
株価は、3万8915円を記録しています。当時の世界企業時価
総額ランキングでは、上位50社中32社を日本企業が占め、日
本経済は「わが世の春」を謳歌していたのです。
 それが2019年のランキングでは、50社中43位にトヨタ
自動車が入っているのみのたったの1社になっています。これは
日本経済のかじ取りを誤ったとしかいいようがないです。
 変化が起きたのは1990年1月からです。1990年の大発
会(証券取引所の年始の最初の取引日)で、株価が全面安になっ
たのです。この異変に日本経済の担い手である霞が関の官僚、自
民党の政治家、そして経団連の大企業は、何が起きたか、まるで
理解できていなかったのです。
 それから、約30年、日本経済は低迷したままです。日本経済
は、深刻なデフレに陥り、令和の時代が始まっても、デフレから
完全に脱却できていない。はじめのうちは「失われた10年」と
いっていましたが、それはやがて「失われた20年」といわれる
ようになり、ついに何もいわなくなっています。「失われた30
年」はさすがに恥ずかしいからです。
 そんなデフレのなかにあって、消費税の税率は3回も引き上げ
られています。明らかな経済運営の大失敗です。1997年4月
に橋本龍太郎首相は、3%の消費税を5%に引き上げましたが、
増税は自らが決めたものではなく、村山政権からの引き継ぎだっ
たのです。当時は、自民・社会・さきがけ政権(自社さ政権)で
あり、野党との連立政権であったのです。
 その村山富市首相(社会党)のもとで、3%から5%の引き上
げが決められており、次の橋本政権にその実行が託されていたの
です。これは、自民党と民主党が組んで決めた「社会保障と税の
一体改革」の実現が、安倍政権に託されたのと同じ構図です。不
思議なことに、増税にはなぜか野党が一枚加わっています。これ
は野党のイメージをすこぶる悪くしています。
 ひどかったのは、1997年4月の橋本政権による消費税3%
〜5%への引き上げです。何が起きたかについては、中央大学名
誉教授、富岡幸雄氏の著書から引用します。
─────────────────────────────
 この引き上げが日本経済に与えたダメージは大きく、折からの
アジア通貨危機も重なり、きわめて深刻な事態を引き起こしまし
た。不良債権の処理を先送りにしていたツケが回り、北海道拓殖
銀行が破綻、山一証券が自主廃業を余儀なくされるなど、潰れる
ことはにないいわれた名門企業が破綻しました。バブル崩壊と消
費税のダブルパンチにより、日本経済はデフレによる不況という
「深い谷底」に突き落されたのです。「失われた10年」は、い
つしか「失われた20年」となり、結局は平成の30年間、日本
は停滞どころか、没落の道を歩みつづけました。
 1990年以前の30年間、先進6ヶ国(米国、西ドイツ、日
本、フランス、英国、イタリア)の中で、最も高かった国民1人
当りの国内総生産(GDP)の伸び率は、90年以降、6ヶ国中
の5位に転落。日本より下にはイタリアしかいなくなりました。
                      ──富岡幸雄著
        『消費税が国を滅ぼす』/文春新書/1233
─────────────────────────────
 デフレが持続しているのに増税をする──これは、絶対にやっ
てはならない禁じ手です。まして、消費税の増税は絶対にやって
はならないのです。それを日本政府は3回もやっているのです。
これではデフレからは脱却できません。なぜなら、消費税の増税
は、経済を疲弊させ、デフレを深化させる「経済の厄病神」だか
らです。なぜ、消費税が経済の厄病神なのかについて、来週から
のEJで明らかにしていきます。
            ──[消費税増税を考える/005]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税10%へ綱渡り 貿易戦争の影
  ───────────────────────────
   米中の貿易戦争という景気への逆風が吹く中で10月に消
  費税率が10%に上がる。バラマキ色が強い対策で景気と参
  院選という剣が峰を乗り越えて増税にこぎつけ、さらに「ポ
  スト10%」の議論も進めて超高齢社会を乗り切る算段を立
  てられるか。
   「8%から10%に2%引き上げる予定です」。昨年10
  月15日、安倍晋三首相は臨時閣議で消費増税対策の検討を
  指示した。その数日前に首相官邸内で詰めた首相発言の原案
  には「予定」の2文字はなかった。「『引き上げる予定』が
  いいんじゃないか」。首相との打ち合わせが終わった後にも
  かかわらず、官邸で影響力のある高官の一存で付け加えられ
  たのだ。財務省など霞が関の官僚には「官邸はまだ見送りの
  余地が残したいのか」と衝撃が広がった。財務省幹部は「歳
  出をケチらずに、増税の環境整備のためにやれることはなん
  でもやれという意味だろう」と受け止めた。景気の腰折れは
  政権運営に直結する。14年4月に消費税率を8%に引き上
  げた後は急激に消費が落ち込んだ。これを経験した首相はそ
  の後に2度の増税延期を決断した。政府内では増税対策が急
  ピッチに進んだ。財務省の太田充主計局長らは「効果がある
  対策はなんでもやる」とカジを切った。
               https://s.nikkei.com/2IFscpc
  ───────────────────────────
 ●添付ファイルの図出典/https://s.nikkei.com/2IFscpc

予算のバラマキ、景気に影を落とす貿易戦争.jpg
予算のバラマキ、景気に影を落とす貿易戦争
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2019年10月15日

●「消費税最大の欠陥は逆進性である」(EJ第5108号)

 消費税といえば何といってもヨーロッパです。消費税というア
イデアは、1953年にフランス財務省の官僚であるモーリス・
ローレという人が考え出したものです。一方、米国には、合衆国
全体としては消費税という制度はないのです。
 フランスなどヨーロッパの国々は国土は比較的小さく、陸続き
ですから、人の移動が頻繁に行われます。日本でいえば、東京か
ら大阪に出掛けるような感覚で、ヨーロッパの国の人々は気軽に
外国に出掛けて行きます。
 こういうヨーロッパの国の場合、EUができる以前は、あまり
高い直接税(例えば所得税)をかけると、人々が外国に逃げてし
まい、どうしても徴税漏れが多くなります。もし、直接税が安い
国があると、そこに移住してしまうこともあるのです。そこで消
費に税金をかける消費税が考え出されたものと思われます。
 これに対して米国は直接税中心の国です。その国土は広く、国
内からは簡単に逃げられません。たとえ税金を支払わないで、ど
の州に逃げても、どこまでも追い掛けて税を徴収できます。しか
し、米国の場合、州ごとに税率が異なる「売上税」という間接税
が存在します。
 ヨーロッパの消費税について、元財務官僚で、嘉悦大学教授の
高橋洋一氏は、フランスの消費税について、次のような独特の見
解を述べています。
─────────────────────────────
 フランスで消費税が考案された理由には、フランス人がプライ
バシーを重視することも影響しているかもしれません。所得税は
いわば個人の懐に入り込む税制です。国家がプライバシーに介入
しないように考案された可能性もあります。
 増税派のなかには「ヨーロッパは高福祉にするために消費税率
を高くしている」という人がいますが、もともと消費税は福祉目
的とは何の関係がありません。消費税は目的税ではなく、一般財
源です。                  ──高橋洋一著
     『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書/1174
─────────────────────────────
 消費税の最大の欠陥は「逆進性」にあるといわれます。ところ
で、「逆進性」とは何でしょうか。
 日本の税金は「累進税」です。所得が多い人ほど税負担が重く
なるようになっています。「たくさん稼いでいる人、すなわち所
得が多い人からは、たくさん税金を払ってもらう」というのが累
進税です。これはきわめて合理的です。
 これに対して消費税は「逆進税」です。所得が多い人ほど税負
担が軽くなる税金です。これを「逆進性が強い」というのです。
 年収5000万円の人がいます。仮に年間1000万円消費す
るとします。残りの金額は貯蓄や投資に回せます。10%の消費
税がかかると、消費税額は年間100万円。収入に対して負担し
ている消費税の割合は2%です。
 一方、200万円の所得の人がいます。年間200万円では、
貯蓄する余裕はないので、収入するほぼ全額が消費に回ると考え
られます。そうすると、年間の消費額は200万円、消費税額は
年間20万円、収入に対する税負担は10%です。そうすると、
次のように収入が低いほど、税負担は重くなります。
─────────────────────────────
   年収5000万円 ・・・ 消費税負担 → 2%
   年収 200万円 ・・・ 消費税負担 →10%
─────────────────────────────
 これが消費税の逆進性です。貯蓄する余裕がないので、収入の
ほとんどを消費、それも食料品の購入に充てることになります。
そういう消費を狙ってかける税金が消費税です。これについて、
元国税調査官の大村大次郎氏は、消費税の逆進性について次のよ
うに述べています。
─────────────────────────────
 税金には本来、所得の再分配の機能がある。所得の高い人から
多くの税金をとり、所得の少ない人に分配する、という機能であ
る。経済社会の中で生じたさまざまな矛盾を、それで是正しよう
ということだ。でも消費税は、所得の再分配と、まったく逆の機
能となっている。もし消費税が税収の柱になっていけば、お金持
ちはどんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になる。
 これは、単なる理論的なことだけではない。実際「格差社会」
という言葉が使われはじめたのは、消費税が導入されてからであ
る。消費税と格差社会は時代的にまったくリンクしているのだ。
消費税が導入される前は日本は一億総中流社会と言われていた。
国民全部が、自分たちのことを中流階級だと思っでいたわけだ。
 つまり貧しい人がいなかったということだ。格差が広がったの
は、消費税が導入されてからなのである。  ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 日本は世界第3位の経済大国です。しかし、所得格差のレベル
は、先進国でワースト8位です。いつのまにか格差社会になって
しまったのです。確かに、大村大次郎氏の指摘するように「日本
は格差社会である」といわれるようになったのは、消費税導入の
時期と一致します。
 橋本健二著の『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)によ
ると、「格差社会」という言葉が日本社会を表現する言葉として
使われたのは、1988年11月19日付の朝日新聞社説「『格
差社会』でいいのか」からであり、その直後の1988年12月
に消費税法が成立しています。
 逆進性の強い消費税を導入し、それに加えて法人税の減税と高
額所得者への所得税の減税を続ければ大村氏のいう「お金持ちは
どんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になる」こと
により、格差社会になるのは必然です。
            ──[消費税増税を考える/006]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税の逆進性を考える/大竹文雄の経済脳を鍛える
  ───────────────────────────
   国会で消費税増税が議論されている。野田佳彦首相は、消
  費増税に「政治生命をかける」としている。その割に、消費
  税に関する議論は建設的ではないように感じてしまう。増税
  は不可避のもとで、消費税なのか所得税なのか、という議論
  があれば、もう少し変わるのではないだろうか。消費税を否
  定する際の最大の根拠は、所得税は累進的だが、消費税は逆
  進的だというものだ。このことをもう少し考えてみよう。
   正確には、所得税は累進的にできるが、消費税は逆進的に
  しか課税できない、というべきであろう。所得に課税する場
  合であっても、比例的あるいは逆進的に課税されている場合
  もある。例えば、社会保険料はその例である。基本的に定率
  で課されている上、社会保険料には負担の上限もある。その
  ため、所得に対する社会保険料の支払額は逆進的になる。し
  かし、所得税は、通常、課税最低限がある上、限界税率が所
  得とともに上昇するので、所得に対する所得税負担率の比率
  である平均税率は上昇していく。
   これに対して、消費税は逆進的だと言われる。所得に対す
  る消費の比率である平均消費性向が、所得が低いほど高く、
  所得が高くなるにしたがって小さくなっていくという特徴が
  あるからだ。低所得者であっても生きていくためには消費を
  せざるを得ず、その消費に税金がかけられる。高所得者は、
  その所得の一部しか消費しなくても生きていけるのに、多額
  の貯蓄には課税されなくてすむ。なるほど消費税は逆進的で
  不公平に見える。        https://bit.ly/2Vxydte
  ───────────────────────────

