2018年04月27日

●「国家戦略特区と獣医学部新設問題」(EJ第4754号)

 加計学園の獣医学部の開学が実現したのは、国家戦略特区の制
度ができたからです。「国家戦略特区」(正式には国家戦略特別
区域)というのは、日本経済再生本部からの提案を受けて、第2
次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げ、国家戦略特別区域
法第2条で地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特
区のことです。要するに安倍政権の「目玉政策」の一つです。
 問題は、その具体的な対象をどのように決めるかです。それを
やるのは「国家戦略特区諮問会議」です。意外に知られていない
のが、そのメンバーです。
─────────────────────────────
◎「国家戦略特区諮問会議メンバー」
議   長:安倍晋三 内閣総理大臣
議   員:麻生太郎 財務相兼副総理
議   員:梶山弘志 内閣府特命相(地方創生/規制改革)
議   員:菅 義偉 内閣官房長官
議   員:茂木敏充 内閣府特命担当相(経済財政政策/経済
      再生担当相)
有識者議員:秋池玲子 ボストンコンサルティンググループシニ
       ニアパートナーズ&マネージング・ディレクター
有識者議員:坂根正弘 株式会社小松製作所相談役
有識者議員:坂村 健 東洋大学情報連携学部INIAD学部長
有識者議員:竹中平蔵 東洋大学教授・慶応義塾大学名誉教授
有識者議員:八田達夫 アジア成長研究所長・大阪大学名誉教授
     ──古賀茂明/望月衣塑子共著/KKベストセラーズ
         『THE独裁者/国難を呼ぶ男!安倍晋三』
─────────────────────────────
 安倍首相が議長で、議員は麻生財務相と安倍首相に近い内閣府
の3大臣であり、有識者議員も、ほとんどが安倍首相に近い人ば
かりです。安倍首相が、十分にリーダーシップを発揮できるメン
バー構成といえます。
 この会議のキーポイントメンバーは竹中平蔵氏です。産業競争
力会議のメンバーでもある竹中平蔵氏は、アベノミクスの成長戦
略の柱として、この国家戦略特区制度を提案しており、次のよう
に主張しています。
─────────────────────────────
 総理の主導により「地方から国にお願いして、国が上の立場か
ら許可するというもの」ではなく、国家戦略特区とは、「国を代
表して特区担当大臣、地方を代表して知事や市長、民間を代表し
て企業の社長という、国、地方、企業の3者統合本部でミニ独立
政府の様に決められる主体性を持った新しい特区」であり、特区
を活用して岩盤規制に切り込みたいと思っている。
                  ──竹中平蔵有識者議員
─────────────────────────────
 この制度の構想は、第2次安倍政権発足間もない2013年の
半ばからあり、そのとき既に安倍首相の頭のなかには、加計学園
傘下の岡山理科大学の獣医学部新設のプランがあったと考えられ
ます。おそらく腹心の友である加計孝太郎氏から、その設立の熱
意を何回も聞いていたからでしょう。
 一方、日本獣医師会は、大学の獣医学部新設は、獣医師の質の
低下などを理由に一貫して新設には反対してきています。しかし
第2次安倍政権が誕生し、国家戦略特区制度の話が出ると、この
動きを警戒したのです。なぜなら、現在、元自民党衆院議員で、
日本獣医師政治連盟委員長と日本獣医師会顧問を務める北村直人
氏は、第1次安倍政権の2007年2月某日に、東京・赤坂の料
亭「佐藤」で、加計学園の加計孝太郎氏に会い、次のやりとりを
しているからです。
─────────────────────────────
加計:愛媛で、獣医の大学を作りたいんですよ。ぜひ、協力して
   くれませんか。
北村:なぜそんなことを言い出すんですか?
加計:息子の鹿児島大獣医学科の入学式に行き、設備を見たら、
   20億〜30奥でできそうなんですよ。
北村:そんな動機で獣医学科を作りたいなんて、とんでもない話
   だ。獣医学部創設には500億円はかかりますよ。教育を
   金もうけに使われたらたまらない。やめた方がいい!
加計:・・・・・
北村:親しい政治家はいるんですか?
加計:強いて言えば安倍首相ですが・・・
           ──2017年7月19日付、産経新聞
         ──古賀茂明/望月衣塑子共著の前掲書より
─────────────────────────────
 こういういきさつがあったので、北村直人氏は、第2次安倍政
権が発足したとき、警戒を強めたのです。加計理事長は、きっと
安倍首相の力を背景に獣医学部の新設を必ず仕掛けてくるに違い
ないと考えたからです。
 そこで、2014年9月に地方創生担当大臣兼内閣府特命担当
大臣(国家戦略特別区域)に就任した石破茂氏に獣医学部の認可
基準を厳しくしてもらうよう働きかけたのです。北村直人氏は、
石破茂氏と1986年の総選挙で当選した自民党の同期の関係で
す。このようにして、できたのが「石破四条件」です。この「石
破四条件」は、日本獣医師会にとっては満額回答であり、獣医師
会の既得権益を守る「岩盤」になったといえます。
 はっきりしていることは、安倍首相が、加計学園の岡山理科大
が獣医学部新設を目指していることは、少なくとも第2次安倍政
権発足当初から知っていたことは間違いないということです。さ
まざまな客観データから分析すると、そうなるのです。
 実際に安倍首相は、2015年から加計理事長と連絡を取りな
がら、岡山理科大の獣医学部開学を実現させています。これは、
安倍官邸の力がなければ絶対に実現できなかったことです。
            ──[メディア規制の実態/078]

≪画像および関連情報≫
 ●「安倍政権が吹っ飛ぶ」 加計学園問題で関係者が重大証言
  ───────────────────────────
   「第2の森友」といわれる加計学園問題。安倍首相の“腹
  心の友”が理事長を務める学園が、愛媛・今治市に新設する
  岡山理科大の獣医学部を巡る疑惑だ。
   2017年4月11日に今治市で住民向けの「獣医学部の
  開学に向けた説明会」が開かれたが、なぜ市が、36億円の
  土地を無償で差し出すのか、96億円の建設費も援助する必
  要があるのかといった疑問に対し、納得のいく説明はなかっ
  た。そんな中、発売中の「文芸春秋」5月号で、ノンフィク
  ション作家の森功氏が加計学園問題をリポートし、注目を集
  めている。理事長の加計孝太郎氏が獣医学部の新設を申請す
  るにあたり、“首相の後ろ盾”をほのめかしたというのだ。
   14年3月13日、加計氏は獣医学部の新設に反対してい
  た日本獣医師会を訪れた。蔵内勇夫会長とともに加計氏と対
  面した元衆院議員の北村直人顧問から、森氏は重大な証言を
  得た。リポートで次のように書いている。
   実はこのとき「首相が後ろ盾になっているので獣医学部新
  設は大丈夫だ」と加計氏が胸を叩いたという話がある。実際
  その議事録が存在するという説もある。北村は次のような意
  味深長な話をした。「議事録があったら、安倍政権がふっと
  んじゃうよ。だから私は「ない」と答えるしかない。相手は
  自民党の党友でもある安倍さんですからね。私は旧田中派の
  議員でしたから、口利きだって駄目だとは言いません。「安
  倍さんでしょ?あなたがたの後ろにいるのは」と尋ねたとき
  加計さんはなんとなく頷いたかな」。
                  https://bit.ly/2HRcxnp
  ───────────────────────────

北村直人氏/日本獣医師会顧問.jpg
北村直人氏/日本獣医師会顧問
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary