イン・ジャパン」を強調するようになっています。ハズキルーペ
のCMなどはまさにそうです。なぜ、そんなアナウンスをするの
かというと、その方が、購入者が安心するからです。「日本製な
ら、大丈夫だ」と思わせるためです。ネットでの販売ではとくに
この安心が必要なのです。
こんな話があります。日本のマスク業者が中国に工場を建て、
生産し、販売していたのですが、よく売れたそうです。しかし、
そのデザインをそっくり真似た大量のニセモノが中国に出回り、
その商品の生産を中止せざるを得なくなったといいます。
相当前の話なのに、そのニセモノマスクは現在も同じブランド
で大量生産され、一部は、日本にも入ってきているといいます。
その生産工場は不衛生で、マスクの品質も日本製に比べて、著し
く落ちるそうです。中国人の観光客も日本ではドラックストアな
どで、現在でもこうしたマスクなどの衛生商品、化粧品、薬など
を大量に購入しています。「中国人は、自分の国を信じていない
人が多い。中国製商品の安全性に不安があったり、偽物が横行し
ていると思っていたりする」と当の中国人がいっているのです。
自分の身は自分で守るというわけです。
中国では、ちゃんとしたモーターが作れないといわれます。自
動車製造を例にとると、中国の自動車メーカーの多くが、三菱自
動車のエンジンの供給を受けているといわれます。三菱自動車は
中国に瀋陽航天三菱とハルピン東安三菱の2社の合弁会社があり
中国でエンジンを製造しています。なぜ、三菱製品を使うのかと
いうと、「三菱エンジンは安定していて燃費が良く、メンテナン
スが容易であり、中国で生産しているためコストも安い」という
ことを上げています。あるネットユーザーは、尖閣諸島国有化で
日本製品の不買運動が起きたとき、こういっています。
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中国車でさえ心臓部は日本なのに、日本製品不買なんて言える
のか?ボールペンのボールすら作れないんだから、エンジンは言
うまでもない。中国ブランドには、成熟したエンジン製造技術が
ない。 ──ある中国ネットユーザー
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そういう中国が、半導体製造や宇宙技術などの分野において、
世界を上回る技術を有し、やがては米国を超える可能性があると
いうのですから、そこにいささか違和感を持つ人がいるのは、不
思議ではないと思います。
中国が自動車のエンジンなどよりも、はるかに難しい半導体の
生産において、米国のレベルに迫りつつあるというのは、大変な
驚きであり、にわかには信じられない人も多いと思います。だか
らこそ、まともに着実に研究を積み上げた結果ではないのではな
いかと思われてしまうのです。
ペンス米副大統領は、今や有名になった中国を批判する演説で
「中国共産党は自由かつ公正な貿易とは対照的な『政策的武器』
を使っている」といい、その政策的武器とは、関税・総量規制・
為替操作・強制的技術供与・知的財産窃盗、および対外投資に必
ず組み込まれる国営企業群などであり、それによって、北京の製
造業基盤が作り上げられたと指摘しているのです。
しかし、半導体製造や宇宙技術などの分野において中国が高度
なレベルに達しているのは事実のようです。それらについて、今
までは詳しい情報はなかったのですが、遠藤氏の『中国製造20
25」の衝撃』の著作に詳しく書かれています。それは凄い情報
です。この著作のなかで、遠藤氏は、自分が「中国の回し者」と
思われてしまうと困るので、日本の半導体のコア技術の専門家の
言説を詳しく紹介し、そういう疑念を持たれないようにしている
として、次のように述べています。
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私が中国の土着の感覚で追いかけている中国の裏事情から行き
つく結果と、彼等(日本の半導体コア技術の専門家)の分析結果
が、最終的には一致していくのも心強く、興味深い。
さて、こういった専門家たちが異口同音に強調し、驚いている
のは、中国半導体産業の驚異的な発展のスピードなのである。私
が中国生まれの中国育ちであり、かつては中国政府のシンクタン
ク中国社会科学院で客員教授を務めていたことから、「アイツは
親中だ」とネットで罵倒する人もいれば、『毛沢東日本軍と共謀
した男』(新潮新書)などで「中国共産党の嘘」を徹底して暴い
たものだから、「アイツは反中、反共だ!」と、これもまたネッ
トで叩かれたりする。「親中」と「反中」の両方を非難されるの
なら、ちょうど「中立」だということが分かっていいのかもしれ
ないとも思う。
しかし、「2025」を解剖するに当たり、また「親中」とか
「中国を褒めすぎ」などと謂れなき非難を受けるのも不本意だし
何よりもここに書いている内容が事実であることを信じてもらわ
ないと困るので、日本の第一級の専門家たちの客観的な見解を引
用させていただこうと思う。
──遠藤誉著/PHP/『「中国製造2025」の衝撃/
習近平はいま何を目論んでいるのか』
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遠藤誉氏の本を読んで、私自身は遠藤氏のことを「親中」とか
「中国を褒めすぎ」とは思いませんが、何となく習近平主席への
畏敬の念というか、尊敬の念というか、そういうものが少しある
のではないかと感じます。しかし、この本に書かれている情報は
真実であり、その内容は驚くべきものです。
また、遠藤氏の文章に、高度な半導体技術やハイレベルな宇宙
技術を持ち、米国に迫りつつある中国という国に対する高揚感の
ようなものを感じるのは、私だけでしょうか。この点については
この問題に関心を持つ普通の日本人とは少し違うなという感じを
抱いています。やはり、中国で生まれ、中国で育つと、そうなる
のでしょうか。 ──[米中ロ覇権争いの行方/059]
≪画像および関連情報≫
●花田編集長の右向け右!/動画あり
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2015年4月3日、金曜夜10時、第46回のゲストは
東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授の遠藤
誉さんです。『チャイナ・ナイン』『チャイナ・セブン』な
どのベストセラーで中国を分析されてきた遠藤さんが、アジ
アインフラ投資銀行(AIIB)をめぐる米中の暗闘を徹底
解説します。遠藤さんは「中国は一党支配体制を維持するた
め腐敗撲滅に力を入れているが、同時に一党支配を批判する
言論を激しく弾圧している。しかし言論弾圧の中では腐敗は
撲滅できない。言論を弾圧する一党支配があるからこそ腐敗
は生まれるのだ。そこには中国の根本的な矛盾がある」と言
います。そして、言論の自由のないところに、国際金融セン
ターは似合わないとも言います。
国際金融センターをアメリカから北京と上海に移そうとし
ている中国。その中国が主導するAIIBに、イギリス、ド
イツ、フランス、イタリアが雪崩を打って参加を表明しまし
た。その切り崩しの背景とは?水面下では米中によって何を
行われているのか?「習近平の力は、政権スタート時から毛
沢東を越えている」と遠藤さん。「紅い皇帝」習近平が激し
く進めている反腐敗運動の狙い、それは第一義的には「紅い
王朝」の崩壊を防ぐという目標だったが、いまや国際金融界
の覇者となる条件を整えるための最後の一手を打とうとして
いると遠藤さんは言います。中国の戦略とチャイナ・マネー
が勝つのか「自由と民主」に勝つのか。遠藤さんの分析を伺
います。 https://bit.ly/2YBJzNI
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毛沢東を超える習近平主席