2018年05月01日

●「なぜ2017年1月20日なのか」(EJ第4755号)

 今回のテーマは今回を含めあと2回で終りです。森友問題でも
加計問題でも目立つことがあります。それは、安倍首相自身を含
めて、官邸サイドが「明らかなるウソ」を平然とついていること
です。そのひとつが安倍首相の次の言葉です。
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 私が加計学園の意向を知ったのは、2017年1月20日の
 ことである。               ──安倍首相
          2017年7月24日/衆院予算委員会
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 この2017年1月20日というのは、国家戦略特区諮問会議
が開催された日であり、議長である安倍首相が、実施主体を加計
学園に認定した日です。2017年1月4日時点で、応募事業体
は加計学園のみであり、1月12日に今治市分科会は、内閣府・
文科省などが実施主体を加計学園に決定しています。その最終決
定が、1月20日に行われたのです。安倍首相は、その日に、は
じめて応募してきた事業主体が、加計学園であることを知ったと
いっているのです。
 「これは明らかなウソである」として、東京新聞記者の望月衣
塑子氏は、古賀茂明氏との共著で、その矛盾を次のように指摘し
ています。
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 矛盾といえば、安倍首相は2017年6月5日の参院決算委員
会で、加計学園の獣医学部設置の意向を知ったのは、愛媛県と今
治市が国家戦略特区に提案した「2015年6月4日だ」と答弁
していました。加計孝太郎理事長から「時代のニーズに合わせて
新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨の話は聞
いたことがある」とも述べていました(衆院予算委員会)。
 ところが7月24日の衆院予算委員会で、突然、加計の意向を
知ったのは学園が事業者に決まった「2017年1月20日だっ
た」と、答弁を変えたのです。
 実は、当初答弁のように、知ったのが2015年6月4日だと
すると、安倍首相にとって「不都合な真実」が明らかになるので
す。このとき、今治市が提案した資料には「加計学園」の文字は
ありません。あくまでも提案者は愛媛県と今治市で、事業者は後
に公募で決まる仕組みだったからです。この時点ですでに安倍首
相が「加計学園案件だ」と知っていたならば、「なぜ知っていた
のか?誰から聞いたのか?」ということが問題になります。
 文科省に働きかけたと名前の挙がっている萩生田光一官房副長
官(現自民党幹事長代行)は衆議院選落選中、加計学園が経営す
る千葉科学大の客員教授をつとめ、月10万円の給与を受けてい
たと報じられています。加計学園の件で前川さんに働きかけた木
曽功内閣官房参与(当時)は、その後、加計学園の理事に就任し
ています。──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
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 実は、安倍首相は、加計学園が獣医学部を新設しようとしてい
るのを2015年6月4日どころか、2014年3月13日以前
に確実に知っていたと思われる証拠があります。
 2014年3月13日、加計孝太郎氏は、獣医学部新設に一貫
して反対していた日本獣医師会を訪問しています。応対したのは
獣医師会会長の蔵内勇夫氏と会の事務局を預かる北村直人顧問で
す。これに関して、古賀茂明氏と望月衣塑子氏の共著には、ジャ
ーナリスト森功氏の次のレポートの引用があります。
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 「あなたは安倍さんから『獣医師会に行け』と指示されてやっ
てきたんでしょ。ときの最高権力者がバックについている、すご
いよね」。蔵内たちが皮肉を言いながら突き放した。
 「誰がきたところで、申請は通りませんよ」。獣医師会の重鎮
に冷たくあしらわれてなお、当の加計本人は慌てる様子もなく、
自信満々だった。(中略)
 実はこのとき「首相が後ろ盾になっているので、獣医学部の新
設は大丈夫だ」と加計が胸を叩いたという話がある。実際、その
議事録が存在するという説がある。北村は次のような意味深長な
話をした。
 「議事録があったら、安倍政権がふっとんじゃうよ。だから私
は『ない』と答えるしかない。相手は自民党の党友でもある安倍
さんですからね。私は旧田中派の議員でしたから、口利きだって
駄目だとは言いません。「安倍さんでしょ?あなたの後ろにいる
のは」と尋ねたとき、加計さんなんとなく頷いたかな」。
 ──『文藝春秋』/2017年5月号「安倍首相『腹心の友』
の商魂/森功」  ──古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
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 今治市と愛媛県が政府に対し、構造改革特区を活用した獣医学
部新設を提案をしたのは2007年の福田内閣のときです。この
時点で既に加計学園を予定事業体として想定していたのですが、
このときは不可になっています。2008年になって、麻生内閣
でも同じ申請をしていますが、このときも不可です。
 2009年に自民党が下野し、民主党の鳩山政権においても、
今治市と愛媛県は同じ提案をしたところ、「実現に向けて検討」
することになっています。その後、民主党政権下では、勉強会な
どが行われたものの、結局認定に至らないで終っています。
 そして、安倍政権が発足して、2013年に国家戦略特区制度
を作り、これをベースとして今治市と愛媛県において、獣医学部
の新設を認めることにしたのです。もちろん、予定事業体は加計
学園であり、むしろ競合相手の京都産業大学をどのようにして外
すかに腐心したはずです。
 したがって、安倍首相が加計学園が今治市と愛媛県と連携して
獣医学部新設を推進していることを2017年1月20日になっ
てはじめて知ったというのは、大ウソということになります。
            ──[メディア規制の実態/079]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相が「1月20日」にこだわる理由/「月刊日本」
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   2016年9月9日に行われた国家戦略特区諮問会議での
  安倍首相の発言との関係に注目する必要があります。この諮
  問会議では、民間議員を代表して八田達夫氏が「獣医学部の
  新設は、人畜共通の病気が問題になっていることから見て極
  めて重要ですが、岩盤が立ちはだかっています」と述べてい
  ます。これに対して、安倍首相はこの会議の最後に、「本日
  提案いただいた『残された岩盤規制』や特区での成果の『全
  国展開』についても、実現に向けた検討を、これまで以上に
  加速的・集中的にお願いしたい」と発言しました。
   これを受けて獣医学部の認可をテーマに開かれた9月16
  日の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の冒頭で、内
  閣府地方創生推進事務局審議官である藤原豊氏が「先週金曜
  日に国家戦略特区の諮問会議が行われまして、まさに八田議
  員から民間議員ペーパーを御説明いただきましたが、その中
  で重点的に議論していく項目の1つとしてこの課題が挙がり
  総理からもそういった提案課題について検討を深めようとい
  うお話もいただいております」と発言しています。つまり、
  藤原氏は、獣医学部新設に関する議論が9月9日の諮問会議
  での安倍首相の指示によるものだということを明言している
  のです。そのため、安倍首相が、昨年9月9日の時点で加計
  学園の特区申請を認識していたとすれば、安倍首相の指示に
  よって加計学園に有利な展開になっていったことを事実上認
  めざるを得なくなるのです。   https://bit.ly/2vMVGx6
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望月衣塑子氏/東京新聞記者.jpg
望月衣塑子氏/東京新聞記者
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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