2018年03月09日

●「日本のメディアは一体になれない」(EJ第4720号)

 政府の圧力にやすやすと屈してへり下る──これが現在の日本
のメディアです。田原総一朗氏は、こうしたメディアについて、
「放送局の体質が脆弱になったもの」と嘆いていますが、米国の
メディアにはこういうことは考えられないそうです。
 なぜかというと、政府が圧力をかけてきたら、多くのメディア
が結束して反対の論陣を張るからです。これについて、元ニュー
ヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、次
のように述べています。
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 「報道ステーション」や朝日新聞に官邸から圧力がかかったの
であれば、こういうときこそ読売新聞も産経新聞も毎日新聞も、
連帯してメディア・スクラムを組み、官邸に反発するべきだ。メ
ディア単体への圧力は、風向きが変われば他のテレビ局なり新聞
社なりへの圧力へとすり替わる。
 ところが日本のメディアは「『報道ステーション』はケシカラ
ン」「朝日新聞は反日報道をしている」とメディア同士でケンカ
をしている。そのケンカを安倍政権はうまく利用しているのだ。
他のメディアが圧力を受けているのであれば、我が事のように憤
る。FCCJが取材拒否に遭っているのであれば、そのことを敢
えて取り上げて問題提起をする。会社という縦割りの縄張り意識
を捨てて、「ジャーナリズム」という一点で日本のジャーナリス
トは団結しなければ、権力者の思うつぼだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
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 日本のメディアは、ケンカしているというより、最初から政権
寄りとそうでないメディアに色分けされていて、結束できないの
です。しかも、日本のメディアは、新聞社がテレビ局が系列化さ
れており、メディア全体の色分けが行われているのです。
 系列化の契機になったのは、皇太子(今上天皇)のご成婚報道
なのです。この全国紙とテレビ局の系列化について、砂川浩慶氏
の本から引用することにします。
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 1959(昭和34)年の皇太子ご成婚の中継を機にスタート
した、テレビ報道の協力体制で、TBS系列(JNN)は、東京
のTBSと大阪の朝日放送が系列関係を結んでいた。また、東京
のNETは、大阪の毎日放送と系列関係にあった。これを全国紙
側からみれば、東京と大阪で系列関係に捻れが生じていることと
なる。1973年当時、全国紙は各テレビ局に相応の株を持って
いた。このため、朝日新開、毎日新聞、読売新聞の3社間で株式
の整理を行なった。朝日新聞と読売新聞が持っていたTBSの株
は、毎日新聞に譲渡、その一方、毎日新聞・朝日新聞が持ってい
た日本テレビの株は読売新聞に譲渡することとなった。また、N
ETの大株主である朝日新聞と東京12チャンネルの株主である
日経新聞での株式譲渡の詰も進展し、日経新聞が保有するNET
の株を朝日新聞に譲渡することとなった。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
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 NET(日本教育テレビ)など、今の若い人は聞いたことはな
いでしょうが、これが総合テレビ局になって、日本テレビになっ
たのです。
 このような経緯で、TBSと毎日新聞、日本テレビと読売新聞
NETと朝日新聞、東京12チャンネルと日経新聞という全国紙
と東京キー局の系列化が進んだのです。全国紙と在京テレビ局関
係図は次のようになっています。
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   読売新聞──日本テレビ放送網/読売テレビ放送
   毎日新聞──TBSテレビ──毎日放送
   産経新聞──フジテレビジョン──関西テレビ放送
   朝日新聞──テレビ朝日──朝日放送
   日経新聞──テレビ東京──テレビ大阪
                ──砂川浩慶著の前掲書より
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 実は、砂川氏の本にあるような新聞とテレビ局の系列化を主導
したのは、当時の総理大臣田中角栄氏なのです。田中首相の剛腕
がなければできなかったことであるといえます。田中角栄氏が総
理大臣になったのは1972年7月のことです。このときから日
本特有のメディアと自民党政治の関係が、現在の安倍政権まで繋
がっているのです。
 そして現在では、読売新聞系、産経新聞系、日経新聞が政権寄
りであり、毎日新聞系と朝日新聞系が左寄りといわれています。
したがって、政権が圧力を強めてきても、すべてのメディアが一
体になってそれに反対できないのです。
 2012年11月16日、衆議院解散の日です。このとき、T
BSによる「映り込み事件」が起きてます。これはTBSのミス
だったのですが、当時自民党総裁の安倍晋三氏は、直ちにフェイ
スブックで次のように抗議しています。最初からTBS憎しで選
挙が始まったのです。
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 11月16日放送のTBS『みのもんたの朝ズバー』で、NH
Kのキャスターの痴漢行為をニュースとして流す中で、なんと私
の顔写真が写し出されたそうです。ネットの指摘で明らかになり
ました。その日はまさに解散の日。ネガティブキャンペーンがは
じまったのでしょうか。もし事故なら私のところに謝罪があって
しかるべきですが、何もありません。(中略)
 これから一ヶ月こうしたマスコミとの戦いです。私は皆さんと
共に戦います。     ──安倍晋三氏のフェースブックより
                ──砂川浩慶著の前掲書より
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            ──[メディア規制の実態/044]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍官房長官印象操作映像事件
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  (TBSでは、同じようなミスを2006年にも起こしてい
  る)TBSのニュース番組「イブニング・ファイブ(JNN
  イブニング・ニュース)」は、2006年7月21日に73
  1部隊の特集を組んだ。その内容は、終戦後に日本上陸を果
  たすであろうアメリカ軍に対して、細菌兵器で攻撃する計画
  が731部隊にあったというものであった。その放送の中で
  TBS社内の一室で電話取材を行っている記者に迫る演出が
  あり、その途上にある小道具部屋で山積みされていた小道具
  とともに「安倍晋三顔写真」が約3秒間に渉って映し出され
  た。その際に「ゲリラ活動!?」というテロップが「安倍晋
  三顔写真」に重なって表示されていた。また、安倍晋三顔写
  真の横には構造計算書偽造問題で話題になったヒューザー社
  長小嶋進の顔写真もあった。
   この当時、小泉純一郎のの後継者を選ぶ自民党総裁選が近
  日中に行われる予定で、安倍も有力候補者として出馬するこ
  とになっていた。このことから「TBSが安倍のイメージダ
  ウンを狙った印象操作」という見方が広がった。「小嶋進顔
  写真」が隣にあったのも決して偶然ではなく、小嶋のマイナ
  スイメージを安倍に重ね合わせることを狙ったものであると
  いう見方もある。TBSは「電話取材中の記者を撮影する際
  取材に使った記者室のスペースが狭かったため、隣接する小
  道具部屋に保管してあった安倍官房長官のパネルが映った」
  とし、意図的なものでは無かったと釈明した。
        ──ウィキペディア  http://bit.ly/2FTi2P7
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田中角栄元首相.jpg
田中 角栄元首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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