2018年04月16日

●「文書改竄に官邸は絡んでいないか」(EJ第4745号)

 2018年4月11日の衆議院予算委員会で、加計学園の獣医
学部新設計画をめぐり、安倍晋三首相は胸をはって、次の言葉を
何回も繰り返したのです。
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 前川前事務次官を含めて、誰ひとりとして、私から指示を受
 けたという方は一人もいないのでございます。──安倍首相
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 わざわざ安倍首相が「前川前事務次官を含めて」という言葉を
入れたのは、あれほど私を批判している前川氏ですら、私から指
示を受けていないといっている事実を強調したかったものと思わ
れます。
 しかし、首相が直接指示をしなくても首相秘書官などの首相を
取り巻く人たちが「総理は立場上、直接いえないから、私からい
うが・・・」というように代弁することが多いのです。前川前文
科事務次官などは、和泉首相補佐官から明確にそういわれている
のです。これは、総理がいったことに等しいのです。
 まだあります。「官邸の最高レベルがいっている」、「総理は
30年4月開学とお尻を切っている」、そして「本件は首相案件
である」などです。単に「自分はいっていない」というだけで済
む話ではないのですが、安倍首相は平然とこのセリフを何度も繰
り返すのです。
 このように部下が上司の意向を推し量って行動する「忖度」は
日本の組織風土として定着しています。安倍政権はそういう組織
風土を意識的に利用しているところがあります。現在、NHKで
はこのようなことが大きな問題になっています。
 渦中にいる人物はNHK政治部出身の小池英夫報道局長です。
この小池英夫報道局長の官邸への忖度ぶりがあまりにも露骨なの
で、問題になっているのです。NHKの朝の「おはよう日本」や
夜の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」といった番組のニュ
ースが、小池報道部長の横槍で別のモノに変えられたケースがあ
まりにも多いからです。
 小池報道部長の部屋は5階にあります。小池部長は5階の自室
から、2階のニュースセンターにさまざまな指示を電話で出して
きます。これをNHKでは、「Kアラート」と呼んでいるそうで
す。Kアラートにひっかかった番組の編集者は、5階に呼ばれ、
必ずといってよいほど、しょげて帰ってくるといわれます。
 前川前文科事務次官の講演内容を文科省が問い合わせたニュー
スを「ニュースウオッチ9」が森友問題と続けて流したとき、K
アラートが鳴り、小池報道部長のクレームが入ったといいます。
小池報道部長にとっては、「皆様のNHK」ではなく、ひたすら
「官邸のNHK」を目指して行動しているようです。
 これについて、11日発売の「週刊新潮」は、次のように書い
ています。
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 「政治部出身の小池英夫報道局長です。官邸の意向に沿わない
ネタは潰し、報じられたニュースに抗議が入れば現場を徹底的に
叱責する。多くの職員がそう認識しています。そして小池さんが
直接やりとりしているのは、安倍晋三総理の懐刀で影の総理とも
呼ばれる今井尚哉秘書官だ、と」
              ──「週刊新潮」/4月19日号
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 やはり、今井尚哉首相秘書官がからんでいるのです。森友問題
もこの秘書官が黒幕であるといわれます。今井尚哉氏とはどうい
う人物なのでしょうか。
 今井尚哉氏は、1982年に通商産業省(現経済産業省)に入
省し、2006年に第1次安倍政権発足と同時に首相秘書官に就
任しています。さらに、第2次安倍政権が発足した2012年に
首相に求められて再び首相秘書官になっており、安倍首相の腹心
といえるほどの存在です。安倍首相の信頼度は、菅官房長官以上
であるといわれています。
 現在、安倍首相が最も恐れているのは、森友問題の矛先が今井
首相秘書官に向けられ、野党から証人喚問を要求されることであ
るといわれます。それは、森友問題の決裁文書改ざんは、財務省
理財局の判断だけで行われたものではなく、官邸が深く絡んでい
るという疑いが出ているからです。
 これに関して、前川前文科事務次官が、佐川氏の独断で、決裁
文書の改ざんなどという大胆極まる犯罪行為をやれるとはとても
思えないとして、次のように述べています。
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 国政調査権のある国会に提出された文書が改ざんされていたと
は、民主主義が崩壊する事態で犯罪的行為だ。こんな悪事を、真
面目で小心な官僚が、自らの判断でできるなど、到底考えられな
い。文書改ざんは、官邸との間ですり合わせがあって行われたと
しか思えない。官僚が、これほど危険な行為を、官邸に何の相談
も報告もなしに独断で行うはずがない。文書の詳細さを見れば、
現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度
ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう。
                  https://bit.ly/2qscDI5
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 「官邸にいる誰か」とは誰でしょうか。前川氏はその「誰か」
すなわち黒幕を今井尚哉首相秘書官ではないかと推測しているの
です。いわゆる昭恵夫人とそのお付きの職員、谷査恵子氏のバッ
クに今井秘書官がいるとみているのです。ちなみに、谷査恵子氏
は経済産業省の出身で、その上司は今井秘書官だったのです。
 財務省による決裁文書改ざんや森友学園との口裏合わせを理財
局だけの判断でやったとはとても考えられないことです。それほ
どの政権に関わる大事を官邸のボスである今井首相秘書官が何も
知らなかったとはとても考えられないことです。明らかに、これ
に官邸も絡んでいることは確かです。
            ──[メディア規制の実態/069]

≪画像および関連情報≫
 ●佐川長官の辞任は“詰め腹”を切らされたわけではない
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   3月9日、森友問題発覚時に財務省理財局長を務め、その
  後国税庁長官に昇任した佐川宣寿氏が長官の職を辞任した。
  その理由として(1)理財局長時代の国会対応において丁寧
  さを欠いていおり混乱をもたらしたこと、(2)行政文書の
  管理について多くの指摘を受けたこと、(3)いわゆる「決
  裁文書」についての担当局長であったところ管理不行届きが
  あったこと、の3点が挙げられている。
   あくまでも佐川氏本人からの申し出を受けての辞職であり
  懲戒免職処分ではない。なお、国家公務員の辞職は任命権者
  である大臣の承認が必要であり、外局の長たる国税庁長官の
  任免については閣議を経る必要がある(筆者も総務省退職時
  には、「辞職を承認する」との大臣名の辞令をもらって辞職
  している。ちなみに、その時の総務大臣は麻生太郎氏であっ
  た)。また、佐川氏は単に辞職だけではなく、3ヵ月の減給
  という懲戒処分も受けている。しかし、これは在職者を前提
  とした処分であり、辞職とは別のもの。したがって佐川氏に
  は退職金はしっかり支給される。
   要するに今回の辞職はあくまでも“本人の意思”によるも
  のであって、減給処分についても「辞職したい」とする理由
  が理由だから、それを聞いてしまっては何かせざるをえない
  ので減給といったところであり、引責のような彩りを添えて
  はいるが、実際には引責辞任ではない。
                  https://bit.ly/2Hymzaw
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前川喜平前文科省事務次官.jpg
前川喜平前文科省事務次官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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