2018年06月21日

●「AIの全体像はどうなっているか」(EJ第4790号)

 本日のEJから、AI(人工知能)の正体をもっと具体的に明
らかにしたいと考えています。改めて考えてみると、「AI」と
は何なのかわからなくなります。ハードウェアなのでしょうか、
それともソフトウェアなのでしょうか。
 「AI」という言葉は、あまりにも抽象的です。たとえば、自
動運転車というのは、AIシステムを搭載した乗用車であるとい
われますが、車にハードウェアとしてコンピュータが搭載されて
おり、その上でAIシステムが動いているのでしょうか。あれこ
れ考えていくと、何だかわからなくなります。
 このあたりことをはっきりさせたいと思います。つまり「AI
の構造がどうなっているか」について、そろそろはっきりさせる
必要があります。
 PCの構造について考えてみましょう。PCの構造を図であら
わすと、3層構造になっています。一番下はハードウェア、その
上にOS(基本ソフト)があり、さらにその上にアプリケーショ
ンがあります。OSはハードウェアに合わせて作られており、そ
のOSの環境の下で、アプリケーションが動くのです。このさい
ハードウェアとは、具体的には「CPU」のことであると考えて
ください。簡単にいうと、これがPCの構造です。
 このことを頭において添付ファイルの図を見てください。これ
は、AIの全体像を階層的に示しています。階層ごとに簡単に説
明していきます。
 一番下にはハードウェアがあります。これらはニューラルネッ
トワークの高速処理を支えるハードウェア(処理チップ)です。
代表的なものは、次の4つです。
─────────────────────────────
        1.NVIDIA GPU
        2.  グーグル TPU
        3.      FPGA
        4.      ASIC
─────────────────────────────
 その上層に「ライブラリ」があります。ニューラルネットワー
クの処理を行うのがライブラリ、すなわち、フレームワークのこ
とです。AIアプリケーションを作成するときは、これらのライ
ブラリを使います。
 さらにその上層に、これらのフレームワークを使って目的別に
開発されたAIサービスを提供するAIプラットフォームがあり
ます。これはOSのようなものと考えればいいでしょう。AIの
技術は現在発展中であり、統一的なものはなく、プラットフォー
ムは、各社から提供されています。
 その上にあるのは、各種のアプリケーションです。アプリケー
ションは、次のように3つに分けることができます。
─────────────────────────────
 上 層:ビジネス活用AIアプリケーション
     医療、教育、製造業、小売業、農業など
 中間層:単一要素アプリケーションを組み合わせたもの
     パーソナルアシスタント、ロボティクスなど
 下 層:単一要素のアプリケーション
     音声認識、画像認識、機械翻訳など
─────────────────────────────
 結論からいうと、AIの性能を左右するのは、ハードウェア、
つまり、コンピュータの頭脳に該当する処理チップなのです。な
かでも、ディープラーニングの精度向上のカギを握っているのは
エヌビディアの「GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユ
ニット)」です。エヌビィディアコーポレーションという米国の
企業が製作しています。カルフォルニア州サンタクララにある半
導体メーカーです。この企業は、もともとはゲーム用半導体のメ
ーカーとして知られていたのですが、2012年頃からはAIの
発展にとって欠かせない企業になっています。
 ところで、「GPU」とは何でしょうか。「CPU」とはどう
違うのでしょうか。英語の表記は次のようになります。
─────────────────────────────
      CPU   Central Processing Unit
      GPU  Graphics Processing Unit
─────────────────────────────
 CPUとGPUの違いを知るには、少し詳しい説明が必要にな
ります。これについては、これから逐次説明していきますが、そ
ういう説明なしで、ズハリその特色を述べると、その違いは次の
ようになります。
─────────────────────────────
    CPU ・・・ 複雑な計算処理に優れている
    GPU ・・・ 大量の単純計算に優れている
─────────────────────────────
 CPUもGPUも計算をするチップという点では同じですが、
その違いがわかる有名な動画があります。解説は英語ですが、英
語の意味がわからなくても映像で十分理解できるので、ぜひご覧
ください。時間は1分33秒です。
─────────────────────────────
      ◎CPUとGPUの違いが分かる動画
            https://bit.ly/2lnlbgK
─────────────────────────────
 この動画では、前者のスプレーガンをCPU、後者のスプレー
ガンをGPUに見立てています。前者は、ひとつ一つていねいに
処理をしているのに対し、後者は、一気に同じ処理を並列して、
行っています。
 CPUとGPUの位置づけとしては、コンピュータでは何でも
できるCPUが中心チップであり、GPUは、グラフィックスの
計算に特化して処理を行い、CPUを助ける存在と理解してくだ
さい。詳しい説明については明日以降のEJで説明します。
          ──[次世代テクノロジー論U/034]

≪画像および関連情報≫
 ●爆進・エヌビディアは「三日天下」を招くのか
  ───────────────────────────
   「エヌビディアは頭がおかしくなった」「まったくナンセ
  ンス」。世界のITエンジニアが利用する複数の英語掲示板
  ではそんな意見が頻繁に交換されている。AI(人工知能)
  開発インフラを提供する非営利団体、米ファストAIのジェ
  レミー・ハワード氏は、ツイッター上で「エヌビディアは、
  長年の信用を、たったひとつの恐るべき決断で失うだろう」
  とまで批判している。
   詳細を書く前に、エヌビディアについて簡単におさらいし
  ておこう。エヌビディアは、近年の世界的なAIブームで躍
  進した企業の代表格だ。開発に特化したファブレス型の半導
  体メーカーで、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユ
  ニット)と呼ばれる半導体の最大手。GPUは本来、CG制
  作やインターネットゲームで画像を処理する際に使われてき
  たが、近年AIの計算処理にも多用されている。
   パソコン普及期の米インテル製プロセッサのように、GP
  UはAIの普及を支える「コア部品」なのだ。AI需要を背
  景に、エヌビディアの時価総額は直近で約13・4兆円。過
  去3年で10倍に伸びており、伸び率ではグーグルやアップ
  ルを大きく上回る超成長銘柄となった。
                  https://bit.ly/2MAOGrL
  ───────────────────────────

AIの全体像.jpg
AIの全体像
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary