2018年02月28日

●「安倍政権によるNHK支配の実際」(EJ第4713号)

 NHKの年度予算はどのくらいあるかご存知でしょうか。
 2015年度を例にとると、6831億円です。世界の放送局
では最大規模になります。このうち受信料収入は6608億円で
96・7%を占めています。つまり、われわれ国民が支払う受信
料でNHKは成り立っていることがこれでわかります。
 われわれにとって最も身近な国内放送番組の制作費や、その送
出経費および人件費は5106億円。単純計算ですが、1日当た
り約14億円が使われている計算になります。これだけのお金が
使われているのですから、NHKは国民が求めている正しい報道
を心がける義務があります。時の政権におもねるような報道は絶
対にすべきではなく、正しく公平な報道に努めるべきです。
 第2次安倍政権では、最初から経営委員長を獲りに行き、物議
を醸したので、経営委員を増やす作戦に変更しています。経営委
員の総数は12人、任期は3年ですが、再任もあり得ます。民主
党政権時代の経営委員が次々と退任するときに、安倍政権の親派
の経営委員を送り込み、4名の親派の委員を確保して、会長選出
のキャスティングボードを握る作戦です。
 安倍政権がスタートしたときのNHK会長は、2011年に就
任した松本正之氏です。松本会長は受信料の値下げを断行する一
方で、経費削減を図り、増収を実現するなど、なかなかの経営成
果を上げており、その退任は2014年1月24日に迫っていた
ものの、再任が有力視されていたのです。
 しかし、安倍政権としては、意中の会長を送り込むため、次の
ように、4人の経営委員と1人の再任の人事案を国会に提示し、
衆参両院の同意を獲得したのです。これによって状況は一変し、
松本正之会長は退任必至となったのです。
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   ◎2013年11月11日         (敬称略)
    百田 尚樹(作家)
    本田 克彦(JT顧問)
   ◎2013年12月11日
    長谷川三千子(埼玉大学名誉教授)
    中島  尚正(海陽学園海陽中等教育学校長)
    石原   進(JR九州会長/再任)
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
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 作家の百田尚樹氏は、2012年の自民党総裁選で、「安倍晋
三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人で、大の安倍ファ
ンですし、JT顧問の本田克彦氏は「四季の会」の有力メンバー
であり、東大の学生時代には、成蹊小学校に通っていた安倍氏の
家庭教授をしている間柄です。
 埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏も百田氏と同様に「安倍晋
三総理大臣を求める民間人有志の会」の会員です。海陽学園の中
島尚正氏については、海陽学園が「四季の会」の幹事役である葛
西敬之氏が創設に関わっているので、安倍親派です。再任の石原
進氏はJR九州会長ですが、同じ九州出身の籾井勝人氏を会長に
推薦したといわれています。
 本当のところ、誰が籾井勝人氏をNHK会長に就任させようと
したのでしょうか。12月10日の午後、安倍首相は次の人物と
会食しています。
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 12月10日付「首相動静」
 (午後)7時8分、東京南麻布の日本料理店『有栖川清水』。
葛西敬之JR東海会長、古森重隆富士フイルムホールディングス
会長らと食事。
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 葛西敬之氏と古森重隆氏はともに「四季の会」のメンバーであ
り、古森氏は第1次安倍政権のとき、NHKの経営委員長を務め
ているので、時期的に考えてもこの会食は、NHK次期会長の人
事に関する相談であったことは確かです。
 こうした財界の大御所が動き、立派な経営成果を上げている松
本正之会長(当時)の再任を覆してまで、推挙した籾井勝人氏と
は、どういう人物なのでしょうか。
 記者が「安倍首相がNHKの偏向報道を懸念しているが、不偏
不党をどう考えるか」と質問すると、次のように答えています。
これだけで、この人がどういう人であるかわかると思います。
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 それはNHKに限らず、テレビの報道は皆おかしいですよ。例
えば、「反対!」っていう人ばかり映して、「住民が反対してい
る」と。じゃあ何人デモに来ていたか、というのを言わない。僕
は言うべきだと思っている。賛成と反対があるならイーブンにや
りなさい。安倍さんが言っているのはそういうことですよ。何も
左がかっているから右にしろと言っているわけではないと僕は理
解しています。    ──籾井勝人氏 http://bit.ly/2EQV9dO
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 NHKでは、会長が任期満了になる6ヶ月前に、経営委員全員
による「指名部会」を立ち上げる決まりになっています。実際に
2013年7月23日に第1回の指名部会が開催され、松本会長
に再任を促していますが、松本会長はその場で辞意を表明してい
るのです。
 松本正之氏といえば、JR東海の副会長のときの上司が葛西敬
之氏であり、実際に会長になるときも、葛西敬之氏が支援してい
るのです。それなのに、葛西氏はこのとき「松本降ろし」を決断
しています。どうしてかというと、週刊誌報道によれば、NHK
会長になってからの松本氏は、葛西氏の要望を聞かなくなったか
らといわれていますが、真偽は不明です。松本会長にしても「四
季の会」というものがあり、安倍政権ができた以上、再任の要請
はあったとしても、自分はこのさい身を引くべきであると感じて
いたのではないかと思います。
            ──[メディア規制の実態/037]

≪画像および関連情報≫
 ●NHK会長が怒鳴り散らすと、何がマズイのか
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   2015年2月18日午前、NHKの籾井勝人会長が民主
  党の総務部門会議に呼ばれて中期経営計画を説明する席で、
  顔を真っ赤にさせて国会議員とやりあった。このやりとりの
  様子は、NHKを除く、主要な民放テレビ局全社のニュース
  番組やワイドショーで取り上げられた。
   昨年の会長就任の記者会見では「従軍慰安婦」について、
  「どこの国でもやっていたこと」などと発言して問題になっ
  た際も、政治的に微妙な発言だと考えたのか、あるいは「個
  人的な発言」だとして「撤回」したことを配慮したのか日本
  テレビやフジテレビは「問題発言」というふうには取り上げ
  なかった。しかし、今回は違う。民放全社が「色をなして怒
  り狂うNHK会長」の映像を放送した。
   それは公共放送機関のトップという重職にある人物が、感
  情むき出しで怒鳴るという光景がめったに見られない「面白
  シーン」として、映像に記録されてしまったからだ。彼の政
  治的な主張やNHK会長としての対応の是非はともかくとし
  て、視聴者が驚くような「面白い映像」だったからである。
   (議員)「よくあることなんですか、本当に?」
   (会長)「よくあることじゃないですか」
   (議員)「撤回してください」
   (会長)「撤回しません」
  会場の去り際に議員から「失礼だ」と言われて、「あなたこ
  そ失礼だ」と紅潮させて興奮したまま議員に叫び続けた。こ
  の場面を放送したテレビ各局のカメラマンや編集者などは、
  「久々に面白いものを見てしまった」という感覚で放送した
  のだろうと想像する。       http://bit.ly/1zQeUqC
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籾井勝人前NHK会長.jpg
籾井勝人前NHK会長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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