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嘉悦大学教授/高橋洋一氏
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2019年10月16日

●「大平正芳首相の消費税導入の奮闘」(EJ第5109号)

 かつて税金に関して、「クロヨン」とか「トーゴーサンピン」
という言葉が流行したことがあります。これは、税務署の職業に
よる所得の捕捉率をあらわしています。
─────────────────────────────
    ◎クロヨン
        9割 ・・・ サラリーマン
        6割 ・・・  個人事業主
        4割 ・・・ 農林水産業者
    ◎トーゴーサンピン
       10割 ・・・ サラリーマン
        5割 ・・・   自営業者
        3割 ・・・ 農林水産業者
        1割 ・・・    政治家
─────────────────────────────
 これらの言葉が流行したのは、1960年(昭和35年)代で
あり、日本はそのとき経済成長の先陣に立っていました。その経
済成長の担い手である当時のサラリーマンには勢いがあり、彼ら
が「税の不公平さ」を訴える言葉として、これらのクロヨンやト
ーゴーサンピンが使われたのです。
 なぜなら、サラリーマンの税金は給与から天引きされ、9割〜
10割捕捉されてしまうからです。こうした税の不公平性に対す
るサラリーマンの不満は、選挙結果に確実に影響を与えるように
なっており、当時の政権党である自民党も、こうした声に対して
何らかの対策を講ずる必要があったのです。そのとき、自民党内
で、この問題解決の案のひとつして、密かに検討されていたのが
消費税の導入です。確かに税金を取る側から見た場合、消費税に
は、次の3つのメリットがあります。
─────────────────────────────
        1.脱税しにくい税である
        2.徴税コストが安くなる
        3.景気には左右されない
─────────────────────────────
 消費税のこれら3つの利点のうち、第1の「脱税しにくい税で
ある」については、改めて詳しく述べる必要がありますが、消費
税が、本当に脱税しにくい税であるとすると、第2の利点である
「徴税コストが安くなる」は実現できます。さらに、第3の「景
気には左右されない」は、誰でも理解できるはずです。しかし、
それは、消費税を正しく導入した場合に限られます。
 ところが、日本は正しいかたちで、消費税を導入していないの
です。それは、消費税導入に不可欠である「インボイス」を導入
せず、簡易課税制度を使っているからです。これでは、消費者が
正しく支払った税金が国に正しく収められず、「益税」が発生し
てしまう不公平な税制になってしまいます。自民党政府が消費税
の導入を急いだことが原点です。
 インボイスについては、改めて述べることにし、今日は、最初
に消費税を導入すべく奮闘した大平正芳首相について述べること
にします。大平内閣は、1978年12月から、1980年6月
まで続いた内閣です。大平氏は、池田勇人首相の秘書官を経て政
界に進出し、宏池会会長として「三角大福中(三木、田中、大平
福田、中曽根)」の一角を占め、田中内閣の外相として、日中国
交回復に貢献しましたが、四十日抗争やハプニング解散で精神や
体力を消耗し、選挙中に首相在任のまま死去した宰相です。
 重要なことは、大平正芳氏が大蔵省(現財務省)の出身であり
田中内閣と三木内閣において、大蔵大臣(財務大臣)を務めてい
ることです。したがって、大平正芳氏は、消費税制のことは正し
く理解しており、1979年1月に、日本に必要な税制として、
一般消費税の導入準備を1980年から実施することを閣議決定
しています。1978年12月に首相に就任し、1980年1月
からその導入準備を行おうとしたのですから、消費税導入は、首
相になる前から考えていた構想だったといえます。
 大平氏の消費税導入の動機になったのは、自身の大蔵大臣時代
に、赤字国債発行を行なわざるをえなかったことにあります。大
平氏は、つねづね次のようにいっていたのです。
─────────────────────────────
        赤字国債発行は万死に値する
               ──大平正芳
─────────────────────────────
 今でこそ、いわゆる赤字国債の発行は当たり前のことになって
しまっていますが、税収が足りないときに、経常経費として使う
目的で発行される赤字国債は、現在でも財政法上禁止されており
その発行に当っては、毎年度財政法の特例法として国会に提出し
その議決を得ることが求められるのです。あくまで財政法上は、
やってはならないことになっているのです。
 大平正芳氏は、三木内閣の大蔵大臣時代の1975年に、オイ
ルショックの後遺症による税収減を補うため、大規模な赤字国債
を発行せざるを得なかったのですが、これは、大平蔵相にとって
きわめて屈辱的なものだったのです。この大平首相について、高
橋洋一氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 大蔵省出身の大平首相は、このような財政規律の乱れを正すた
めに、全力を尽くすことになります。大平首相は大蔵省の出身で
すから、消費税が相互牽制によって適正な納税を促す制度である
ことをよく理解していました。総背番号制の見送りで不公平な課
税は是正できませんでしたが、消費税であれば、脱税も少なく、
総背番号なしで広く薄く課税することができます。大平内閣は脱
税がしにくい消費税導入に向かっていきました。
                      ──高橋洋一著
     『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書/1174
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/007]

≪画像および関連情報≫
 ●ニッポンの消費税導入「失敗」の歴史を振り返る
  ───────────────────────────
   安倍首相は1月10日、TV番組で2017年4月に予定
  する消費税率10%の引き上げについて「今度は景気判断は
  行わず、リーマン・ショックのようなことが起こらない限り
  予定通り引き上げていく」と述べました。過去を顧りみれば
  消費税導入までの道のりは、断念と失敗の連続でした。ジャ
  ーナリストの嶌信彦さんは、自身のメルマガ「時代を読む」
  の中で、消費税の「失敗の歴史」を振り返りながら、日本国
  民を騙してきたとも言える多くの疑問や問題点を指摘してい
  ます。税金──とりわけ消費税は国民一人一人の毎日の生活
  にかかわってくる税金だけに国民の関心はどこでも高い。そ
  れだけに、税金に対する基本的な哲学、考え方を国民が共有
  しておくことが重要になってくる。
   税の基本哲学とは、まず「公平」「公正」「簡素」といわ
  れる。誰に対しても公平な税制であり、何よりも公正でなく
  てはいけない。そして税の仕組みはできるだけ簡素でわかり
  やすいものするというのが税制を国民のものにする民主主義
  の源であり、最近はこれに加えて財政赤字を食い止める手段
  としても大きく期待されてきた。
   日本に消費税導入論が本格的に叫ばれたのは、1979年
  1月の大平正芳内閣時代で、1月に一般消費税を閣議決定し
  ている。しかし、これは10月の総選挙中に導入を断念し、
  選挙の勝利に賭けたが、総選挙も大幅に議席を減らし敗北し
  てしまう。政治家にとって消費税を口にすることは鬼門とさ
  れるようになる。        https://bit.ly/33o8YfB
  ───────────────────────────

「三角大福中」.jpg
「三角大福中」
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2019年10月17日

●「インボイス制度を知る必要がある」(EJ第5110号)

