2018年03月05日

●「日本は右傾化しつつあるといえる」(EJ第4716号)

 ここまで書いてきたように、安倍政権におけるメディア、とく
にテレビ局に対する圧力は、いささか常軌を逸しています。これ
は、安倍首相自身が、テレビで批判されることを何よりも恐れて
いる証拠であるといえます。そのため、なりふり構わず、露骨に
圧力をかけ続けているのです。
 情けないことに、テレビ局サイドがその圧力に屈して、政府を
非難しなくなったことです。その結果、日本のテレビ局の番組は
その劣悪さのレベルを一段と高めています。テレビで報道すべき
テーマはたくさんあるのですが、報道できないので、時間を埋め
るのに四苦八苦しているのです。
 そういう劣悪番組のなかに「日本スゴイ!番組」があります。
長時間かけて、日本を礼賛する番組です。外国人も多く登場する
いわゆる「日本礼賛番組」です。日本が昔から有している技術の
凄さを自画自賛する番組です。これは、政府による日本人に対す
るプロパガンダであるという人もいます。これに警告を発してい
るあるサイトの記事をご紹介します。
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 「日本礼賛番組」に出てくる「日本の技術は最高だよね。文化
も素晴らしいし、人々は礼儀正しいし、憧れの国だよ!」とひた
すら日本を褒めちぎってくれる外国人は、TVの中にしか存在し
ません。無理矢理な演出と、「どうせ何を言っているか視聴者に
はわからないんだから」と適当につけられたテロップによる産物
に過ぎません。
 「日本で働くことを夢見る外国人」も、非常に限られた人たち
です。日本の労働環境の劣悪さは海外でもよく知られていますし
英語を話せる人が少ないこと、賃金が高くないこと、そもそも排
他的な国民性であることも多くの人が知っているので、高度な技
能を持つ人ほどわざわざ日本で働こうとはしません。これからも
日本の経済は縮小を続け、いっそう貧しい国になることが確定し
ているわけですから、そんな国にあえて移住しようという人はそ
うそういません。
 しかし、地上波で毎週何本も放送される「日本礼賛番組」を鵜
呑みにしている人たちは、そんなことは、夢にも考えないことで
しょう。「日本は世界最高の工業技術を持つ先進国で、日本のオ
タク文化は世界を席巻、日本人の慎ましやかな国民性は国際的に
大絶賛されている。日本に生まれてよかった、日本に生まれた自
分は幸せだ!!」と信じて疑わないはずです。
                   http://bit.ly/2GZ5d4W
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 私は、この主張に全面的に賛成はしませんが、こういう日本礼
賛論が日本に浸透すると、日本が右傾化する可能性は高いと思い
ます。露骨な政治圧力により、政治番組を極度に減らし、芸人に
よる劣悪番組とこのような日本賛美番組を増加させる──困った
傾向であると思っています。
 ところで、安倍首相は、ワシントン・ポストやウォール・スト
リート・ジャーナル、ブルーム・パークなどとは、よく単独イン
タビューに応じますが、ニューヨーク・タイムズとはインタビュ
ーをしないことで知られています。「批判的な記事を書かれる」
ことを嫌っているからです。
 トランプ米政権発足直後の2017年2月のことですが、ニュ
ーヨーク・タイムズは、安倍首相とトランプ大統領の風刺画(添
付ファイル)を掲載しています。この風刺画では安倍首相がトラ
ンプ大統領の言いなりなっている様子が描かれ、まるで召使いみ
たいな扱いになっています。こういうことを、日本のメディアは
一切報道しないのです。
 2009年2月から、2015年7月まで、ニューヨーク・タ
イムズの東京支局長を務めたマーティン・ファクラー氏は、これ
に関して、次のように述べています。
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 ワシントン・ポストやウォール・ストリート・ジャーナルが安
倍首相の単独インタビューを取ったからといって、私がニューヨ
ーク・タイムズ本社から「ウチも安倍首相の単独インタビューを
取ってこい」と催促されることはない。政権に媚びた報道をし、
覚えがめでたいメディアに成り下がるくらいならば、取材ルート
など遮断されたほうがよほどマシだ。幸い、ニューヨーク・タイ
ムズはそうした記者の姿勢をバックアップしてくれる。在ニュー
ヨーク日本領事館の職員が、ニューヨーク・タイムズ本社に「東
京のマーティン・ファクラー記者が、日本政府に批判的な記事を
書いた」と抗議に来たことがある。そのとき私は「オマエは何を
やっているのだ」とニューヨークの本社から非難されるどころか
「官邸が言うことを鵜呑みにしなかったわけだな。プレッシャー
に負けずによくやった」と応援してもらったものだ。
               ──マーティン・ファクラー著
      『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社刊
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 安倍政権は、日本に駐在する外国人記者の記事に関しても内容
をチェックしていて、問題ありと判断すると、その新聞社の本社
に外務省を使って抗議するのです。海外メディアの記者も国内メ
ディアと同じように扱えると思っているようです。
 マーティン・ファクラー氏によると、日本より韓国の方が少し
マシであるといいます。批判記事を書くと、韓国外務省の報道官
から電話があり、食事を誘ってきたそうです。それに応じると、
その報道官は、ファクラーさんには言論の自由があるので、記事
は自由に書いていただいて結構である。しかし、記事のこの部分
は、問題点があるので、次回これに関して取材されるときは、よ
い情報源を紹介すると伝えられたというのです。
 韓国は、なかなかしたたかです。記事内容に抗議するのではな
く、やんわりと問題点を説明して誤りを正すなど、戦略的に海外
メディアとうまく付き合っているからです。
            ──[メディア規制の実態/040]

≪画像および関連情報≫
 ●新聞記者の「エリート意識」/2017年3月
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   もちろん、既存メディアにも問題がある。大手メディアは
  ニューヨークやワシントンといった都市部を中心に記事を作
  成し、広大な地方の問題には目を配ってこなかった。ブレア
  氏が続ける。「メディアは都会の現象ばかり報じて、『ラス
  トベルト』(かつての工業地帯。ラストは錆のことで、使わ
  れなくなった工場や機械を表現している)で何が起きている
  のかをきちんと報道しませんでした。外国や移民に仕事を奪
  われて不満を抱いているかつての工場労働者にトランプ氏の
  支持者が多いと言われていますが、これまで彼らの苦悩を見
  過ごしてきたことが、メディアが軽蔑される理由となってい
  ます。主流メディアが報じる米国の姿と、実際に地方で起き
  ている事実の間には、大きな断絶があることがわかったので
  す。メディアは反省して、断絶がどういうものかを理解する
  努力をするべきです」。
   日本でもメディアと政権の信用度は逆転しつつある。新聞
  通信調査会による世論調査によると、新聞の信頼度は100
  点満点中68・6点で、民放テレビは59・1点だ。しかも
  年々、信頼度は低下傾向にある。片や安倍政権の内閣支持率
  は66%と高水準が続く。安倍晋三総理はこうした状況を歓
  迎しているようだ。産経新聞によると、安倍総理は昨年11
  月に行われたトランプ大統領との初会談で、こう言ったとい
  う。「実はあなたと私には共通点がある」。怪訝な顔をする
  トランプを横目に安倍は続けた。「あなたはニューヨーク・
  タイムズに徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している
  朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った・・・」
  これを聞いたトランプは、右手の親指を突き立ててこう言っ
  た。「俺も勝った!」と。     http://bit.ly/2CUt1Vq
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ニューヨーク・タイムズ誌掲載の風刺画.jpg
ニューヨーク・タイムズ誌掲載の風刺画
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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