2019年04月09日

●「太平洋戦争は暗号で敗北している」(EJ第4984号)

 中国に「量子暗号通信」の技術を先取りされることが、米国に
どれほど深刻なことであるかについて知る必要があります。考え
てみると、トランプ政権になってから米中の関係がとくに厳しく
なっているのは、中国の「量子暗号通信」の成功も、その原因の
一つになっているのです。
 トランプ政権が発足した約1年後の2018年1月20日、中
国政府の「新華網」は、米国にとって、第2の「スプートニク・
ショック」ともいうべきニュースを伝えたのです。そのニュース
について、遠藤誉氏の本から引用します。
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 中国とオーストリアの問で、墨子号を介して量子暗号による通
信に成功したという内容だ。中国科学院の院長、自春礼とオース
トリア科学アカデミーのツァイリンガーは、2017年9月29
日に、量子暗号を用いた世界初の大陸横断ビデオ会議を行ったと
のこと。中国科技大学の潘建偉と、同僚の彭承志らでつくる研究
チームは、中国科学院上海技術物理研究所の王建宇が率いる研究
チームやマイクロサット・イノベーション研究院、国家宇宙科学
センターといった機構と共同で、オーストリア科学アカデミーの
ツァイリンガーが率いる研究チームと協力し、量子通信衛星「墨
子号」を使い、中国とオーストリアの間で距離7600キロメー
トルの「大陸間量子鍵配送」を実現し、鍵の共有による暗号化デ
ータ伝送と動画通信を実現したのである。
   ──遠藤誉著/PHP/『「中国製造2025」の衝撃/
            習近平はいま何を目論んでいるのか』
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 「暗号を制する者が世界を制する」といわれます。その象徴的
な事例として、日本と米国が戦った太平洋戦争があります。この
戦争で日本軍の暗号は最初から米軍に解読されていたのです。そ
れなら敗北は必至ですが、なぜ、日本軍による真珠湾攻撃だけは
成功を収めたのでしょうか。結論からいうと、暗号は事前に米軍
の優れた暗号解読者たちによって解読され、日本が攻撃を仕掛け
る6時間も前から、日本が何かをするとわかり、報告を上げてい
たのです。場所もパールハーバーの可能性が高いと特定していま
す。しかし、肝心の米国政府は、これに対して何の措置も取らな
かったのです。それは、次のロジックによる米国の油断があった
といえます。
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 ある一つの事柄について、我々は一種の思考凍結状態、あるい
は、心が麻痺した状態にあったように思われた。それは、我々の
推理が、次のようになるからであった。
 もし、日本がパールハーバーを攻撃すれば、それは戦争を意味
する。そして、戦争になれば、アメリカが勝つ。それなら、日本
はパールハーバーを攻撃するようなことがありうるだろうか。答
えは「ノー」である。        https://bit.ly/2UATeVP
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 日本軍が使っていた暗号機は、市販のマシンを絶対に解読され
ないように改良発展させたもので、それは「パープル暗号」と呼
ばれていたのです。
 マシンとしては、2台の電動式タイプライターと、その間に介
在する、プラグ盤と暗号用円盤箱から成るもので、左側のタイプ
ライターで平文をタイプすると、右側のタイプライターで暗号文
が打ち出される仕組みであったのです。(添付ファイル参照)
 しかし、米国は日本の機密事項を知るために、ウィリアム・フ
リードマンという人物に日本のパープル暗号機と同じものを作ら
せる仕事を与えたのです。彼のスタッフには、日本がパープル暗
号の前身である「レッド暗号」を解読したチームが協力し、約1
年半かけてパープル暗号機のコピー機を作り上げたのです。これ
によって、日本の外交機密文書は米国によって解読されることに
なったのですが、日本側はそのことを知る由もなかったのです。
 それにもかかわらず日本軍が真珠湾攻撃に成功したのは、いく
つかの要因があります。ワシントンでは、日本の野村、来栖両大
使がまとまるとは思えない平和維持の提案を行っている間に、日
本海軍機動部隊の32隻は、1隻また1隻と日本の領海を密かに
抜け出し、移動を開始していたのです。その艦上には430機に
も及ぶ日本海軍航空隊の精鋭が待機していたのです。
 米国の情報部は、日本軍の各艦艇から発信する無線を傍受する
ことによって、その動きを監視していたのですが、どこに向って
いるかはその時点ではわかっていなかったのです。しかし、突然
日本艦隊の航跡がわからなくなります。全艦が一斉に無線封止を
したからです。それを機に全艦がパールハーバーへと針路を変変
更したのです。しかし、米軍は日本艦隊の航跡を把握できなくな
ります。1941年12月2日のことです。
 問題は、日本としては、最後通牒をいつワシントンに届けるか
です。ワシントンとハワイの時差は約6時間あります。したがっ
て、パールハーバーを午前7時30分に攻撃するには、最後通牒
をワシントンに午後1時30分に届ける必要があります。それよ
り早く届けると、米国側に準備時間を与えることになります。
 日本政府は、攻撃予定日の前日の1941年12月6日から最
後通牒電の発送をはじめていますが、パープル暗号を14個に分
割し、18時間以上かけて発送しています。ワシントンの日本大
使館は、この暗号文の翻訳を開始しますが、そこから1キロと離
れていない米海軍省でも、同じ解読作業をはじめていたのです。
そして、12月7日早朝に14個目の暗号文が届きます。そこに
は、次のように書かれていたのです。
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 日本政府は、米国政府の態度にかんがみ、今後交渉を続けても
妥結にいたることは不可能であると考えるのを遺憾とする。
                  https://bit.ly/2UATeVP ─────────────────────────────
           ──[米中ロ覇権争いの行方/065]

≪画像および関連情報≫
 ●ミッドウェー海戦の敗北
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   ミッドウエー海戦は短期間であったが、連戦連勝を続けて
  きた日本軍側が初めて経験した挫折であり、太平洋をめぐる
  日米両軍の戦いにおけるターニング・ポイントとなった。ま
  さにミッドウエー海戦は、「太平洋の戦局はこの一戦に決し
  た」というべき戦いであり、「戦史上特筆大書さるべき」海
  空戦であったが、それは日本側にとってではなく戦果絶大な
  ものがあったのは米軍側であった。この作戦は山本五十六司
  令長官のシナリオ通り進行。ミッドウエーを攻略することに
  よって米空母部隊の誘出を図り、これを捕捉撃滅することは
  現在の戦力からみて容易であると判断。ミッドウエー上陸予
  定日は月齢や気象を踏まえて6月7日(昭和17年)と計画
  され、同じにアリューシャン攻撃も行われることとなってお
  り、本作戦には日本連合艦隊の決戦兵力のほとんど動員され
  ていた。(350隻の艦隊、飛行機1000機、将兵10万
  以上の大出動)山本五十六司令長官に「日本海軍暗号の解読
  は絶対にありえない」と言はした暗号であったが、守勢の立
  場にあった劣勢の米国海軍の強い力となったのがこの暗号解
  読であった。日本海軍主力が太平洋のどこかで遠からず積極
  的な作戦に出てくることは確実であったが、その時期や目的
  地について判断がつきかねていた。https://bit.ly/2OWObdc
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日本のパープル暗号機.jpg
日本のパープル暗号機
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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