 消費税の「インボイス」について考えてみます。高橋洋一氏の
著書を参考にして説明します。そのためには、モノを売る業者が
どのようにして、消費税を納めるのかについて、理解する必要が
あります。消費税は10%として考えます。
 ある商品を仕入れて売る場合を想定します。8000円で仕入
れて、10000円で売るとします。商品を仕入れるとき、消費
税を10%支払います。800円です。そしてその商品を売ると
き、買い手から10%の消費税を受け取ります。10000円が
売値ですから、消費税は1000円です。
 さて、この業者は、消費税をいくら支払うのでしょうか。
 それは、売ったとき受け取った消費税1000円から、仕入れ
のとき支払った800円を引いて、200円を収めるのです。ま
とめると次のようになります。
─────────────────────────────
 仕入れ: 8000円×10%= 800円 消費税支払い
 販 売:10000円×10%=1000円 消費税受取り
       消費税納付:1000円−800円=200円
                      ──高橋洋一著
     『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書/1174
─────────────────────────────
 インボイスというのは、消費税の税率と税金の額を明記した請
求書/納付書のことです。上記の例で、仕入れ側は800円の消
費税を支払いますが、相手側は、800円を受け取ったことを明
記したインボイスを発行します。これは、仕入れ側が800円の
消費税を支払ったことの証明書になります。これがあると、消費
税を納めるさい、販売時に受け取った消費税1000円から、仕
入れのさい支払った消費税800円を控除できます。
 しかし、日本の消費税はインボイス制度を導入しておらず、簡
易課税制度を使っています。2016年11月末に可決・成立し
た税制改正関連法によると、2023年10月から実施されるこ
とになっていますが、面倒なので、実施を急いで、実施時期を先
延ばししたように見えます。それは次の名称になっていますが、
このことを知っている人は、ほとんどいません。
─────────────────────────────
     インボイス方式(適格請求書等保存方式)
─────────────────────────────
 それでは、現行の「簡易課税制度」とは何でしょうか。
 事業者は、あらかじめ業種の登録をしておくと、消費税を納付
するさい、業種ごとに決められている「みなし仕入れ率」という
ものを使って税額を控除できます。
 例えば、一般的なサービス業は、「みなし仕入れ率」が50%
になっています。例を上げて、説明します。
 あるサービス業の事業者の売り上げが100万円だとします。
そのさい、消費税は10万円受け取っています。しかし、インボ
イスが導入されていないので、仕入れのさい支払った消費税を証
明するものがありません。そこで「みなし仕入れ率」を使って計
算するのです。100万円の50%ですから、50万円というこ
とになります。そうすると、消費税は5万円になります。5万円
が仕入れのさい、支払った消費税とみなされるのです。そうする
と、納める消費税は「10万円−5万円=5万円」になります。
 仮定の話ですが、実際の仕入れ価格が30万円であったとしま
す。そうすると、支払っている消費税は3万円です。そうである
とすると、本来は「10万円−3万円=7万円」の消費税を支払
うべきなのですが、実際には5万円しか支払っていないので、事
業者は2万円トクすることになります。これを「益税」といいま
す。まとめると、次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎現行の消費税納付
  売り上げ:100万円/消費税として10万円受領
  みなし仕入れ額:100万円×50%=50万円/消費税
  として5万円支払ったことになるとみなす
  納付する消費税:10万円−5万円=5万円
 ◎インボイスによる消費税納付
  売り上げ:100万円/消費税として10万円受領
  実際の仕入額:30万円/消費税3万円支払い
  納付する消費税:10万円−3万円=7万円
  益税:2万円        ──高橋洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
 上記のケースでいうと、本来国に納付されるべき2万円の消費
税が益税として事業者の懐に入ってしまうことを国として容認し
ていることになります。本来であれば、税率を上げる前にインボ
イス制度を導入すべきです。高橋洋一氏は自分はみなし仕入れ率
を使っていないとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ちなみに私はインボイス方式を長年主張している手前、みなし
仕入れ率を使った簡易課税の届け出はしていません。大学教授の
仕事以外にも執筆や講演などの仕事をしていますが、サービス業
の場合は50%のみなし仕入れ率を使えます。みなし仕入れ率を
使って簡易課税にすれば、たとえば印税100万円、消費税8万
円(8%の場合)を受け取った場合、消費税は4万円程度の納税
で済みます。
 しかし実際には、執筆や講演には仕入れというものはほとんど
発生しません。だから実額で仕入れを計算して、8万円近い消費
税を納付しています。簡易課税を申請すれば、納める消費税の額
を減らすことができますが、あえて実額で計算しています。簡易
課税を使ってしまうと、「インボイスを主張している人間が、自
分は簡易課税を使って利益を得ているじゃないか」と批判される
からです。           ──高橋洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/008]

≪画像および関連情報≫
 ●消費増税で免税事業者が4年後に直面する本当の「大問題」
  ───────────────────────────
   消費税の税率引き上げと軽減税率の導入に伴って、免税事
  業者に問題が起きる。しかし、実は、これは「序曲」にすぎ
  ない。免税事業者にとっての本当の問題は、2023年から
  生じる。「インボイス」が導入され、消費税納税の仕組みが
  大きく変わるのだ。この問題は分かりにくい。しかし、経済
  活動に極めて大きな影響を与える可能性がある。場合によっ
  ては日本社会の根底を揺るがすような問題になりかねない。
   消費税は取引の各段階で課税される。したがって、そのま
  まだと、税額が累積してしまう。こうならないように、前段
  階でかかった消費税を控除する措置が取られる。これが「前
  段階税額控除」(あるいは「仕入税額控除」)と呼ばれる仕
  組みだ。ヨーロッパの付加価値税では、前段階税額控除のた
  めに、「インボイス」が使われている。これは、商品やサー
  ビスごとに、取引内容、税率、税額、取引金額などの法定事
  項を記載した書類だ。
   この書類に記されている消費税額を控除できる。インボイ
  スに基づかずに前段階税額控除を行うと、税務調査があった
  場合に否認される。例で説明しよう。広告会社のCが、化粧
  品会社Aのために宣伝用ポスターを製作するとする。最初に
  税のない世界を考える。     https://bit.ly/35vPZBI
 ───────────────────────────

2023年から導入されるインボイス.jpg
2023年から導入されるインボイス
 
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2019年10月18日

●「日本の消費税率は実質的に世界一」(EJ第5111号)

 消費税を導入する目的が、大平正芳元首相の執念であった赤字
国債をなくすことであったとすれば、その後3回の消費税の税率
引き上げの目的は何だったのでしょうか。
 政府が消費税を増税するときは、必ずその目的を明らかにしま
すが、気になることは、その目的がそのつど変わることです。あ
るときは、財政危機からの脱出であり、またあるときは、財政再
建であり、またあるときは社会保障の財源確保というようにくる
くる変わります。そのようにして、税率をきわめて短期間に、日
本の税制史上、類を見ないハイペースで、5%から10%に倍増
させたのです。
 それに、「〜の財源として」といいますが、消費税は目的税で
はなく、あくまで一般財源です。お金に色はついていないので、
徴税してしまえば、社会保障の財源に充てるといっても、本当に
社会保障に使われているのかどうか確かめようがないのです。そ
の証拠に、これほど消費税が増税されても、社会保障はどんどん
削減されているではありませんか。
 増税の勧進元は財務省であって、政治家ではありません。政治
家は選挙があるので、増税、とくに全国民に影響の大きい消費増
税は、自分にとって大きなマイナスです。増税に失敗して辞めて
いった政治家は何人もいます。このように、政治家は増税すれば
次の選挙で痛い目に遭うのでなるべくやりたくないものですが、
選挙の洗礼を浴びない財務省の役人、それも一部のキャリアは、
ひたすら税率アップを狙っています。彼らにとっては、目的はど
うでもいいのです。ひたすら税率を上げようとします。彼らは、
早くも2年後の12%税率アップを狙っています。
 竹下内閣で消費税が導入された直後の政府税制調査会の会長は
加藤寛慶応義塾大学教授でした。税制に造詣が深く、1990年
から2000年まで会長を務めています。このときの加藤教授の
消費増税の目的は「直間比率の是正」です。これについて、経済
アナリストの森永卓郎氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 加藤教授は、ミスター税調と呼ばれるほど圧倒的な影響力を持
ち、消費税率を引き上げていかなければならないと言い続けた。
その目的は、直間比率の是正だった。所得税や法人税といった直
接税は、景気に応じて大きく変動してしまう。一方、消費税のよ
うな間接税は、安定した税収が得られる。高齢社会の膨大な社会
保障財源を賄うためには、日本以外の先進国並みに間接税の比率
を高めていかなければならないというのが、加藤教授の持論だっ
た。ところが、その加藤教授が、政府税制調査会の会長を退任す
る際の最後の答申で、持論である直問比率の是正をもう一度主張
して花道を去ろうとしたら、大蔵省(当時)の官僚に制止された
そうだ。大蔵官僚とは、それまで手を携えて直間比率の是正を掲
げてきただけに、不審に思った加藤教授が問いただすと、大蔵官
僚は「直間比率の是正ではなく、財政危機を乗り切るためには消
費税率引き上げが必要と言ってください」と話したという。
           ──森永卓郎著/角川新書/K−126
  『消費税は下げられる!/借金1000兆円の大嘘を暴く』
─────────────────────────────
 日本は、世界第3位の経済大国ですが、「家計調査」によると
国民の家計消費は激減しています。2002年に一世帯当たりの
家計消費は320万円を超えていましたが、現在は290万円に
なっています。先進国で家計消費が年々減っているのは、日本だ
けです。消費増税によって景気が低迷しているからです。
 このようにいうと、ヨーロッパの先進国の消費税率は日本より
高いではないかと反論されますが、ヨーロッパでは、消費税は高
いですが、物価は日本よりはるかに低いのです。だから日本では
消費増税されると、生活はますます苦しくなります。
 世界の物価ランキングを知っていますか。物価は「都市名」で
ランキングされますが、2018年の物価ランキングベスト10
を参考までに以下に示します。
─────────────────────────────
  ◎世界物価ランキング/2018(マーサー)
      1位   ルアンダ    アンゴラ
      2位     香港      香港
      3位     東京      日本
      4位 チューリッヒ     スイス
      5位 シンガポール  シンガポール
      6位    ソウル      韓国
      7位  ジュネーブ     スイス
      8位     上海      中国
      9位 ニューヨーク    アメリカ
     10位    ベルン     スイス
                  https://bit.ly/2pnEzzh ─────────────────────────────
 日本の物価は世界第3位である──こういう政府に都合の悪い
ことを新聞やテレビは一切報道しません。その見返りに新聞は増
税を免れています。最低です。政府とメディアが一体になって国
民を騙していることになります。
 日本は、消費税が10%になって、物価は世界第3位の高さで
す。これでは消費が増えるはずがないでしょう。日本の消費税は
実質的には世界一高いといえます。それを無視して財務省のキャ
リアは、国民のためではなく、自分たちのために、ひたすら増税
に走っています。彼らは根っこの部分で財界につながっているの
です。このあたりのことは来週解明します。
 経済的措置を誤ってデフレになり、それにもかかわらず消費税
の税率を何回も上げる。物価は世界第3位と高い。当然消費は大
幅に冷え込みます。そうすれば景気が悪くなり、いつまで経って
もデフレから脱却できない。まさにそういう「失われた30年」
が続いています。国民は「減税」という言葉を忘れてしまうほど
増税ばかりです。    ──[消費税増税を考える/009]

≪画像および関連情報≫
 ●元国税が暴露「消費税は社会保障のため不可欠」が大ウソ
  ───────────────────────────
   確かに、日本の間接税はヨーロッパ諸国に比べれば低いで
  す。しかし、日本の場合、公共料金やNHK受信料など「準
  税金」が非常に高く、国民生活の実態においては、高額の間
  接税を払っているのと同じ状況になっているのです。これは
  データとしても明確に表れているのです。
   間接税というのは、税金をモノの値段に上乗せする税金で
  す。間接税の最大の欠点というのは、モノの値段が上がる事
  です。それが一番、我々の生活に直結することです。もし、
  間接税を上げても、モノの値段が変わらないのだったら、間
  接税などいくら上げてもいいわけです。つまり、間接税とい
  うのは、国民がモノの高さを我慢することによって、間接的
  に税負担をするという税金なのです。
   となると、間接税というのは物価との関係をセットで考え
  なくてはなりません。もし物価がものすごく低い国だったら
  消費税を多少上げても、国民の生活にはそれほど影響はしま
  せん。でも物価がものすごく高い国だったら、消費税を上げ
  たならば、たちまち国民生活に影響することになります。で
  日本は物価が高いでしょうか、低いでしょうか?
   日本は、実は世界一物価が高い国なのです。世界最大のコ
  ンサルティング会社、マーサーによる世界の主要都市の20
  17年の物価ランキングでは、東京は世界第3位となってい
  ます。             https://bit.ly/2MKZgwZ
 ───────────────────────────

