2018年03月19日

●「公文書書き換えは重大犯罪である」(EJ第4726号)

 ここで話を3月13日のEJ第4722号の時点に戻します。
3月2日付の朝日新聞朝刊1面トップ記事を再現します。
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   ◎森友文書書き換えの疑い
    財務省問題発覚後か/交渉経緯など複数個所
     ──2018年3月2日付、朝日新聞朝刊
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 この日を境に森友問題は、国有地決裁文書が書き換えられてい
るという大問題に発展します。またしても火をつけたのは、朝日
新聞です。しかし、いつもは朝日新聞に強いアレルギーを持つ安
倍官邸は、あれほど朝日新聞を攻撃してきたにもかかわらず、あ
まり強い反発を示さず、財務省は書き換えを認め、即日、その責
任をとって佐川国税庁長官は辞任を表明したのです。
 いつもであれば、トランプ米大統領のように「朝日新聞のフェ
イクニュースだ!」と反論する安倍官邸があまり騒がず、書き換
えを認める方向に動いたのです。それほど、朝日新聞の記事内容
が正確だったからです。つまり、安倍官邸は森友関連文書が書き
換えられていることを知っていたからです。もし、知っていたと
すれば、書き換え自体に官邸も絡んでいたことになります。
 問題は、朝日新聞がそのことを伝聞で知ったのか、書き換え前
の原本のコピーを持っているかどうかです。3月7日、首相官邸
で、菅義偉官房長官は、イラ立って、財務省の矢野康冶官房長に
何回も電話して、次のように命じたのです。
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   朝日と同じ文書を入手して、はやく官邸に報告しろ!!
                   ──菅義偉官房長官
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 朝日新聞の表現は「書き換えの疑い」であり、断定しておらず
極めて慎重です。もし朝日新聞がコピーを持っているなら、なぜ
写真を出さないのか。官邸は疑心暗鬼に陥ったのです。
 当時のある官邸スタッフは、朝日新聞の報道について、次のよ
うに述べていたのです。
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 官邸は、朝日が書き換え前の文書をおさえていること自体は、
間違いないと見ています。だが文書は数度にわたって書き換えら
れている可能性があり、どの段階のものを朝日が入手したのかが
わからない。対応のしようがなく、菅官房長官もイライラを募ら
せている。         ──「週刊現代」/3月24日号
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 あれこれ考えて、官邸は、大阪地検特捜部から流れたのではな
いかと気が付いたのです。もし、そうであれば、写真はもちろん
のこと、ネタ元をできる限り隠す必要があり、朝日新聞の報道の
慎重さはそれを裏付けています。大阪地検特捜部は、森友問題で
公用文書等毀棄容疑などで、近畿財務局職員の任意の事情聴取を
進めているのです。
 これに関して、杉田和博官房副長官は、オフレコを条件として
次のように記者に話しています。
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 朝日の文書がどこから出たものなのか、はっきりしたら、情報
漏洩で犯罪になるでしょう。だから、朝日も書きぶりが難しいだ
ろうね。ネタ元が出せないわけだよ。
              ──「週刊現代」/3月24日号
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 なぜ、大阪地検特捜部が森友問題を捜査しているのかというと
次のいきさつがあります。2017年9月15日、東京地検特捜
部は、2つの市民団体から出されていた財務省と国土交通省に対
する背任罪および公用文書等毀棄罪の訴えを受理したことを発表
しています。そこで、その立件捜査を大阪地検特捜部に移送する
ことを通知したのです。
 公用文書を書き換えることは犯罪です。裁判になれば、証拠と
して採用される可能性のある公用文書を書き換えたり、削除した
りすれば、「公用文書等毀棄罪」になりますし、場合によっては
「証拠隠滅罪」に問われ兼ねません。これは重要犯罪です。
 既に大阪地検特捜部は、前理財局長の佐川宣寿氏を事情聴取す
ると発表しています。自民党執行部が、佐川氏の証人喚問を受け
入れたのは、案外これが原因である可能性があります。なぜなら
こういう状況であれば、佐川氏は「その件は、刑事訴追を受ける
可能性があるので、発言を控えさせていただきます」を連発して
証言を拒むことができるからです。
 先日テレビで見ていたら、森友問題の公文書書き換えで、ある
弁護士は、公用文書を書き換えても、書き換え前と書き換え後の
内容の趣旨が変わらなければ、公用文書毀棄罪にはならないと主
張していました。本当かどうかはわかりませんが、最近森友問題
を討論する番組では、必ずといってよいほど、政府側の意見を代
弁する人物が配置されています。少しでも傷を浅くしようとする
官邸の配慮ではないかと思われます。
 別の弁護士によると、この公用文書書き換えは、国会議員の質
問権の侵害であり、偽計業務妨害罪になる可能性もあるというこ
とです。もし、そういうことになったら、1998年の「ノーパ
ンしゃぶしゃぶ事件」のとき以上の犯罪になります。
 このときは、逮捕・起訴された大蔵省(当時)官僚は7人で、
いずれも執行猶予付きの有罪判決が確定しています。そして、こ
の責任をとって、当時の三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁
が引責辞任し、大蔵省解体の要因になったのです。
 ところで、佐川宣寿氏が理財局長になったのは、2016年6
月のことであり、そのとき、問題の国有地は、8億1900万円
が値引きされ、1億3400万円で学園に売却する契約書が締結
されていたのです。つまり、佐川氏は契約締結当時の理財局長で
はないのです。その前任者こそ捜査する必要があります。
            ──[メディア規制の実態/050]

≪画像および関連情報≫
 ●森友学園めぐり財務省が公文書改ざんか/朝日新聞報道
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   問題となっているのは、2015年〜16年に国が森友学
  園と国有地を取引した際、財務省近畿財務局の管財部門が、
  局内の「決裁」を受けるために作成した2つの公文書だ。2
  つの決裁文書はそれぞれ、国有地の貸付契約と売却契約に関
  するもの。1枚目に決裁完了日や局幹部の決裁印などがあり
  2枚目以降に交渉の経緯や取引内容などが記された「調書」
  が付いている。2017年2月、森友学園をめぐる問題が発
  覚すると、そのコピーが国会議員に提示された。
   森友学園との貸付契約と売却契約をめぐる決裁文書につい
  て、朝日新聞は、2月2日・3日に文書を「確認した」と報
  道。その上で「契約当時のもの」と「国会議員に提示された
  コピー」で、決裁文書の内容に違いがあると報じた。それに
  よると、決裁文書の起案日、決裁完了日、決裁印、番号はコ
  ピーと同じだが、文書の内容について「違いがある」とし、
  森友学園をめぐる問題発覚後に文書内容が改ざんされた可能
  性を伝えた。財務省はこれまでの国会答弁で、森友学園との
  事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返していた。
  ・「全て法令に基づいて適正にやっている」(2017年2
   月24日:佐川宣寿・前理財局長=衆院予算委員会)
  ・「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いた
   いと希望があったこともない」(2017年3月15日:
  佐川氏=衆院財務金融委員会)
   一方で、朝日新聞は3日の朝刊で、「確認した」とする決
  裁文書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示
  を行う」などの記載があったと報じた。
                   http://bit.ly/2G2vH8Z
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国会で答弁する佐川理財局長(当時).jpg
国会で答弁する佐川理財局長(当時)
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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