2019年05月14日

●「中国18年度成長率は1・67%」(EJ第5003号)

 2018年12月16日のことです。中国に向松祚(コウ・シ
ョウソ)というマクロ経済学者がいます。人民大学国際通貨研究
所理事兼副所長です。この日、向副所長は、人民大学で行われた
「改革開放40周年経済フォーラム」で演説し、次の衝撃的な発
言を行ったのです。米国の華僑によって設立されたメディアであ
る「大紀元」は、これについて次のように伝えています。「大紀
元」は、中国共産党とは対立するメディアです。
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 向氏は、国内総生産(GDP)の成長率6・5%という政府発
表のデータに異議を唱えた。同氏が入手した重要研究機関の内部
研究調査では、「今年の中国GDP成長率はわずか1・67%と
示された。また、別の試算方法では、今年のGDPがマイナス成
長である」ことが分かった。
 向氏は「中国経済は明らかに下振れリスクに見舞われている」
と指摘した。景気の鈍化を招いた最大の要因は「米中通商摩擦」
「中国民営企業の大幅な投資減少」と「民営企業家の悲観的心理
拡大」にあると分析した。      https://bit.ly/2WEjBYy
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 中国人評論家の石平氏によると、向松祚氏は、かつては国有銀
行である中国農業銀行の首席経済学者であったので、彼の立場は
中国でいえば、「体制内知識人」であり、政府に近い経済学者で
あるといえます。
 向松祚氏は、中国対内、対外の課題について、体内6つ、対外
3つの課題を指摘しています。
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 ◎対内の6つの課題
     1.       経済成長の急激な減速
     2.       システミック金融危機
     3.         貧富の格差の拡大
     4.          政府の債務危機
     5.     企業家や投資家の心理改善
     6.主要ハイテク技術の研究開発での突破
 ◎対外の3つの課題
     1.        米中通商摩擦の解決
     2.             市場開放
     3.国際収支改善・人民元為替相場安定化
                  https://bit.ly/2WEjBYy ─────────────────────────────
 まさに内憂外患そのもの、現在中国は深刻な課題を内外に抱え
込んでいます。中国の不動産に目を向けてみると、地域差はあり
ますが、住宅価格が凄いことになっています。深せんでは年収の
28倍、上海・北京では24〜25倍までバブルが膨れ上がって
います。1980年後半の日本のバブル全盛期の東京が18倍程
度といわれているので、日本の1・5倍から、2倍近くの価格に
なっているのです。
 この状態でバブルが弾けるとどうなるでしょうか。中国に詳し
い作家の渡邊哲也氏によると、「半値八掛二割引」になり、約4
分の1、そこからさらに2割程度は落ち込むので、おそらく買い
値の5分の1ぐらいまでクラッシュしてしまう可能性があるので
す。そうなると、大量の信用不良者が顕在化し、銀行がおかしく
なり、貸し渋り、貸し剥がしが常態化し、実態経済にお金が回ら
なくなります。そうすると、企業倒産が連鎖して起きる。そんな
ことになったら大変だとばかり、中国政府はバブルを崩壊させな
いよう、必死で支えており、、何事もなかったように誤魔化して
体制は継続されているのです。
 現在の中国共産党政権は、つねにこの体制が一番よいのである
ということを国民に示す必要があります。そのキーとなるのが、
経済成長なのです。もし、経済成長が止まると、国内の失業は増
大し、社会不安が高まり、暴動が多発する──中国共産党は常に
これに怯えているのです。
 それではどうするか、これについて評論家の石平氏は、次のよ
うに述べています。
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 それでは常に高い成長率を維持するにはどうすればいいのか。
知ってのとおり、中国経済の決定的な弱点は消費が決定的に不足
していることです。国内消費が冴えないなかで経済を成長させる
ためには、輸出の拡大が必要です。しかし、これまでの輸出拡大
政策が現在の米中貿易戦争を引き起こしてしまった。
 輸出拡大が望めないとなると、今度は投資の拡大で何とか経済
成長を支えるしかありません。投資の柱となるのは公共事業と不
動産です。実はこの四半世紀にわたり中国経済を支えてきたのは
不動産業でした。    ──石平×渡邊哲也著/ビジネス社刊
       『習近平がゾンビ中国経済にトドメを刺すとき/
     日本市場は14億市場をいますぐ「損切り」せよ!』
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 すべての原因は、2008年のリーマンショックのさい、中国
は、約60兆円もの公共投資を行っています。その60%〜70
%が不動産投資に向っています。その不動産が値上がりして、中
国経済が拡大します。それが中国の世界的な権限の拡大に、つな
がっていったのです。世界が中国に注目しはじめたのは、このと
きからです。
 しかし、しだいに経済成長していくなか、不動産価格の伸びと
国内経済の伸びが一致しなくなっていきます。不動産価格だけが
突出して、内需を呼び込むというひずみが生じ、巨大なバブルを
つくり上げてしまったのです。
 その結果、国内の不動産利回りが、借入金利よりも低くなって
しまったのです。例えば、金利7%で融資を受けて不動産投資を
しても、購入した物件の家賃の利回りが5%しかないという現象
つまり、逆ザヤになってしまったのです。
              ──[中国経済の真実/002]

≪画像および関連情報≫
 ●中国の企業債務と株式市場/向松祚氏講演
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   向松祚氏によると、今年1〜9月までで企業の債務不履行
  (デフォルト)規模は1000億元(約1兆6000億円)
  を超えた。中国当局の試算では、今年1年間の企業のデフォ
  ルトは1200億元(約1兆9200億円)以上になる。
   現在、国有企業や民間企業が相次いで倒産している。米フ
  ォーチュン誌に世界500強企業の1つと評価された中国国
  有天津渤海鋼鉄集団は、すでに経営破綻した。向氏は、同社
  の実際の負債規模は、1920億元(約3兆720億円)で
  はなく、2800億元(4兆4800億円)だと主張した。
   いっぽう、2018年の中国株式市場について、向氏は、
  株価の下落によって株式市場の時価総額、7兆元を失ったと
  発言。「各銘柄を見ると、これまでの最高値と比べて、83
  の銘柄が9割も暴落した。1018の銘柄が8割、2125
  の銘柄が7割、3150銘柄が5割とそれぞれ急落した」、
  「この急落ぶりは1929年のウォール街の大暴落に匹敵す
  る」株式市場の低迷の主因は、中国上場企業の収益の悪さに
  あるという。向松祚氏は、中国の経済減速の根本原因は、以
  前から続いた拡張的経済成長モデルによる「脱実向虚(実体
  経済から脱し、非実体経済に多くの資金が流れ込む)」にあ
  るとの見方を示した。「上場企業の経営者らは本業ではなく
  不動産、金融商品の投資に熱心だった」
                  https://bit.ly/2WEjBYy
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向松祚氏.jpg
向松祚氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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