2018年08月28日

●「減圧の突風で垂直尾翼は壊れない」(EJ第4837号)

 ボーイング社は、自社にとって不利になる「隔壁の修理ミス」
の情報をなぜ進んで日本の事故調に通告したのでしょうか。
 それは、JAL123便の墜落事故が、当時世界中で使われて
いた人気機種ボーイング747特有の欠陥によるものではなく、
7年前にしりもち事故を起こした特定の機種の事故であることを
世界に発信したかったからです。
 しかし、事故調は、1985年8月27日の第1次中間報告で
は、そのことに言及しなかったのです。この修理ミスについて、
NTSB調査官のシュリード氏から説明を受けた事故調調査官の
藤原洋氏は次のように述べています。
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 たぶん修理ミスだろうとわかっていても、最終報告書でないと
書くわけにはいかない。「修理ミスがあった」なんてあの段階の
中間報告では書けない。中間報告はあくまで疲労亀裂がこうこう
あったという事実関係を書くしかない。それを読んで類推しても
らうしかない。              ──藤原洋調査官
      ──堀越豊裕著『日航機123便墜落最後の証言』
                    平凡社新書/885
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 事故調が修理ミスを取り上げないので、シュリード氏は、NT
SBのバーネット委員長に相談したところ、「ニューヨークタイ
ムズにリークしたらどうか。ただし、NTSBからの情報である
ことは伏せるよういってくれ」と命令されたといいます。そこで
シュリード氏は、ニューヨーク・タイムズの知り合いの記者に電
話し、1985年9月6日付のニューヨーク・タイムズ紙に次の
タイトルの記事が掲載されたのです。
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  日本の航空事故で手掛かり発見/7年前の事故が原因か
  ──1985年9月6日付、ニューヨーク・タイムズ紙
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 JAL123便の墜落としりもち事故とその修理ミスを関連付
ける記事です。日本の各紙は、あわてて翌日の夕刊一面で報道し
ています。以後の事故調の報告は、この修理ミスをベースとする
「圧力隔壁破壊説」一色になっていくのです。
 事故調の見解は、何らかの原因でJAL123便客室内に急減
圧が起き、客室内の与圧された空気が一気に吹き出し、後部圧力
隔壁を破壊するとともに、垂直尾翼も吹き飛ばしたという内部説
に立脚しています。
 そうであるとすると、頑丈な圧力隔壁を破壊し、垂直尾翼まで
吹き飛ばすようなもの凄いパワーの風が客室内を吹き抜けたこと
になります。立っている人が何人も吹き飛ばされるような突風で
すから、荷物なども一緒に吹き飛んだと思います。しかし、もっ
とも後部圧力隔壁の近くの「56C」の席に座っていた生存者の
落合由美氏の証言では、そんな突風など吹いていないのです。落
合氏の証言を再現します。
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 (「パーン」という)ピストルを撃ったように響く音だったと
思う。自分の席の後ろの天井あたり(機首に向かって左側後部側
面上部、最後尾トイレ付近の壁上部)から聞こえたように思った
が、振動は感じず、揺れもなかったと記憶している。酸素マスク
が自動的に落ち、録音されたアナウンスが自動的に「ただ今緊急
降下中」と流れたが、耳は多少詰まった感じで痛くなく、それほ
どの急降下は体に感じていなかった。一瞬白い霧が発生したが、
まもなく消えた。ハットラックという頭上の荷物収納扉が開くこ
ともなく、機体の揺れはほとんど感じなかったため、各スチュワ
ーデスたちは持ち場のお客様の様子を確認し、酸素マスクをつけ
る手伝いをしながら、通路を歩いていたことが遺族提供の写真か
らもわかる。         ──青山透子著/河出書房新社
  『日航123便/撃墜の新事実/目撃証言から真相に迫る』
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 この落合証言によると、何かが壊れて軽い減圧はあったものの
「振動は感じず、揺れもなかった」とし、「頭上の荷物収納扉が
開くこともなく、機体の揺れはほとんど感じなかった」といって
います。少なくとも後部圧力隔壁を吹き飛ばすような凄い突風が
客室内を吹き抜けたという状況は、落合証言からは感じとること
はできないのです。
 航空機客室内で何かが原因で急減圧が起こり、それによる突風
が起きたとしても、それが垂直尾翼を破壊する力などないと明言
する学者の証言が当時の週刊誌に載っています。次の2人の学者
のコメントです。
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◎東京大学工学部・航空構造力学/小林繁夫教授
 隔壁から噴き出た空気が垂直尾翼を壊すことなど力学的に絶対
ありえない。内と外の圧力差はせいぜい0・4気圧ぐらいだから
てっぺん(垂直尾翼)のプラスチック製おおいを飛ばすぐらいの
力しかない。(中略)隔壁が全部そっくり破壊されたのなら別だ
が、現場でみつかった隔壁の写真を見る限りかなり小規模な破壊
しか起きていないようだ。生存者も、吸い出されるような強い風
を感じていないことからすると、空気はかなりゆっくりした速度
で外へ抜けていったのではないか。
        ──『サンデー毎日』/1985年9月8日号
◎東京大学工学部・航空工学佐藤淳教授
 (前略)果してこの程度の気圧差と直進するはずの空気の流れ
を考えると、風圧が垂直尾翼を吹き飛ばしたり、また、バーンと
いう音が出るのかどうか、はなはだ疑問である。
       ──『週刊サンケイ』/1985年9月19日号
       ──角田四郎著『疑惑/JAL123便墜落事故
      /このままでは520柱は瞑れない』/早稲田出版
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         ──[日航機123便墜落の真相/007]

≪画像および関連情報≫
 ●急減圧は事故調によって創作されたもの
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   事故調は、JA8119号機の事故原因を、後部圧力隔壁
  が損壊し、引き続いて尾部胴体・垂直尾翼・操縦系統に損壊
  が生じたため、と「圧力隔壁主犯説」を採っている。しかし
  この「圧力隔壁主犯説」は事故調のオリジナル・シナリオで
  はなく、この事故を圧力隔壁の修理ミスによる特異な事例と
  して処理することを狙ったアメリカの原案によるものであっ
  た。その辺の事情について、日本経済新聞は、事故発生1年
  後の86年8月25日の朝刊で「後部圧力隔壁の破壊に続い
  て起きた垂直尾翼などの空中分解の全容が24日、明らかに
  なった。米側がコンピューター解析をもとにまとめ、事故調
  に提出したものである」と伝えている。
   事故調は、この「圧力隔壁主犯説」を採用したために、必
  然的に起きる急減圧をデッチアゲなければならなくなった。
  本章では、報告書がいうように圧力隔壁が損壊し、急減圧が
  発生した場合、当然、操縦室と客室において起こる現象と、
  相模湾の上で事故が発生したとき、実際に事故機の機内で起
  こっていたことがらを比較し、本当にJA8119号機に急
  減圧が発生していたのか、否かを、事故調査報告書をはじめ
  公表された資料をもとに検証する。報告書は、修理ミス部を
  起点として圧力隔壁が損壊したことがこの事故の発端である
  としている。          https://bit.ly/2P4YDxP
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後部圧力隔壁の修理ミスの部分.jpg
後部圧力隔壁の修理ミスの部分
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 日航機123便墜落の真相 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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