加藤寛元慶応義塾大学教授.jpg
加藤寛元慶応義塾大学教授
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2019年10月21日

●「超大企業ほど税金を払っていない」(EJ第5112号)

 日本の消費税が、その創設以来、この税制にとって不可欠であ
るはずのインボイス制度を導入しないまま導入され、3%〜10
%まで税率が引き上げられてきています。これでは、国に消費者
の納めた税金が十分収入されず、それによって利益を得る者が出
てきてしまいます。国は、そのことがわかっていて、インボイス
を導入していないのです。
 既に説明しているように、インボイスはけっして難しい制度で
はなく、導入しようと思えばできるのに、なんと2023年10
月から導入することになっていますが、その事実を多くの人は知
らないでいます。それまでは、「益税」の発生を黙認する簡易課
税制度を使うことになっています。きわめて不公平税制です。
 ところが、消費税の増税に合わせて、法人税が減税されている
事実については既に指摘した通りです。まるで法人税の減税で減
少した税収を消費税の税率を上げることによって、カバーしてい
るようです。だから「庶民には増税/大企業には減税」と批判さ
れるのです。
 しかし、政府は、日本の法人税は他国に比べて高く、外国の企
業が日本でビジネスをするさいのネックになっていると、法人税
減税の意義を強調しています。本当にそうなのでしょうか。日本
の法人税は本当に高いのでしょうか。
 財務省のウェブサイトに「法人実効税率の国際比較」というグ
ラフが出ています。各国の国税と地方税の合計の数字の比較です
が、これを高い順に並べると、次のようになります。2019年
1月現在の数字です。
─────────────────────────────
      1.フランス ・・・ 31・00%
      2. ドイツ ・・・ 29・89%
      3.  日本 ・・・ 29・74%
      4.アメリカ ・・・ 27・98%
      5. カナダ ・・・ 26・50%
      6.イタリア ・・・ 24・00%
      7.イギリス ・・・ 19・00%
                  https://bit.ly/2MtfITX ─────────────────────────────
 日本の場合、法人に課されるのは、法人税だけでなく、法人住
民税、法人事業税があります。法人税は国税ですが、法人住民税
と法人事業税は地方税です。これらを「法人3税」といいます。
それぞれ国によって基準が異なるので、順位で並べて比較するの
は問題があるかもしれませんが、これによると、日本の法人3税
(実効税率)は、確かに「高いレベル」といえます。日本の法人
税は、次のように計算されます。
─────────────────────────────
 「所得金額(=益金−損金)×税率」−税額控除=法人税額
─────────────────────────────
 法人税額は、商品などを販売して得た収入から、商品の原価や
人件費などの経費(損金)を引いた所得金額に税率をかけて、そ
こから税額控除をして計算されます。問題はこの「税額控除」で
す。これが税率とは関係なく、法人税額を大きく減らす仕組みに
なっているのです。日本の法人税には、大きな抜け穴が存在しま
す。その抜け穴は大企業に集中しています。
 その抜け穴の代表的なものとして、大村大次郎氏は次の2つの
制度を上げています。
─────────────────────────────
 1.           研究開発費減税  2003年
 2.外国子会社からの受取配当の益金不算入  2009年
                     ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 「1」の「研究開発費減税」というのは、研究開発をした企業
は、その費用の10%分の税金を削減するというものです。限度
は、その企業の法人税額の25%です。
 この減税の特徴は、研究開発費を支出する余裕のある大企業し
か受けられないものであることです。しかも、研究開発費の範囲
が非常に広く設定されており、ちょっとした研究開発でも、製造
業の大企業であれば、受けられる減税です。これによって、法人
税は25%減税されることになります。大村大次郎氏によると、
全体の0・1%にも満たない資本金100億円超の大企業が、減
税額の80%を独占しているのです。まさに大企業のための減税
であるといえます。
 「2」の「外国子会社からの受取配当の益金不算入」は、外国
の子会社から配当を受け取った場合は、課税対象の所得金額から
外されるというものです。企業のグローバル化が進む現代では、
大企業の多くは海外の子会社を保有しています。ある企業が、海
外の子会社から500億円の配当を受け取ったとします。この場
合、この企業は、500億円の配当収入には税金はかからず、無
税になります。
 これは、現地国と日本での2重課税を防ぐのが目的ということ
になっています。外国子会社の配当収入は、一般的には、税金が
源泉徴収されるケースが多く、現地で払っているのだから、日本
では税金を払わなくてもいいという制度です。
 しかし、2重課税を防止するのであれば、現地で支払った分を
控除すればいいはずです。しかし、この制度は、現地でいくら税
金を払っているかに関係なく、全額控除できます。これによって
とんでもない大減税になるのです。
 日本のトップ企業であるトヨタ自動車は、この制度のおかげで
2008年から実に5年間、日本の法人税を払わないで済んでい
ます。その間、トヨタ自動車は、リーマンショックの2年以外は
黒字を出しています。このように儲けている企業ほど税金を払っ
ていないのです。    ──[消費税増税を考える/010]

≪画像および関連情報≫
 ●トヨタ5年間法人税を払っていなかった!そのカラクリ
  ───────────────────────────
   クルマの年間販売台数「世界一」のトヨタ自動車が法人税
  を納めていなかった。最近、巨額の利益を上げているはずな
  のに、なぜこんなことができるのか、とインターネットで怒
  りの声も出ている。
   トヨタの豊田章男社長は2014年3月期の決算会見で、
  09年3月期分から納めていなかった法人税を、14年3月
  期から支払えるようになったと語った。トヨタ自動車の20
  14年3月期連結決算によると、グループの世界販売台数が
  世界で初めて年間1000万台を突破。売上高は前期比16
  ・4%増の25兆6919億円、営業利益は6年ぶりに過去
  最高を更新して、73・5%増の2兆2921億円。税引き
  前当期純利益は、73・9%増の2兆4410億円の好決算
  だった。まさに、トヨタは、「世界一」の自動車メーカーに
  なった。この結果に、豊田章男社長は「一番うれしいのは納
  税できること」と喜んだ。豊田氏が社長に就任したのが20
  09年6月。「社長になってから国内では税金を払っていな
  かった。企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の
  使命」と語り、「納税できる会社として、スタートラインに
  立てたことが素直にうれしい」と話した。トヨタ自動車は、
  たしかに法人税を払っていなかった。そのことは広報部も、
  「この5年間は払っていません」と認め、「13年度分を、
  この6月に納めます」と話している。
                  https://bit.ly/32t2Lz4
  ───────────────────────────

トヨタ自動車/豊田章男社長.jpg
トヨタ自動車/豊田章男社長
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2019年10月23日

●「大企業の実効税負担率はなぜ低い」(EJ第5113号)

 大企業優遇の日本の法人税のまやかしを徹底追及する経済学者
や税の専門家は、自民党が支配する政治情勢下では、ほとんどい
ませんが、ひとりだけこの問題を徹底的に追及している学者がい
ます。1925年生まれの中央大学名誉教授の富岡幸雄氏です。
 富岡幸雄氏は、学徒出陣で戦地に赴きましたが、復員後、国税
庁に勤務します。そのかたわら中央大学法学部の夜間部に通い、
第1回公認会計士試験、第1回税理士試験にそれぞれ第1号で合
格するという快挙を成し遂げた税の専門家です。
 その富岡幸雄氏は、いくつもの書籍で、日本の法人税のまやか
しを暴いています。その最新の一冊に次の書籍があります。
─────────────────────────────
                       富岡幸雄著
        『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
 この本では、法人税のまやかしを精緻に暴いていますが、内容
がやや専門的であるので、そりのエッセンスだけをご紹介するこ
とにします。とても内容があり、一読の価値があります。
 法人税、法人住民税、法人事業税のいわゆる「法人3税」の法
律で定められた税率を富岡幸雄氏は「法定総合税率」と表記して
いますが、メディアなどは「実効税率」と呼んでいます。最近で
は、政府当局にもこの表記を使っていますが、これは不可解なこ
とであると富岡氏はいっています。
 なぜなら、「実効税率」という表記は、法律で定められた税率
ではなく、実質的な税率という意味になってしまうからです。こ
の言葉を政府当局が使うのは理解できないことですが、わかって
いてあえてやっていると思うのです。
 そこで富岡氏は、企業の計上している利益に対して、実際に負
担している納税額の割合を「実効税負担率」と呼んでいます。こ
れを式で書くと、次のようになります。
─────────────────────────────
      実効税負担率=法人税等÷税引前純利益
                     ──富岡幸雄著
        『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
 「税引前純利益」とは、文字通り、税金が引かれる前の技術で
す。「法人税等」は少し専門的になりますが、損益計算書の「法
人税、住民税及び事業税」の欄にある数値のことで、実際に支払
った納税額をあらわしています。
 次の表は、単体で納税している事業会社のうち、税引前純利益
が600億円以上で、2018年度3月期における実効税負担率
が10%以下の事業会社を低い順序に並べたものです。
─────────────────────────────
   税引前純利益(万円)     法人税等 実効税負担率
 A社 1109億5700  16億1500  1・46%
 B社  976億0800  19億9400  2・04%
 C社 2915億7300 160億3500  5・50%
 D社 1394億2500 116億1500  8・33%
 H社  698億0900  74億0800 10・61%
 A社:新日鐵住金、B社:出光興産、C社:アステラス製薬、
 D社:HOYA、H社:富士フィルムHD
                ──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
 この数字を見ると、大企業が納めている法人税がいかに低いか
がわかります。新日鐡住金(現・日本製鉄)といえば、財界のリ
ーダー的存在です。その大企業の税引前純利益が約1110億円
もあるのに、法人税の納税額はたったの16億円です。出光昭和
シェルの出光興産も、税引前純利益は976億円なのに、納税額
は約20億円に過ぎないのです。
 以上は、単体で納税している事業会社ですが、連結納税してい
る事業会社で見ても同じことがいえます。本田技研工業の同じ2
018年度3月期の税引前純利益が1兆1149億7300万円
もあるのに、法人税は、136億6600万円であり、その実効
税負担率は1・23%という低さです。
 実効税負担率で、同じ時期のベスト10(低い順)に並べると
次のようになります。
─────────────────────────────
     1.本田技研工業 ・・・  1・23%
     2.  関西電力 ・・・ 11・31%
     3.  日本航空 ・・・ 15・37%
     4.  三菱電機 ・・・ 17・06%
     5.  三井物産 ・・・ 18・94%
     6.  住友商事 ・・・ 19・01%
     7.トヨタ自動車 ・・・ 19・25%
     8. 伊藤忠商事 ・・・ 19・73%
     9. 日産自動車 ・・・ 19・78%
    10. 日立製作所 ・・・ 20・62%
                ──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
 これを見ると、名だたる大企業がズラリです。トヨタ自動車の
税引前純利益は2兆6204億2900万円もあるのに、法人税
は5044億0600万円、実効税負担率は19・25%でしか
ないのです。
 これらの大企業が参加している財界総理のいる経団連は、「日
本の法人税は高い。下げろ!」と公言し、それをこれまで実現さ
せてきています。その税収の穴埋めに、もし消費税が使われてい
たとしたら、これはとても許せるものではないです。これでは日
本は、富める者はさらに巨万の富を得て、貧しい者はさらに貧し
くなる格差社会化が進行してしまいます。安倍政権は、長期政権
で、ひたすらこうした大企業偏重の政策をここまで進めてきてい
ます。         ──[消費税増税を考える/011]

