2018年04月05日

●「『人事』の恨みは『捜査』で返す」(EJ第4738号)

 このテーマもそろそろ終わりに近づいていますが、今後この森
友学園事件はどうなっていくでしょうか。そのカギは、大阪地検
特捜部が握っているといえます。
 実は、この事件は今年の3月末で幕引きされる予定になってい
たのです。現在、法務省の事務次官は黒川弘務氏が務めています
が、その黒川事務次官は、三浦守大阪高検検事長に対して、次の
申し渡しをしていたからです。
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      年度末(3月末)で、捜査を終了せよ
               ──黒川事務次官
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 黒川法務省事務次官は、安倍政権ベッタリの人物で、政界捜査
のときは、捜査情報を官邸に上げることで、安倍官邸にとっては
評価が高かったし、三浦守大阪高検検事長は上の命令には忠実な
官僚ということで知られています。したがって、三浦検事長は大
阪地検特捜部に対して、「3月中に必ず捜査を終了させろ」と厳
命していたのです。
 ところで現在大阪地検特捜部の部長は山本真千子氏で、史上初
の女性特捜部長です。大阪市立大学出身で、京都、大阪、東京の
地検を経て法務省人権擁護局総務課長、2年半前に大阪地検特捜
部長に抜擢されています。
 大阪のある司法記者は、山本特捜部長についてそのプロフィー
ルを次のように紹介しています。
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 独身で化粧気が全くなく、おしゃれにも無頓着で、記者とも気
さくに赤提灯で飲む。これまで大型事件の捜査を手がけたことは
なかったが、テキパキ事件を処理するタイプで、上司に信頼され
ている。女性検事の中では出世頭です。
              ──「週刊ポスト」4月13日号
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 山本特捜部長は、森友学園への国有地払い下げ疑惑に対して、
丁寧に内偵捜査を進め、立件に向けて着々と準備を進めていたの
です。しかし、籠池夫妻の長期勾留に対しては、山本特捜部長の
前職が人権擁護局総務課長であっただけに「人権擁護局の人間が
籠池夫妻の人権を無視するのか」という強い非難が寄せられてい
ますが、長期勾留には別の事情があるようです。しかし、捜査も
三浦大阪高検検事長を通じての黒川事務次官の圧力に思うように
進まなかったといいます。
 ところが、今年の1月21日に事情が一変します。小貫芳信最
高裁判所判事が亡くなったことが原因です。小貫芳信氏は東京高
検検事長を務めていたことがあり、最高裁判事は、不文律の検察
ポストのひとつになっているのです。
 ここでいわゆる玉突き人事が行われます。三浦守氏は最高裁判
所判事に送り込まれ、後任の大阪高検検事長のポストには、札幌
高検検事長をしていた上野友慈氏が就任したのです。この上野氏
について、大阪地検関係者は次のように明かしています。
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 上野友慈氏は関西検察最後のエース。本来なら来年以降に大阪
高検検事長に就任するとみられていたが、早まった。これが森友
問題の捜査に影響を与えている。(一部略)上野大阪高検検事長
は法務省からの横やりの盾になり、特捜部が水を得た魚のような
状態だ。          ──「選択」/2018年4月号
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 つまり、上野大阪高検検事長の就任で、山本大阪地検特捜部長
率いる特捜部の捜査は、本来の狙いのように進み始めたのです。
そして、2018年3月2日付、朝日新聞に「森友文書書き換え
の疑い」が報道されます。このような裏事情を踏まえると、これ
は大阪地検特捜部のリークではないかといわれています。
 この事態に愕然としているのは安倍官邸です。とくに黒川事務
次官は大きなショックを受けたと考えられます。ここで黒川事務
次官についても知る必要があります。法務省の検察組織というの
は検事総長をトップとするピラミッド構造になっています。それ
は「検察官の独立」を守るためです。
 実は安倍政権は、内閣人事局の人事権を盾に検察人事に介入し
たのです。2016年7月の人事で、法務・検察首脳部は、エー
スといわれる林真琴・前刑事局長を事務次官に就任させる人事案
を官邸に上げたのです。
 しかし、官邸はその案を突き返し、林氏と同期の黒川弘務官房
長を事務次官に据えたのです。なぜ、官邸はそういう人事をした
のかというと、2016年に発覚した甘利明経財再生相(当時)
のURをめぐる口利き疑惑(斡旋利得事件)で、官邸は当時法務
省の官房長をしていた黒川氏と政治取引をし、甘利事務所への家
宅捜査すら行わずに不起訴処分に成功したからです。安倍政権で
は検察が何もしないのは、こういう裏事情があったのです。
 それでも法務・検察首脳部は、2017年も林真琴氏を事務次
官にしようとしますが、官邸は拒否し、黒川氏を留任させていま
す。そのため、林氏は次官になれないまま、名古屋高検検事長に
異動せざるを得なかったのです。このように、法務・検察は安倍
政権に何回も煮え湯を飲まされたのです。これに最高検の検察首
脳部は燃えたのです。「人事」の恨みは必ず「捜査」で返すと。
 森友事件を取材しているジャーナリスト・伊藤博敏氏は森友文
書のリークについて、次のように述べています。
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 朝日の情報源は、改ざん前と後の文書を持っていた大阪地検で
はないかと見られていますが、流出を疑われるのを覚悟でやった
とは考えにくい。むしろ、最高検の検察首脳部が安倍政権に痛打
を与えるために出したのではないか。     ──伊藤博敏氏
              ──「週刊ポスト」4月13日号
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            ──[メディア規制の実態/062]

≪画像および関連情報≫
 ●甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか/リテラ
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   なんなんだ、この結末は? 1日、あの甘利明前経済再生
  担当相について、東京地検特捜部が不起訴処分にするという
  ニュースが、一斉に流れた。しかも、甘利本人だけではなく
  同じく告発を受けていた公設秘書2人も立件見送りになると
  いう。いっておくが、犯罪が軽微だったわけではない。甘利
  がやったことは、今、マスコミが大騒ぎしている舛添要一郎
  知事の政治資金問題などとは比べ物にならない、政治家とし
  ては最も悪質な賄賂事件だった。しかも、特捜部は最近、政
  界捜査に弱腰になっていたとはいえ、小渕優子元経産相や小
  沢一郎のケースのように、秘書の立件まではやるのが、普通
  だった。それが、今回は一切なんのおとがめもなし。これは
  いくらなんでも異常すぎるだろう。
   取材してみると、今回の不起訴決定の裏には、法務省幹部
  の露骨な捜査潰しの動きがあったことがわかった。しかも、
  この幹部は明らかに官邸と深いつながりのある人物だった。
  捜査潰しの詳細に踏み込む前に、まず、事件のおさらいをし
  よう。甘利の容疑は、2013年5月に千葉県の建設会社・
  薩摩興業の依頼で、都市再生機構(UR)へ移転補償金の値
  上げを「口利き」した見返りに、賄賂を受け取っていたとい
  うものだ。周知のように、薩摩の元総務担当者、一色武氏が
  「週刊文春」に公設秘書ら2人に現金500万円、さらに甘
  利本人に100万円を手渡していたことを告発した。実際、
  甘利事務所が現金を受け取ったことを証明する領収証や、甘
  利の公設秘書らがUR側に補償金アップの働きかけをして交
  渉を録音したテープなどの物証もあった。
                  https://bit.ly/1Ukh0d8
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上野友慈大阪高検検事長.jpg
上野友慈大阪高検検事長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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