2018年06月18日

●「3つの『認識』は可能になるのか」(EJ第4787号)

 現代のAI(人工知能)は、ニューラルネットワークのディー
プラーニングが主流になっています。このディープラーニングは
「革命」といわれます。なぜ、革命なのでしょうか。それは、次
の3つのことが可能になりつつあるからです。
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        1.3つの認識が可能になる
        2.運動ができるようになる
        3.言語の意味が理解できる
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 上記「1」の「3つの認識」とは何でしょうか。1つは「画像
認識」、2つは「文字認識」、3つは「音声認識」です。ひとつ
ずつどこまでできるようになっているか考えることにします。
 「画像認識」については、これまでは悪戦苦闘していたのです
が、「グーグルの猫」が認識できるようになり、AIは明らかに
ブレークスルーを成し遂げたのです。画像を認識するということ
は、その特徴点を見分けるということです。猫を見分けるために
動画から取り込んだ1000万枚の画像を解析し、1000台も
のコンピュータで3日かけて学習し、やっと認識したのです。
 画像認識がうまくいけば、「文字認識」と「音声認識」はクリ
アできるのです。実際に現在のAIは、まだ課題はあるものの、
文字認識も音声認識もできるようになりつつあります。
 上記「2」の「運動ができるようになる」は、ロボットの開発
に応用され、少しずつ実現しつつあります。これには、自動運転
車の問題も含みます。自動運転車は現在進んでいるように見えま
すが、まだまだ多くの難題を抱えています。
 上記「3」の「言語の意味が理解できる」は、翻訳や通訳に応
用できますが、実はこれが一番難しいのです。ペッパーなどのロ
ボットは、人の言葉を理解し、それに対応した行動をとりつつあ
るように見えますが、ペッパーは相手の声と自分が発する声の見
分けがつかないのです。そのため、ペッパーなどのコミュニケー
ションロボットは、自分が話すときは、マイクはオフになってい
るのです。なぜなら、ロボットは自分が話す音を認識してしまう
と、それに対しても答えようとする無限ループに陥ってしまうか
らです。そのため、ロボットが話すときは、マイクは自動的にオ
フになります。
 「ディープマインド」という英国の人工知能企業があります。
2010年にディープマインドテクノロジーとして起業されたの
ですが、2014年にグーグルに買収され、ディープマインド社
になったのです。
 このディープマインド社が開発したのが、碁のAIアルゴリズ
ム「アルファ碁」です。2016年3月、「アルファ碁」は、世
界トップレベルの韓国のイ・セドル九段に4勝1敗で勝利し、世
界的に有名になります。
 このディープマインド社のCEOであるデミス・ハサビス氏は
ゲームの世界では、「DQN」という汎用学習アルゴリズムの天
才的開発者として知られています。
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             「DQN」
           Deep Q-Network
 DQNは画像認識に多く用いられる深層学習と強化学習(Q学
習)を組み合わせたアルゴリズムにより動作し、ゲームのルール
を教えていない場合でも、どのように操作すれば高得点を目指す
ことができるのかを判断することができる。
        ──ウィキペディア https://bit.ly/2ina8Ef
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 「DQN」は、どのようなゲームにも適用できる画期的な汎用
学習アルゴリズムで、ゲーム画面の出力信号と「高いスコアを出
せ」という指令のみで動くといわれます。つまり、「高得点を出
せ」と命令すると、得点を上げるメカニズムを超スピードで学習
し、そういう結果を出してくるのです。
 DQNは、49種類のゲーム中、43種類で従来のAIによる
得点を上回り、29のゲームでは、プロゲーマーと同等またはそ
れ以上のパフォーマンスをみせたといわれます。
 ディープマインド社は、このDQNをベースに「アルファ碁」
を開発したのです。「アルファ碁」は、イ・セドル九段を破った
ことで、「名誉九段」の称号が与えられていますが、その後につ
いて次の話があります。
 韓国に「東洋囲碁」というインターネット囲碁サイトがありま
す。2016年12月29日から31日にかけて、その囲碁サイ
トに「マジスター/Magister」というIDの棋士が現れ、世界ラ
ンクトップの中国のケ・ジェ九段や韓国ランキング1位のパク・
ジョンファン九段など、世界トップ級の棋士と対局しています。
結果は30戦全勝です。
 2017年1月1日から5日にかけて、中国で韓国と同じよう
なことが起きたのです。中国の囲碁サイト「野狐囲碁」に「マス
ター/Master」と名乗るID棋士が現れ、世界トップ級棋士とさ
らに30戦戦い、全勝しています。韓国の「東洋囲碁」と中国の
「野狐囲碁」の戦績を合わせると、60戦60勝、勝率100%
ということになります。
 実は、デミス・ハサビ氏は、マジスターIDもマスターIDも
「アルファ碁」の進化型であることを明かしています。今後の公
式戦に備えて、テストを行ったのです。もはや囲碁とか将棋の世
界では、AIに人は勝てないといっても過言ではないようです。
 しかし、将棋にしても囲碁にしても、すべての情報が開示され
ているゲームです。しかし、ポーカーや麻雀などは、相手の手は
隠されていてわからないゲームです。そういうゲームで、AIが
勝利を収めたという話はありません。したがって、AIによって
すべてのゲームが支配されたということにはならないのです。し
かし、ビジネスというゲームには、AIは無限の活用の余地があ
ります。      ──[次世代テクノロジー論U/031]

≪画像および関連情報≫
 ●囲碁の最強人工知能「アルファ碁」の仕組みとは?
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   2017年5月27日、人類最強の呼び声が高い棋士ケ・
  ジェにグーグル社傘下のイギリスの人工知能企業のディープ
  マインド社が開発する「アルファ碁」が勝利しました。
   27日の対局に先立ち23日、25日にも「アルファ碁」
  はケ・ジェを相手に勝利し、ケ・ジェは人工知能を相手にま
  さかの全敗を喫したのです。囲碁は元々、AI(人工知能)
  にとって、もっとも難しいゲームの一つとされていました。
  最強棋士を破る囲碁AIは、どのようにして、生まれたので
  しょうか?
   2015年10月、碁のヨーロッパ王者であるファン・フ
  イ2段に5戦5勝を収め、続く2016年3月には、21年
  間のプロキャリアで18回に渡って世界王者になった経歴を
  持つイ・セドル9段に4勝1敗で勝利しました。
   敗北はとてもハードなことだった。アルファ碁と対局する
  前は、僕は「きっと勝てるだろう」と考えていた。最初の対
  局の後には戦術を変えて挑んだのだけど、それでも負けてし
  まった。人間には時に大きなミスをするという問題がある。
  なぜなら、僕たちは人間だからだ。時には僕たちは疲れてい
  るし、時には「何が何でもゲームに勝ちたい」と望んで、大
  きなプレッシャーを感じる。でも、プログラムはそうじゃな
  い。まるで壁のようにプログラムはとても強く、安定してい
  る。この違いは、僕にとってはとても大きなものなんだ。僕
  はアルファ碁がコンピューターであることを元々知っていた
  けれど、もしも誰一人としてその事実を僕に伝えていなかっ
  たら、僕は対局相手のことを少々奇妙だがとても強い本物の
  人間のプレイヤーだと感じただろうね。
                  https://bit.ly/2tfyKlI
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中国最強棋士と対局する「アルファ碁」.jpg
中国最強棋士と対局する「アルファ碁」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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