≪画像および関連情報≫
 ●消費増税の議論で欠けていたもうひとつの大問題
  ───────────────────────────
   消費税増税を考える上でもう一つ、考えねばならないのが
  国民が納める税金──血税を、政府が自分の財布であるかの
  ように平気で無駄遣いしていないかという問題である。
   最近、大きな問題となっているものとして、これまでも再
  三問題にされてきた「原発マネー」の問題がある。関西電力
  の八木誠会長を含む役員ら20人が、関電高浜原発が立地す
  る福井県高浜町の元助役(今年3月に90歳で死亡)から、
  2011年からの7年間に計3億2千万円を受け取っていた
  という事実が明らかとなった。原発立地自治体には交付金や
  補助金など巨額の税金が注がれるが、それが「原発マネー」
  として還流していたとみられている。政治家もからんでいる
  という報道もある。今後、徹底的に真相を明らかにしてほし
  い。そして、その額の大きさからも、内容からも、見過ごす
  ことのできない大問題が、米国からの高額兵器の購入という
  問題である。その内実は、どしても必要なものを「購入」し
  ているというより、どうみても不必要なもの、あるいは「欠
  陥品」で他の国は買わないようなものまで、米国からの要求
  で次々と“爆買い”しているということだ。安倍首相がトラ
  ンプ大統領とたびたび対談してはそのたびに米国の高額兵器
  を“爆買い”することを約束させられているようだが、「週
  刊フラッシュ」の9月17日号には、「『血税5兆円を米国
  に』貢ぎリスト」と題した記事で、その爆買いの中身が紹介
  されている。          https://amba.to/31DjcYo
  ───────────────────────────

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富岡幸雄氏
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2019年10月24日

●「中堅企業ほど法人税負担は大きい」(EJ第5114号)

 昨日のEJの復習です。「法定総合税率」というものがありま
す。これは「法人3税」と呼ばれる、法人税、法人地方税、法人
事業税を合計したものであり、法律で定められている税率です。
これを世間では「実効税率」といっています。法律で定められて
いる税率を「実効」と呼ぶのはおかしいと、富岡幸雄氏は指摘し
ています。そこで、実際に企業が納めている税金の割合を「実効
税負担率」と呼ぶことにします。
 こういう数字があります。赤字ではない利益を出している企業
──有所得法人全体の実効税負担率は「17・46%」(201
7年3月期・外国税額を含む)であるというものです。
 2017年度の法定総合税率は、「29・97%」となってお
り、17・46%はその法定総合税率の58・25%にしか達し
ていません。この数字について、富岡幸雄氏は、次の事実を指摘
しています。
─────────────────────────────
 この数字を細かく分析すると驚くようなことがわかります。実
効税負担率を企業規模ごとにみると、巨大企業、大企業、中堅企
業、中小企業、小規模企業という階層間で、著しい格差が存在し
ているのです。
 法人所得に対して課される、法人税・法人住民税・法人事業税
の全部に関する、実際の負担率(実効税負担率)は、企業全体の
平均ですと、17・46%なのですが、資本金100億円超の巨
大企業の負担率を平均すると16・25%と、さらに負担率が下
がっているのです。
 ところが、さらに上手がいます。巨大企業が多く含まれている
と推定される、連結申告法人にいたっては、平均すると負担率は
8・58%。じつに法律で定められた税率(法定税率)の3分の
1にも達していない税負担なのです。これに対して、資本金1億
円超、5億円以下の中堅企業を見てみますと、実際の税負担率は
27・27%となっており、法定税率に近い数字です。資本金別
に企業を区分してみると、最も高い負担率になっています。
                      ──富岡幸雄著
         『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
 富岡氏はきわめて重要な指摘をしています。巨大企業が含まれ
る連結申告法人の実効税負担率の平均が「8・58%」であるの
に対して、資本金が1億円超〜5億円以下の中堅企業については
「27・27%」と法定総合税率に近いことです。あまりにも格
差があり過ぎます。これによって大企業ほど、税金の負担率は低
く、中堅企業には高い負担になっていることです。
 富岡幸雄氏は、これに関して、次のように企業規模別の実効税
負担率を示しています。著書では棒グラフで示されていますが、
メルマガ用に表に変更して表示します。
─────────────────────────────
  ◎企業規模別の実効税負担率
   2017年3月期/法定税率29・97%調査
       1千万円以下 ・・・ 20・42%
       5千万円以下 ・・・ 23・10%
        1億円以下 ・・・ 22・67%
     ★  5億円以下 ・・・ 27・27%
       10億円以下 ・・・ 25・66%
      100億円以下 ・・・ 22・38%
      100億円 超 ・・・ 16・25%
         連結法人 ・・・  8・58%
                ──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
 これを棒グラフにすると、一目瞭然ですが、日本の法人税の負
担は、中堅企業が最も高く、その規模が拡大するにつれて、負担
は軽減されています。最も高いのは、資本金階級が5億円以下の
27・27%(★)です。それにしても、★印以上の企業につい
ては、税金負担率は大幅に軽減されています。
 これに対して1億円以下の企業に対しては、法人税は軽くなっ
ていますが、これは、法人税の軽減税率(年間所得800万円ま
で)が適用されているからです。しかし、その軽減率はきわめて
緩やかです。これについて、富岡幸雄氏は、次のように結論づけ
ています。
─────────────────────────────
 企業規模別というマクロの視点からすると、法人税の負担構造
は、「極大企業の極少の負担」「中堅中小企業の高負担」です。
企業規模が大きいほど負担が軽く、規模の小さい方が重いという
いわば「逆累進構造」になっているのです。「高い、高い」と喧
伝されている日本の法人税を、ほぼ額面通りに払っているのは、
声の大きな巨大企業ではなく、黒字を出している中堅企業なので
す。              ──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
 実は、大企業だけではなく、高額所得者、つまり富裕層にも税
法の抜け穴があります。消費税増税を説く御用学者は「日本の高
額所得者の税金は他の先進国よりも高い」とし、増税するのは所
得税ではなく、消費税であるという論法を使っています。このよ
うに、彼らは所得税の増税を避ける論法を展開するのです。
 所得が1億円の場合の所得税と住民税を1980年と2015
年で比較すると、次のようになります。
─────────────────────────────
◎所得が1億円の場合
 1980年 ・・ 所得税75%+住民税13%/計88%
 2015年 ・・ 所得税45%+住民税10%/計55%
─────────────────────────────
 35年の間に少しずつ税率は下げられ、88%だった税率は、
現在は55%まで下がっています。日本政府は金持ちには減税を
しているのです。    ──[消費税増税を考える/012]

≪画像および関連情報≫
 ●消費税収19兆円のうち6兆が大企業に還付
  ───────────────────────────
   2014年4月に消費税率は5%から8%に引き上げられ
  ました。15年10月にはさらに10%へ引き上げ予定でし
  たが、17年4月へと延期し、さらに昨年には19年10月
  まで2年半延期すると安倍晋三首相は表明しました。
   世界経済の不透明感が増していることなどが理由でしたが
  いまだにデフレから脱却できないアベノミクスの大失敗が、
  景気の腰折れで決定的になることを避けたかったからにほか
  ならないでしょう。なにしろ消費税率アップは、小売業をは
  じめ一般消費者への影響は甚大だからです。
   政府・財務省は、将来の社会保障の財源を確保するうえで
  所得税や法人税の増税は適切ではなく、負担の公平性からも
  消費税率を引き上げることこそが、ベストと強調してきまし
  た。そして、財界や大手マスコミも消費税増税はやむなしの
  ポーズを決め込んできました。
   輸出大企業中心の財界にとっては、消費増税は大きなメリ
  ットがあるから当然でしょう。つまり、非常に不公平なカラ
  クリによって、莫大な権益を享受しているのが輸出大企業だ
  からです。また、大手マスコミも消費増税でうかつに政府に
  楯突くことはできません。これまで政府から戦後に国有地を
  格安で払い下げてもらい、テレビ局放送免許を独占的に付与
  され、激安の電波料で儲けさせてもらっているからです。
                  https://bit.ly/2zU7Zb5  
  ───────────────────────────

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消費税と法人税減税との関係
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2019年10月25日

●「大企業と財務省と消費増税の関係」(EJ第5115号)

 「大金を稼いだとしてもほとんどは税金に持っていかれる」と
昔はいっていたものです。こういう場合、所得税だけが念頭にあ
りますが、住民税を加えるべきです。なぜなら、所得に応じて住
民税もしっかり課税されるからです。しかし、財務省が、その高
さを気にするときは、こっそり住民税を外したりします。
─────────────────────────────
        本当の所得税=所得税+住民税
─────────────────────────────
 昨日のEJでご紹介した「所得が1億円の場合」の所得税と住
民税の税率を再現します。
─────────────────────────────
◎所得が1億円の場合
 1980年 ・・ 所得税75%+住民税13%/計88%
 2015年 ・・ 所得税45%+住民税10%/計55%
─────────────────────────────
 確かに1980年当時、所得税の最高税率は75%でしたが、
86年には70%に、87年には60%、89年には50%、そ
して現在は45%にまで下がっています。これに加えて、住民税
も、ピーク時は18%であったものの、現在では10%になって
います。
 実は所得税の最高税率は40%まで下がっていたのです。しか
し、「社会保障と税の一体改革」で、消費税の税率を倍増(5%
〜10%)させるので、所得税の最高税率が40%のままでは、
まずいということで、5%アップして45%にしています。20
13年の税制改正です。消費税の5%アップと合わせたつもりで
しょうか。小細工そのものです。
 しかし、こうした高額所得者に対する大幅な所得税の減税に気
が付いているのは、当の富裕層だけであり、一般庶民はまったく
気が付いていません。一般庶民は「減税」という言葉を忘れてし
まうほど、増税のラッシュを浴びています。
 2014年からわずか5年間で、5%の消費税の税率を10%
にするなど、先進国では例がなく、無茶苦茶です。しかも、日本
はまだデフレから完全に脱却していないのです。経済に影響が出
るのは当たり前のことです。
 こういう税制改革を推進するのは、政治家ではなく、財務省で
す。政治家は増税をすると、支持率が下がり、選挙に影響するの
で、嫌がります。そのため、財務省の高級官僚の重要な役目は、
政治家、それも財務大臣の税に対する考え方を変えさせることで
す。これはまさに「洗脳」です。その典型的な出来事が民主党政
権の公約破りの消費増税の強行です。菅直人元首相、野田佳彦元
首相は、2人とも財務大臣を務めていますが、そのさいに完全に
洗脳され、消費税増税推進派に変貌させられています。
 財務省としては、税収は少しでも多い方がいいに決まっていま
すが、それに加えて、安定した財源が欲しいわけです。しかし、
所得税は景気によって税収が変化するのに対して、消費税は景気
に左右されず、幅広い層から吸い上げることができるので、安定
しています。消費増税の目的は、これまで、直間比率の是正とか
財政再建のためであるとか、社会保障の財源とか、いろいろいわ
れていますが、消費税は目的税ではなく、使い道が限定されない
一般財源です。ですから、徴収してしまえば、何に使おうと財務
省の自由です。お金に色はついていないからです。
 実は、財務省と大企業(経団連)は、根っこの部分でつながっ
ています。これについて、大村大次郎氏は、次のように解説して
います。
─────────────────────────────
 まず最初に念頭に置いていただきたいのは、財務省のキャリア
官僚にとっては、「消費税は実利がある」ということである。消
費税が増税されることによって、彼らは間接的にではあるが、大
きな利益を手にするのだ。なぜなら、大企業と財務省は、根の部
分でつながっているからだ。
 ただ財務省といっても、財務省の職員すべてのことではない。
財務省の「キヤリア官僚」のみの話である。なぜ財務省のキャリ
ア官僚が、消費税の増税で利益を得るのかというと、それは彼ら
の「天下り先」に利をもたらすからだ。天下り先が潤うことで、
財務省のキャリア官僚たちは、間接的に実利を得るのだ。財務省
のキャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下
りしている。三井、三菱などの旧財閥系企業グループをはじめ、
トヨタ、IT(日本たばこ産業)、各種の銀行、金融機関等々の
役員におさまるのだ。           ──大村大次郎著
  『消費税を払う奴はバカ!/サラリーマンと事業者のための
              「逃税」スキーム』/ビジネス社
─────────────────────────────
 財務省のキャリア官僚は、多くの場合、大企業各社から「非常
勤役員」のポストを用意されますが、大企業としては、彼らの仕
事に期待しているのではなく、在任中にいろいろ配慮してもらっ
たことのお返しとして、報酬という名目で、莫大な謝礼を払って
いるのです。
 とくに財務省のキャリアで、事務次官や国税庁長官の経験者に
ついては、専用車での送迎と、秘書付きの個室を与えられ、日中
からゴルフざんまいと、優雅な毎日を過ごすのです。そのうえ、
2年程度で退職し、各社を渡り歩き、そのつど莫大な退職金を手
にするので、8億円〜10億円も稼げます。大企業と財務省が、
根っこでつながっているというのはこのことを指しています。
 消費税を社会保障財源に使えば、企業としては、社会保険料を
値上げされずに済みます。他方、社会保障財源に社会保険料を充
てると、社会保障は労使折半ですから、企業側も応分の負担をせ
ざるを得ないのです。したがって、企業としては、社会保障は消
費税でやってくれれば満足です。やはり、財務省と大企業は根っ
こで深くつながっているといえます。
            ──[消費税増税を考える/013]

≪画像および関連情報≫
 ●財務官僚はこんないい会社に「天下り」していた
  ───────────────────────────
   約5000万円――。森友文書改ざんにおける渦中の人物
  である佐川宣寿前国税庁長官が受け取る予定の退職金だ。こ
  の金額を「安い」と思う国民はいないだろう。経団連が17
  年に発表したデータによると、経団連会員企業283社の大
  卒退職金の平均額は2374万円。佐川氏は、比較的高所得
  なサラリーマンの2倍以上の退職金を受け取ることになる。
  おまけに佐川氏は、勤続36年の次官級ポスト。年2500
  万円以上の俸給をすでに手にしているわけだ。
   佐川氏の今後の処遇は国会での追及と大阪地検の捜査次第
  だが(お咎めなし)、ふつう、階段を踏み外すことなくキャ
  リア街道を突き進んだ官僚たちには、省庁を退職後「ボーナ
  スステージ」が待っている。民主党政権時代に根絶されたは
  ずの「天下り」だ。
   17年に明るみに出た、文部科学省の再就職あっせん問題
  で巻き起こった批判もなんのその、特に第2次安倍政権にお
  ける天下りの復活は全官庁を通じてすさまじいものがある。
  民主党政権の12年度に1349件だった再就職状況は16
  年度に1775件と3割強増えているのだ。「それを象徴す
  るのが、元財務事務次官の丹呉泰健氏が会長職を務めるJT
  (日本たばこ産業)のトップ人事です。日本専売公社時代か
  らトップは大蔵官僚の指定席でしたが、民主党時代にそのイ
  スは撤去されました。      https://bit.ly/2BEL97C
  ───────────────────────────

経団連と財務省.jpg
経団連と財務省
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2019年10月28日

●「課税ベース浸蝕化が拡がっている」(EJ第5116号)

 税率だけを見ていても、税金の多寡はわかりません。「タック
ス・イロージョン」という税制ギャップが生ずるからです。タッ
クス・イロージョンとは、「課税ベースの浸蝕化」という意味で
す。法人税の計算式を再現します。
─────────────────────────────
 「所得金額(=益金−損金)×税率」−税額控除=法人税額
─────────────────────────────
 この式のなかの課税ベースは「所得金額」ですが、損金として
落とせる額が増えると、益金は減少し、課税ベースは小さくなり
低い税率がかかることになります。さらにそこから税額控除され
るケースもあるので、納める法人税額はさらに小さくなります。
したがって、税率の多寡では税金の大きさはわからないのです。
これについて、富岡幸雄氏は、次のように述べています。
─────────────────────────────
 課税ベースが浸蝕されているため、本来、課税対象となるべき
所得が、課税の範囲から、抜け落ちているからです。要するに、
現実の「課税所得」が虫食いになり、削られ、本来の姿より小さ
くなってしまっているのです。
 私のマクロ分析によると、平均して課税所得の2割強が縮小さ
れています。なかでも巨大グループが多いと目される連結法人の
縮小率は40%を超えています。       ──富岡幸雄著
         『消費税が国を滅ぼす』/文春新書1233
─────────────────────────────
 2019年6月のことです。タックス・イロージョンの一端が
明らかになるニュースが起きたのです。ソフトバンクグループ株
式会社による過去最高といわれる4200億円の申告漏れの発覚
です。何が起きたか朝日新聞デジタルの記事をチェックしてみる
ことにします。
─────────────────────────────
 ソフトバンクグループ(SBG、東京都港区)が東京国税局の
税務調査を受け、約4200億円の申告漏れを指摘されたことが
わかった。2016年に約3兆円で買収した大手半導体会社の株
をめぐって巨額の損失を計上したが、同国税局は損失額の一部を
認めなかった模様だ。すでに修正申告したという。
 数千億円規模の申告漏れは極めて異例。日本IBMが約10年
前に約4千億円の申告漏れを指摘(後に最高裁決定で課税取り消
し)された例があるが、今回は、それを上回り過去最高額とみら
れる。ただ、修正申告後も損失が上回っていたため、追徴課税は
なかったという。  ──2019年6月19日付、朝日新聞D
                  https://bit.ly/2WkOpys ─────────────────────────────
 この朝日新聞デジタルの記事をもう少し詳しく述べると、ソフ
トバンクグループは、子会社の株を関連ファンドに現物出資した
さい、取得価格と時価評価の差額、約1兆4000億円の損失を
計上したのです。ところが国税庁は、その70%しか損失として
認めず、残りの約4200億円について申告漏れを指摘したので
す。これについて、当のソフトバンクグループは次のようにコメ
ントしています。
─────────────────────────────
 損金算入の時期で見解の相違があり修正申告した。約4000
億円は、19年3月期の損金に算入される。したがって、所得隠
しのような脱税に関わるものではない。
          ──2019年6月19日付、朝日新聞D
─────────────────────────────
 富岡幸雄氏によると、ソフトバンクグループは、アグレッシブ
な税務戦略を駆使する企業のひとつであるといっています。かか
るタックス・イロージョン現象は、複雑な税務会計システムのメ
カニズムのなかに埋没してしまい、公表される財務報告書からそ
れを発見することは、きわめて困難です。
 ソフトバンクグループの傘下には、多くの子会社があり、それ
ぞれが単体で税金を納めていますが、持ち株会社自体は、税引前
純利益が1624億2200万円もありながら、法人税は500
万円しか払っていません。その実効税負担率は0・003%に過
ぎないのです。これは、持ち株会社の収益が、子会社や関連会社
からの受取配当金が中心であるためです。税制上は「受取配当金
の益金不算入制度」という特例が認められているからです。
─────────────────────────────
 ◎単体納税している持ち株会社
         税引前純利益 法人税等  実効税負担率
 A/ G 1624億2200  500  0・003%
 B/HD  461億7000  900  0・019%
 C/HD  565億1300 3300  0・058%
 D/FG  328億4800 3600  0・110%
                       単位:万円
     A:ソフトバンクグループ B:飯田グループHD
        C:第一生命HD D:コンコルディアFG
                ──富岡幸雄著の前掲書より
─────────────────────────────
 高額所得者、いわゆる金持ちの多くは、株式や債券を保有して
いる人が多いです。株を保有していれば、インカムゲインとして
配当収入があります。これを配当所得といいますが、この配当所
得は税制上優遇されています。上記の持株会社が莫大な税引前純
利益を上げながら、ほとんど税金を払っていないのは、配当所得
の優遇措置のせいです。
 多くの金持ちが保有している株の配当所得を優遇するというこ
とは、高額所得者の税金を安くしていることと同じです。しかも
日本の配当所得に対する税金は、米国、英国、ドイツなどと比べ
て一番安いのです。そういう優遇措置のツケを消費増税によって
庶民に回しているのです。ハラが立ちませんか。
            ──[消費税増税を考える/014]

≪画像および関連情報≫
 ●所得1億円超の金持ちほど税優遇される現実/梶原一義氏
  ───────────────────────────
   2018年度税制改正で最大の焦点だった「所得税」の見
  直しは、高収入のサラリーマンが増税となる一方、株式譲渡
  益や配当所得など金融所得については、大きな改正がなかっ
  た。富裕層は胸をなで下ろしていることだろう。
   税金の額を計算する際の基となる「所得」や、計算された
  「税額」などから一定の金額を差し引くことを「控除」と呼
  ぶ。12月14日に決定された与党税制改正大綱によると、
  所得税ではすべての納税者に適用される基礎控除が38万円
  から48万円へと10万円引き上げられる。サラリーマンや
  公務員など給与所得者の税負担を軽くする給与所得控除は一
  律に10万円引き下げられ、上限額は現行の「年収1000
  万円超で年220万円」が「年収850万円超で年195万
  円」に引き下げられる。
   そのため、年収850万円超の給与所得者で、22歳以下
  の子どもや介護が必要な人がいる世帯を除く約230万人が
  2020年から増税となり、給与所得控除の縮小の影響を受
  けない自営業者やフリーランスの人は、大半が減税となる。
  年収850万円超の層は消費の牽引車であるため、今回の増
  税の影響による消費の一層の冷え込みが懸念される。拙著、
  『税金格差』でも詳しく解説しているが、所得税は2016
  年度(一般会計ベース)で17・5兆円と、税収が最も多い
  「国の基幹税」として、財源調達の機能や、所得再分配機能
  (所得の格差を是正する役割)が期待されている。
                  https://bit.ly/2qE0WRA
  ───────────────────────────

巧みな税務戦略/ソフトバンクG.jpg
巧みな税務戦略/ソフトバンクG

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2019年10月29日

●「配当所得に関わる優遇税制を知る」(EJ第5117号)

 時の政権の立場に立って考えてみます。その政権のトップは、
自分の政権で、将来につながる大きな仕事をしたいと、考えるで
しょう。そのさい、どこに、どのように働きかければいいかと政
治家は考えます。その働きかけるべき最も具体的にして明確な対
象は、大企業、なかんずく大企業のトップが集結する経団連のよ
うな組織になります。真の対象は国民ですが、あまりにも漠然と
しており、掴みどころがないマクロな存在であるからです。
 したがって時の政権は、大企業のトップたちと話し合い、政権
の支持や政策への理解を得ようとします。そのため、どうしても
大企業に有利な税制ができてしまうのです。ちなみに、大企業の
トップは、同時に“金持ち”でもあるのです。
 ここまで述べてきているように現在の税制は、どのように考え
ても、大企業そのものへの法人税の軽減や、いわゆる“金持ち”
に対する税制優遇は動かし難い事実です。そして何よりも許せな
いのは大企業や高額所得者を税制で優遇することによる税収の減
少を、消費増税を繰り返すことによって、埋めようとしているこ
とです。EJはこれをさらに追及していくことにします。
 “金持ち”と切っても切れないのが配当所得です。配当所得と
は、株の配当による収入のことです。配当所得の税金には次の2
つのメリットがあります。
─────────────────────────────
     1.総合課税と分離課税を自由に選べる
     2.日本の配当所得の税は先進国中最低
─────────────────────────────
 「1」のメリットについて検討します。
 配当所得を確定申告するさい、総合課税か分離課税を自由に選
択できます。例えば、配当所得を50万円、事業所得を800万
円、譲渡所得を100万円稼いだとします。全部で、950万円
(50+800+100)になり、これが総所得です。
 この950万円を総合課税すると、その税金は累進課税となり
所得税と住民税は次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎総合課税
  所得税率 → 累進課税/5・105〜45・945%
  住民税率 → 10%
─────────────────────────────
 これに対して、配当所得だけを切り離して、個別に税額を計算
する方法を「申告分離課税」といいます。上記の例によると50
万円を他の所得(900万円)と分離して税額を計算します。税
率は次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎申告分離課税
  所得税率 → 15%
  住民税率 →  5%
─────────────────────────────
 いわゆる“金持ち”は、所得が大きいので、申告分離課税を選
択します。このように、自分の所得に応じて、納税方法を自由に
選択できるのは便利です。
 なお、これとは別に「申告不要制度」というのもあります。自
分で申告しなくても、自動的に課税される制度です。配当所得が
得られるごとに源泉徴収されるので、確定申告する必要がないの
です。これによる税率は次の通りです。利用に当っては、源泉徴
収ができる特定口座が必要です。
─────────────────────────────
 ◎申告不要制度
  所得税率 → 15%
  住民税率 →  5%
─────────────────────────────
 「2」のメリットについて検討します。
 実は、日本の配当所得に対する税金は、主要先進国のなかで、
一番低いということです。
─────────────────────────────
      日本 ・・・        15%
    アメリカ ・・・      0〜20%
    イギリス ・・・   10〜37・5%
     ドイツ ・・・    26・375%
    フランス ・・・ 15・5〜60・5%
                  ──財務省のサイトより
─────────────────────────────
 安倍政権は、2015年から所得税の最高税率を、40%から
45%に引き上げています。2014年に消費税率を5%から8
%に引き上げており、2015年には、さらにそれを10%に引
き上げることになっていたからです。そのため、高額所得者には
45%の最高税率をかけるようにしてバランスをとったつもりな
のです。しかし、高額所得者の収入には、配当所得が多く含まれ
ており、最高税率の引き上げは一種のパフォーマンスです。
 三木義一青山学院大学法学部教授(専門は租税法、弁護士)は
次のように疑問を呈しています。
─────────────────────────────
 税制の大切な役割の一つが富(所得)の再分配です。資本主義
経済では自由競争で勝敗が分かれ、どうしても所得に差がつく。
そこで所得が高い人により高い税率を負担してもらい、所得が低
い層に社会保障として配分する。この再分配がしっかり機能して
いれば、社会は安定する。税制はそうやって設計すべきもの。
 しかし、自公政権の考え方はそうなっていない。累進課税を強
化するといいながら、抜け道をたくさんつくって富裕層を優遇し
再分配より経済成長を促す方向に変えている。経済成長は重要だ
が、そこで生まれた格差を是正することの方がもっと重要です。
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/015]

≪画像および関連情報≫
 ●日本人富裕層の納税額が米国の半分以下という不公平
  ───────────────────────────
   ここで大きな疑問を持った方も多いはずです。「日本の金
  持ちは、世界でもっとも税負担が大きい」ということを、政
  府や財界がよく喧伝してきたからです。確かに、日本の金持
  ちは“名目上の税率”は高いのです。先進国の最高税率は次
  のようになっています。
   ========================
   日本  :45・95%(復興税0・95%を含む)
   アメリカ:37・0%
   フランス:45・0%
   イギリス:45・0%
   ドイツ :45・0%
   ========================
   これを見ればわかるように、復興税を加えれば、先進国の
  中で一番高いと言えます。が、実際の税収を見ると、アメリ
  カのGDP比の半分以下しかないし、先進国のGDP比と比
  べても軒並み低いのです。「税率は先進国では高い方なのに
  実際の税収はアメリカの半分以下」これは非常に不思議な話
  です。なぜこういうことになっているのか、というと、日本
  の所得税には、金持ちに対して様々な抜け穴が用意されてい
  るからなのです。        https://bit.ly/31QuNDo
  ───────────────────────────

経団連.jpg
経団連

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2019年10月30日

●「なぜ日本だけが経済成長しないか」(EJ第5118号)

