2019年06月11日

●「米議会のパンダハガーは殆ど消滅」(EJ第5023号)

 現在のFBI長官は、クリストファ・レイ氏です。そのレイ長
官は、ちょうど1年前に次の発言をしていたのです。
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 我々は孔子学院を注視している。いくつかの事例は捜査段階
 にある。              ──レイFBI長官
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 レイ長官のところには、孔子学院に関する不穏な情報が入って
いたので、このような発言をしたのです。それから1年が経った
4月下旬、レイ長官は、1年前よりもっと具体的に、次のような
警告発言をしています。
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 中国のスパイ活動ほど深刻な脅威はない。彼らは情報機関や
 国営企業、民間企業を始め、大学院生や研究者ら様々な人々
 を使って情報を盗んでいる。我々は、孔子学院を懸念してい
 る。         ──クリストファ・レイFBI長官
            2019年6月8日付、朝日新聞朝刊
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 「パンダハガー」という言葉があります。「パンダを抱く人」
という意味です。「パンダ=中国」と考えると、中国の外交工作
の手中に嵌って親中に傾倒している国、外交官、国会議員、すな
わち、親中派のことを指す言葉です。
 孔子学院は、感受性の強い世界中の若者に、中国を否定せず、
中国にシンパシイを感ずる人になってもらいたい──そういう親
中派を世界中に作るのが孔子学院の狙いなのです。
 世界中の国に拡がるパンダハガー、とくに米国の現状について
渡邊哲也氏は次のように述べています
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 アメリカはトランプ大統領の対中政策に対して共和党で95%
民主党では3分の2が「まだ生ぬるい」と考えて、ファーウェイ
やZTEへの規制強化を求めているのが現状です。さらに昨年の
中間選挙後は親中国派というか、パンダハガーが壊滅的に減り、
全議員中で微々たるものになっています。
            ──石平×渡邊哲也著/ビジネス社刊
       『習近平がゾンビ中国経済にトドメを刺すとき/
     日本市場は14億市場をいますぐ「損切り」せよ!』
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 トランプ大統領の支持率は、就任当時は30%台、しかし就任
直後の2月には46%に上昇しています。これはご祝儀相場とい
われています。案の定その後は大きく下がっています。
 その後は37%〜40%で推移していましたが、2019年に
入ると上昇をはじめ、米調査会社ギャラップが4月17日〜30
日に実施した調査で過去最高の46%になったのです。これには
ロシアとの共謀がシロだったことや、経済指標の改善などが原因
に上げられますが、中国に対する関税を使った強気の貿易交渉と
けっして無関係ではないのです。
 昨年11月の中間選挙において、キリスト教福音派のペンス副
大統領の活躍により、いわゆる「パンダハガー」の議員は、ほと
んど排除され、現状は微々たる状態になっています。ペンス副大
統領は、ガチガチの反中国派であり、それは、中間選挙前の10
月4日に行われた「ペンス演説」によっても明らかです。
 一見強硬にみえるトランプ大統領のやり方は、共和党、民主党
ともに生ぬるいと考えており、こと対中国に関しては、超党派な
のです。このように、中国にとっては、現在、誠に厳しい状況に
なっています。
 スパイ拠点といわれている孔子学院の排除に関して渡邊哲也氏
は、次のように述べています。米国の安全保障に基づき、関連す
る中国人の排除がはじまっています。
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 米国の留学生ビザはこれまで5年だったものが、1年の更新に
変わりました。特に米国の国防に関する技術や先端技術にかかわ
る部分に関しては、いっそうの中国排除が始まっています。米国
の国防技術を扱うすべての企業に対して、中国人の採用を制限す
るよう要請しています。また関係各国にも米国の「国防権限法」
に基づき、同様のことを要請し始めています。安全保障や軍事分
野から中国人がどんどん追い出されていることになります。これ
はもう完全に次のCOCOM前哨戦と言えるでしょう。
               ──渡邊哲也著/ビジネス社刊
        『GAFAvs中国/世界支配は「石油」から
              「ビッグデータ」に大転換した』
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 ここまでの米中貿易戦争によって、中国経済は今後どういう状
況になっていくでしょうか。
 物価高と株安、通貨安が起きています。通貨安については、中
国人民銀行(中央銀行)は、利下げを含めて大々的な金融緩和に
踏み切らざるを得ない状況にあり、しかも外貨準備は激減してい
るので、通貨の大量供給は必然的に人民元安へと導くことになり
ます。中国としては、資本規制、とくにドル送金やドルの持ち出
しが極度に規制されることになります。宮崎正弘氏も、次のよう
に述べ、中国発の金融恐慌が起こりかねない状況と懸念を示して
います。少なくとも市場はこのように判断しています。
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 中国人民銀行(中央銀行)は、ドルの裏付けのない人民元をじ
ゃかすかと印刷しているが、産経新聞の田村秀男氏の試算によれ
ば「外貨資産の64%しかドルの裏付けがない」という寒々しい
状態、暴落前夜の様相になってきた。つまり残りの36%は通貨
の垂れ流しをしていることになり、この意味するところは人民元
の大暴落である。       ──宮崎正弘著/ビジネス社刊
 『余命半年の中国・韓国経済/制御不能の金融機器が始まる』
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              ──[中国経済の真実/022]

≪画像および関連情報≫
 ●トランプはなぜ中国を貿易で追い込もうとするのか?
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   日本の10連休が続いている間にアメリカの株価は上がり
  続けていました。どうもアメリカ経済は底堅いということで
  特に政府が3日に発表した前月4月の雇用統計は、驚異的な
  数字でした。農業部門を除く新規の雇用者数が26万人強の
  増加となり、予想を8万人近く上回ったのです。この結果、
  失業率は3・6%まで下がりました。
   リーマンショック後の株安に沈んだ2009年の秋には、
  10%の大台に乗っていたこともあることを思うと隔世の感
  があります。この3・6%というのは、1969年以来とい
  うのですから恐れ入ります。
   トランプ政権は、ここへ来て「弾劾訴追」を受けることは
  なかったものの、独立機関として設置された特別検察官のレ
  ポートが公表される中で苦境に立っていました。ロシアとの
  「共謀ほどではないが協調」をして、ヒラリーを陥れようと
  したこと、「司法妨害」として立件できるほどではないが、
  「FBIや司法省に圧力」を掛け続けたことを暴かれて、支
  持率が下がっていました。そんな中で、これだけ素晴らしい
  雇用を実現し、そうした実体経済の好調を受けて株価も好調
  というのはラッキーとしか言いようがありません。大統領は
  自分の政策の成果だと自画自賛していますが、本当に政策の
  成果なのかどうかはともかく、経済が結果オーライであれば
  2020年の大統領選での再選は視野に入ってきます。
                  https://bit.ly/2ZgV24Z
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クリストファ・レイFBI長官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする