2018年04月13日

●「応援テレビ局を作ろうとしている」(EJ第4744号)

 安倍首相が打ち出している放送法改正については、ペーパーが
存在します。これは「今井ペーパー」と呼ばれている基本計画プ
ランです。「今井」とは今井尚哉首相秘書官のことです。「官邸
の隠れ3役人」の1人です。この今井ペーパーには、次の内容の
2種類があります。
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 1.放送法第4条などの規制の撤廃やネット事業者などのテ
   レビへの参入を促進する。
 2.放送は、NHKがあればよいのであって、それ以外の民
   放は基本的に不要である。
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 内容的にとんでもないプランです。何しろ「民放なんかなくし
てしまえ」という乱暴なものであるからです。野党議員は直ちに
質問主意書を政府に提出しこの件を質していますが、政府は20
18年4月3日に次の回答をしています。
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 放送法4条撤廃について、政府として具体的な検討を行った
 ことはない。               ──政府答弁
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 しかし、今井ペーパーでは、法案の提出時期を今年の臨時国会
か来年の通常国会と期限を切っており、放送局への単なるブラフ
のためのものであるとはとても思えないのです。案外真面目に成
立を期そうとしているように考えられます。
 既に述べているように、安倍政権は、これまで放送法第4条を
タテにして放送局に圧力をかけてきています。それに加えて、政
治番組、とくに休日の政治番組を減少させ、そのうえで政権を批
判するコメンテーターを降板させ、政権への批判を封じ込めよう
としてきており、それは既に実行に移されています。
 それでも安倍政権へのテレビでの批判は、やむことはなかった
のです。それは、安倍政権が批判に該当することをいくつもやっ
ているからです。森友問題、加計問題、防衛省日報問題など、批
判の対象になることが増える一方だからです。
 そこで安倍政権は発想の転換をしたのだと思います。これまで
圧力の道具として使ってきた放送法第4条を撤廃し、むしろ政権
擁護のテレビ局を増やそうと考えたのです。ちょうど、一部の右
翼系雑誌──『月刊/Hanada』『月刊WiLL』など──
が、安倍首相応援雑誌になっているように、テレビでもそういう
テレビ局を作ろうとしているのです。
 そのひな型になるようなテレビ番組があったのです。「ニュー
ス女子」というテレビ番組をご存知でしょうか。
 『ニュース女子』というのは、DHCシアターが放送したトー
クバラエティ番組のことで、2015年4月12日から放送を開
始し、2017年3月30日で放送を終了しています。
 2015年4月12日から『女は悩まない、女の世直しニュー
ス女子』の番組名で、土曜日深夜ないし、金曜日21時からそれ
ぞれ1時間放送したのです。103回放送しましたが、ある事情
により、放送を終了しています。
 この番組は、スポンサーが制作費などを負担し、制作会社が番
組を作って、放送局は納品された完成品(完パケ)を放送する、
いわゆる“持ち込み番組”だったのです。制作は、化粧品大手の
DHCグループ傘下の「DHCテレビジョン」が担っています。
 それでは、なぜ、放送を中断したのでしょうか。それは次の事
情によります。
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 2017年1月2日、東京MXで沖縄基地問題の特集を放送し
た。「沖縄緊急調査/マスコミが報道しない真実」「沖縄・高江
のヘリパット問題はどうなった?過激な反対派の実情を井上和彦
が現地取材!」などと題し、沖縄・高江の米軍ヘリパッドへの反
対運動を報じた
 その中で、米軍ヘリパッド建設に反対する人たちを「テロリス
ト」と表現したり、「日当をもらっている」「組織に雇用されて
いる」などと伝えたりした。また、日当については人権団体「の
りこえねっと」が払っていると指摘した。放送後、批判の声が相
次いだ。BPOの放送倫理検証委員会は2017年12月14日
「重大な放送倫理違反があった」と極めて重い内容の意見書を公
表していた。(中略)東京MXは2018年3月1日、「ニュー
ス女子」の放送終了を発表していた。制作元のDHCテレビジョ
ンは3月5日、番組を地方局やネット上などで継続すると発表し
ている。              https://bzfd.it/2HqNEMN
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 なぜ、「ニュース女子」のことを取り上げたかというと、この
番組と安倍政権の進めようとする放送法改正が無関係ではないか
らです。それは、放送法改正を討議する規制改革推進会議のメン
バーに「ニュース女子」の出演者が3人含まれていることです。
この規制改革会議は何かと問題があるのです。このことに関して
書いているリテラの記事を引用します。これらの3人はいずれも
安倍首相シンパです。
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 今回の放送制度改革案は「規制改革推進会議」が取りまとめを
おこない、6月にも安倍首相に答申する予定なのだが、この「規
制改革推進会議」のメンバーに、あの『ニュース女子』出演者が
3人も含まれているのである。それは、『ニュース女子』司会で
ある長谷川幸洋・東京新聞論説委員に、同番組の準レギュラーで
文書改ざん問題では朝日批判を展開していた経済学者の飯田泰之
氏、同じく準レギュラーである、加計学園問題では国家戦略特区
ワーキンググループ委員として、「議事録はすべて公開されてい
る」と虚偽の主張を繰り広げていた政策コンサルタントの原英史
氏の3名だ。            https://bit.ly/2IIH3wu
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            ──[メディア規制の実態/068]

≪画像および関連情報≫
 ●「放送法改正」で、あらゆるメディアが与党寄りになる
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   かねてから、安倍総理が自分に批判的なメディアが嫌いな
  ことはよく知られています。先だっては、政治的公平さなど
  を求められない放送法の規制がないネットテレビ局に出演し
  て、1時間にわたり持論をしゃべりまくりすっかり気をよく
  したようです。その安倍首相が目指していると言われる放送
  事業の見直しは、放送法4条などの規制の撤廃です。
   今回の規制緩和は、「放送法の規制がかからないネットテ
  レビ」(安倍総理談)などの放送事業への参入を促すもので
  す。モリカケの前にかすんでしまっていますが大問題です。
   もし、政治的中立性の縛りをなくしてしまったら、特定の
  政党に偏った番組ばかりが放送される懸念があります。当然
  お金がある与党寄りのものが多くなるでしょう。
   ただでさえも、広告不況です。このうえネット事業者に放
  送事業の門戸を開けば、地上波キー局など既存の放送事業者
  は経営がそうとう苦しくなるでしょう。
   この動きに、普段は安倍応援団が多い放送業界でさえ「民
  間放送が解体されてしまう」と警戒を強めています。一方、
  所轄の野田聖子総務大臣は20日の参院総務委員会で、放送
  法4条の撤廃を柱とする放送制度改革について「多様な意見
  を聞きながら、変えるべきところは変える、とどめておくべ
  きところはとどめる、という流れがあると思う。私自身はま
  だ何も承知していないのでコメントは差し控えたい」と述べ
  ました。安倍総理からの指示はまだないということでした。
                  https://bit.ly/2HrBpzp
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「ニュース女子」.jpg
「ニュース女子」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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