るかについて、レポートの最後に「追記」として書いていますの
で、今回はこれを要約してお伝えします。
中国共産党の一党独裁国家、中国という国にとって重要なのは
あくまで国有企業であり、民営企業ではないのです。とくに習近
平政権では国有企業優先です。しかし、皮肉なことに、現在の中
国は、民営企業、それも世界中でビジネスを展開するグローバル
企業によって躍進し輝いているといえます。
ファーウェイも中国政府から潰されかけたことがあるのです。
つねに中国政府から嫌がらせを受けてきたので、イノベーション
を起こして、最先端の半導体チップの製造技術で生き残りを賭け
たのです。そのため、任正非CEOは、政府によって潰されない
ように次の2つの手を打ったのです。
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1.海外に多くの支店を保有すること
2.従業員持ち株制度を導入したこと
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ひとつは、海外支店網の拡充です。確かに海外に幅広く支店網
を持っていると、潰しにくくなります。そういう思惑もあって、
現在ファーウェイは、海外に170の支店網を有しています。
もうひとつは、従業員持ち株制度を導入したことです。最先端
技術で生き残るには、従業員のモチベーションを高め、高度な技
術力を保有する必要があります。そのための従業員持ち株制度で
すが、これについて遠藤誉氏は自著で次のように書います。
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2つ目の「従業員持ち株制」というのも、従業員の働く意欲を
強化する意味で、すばらしいアイディアだ。ホァーウェイ総裁の
任正非自身の持ち株は1・3%で、残りの98・7%の株主は、
すべて従業員なのである。だから従業員の働くモチベーションを
高め、優秀で若い人材を惹きつけていく。会社の収益が増えれば
給料以外に株の収益が従業員のポケットに入るのだから、なんと
しても会社全体を成長させ発展させていこうと思うだろう。こう
して働くモチベーションをこの上なく高めてくれる。だから任総
裁はホァーウェイを上場させないのだという。おまけに会長は3
人いて輪番制で、半年に1回ごとに代わる。だから、我欲による
腐敗が起きない。 ──遠藤誉著/PHP
『「中国製造2025」の衝撃/
習近平はいま何を目論んでいるのか』
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任正非CEOは、何よりも社員のモチベーション向上が重要と
考えたのです。なぜかというと、半導体の技術レベルを世界最高
レベルの米国クアルコムと同レベルの半導体を作るためです。そ
れには、企業一丸となって、並はずれた努力が必要になります。
その結果、従業員が98・7%の株を握るという特異な未公開企
業が誕生したのです。それがファーウェイという企業なのです。
そこまで技術レベルを高めておけば、もし中国政府が潰しにか
かってきても、米国企業に売れるからです。ところが現在、ファ
ーウェイは、半導体チップの製作において、クアルコムに肩を並
べるどころか、クアルコムを抜く技術力を蓄えつつあります。任
正非CEOは、そうなると今度は米国が圧力をかけてくるに違い
ないと考えたのです。事実その通りになりつつありますが、任正
非CEOは、そのことを予測して本を書いています。そのタイト
ルは、『次に倒れるのは華為(Huawei)だ』であり、この本を基
にして、邦訳された本が次の本です。
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田濤(著/原著)/呉春波(著/原著)/内村和雄/訳
『最強の未公開企業ファーウェイ/冬は必ずやってくる』
東洋経済新報社刊
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この本は、まだ読んでいませんが、読む必要がありそうです。
というのは、米国によるファーウェイ排除の原因がこの本から読
み取れる可能性が高いからです。アマゾンは、この本を推薦する
一文のなかで、次のように書いています。
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ファーウェイは急成長するにつれて、かつて教えを請い、信頼
を寄せた米企業から訴えられたり、人民解放軍と密接なつながり
を持ち、保護を受け、通信情報を軍に流しているのではないかと
ウワサされ、ロビイストの暗躍する米議会に問題視されて、いわ
ばアメリカそのものを敵に回したこともありました。任の経営哲
学は時に秘密主義とも呼ばれ、株式公開をしないこともあり、実
態がなかなかうかがい知れず、厚いベールに包まれてきたことも
そうした憶測を助長しました。 https://amzn.to/2Wc7o13
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こうした米国の疑心暗鬼が、現在のファーウェイ排除の原因に
なっているのではないかと考えます。何か確たる証拠があるので
はない。何となく怪しいというレベルではないかと遠藤氏はいう
のです。しかし、遠藤氏にいわせると、それは任正非CEO自身
が事前に予測していたことだといいます。ファーウェイの技術レ
ベルが上がってくると、どうしてもそういう疑心暗鬼が生まれて
くる──遠藤氏はそう考えているようです。
このレポートの結びのところで、遠藤誉氏は次のようにいって
います。この文章を読んで少しホッとした感じです。
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「中国政府の支援がない状態で、ここまで巨大化できるはずが
ないだろう」と疑うのは中国政治の真相を知らない者の邪推だ。
筆者は、「言論弾圧をする国に世界を制覇させてはならない」と
いう警鐘を鳴らすために執筆活動を続けている。この信念は揺る
がない。 ──遠藤誉氏 https://bit.ly/2Wsemyt
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──[中国経済の真実/015]
≪画像および関連情報≫
●ファーウェイのスマホは“危険”なのか
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米紙ウォールストリート・ジャーナルは先日、米国が中国
の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の製品を使わ
ないよう友好国に要請していると報じた。日本でもこのニュ
ースは大きく取り上げられた。
実はこの問題、欧米の情報機関関係者やサイバーセキュリ
ティ関係者の間で、以前から取り沙汰されてきた。筆者もこ
のニュースについては注視しており、これまでもさまざまな
媒体で何度も記事を書いてきた経緯がある。
国内外の知人らと話していると、ファーウェイの商品が、
「安価でハイスペックな機器である」と評価する人たちも多
い。先日仕事で訪れた、中国と複雑な関係にある台湾でも、
IT関係者は「賛否あるが、コストパフォーマンスの良さは
否定できない」と言っていたのが印象的だった。日本でも、
最近ファーウェイのタブレットを購入したという日本人のテ
レビ関係者から、「品質は申し分ない」と聞いていた。事実
日本の「価格.com(カカクドットコム)」でスマートフォン
ランキングを見ると、ファーウェイのスマホが1位、タブレ
ットでも3位につけている(11月27日時点)。
とはいえ、このテレビ関係者はニュースを見ていて不安に
なるという。仕事柄、いろいろな情報を扱うこの関係者は、
中国政府系ハッカーなどによるサイバー攻撃でスパイ行為に
さらされる危険性があるのではないか、と心配していた。こ
こまでとは言わないでも、同じように気になっている人も少
なくないだろう。 https://bit.ly/2WWesvo
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先端技術の米中の対決