10月からの消費税率10%への引き上げについて、2019
年9月11日〜12日に実施された日本経済新聞社とテレビ東京
の世論調査の結果は、次の通りです。
─────────────────────────────
   ◎消費税率10%引き上げについて
          賛成 ・・ 52%
          反対 ・・ 42%
               https://s.nikkei.com/346w8ay ─────────────────────────────
 これは驚きの結果です。なぜなら、消費税率10%への賛成が
5割を超え、反対を上回るのは初めてのことだからです。社会保
障費の膨張に何らかの対策が必要かを尋ねたところ、「必要だ」
は85%に上っています。これは、財務省による国民向けのプロ
パガンダが成功を収めつつあることを示しています。
 財務省が国民向けのプロパガンダで目指しているのは、次の事
実(物語)を国民に認識させ、今後も消費税の増税に理解を示し
応じてもらうことにあります。この物語の執筆者は、安倍内閣の
元内閣官房参与、藤井聡・京都大学大学院教授です。
─────────────────────────────
 今の日本はもう、成長出来ない国になってしまった。人口は減
少するし、高齢者は増え続けるから、社会保障費が年々拡大し、
国の借金は膨大に膨らんだ。このままではもう、国が破綻するこ
とは間違いない。そんな悪夢を避けるには、不況でも安定的な税
収が得られる消費税を増税するしかない。消費増税は経済に確か
に少々悪影響を与えるが、それよりも国の破綻の方が遥かに深刻
な問題だ。だから日本を守るためには消費増税は、絶対に必要な
のだ。10%はまだ、一里塚だ。本来なら15%や20%程度に
まで上げなければならないのだ。にもかかわらず、我が国にはま
だ、そんな当たり前の状況認識を持たず、10%への消費増税を
阻止しようとする奴がいる。そういう奴は、日本を破綻させる不
道徳極まりない輩なのだ。       ──藤井聡著/晶文社
         『「10%消費税」が日本経済を破壊する』
─────────────────────────────
 現在、日本人のほとんどはこの物語を信じ始めています。それ
が世論調査にあらわれるようになったのです。しかし、事実はこ
れと異なります。確かに日本経済は深刻な状況にありますが、こ
れとは事実が異なります。日本人は、事実と違う物語を信じさせ
られています。
 多くの日本人は「日本は世界第3位の経済大国である」とまだ
思っています。しかし、それを数字で確認してみると、日本は既
に経済大国とはいえない状況に陥っています。
─────────────────────────────
   ◎世界各国のGDPシェア(ドル建て)の推移
           1995年   2015年
       日本  17・5%    5・9%
     アメリカ  24・6%   24・3%
       中国   2・4%   15・0%
    ヨーロッパ  33・6%   25・0%
      その他  21・8%   29・9%
          ──データ出典:「世界の統計2017」
─────────────────────────────
 これを見ると、今から24年前の1995年の日本は、世界の
2割近くのカネを稼ぎ出す、カネ持ち国家であり、米国に次いで
世界第2位の経済大国であったことは確かです。稼ぐということ
は、買ってもらえる財やサービスを生産できる力があり、それだ
け経済力が強いことをあらわしています。1995年といえば、
マイクロソフト社から「ウインドウズ95」が発売され、日本に
PCブームが巻き起こった年でもあります。
 しかし、それから20年後の2015年に、日本のGDPは、
17・5%から5・9%にまで落ち込んでいます。米国やヨーロ
ッパのシェアにそれほど変化はないのに、日本だけは、「4分の
1」の水準までシェアが縮まっています。これは、もはや落ち込
みというレベルではなく、「衰退」というべき状態です。この凋
落日本に代わって躍進したのは中国です。この20年間で7倍に
躍進し、かつての日本のポジションを奪っています。
 続いて、添付ファイルを見てください。これは、世界各国の名
目GDP(ドル建て)をあらわしたグラフです。これを見ると、
日本も他の国と同様に、1995年までは順調に成長していまし
たが、それ以降は、他国が順調に成長するなかで日本だけはジリ
ジリと足踏みし、衰退していっています。日本の世界に占める相
対的経済力が、3分の1にまで激減しているのがよくわかると思
います。
 これと同じことを指摘しているのは、経済アナリストの森永卓
郎氏です。日本が元気でなくなったのは、けっして「人口減」や
「高齢化」が原因ではないのです。どうして日本だけがこうなっ
てしまったのでしょうか。
─────────────────────────────
 国連統計で、世界のGDP(国内総生産)に占める日本の比率
(GDPシェア)をみると、1970年には6・2%だったが、
その後上昇を続け、1995年には、17・5%に達した。世界
経済の2割近くが日本だったのだ。ところが、その後、日本のG
DPシェアは転落を続け、2010年には8・6%になり、20
16年には6・5%となっている。つまり、この21年間で、日
本のGDPシェアは、3分の1に落ち込んだのだ。逆に言えば、
この21年、日本経済が世界並みの、つまり並日通の経済成長を
していたら、我々の所得は3倍になっていたことになる。
    ──森永卓郎著/『なぜ日本だけが成長できないのか』
                    角川新書K−241
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/016]

≪画像および関連情報≫
 ●なぜ日本だけが経済成長できないのか/森永卓郎氏
  ───────────────────────────
   プラザ合意の後、輸出がガツンと落ちて、とんでもない円
  高不況が日本経済を襲うわけです。そこで政府はこの円高不
  況対策として思い切った財政出動をして、日銀は金融緩和を
  して景気対策をしたのだということになっているのですけれ
  ども、それで何が起こったかと言うと、バブルが起きたわけ
  です。それが1980年代後半のバブル。良く調べて見ると
  このバブルは、日銀がわざと煽った可能性が極めて高いので
  す。どういうことかと言うと、昔は窓口指導と言って銀行に
  貸出枠を与えていました。これは役人が予算を消化するのと
  一緒で貸出枠までいっぱい貸さないと、次の年の貸出枠が減
  らされてしまう。ところが、円高不況で銀行に貸し先なんて
  無かったのです。仕方がないので不動産融資に走って投機が
  どんどん進んで行った。
   そしてバブルが崩壊する。このバブルの崩壊も、実は当時
  の大蔵省の総量規制、不動産融資を規制しようというものが
  きっかけだと言う人がいます。でも、きちんと歴史を見ると
  そうではないのです。バブルが崩壊した後締めに行っている
  のです。日銀の資金供給量を見ると日銀はバブルが崩壊して
  どんどん日本経済が悪化していくなかでも、どんどん金融を
  絞めて行く。つまり高い山とそこから先の深い谷を作ったの
  は大蔵省と日銀だったのです。どう考えても、わざとやった
  のです。            https://bit.ly/2qPvxMi
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世界各国の名目GDP(ドル建て)の推移.jpg
世界各国の名目GDP(ドル建て)の推移
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2019年10月31日

●「日本は『衰退途上国』化している」(EJ第5119号)

 日本の経済力の現況の続きです。添付ファイルは、世界各国の
1995年〜2015年までの20年間の「経済成長率(名目G
DP成長率)のランキング」です。このランキングでは、情けな
いことに日本は断トツの最下位です。なぜなら、日本以外のすべ
ての国がプラスであるのに、日本だけがマイナスだからです。
 世界の成長率の平均は139%であり、世界経済はこの20年
間において、2・4倍拡大しています。目下日本と対立している
韓国の成長率は、世界平均を超えており、日本は大きな差をつけ
られています。だから、バカにされるのです。
 第1位はカタールで成長率は1968%、第2位は中国で、成
長率は1414%。彼らは「所得倍増」どころか、「所得15倍
増・20倍増」という驚くべき成長を遂げています。マイナスは
論外としても日本は先進国なので、成長率は低くなると思うなか
れ、米国ですら過去20年間で135%成長しているのです。こ
れは世界平均とほぼ同じ水準です。
 皮肉なことに、ドイツの成長率が30%と低いことです。それ
でもプラスであり、日本のようにマイナスではない。日本はマイ
ナス20%、日本の国民は、この20年間にかつてよりも0・8
倍の水準までその所得水準を縮小させてしまっています。この失
われた20年中、2009年から2012年までは民主党政権で
あったとはいえ、自民党政権の経済政策の失敗以外の何ものでも
ないといえます。日本だけが、世界で唯一貧困化してしまったの
ですから。藤井聡教授は、これについて、次のように述べ、日本
を「衰退途上国」と命名しています。
─────────────────────────────
 先進国でないとするなら日本は「発展途上国」なのかと言えば
残念ながら「発展途上国」ですらない。なぜなら発展途上国は、
文字通り「発展している」国だが、我が国は発展の正反対の「衰
退」し続けているからだ。我が国の将来には希望というより、む
しろ「悪夢」が広がっているのである。
 つまり我が国日本は今や、先進国でも発展途上国でもない異様
な国なのである。だからあえて我が国を分類するとするなら、先
進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも
言わざるを得ない。          ──藤井聡著/晶文社
         『「10%消費税」が日本経済を破壊する』
─────────────────────────────
 なぜ、日本は、世界唯一の「衰退途上国」になってしまったの
でしょうか。EJは、その原因をこれから追及していきます。
 1985年9月22日のことです。ニューヨーク市のプラザホ
テルに、G5、先進5カ国の蔵相(財務相)と中央銀行総裁が集
まったのです。会議に集まった蔵相(財務相)は次の5人です。
─────────────────────────────
  西ドイツ財務相、  ゲルハルト・シュトルテンベルク
  フランス経済財政相、ピエール・ベレゴヴォワ
  アメリカ財務長官、 ジェイムズ・ベイカー
  イギリス蔵相、   ナイジェル・ローソン
  日本蔵相、     竹下登
─────────────────────────────
 目的は「為替を安定させる」というものでしたが、会議の内容
は実務者協議で決められており、会議自体は20分程度で合意に
いたっています。これが「プラザ合意」です。
 しかし、その合意の内容は、日本の「円」だけを狙い撃ちにし
て、各国の協調介入によって猛烈な円高に向かわせるというもの
でした。ちなみに、当時の円・ドル相場は1ドル=240円だっ
たのです。
 実際にこのプラザ合意によって、2年後の1987年末には、
1ドル=120円の超円高になっています。2年で2倍の円高で
す。問題は、日本の対応です。なぜ、そんな不利な合意を日本は
受け入れたのでしょうか。
 これについて、経済アナリストの森永卓郎氏は、次のように解
説しています。
─────────────────────────────
 1980年代、米国は苛立っていた。石油ショックの後、いち
早く厳しい排ガス規制への対応を成し遂げ、小型で燃費のよさを
実現した日本製の自動車は、米国市場を席巻していた。ところが
米国国内で販売される自動車の2割が日本車になるに及んで、米
国は怒りの爆発させた。厳しい日米交渉の結果、日本は米国への
輸出の自主規制をすることになり、1981年、日本は前年実績
比15%減の168万台以下に、輸出を抑制することになったの
だ。なぜ、関税ではなく、自主規制という形を採ったのかという
と、当時のレーガン政権は、自由貿易を掲げていたからだ。自由
貿易を掲げて、日本に牛肉やオレンジの市場開放を求める一方で
日本に自動車輸出の自主規制を求める。ダブルスタンダードの利
己主義政策だった。
 しかし、自動車産業を自主規制に追い込んだにもかかわらず、
産業全体としてみると、日本の輸出攻勢は止まらなかった。そこ
で、日本の勢いを一気に止めてしまおうというのが、プラザ合意
による円高政策だったのだ。         ──森永卓郎著
            『なぜ日本だけが成長できないのか』
                    角川新書K−241
─────────────────────────────
 このときは、日本は現在の中国どころではない米国からの脅威
による厳しい状況に置かれていたのです。それは1985年の日
本が、戦後40年も経っているのに、終戦後の沖縄と同じような
実質的に米国の占領下に置かれていたことを示しています。米国
の提案を拒否することは事実上困難だったのです。
 しかし、これが、結果として、日本に巨大なバブルを発生させ
る原因になります。超円高を受け入れることによって、一体何が
起きるか、それは日本の予測を超えていたのです。
            ──[消費税増税を考える/017]

≪画像および関連情報≫
 ●各国の20年間成長率ランキング/1995年〜2015年
  ───────────────────────────
  ◎グラフ出典
   藤井聡著
  『「10%消費税」が日本経済を破壊する/今こそ真の「税
  と社会保障の一体改革」を』晶文社

世界各国の20年間成長率ランキング.jpg
世界各国の20年間成長率ランキング
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