問題が取り上げられました。そのテーマと出席者、要約ビデオを
ご紹介します。
―────────────────────────────
「中期化か米中新冷戦」/6月3日/プライムニュース」
出演者:小森義久/ 産経新聞ワシントン駐在客員特派員
安井明彦/ みずほ総合研究所欧米調査部長
朱 建栄/ 東洋学園大学教授
冨坂 聡/ 拓殖大学海外事情研究所教授
要約ビデオ:22分30秒
https://bit.ly/2WCAztT
─────────────────────────────
この出演メンバーを見ると、小森義久氏は米国の視点から中国
問題を論ずる第一人者であり、、安井明彦氏は米国、中国のどち
ら寄りでもない中間派です。これに対して、朱建栄氏は中国人の
評論家であり、当然のことながら中国の立場の代弁者です。かな
りあくが強く、強引な発言をする人物です。
冨坂聡氏は中国問題の専門家であり、中国に関する多くの著作
があり、私は何冊も富坂氏の本を読んでいます。しかし、中国の
評論家はほとんどそうですが、中国に対する発言のトーンは抑え
気味です。あまり、中国にとってきつい発言をすると、おそらく
情報の入手に影響が出るものと考えられます。
ところで、要約ビデオではカットされていますが、ファーウェ
イの問題を巡って、小森氏と冨坂氏が激しく対立したシーンがあ
ります。それは、小森氏の「冨坂さんの情報は古い」という発言
に対して、冨坂氏が激しく反論したのです。
小森氏によると、ファーウェイによる情報窃盗やスパイ行為な
どのトラブルは、目に余るものであり、米国議会では10年以上
にわたって問題視され、議論されてきた問題なのです。したがっ
て、米国はこの問題に関しては絶対に譲れないし、極端なことを
いうと、米中の安全保障をめぐる議論は、中国共産党が倒れるま
でつづくといっても過言ではないといいます。ちなみにこの問題
について与野党(共和党/民主党)の意見は一致しており、米国
の総意であることを小森氏は強調しています。
朱建栄氏は、ファーウェイに関する複数の裁判がいずれも有罪
に認定されていないと主張し、5月30日のEJ第5015号で
も取り上げた米CNBC記者によるポンペオ国務長官への「証拠
を示せ」との質問にポンペオ長官が答えられない事実を指摘して
います。そして、中国に5G技術で先を越されて米国は焦ってお
り、同盟国にファーウェイ排除を呼びかけているに過ぎないと発
言しています。
この朱建栄氏の発言には問題があります。国際法を順守し、同
じルールでの競争で、5G技術において中国が米国を上回ったの
であれば、米国はその技術を中国から積極的に受け入れ、活用す
るはずです。
そうではないのです。ペンス副大統領の演説でも述べられてい
るように、南シナ海における人工島の建設のように、国際的なル
ールを守らず、自国の論理だけでものごとを強引に押し進め、あ
まつさえサイバー技術を駆使して、情報を窃取しようとする──
これでは、たとえ5Gのパーツにそういう細工がしていなかった
としても、中国政府にきわめて近い企業であるファーウェイの製
品を使うのを躊躇う国が多く出てくるはずです。要するに信用で
きないのです。
カナダで逮捕された孟晩舟副会長についても、多くの謎があり
ます。新聞報道にもあったように、孟晩舟氏には離婚歴があり、
7つのパスポートを所有していたとされています。しかも、彼女
には4人の子供がいるのです。
中国は一人っ子政策を執っているのに、なぜ4人の子供を持つ
ことができたのでしょうか。しかも、それらの子供たちは、世界
各国に分散して住んでいます。そのことひとつとっても、中国の
トップクラスでないと不可能なことです。これだけでも、ファー
ウェイという企業が普通の民営企業でなく、中国政府に近い特権
階級であることがわかります。
7つのパスポートは、中国、香港、カナダとあと4つは、中国
のパスポートで別名だそうです。これは、国家安全部との関連で
しか発行されないので、これだけで孟晩舟氏がスパイの元締めで
ある可能性が濃くなります。これは、ファーウェイに関する重要
事実といえます。
中国の専門家を自称するなら、こういう事実こそ明かして欲し
いものです。この事実を指摘したのは、中国ウオッチャーとして
知られる宮崎正弘氏です。宮崎正弘は、「ファーウェイという企
業は、謎だらけである」として、次のように述べています。
─────────────────────────────
バンクーバーに孟晩舟は3軒の豪邸を持ち、不動産業界で「大
豪邸」のカテゴリーに分類されるほどの物件ばかり。広い庭付き
数台のガレージ、3階建ての英国風。ただし、夫名義で登記され
ている。孟女史はカナダ永住権を持ち、保険証を保持し、カナダ
で税金も納めていたとされる。また4人の子供たちは香港、探せ
ん、バンクーバー、マサチューセッツ州にばらばらに住んでいて
前夫との間にできた長男だけがバンクーバーにいるようだが、孟
晩舟とは別の住まいである。
さて、孟晩舟の父親でもあり、ファーウェイの創業者の任正非
(74歳)、実は2日遅れて、バンクーバー経由でアルゼンチン
に向かう予定だった。娘の拘束を開いて任正非は海外出張を取り
やめた。つまり米国の狙いは娘ではなくファーウェイ最高経営責
任者(CEO)の任正非その人だったのである。──宮崎正弘著
『余命半年の中国・韓国経済/制御不能の金融機器が始まる』
ビジネス社刊
─────────────────────────────
──[中国経済の真実/018]
≪画像および関連情報≫
●8つのパスポートを持つ孟晩舟を「スパイじゃない」と中国
───────────────────────────
米国の要請を受けてカナダ当局に拘束された中国通信機器
大手・ファーウェイの孟晩舟(モウ・バンシュウ)最高財務責
任者(CFO)は、中国や香港のパスポートを計8通以上所持
していたとされ、中国当局による「特別扱い」に、注目が集
まっている。
カナダ政府の訴追資料によると、孟CFOは過去11年間
に、中国の旅券を4通、香港の旅券を3通、計7通発給され
ていた。さらに、香港紙『明報』は、孟CFOが7通とは別
に中国の「公務普通旅券」を所持していたと報道している。
計8通のうち、香港旅券の2通は異なる名前とされる。孟
CFOが海外での信用が低い中国のパスポートを使うことで
その活動を捕捉されることを懸念し、中国政府の指示で複数
の旅券を使い分けていた可能性がある。つまり孟CFOは、
中国の諜報員(スパイ)であることを複数のパスポート所持で
証明してしまっているわけだ。
「中国外務省の陸慷(リク・コウ)報道局長は、12月10
日の定例記者会見で、『孟氏が中国国民であることは明らか
だ。(旅券は)この事件の核心でも根本の問題でもない』とし
て、旅券の発給記録など事実関係の確認には応じませんでし
た。要は旅券の複数保持を否定していないわけで、スパイと
いう問題を不当逮捕=人権問題に置き替えようとしているわ
けです」(国際ジャーナリスト) https://bit.ly/2EQjVNk
───────────────────────────
6月3日/BSフジ「プライムニュース」