2018年01月31日

●「安倍首相の背徳の中東歴訪と演説」(EJ第4694号)

 ことの発端は、2015年1月23日のテレビ朝日「報道ステ
ーション」における当時のコメンテーター古賀茂明氏の次の発言
だったのです。
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 日本人はいま「I am not ABE」というカードを掲げる必要が
 ある。           ──古賀茂明コメンテーター
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 このとき、後藤健二さんはイスラム国の捕虜になっており、そ
の安否が気遣われていたのです。イスラム国(IS)は日本政府
に対し、身代金交渉を持ちかけたのですが、拒否されており、後
藤夫人が、政府から見捨てられたかたちで、後藤さんの解放のた
めに身代金交渉をISと細々と続けていたのです。
 ちょうどそのとき、安倍首相は中東を歴訪中で、その訪問国と
スケジュールは以下の通りです。
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      2015年1月18日: エジプト
             19日: ヨルダン
             21日:イスラエル
                 パレスチナ
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 報道では、少なくとも1月18日のエジプト訪問の時点では、
安倍首相は、ISによる後藤健二さんと湯川遥菜さんの誘拐事件
については知っておらず、中東訪問中に誘拐が発覚したというこ
とだったのです。しかし、後になってこのことが大ウソであった
ことが判明します。しかし、既にメディアは、安倍政権に完全に
飼い慣らされており、この背信行為をあまり厳しく追及すること
はなかったのです。
 このとき、安倍首相は、エジプトにおける演説において、次の
ようにISIL(IS)と闘う国を支援すると表明しています。
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 イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支
援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるた
めです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う
周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
                       ──安倍首相
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 日本語訳の場合は、比較的穏当な表現になっていますが、英語
訳では、支援の目的はすべて対イスラム国政策なのだというニュ
アンスが、日本語よりも露骨に表れた表現になっています。
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   "All that, we shall do to help curb the threat
   ISIL poses."
   「その支援は、すべてISILがもたらす脅威を食
   い止めるのに役立つためにすることだ」
                   http://bit.ly/2FnY11C
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 これにイスラム国が反発したのです。ISは、安倍首相の演説
をISに対する「宣戦布告」と捉え、次のビデオ・メッセージを
出し、日本人に対する復讐を宣言したのです。
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 (安倍総理は)イスラム国から8500キロも離れていながら
自ら進んで十字軍へ参加した。おまえはわれわれの女性や子ども
を殺害するために、またイスラム教徒の家を破壊するために、得
意気に1億ドルを提供した。だから、この日本人の命の値段は1
億ドルだ。また、イスラム国の拡大を止めようと、イスラム戦士
と戦う背教者を訓練するために、さらに1億ドルを提供した。だ
から、このもう一人の日本人の命も1億ドルだ。(中略)アベよ
勝ち目のない戦いに参加するというおまえの無謀な決断のために
このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を、場所を
問わずに殺戮する。日本にとっての悪夢が始まるのだ。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
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 2人の日本人の人質がISにいる状況で、その当事国の首相が
わざわざ中東を歴訪し、ISを刺激することを演説で話せば、人
質の命はどうなるでしょうか。そういう意味からも、安倍首相の
中東歴訪はとても合理的な行動とは思えないのです。
 古賀氏としては、安倍首相の演説で、後藤健二氏や湯川遥菜氏
だけでなく、日本人というだけでISに殺害される恐れが出てき
ているとして、「I am not ABE」というプラカードを掲げるべき
だと「報道ステーション」で発言したのです。
 その直後に官邸の官房長官秘書官から次の趣旨のメールが届き
抗議してきたのです。
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 安倍首相は人質事件を知らなかったのに、ひどいじゃないか
                   ──官房長官秘書官
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 官邸としては、あくまで安倍首相は人質事件は知らないで中東
訪問をしたというストーリーにしておきたかったので、番組に抗
議してきたのですが、事実は大きく異なるのです。
 実は、2014年12月初旬までに後藤健二さんが人質になっ
たことは、ISから後藤夫人のPCにメールが届き、官邸にはそ
れが報告されていたのです。官邸はひそかに後藤/湯川さん救出
の対策本部まで作られていたのです。
 つまり、安倍首相は、2人がISの人質になっている事実を知
りながら、中東歴訪を強行し、2人の命だけでなく、日本人全体
を危険にさらす演説を行ったことになります。しかし、メディア
はそのことを十分知りながら、安倍政権をあまり非難していない
のです。安倍政権のメディア規制の毒が、既に回っていたからと
いえます。       ──[メディア規制の実態/018]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍外交が「イスラム国」のテロを誘発した/内田通夫氏
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   安倍晋三首相は中東歴訪の中、1月17日、エジプトで、
  「イスラム国」対策のため、としてイラクやレバノンに2億
  ドルを支援することを表明した。2億ドルには難民支援、人
  道支援という名目が付けられている。しかし、安倍首相は、
  「『イスラム国』の脅威を食い止めるため」、「イスラム国
  と闘う周辺各国に」としており、利敵行為とみなされる。人
  道支援や後方支援といった名目に日本人は惑わされやすい。
   戦闘行為、敵対行為の主な部分は、後方支援なのだ。たと
  えば、アフガニスタンでイスラム原理主義組織タリバンに対
  する戦闘を担ったのがNATO(北大西洋条約機構)だが、
  当初はアフガニスタンの経済復興を支援する、との目的を掲
  げて軍を派遣した。だが、タリバンからみれば、NATOの
  行動は敵対行為、戦闘行為そのものである。当然、NATO
  軍の進出に武力で攻撃し、NATO軍も反撃する。こうした
  戦闘の連鎖により、当初の経済復興支援という看板とは異な
  り、2014年に終了するまで長期にわたる大規模なアフガ
  ニスタン派兵となった。また、安倍首相は今回、イスラエル
  を訪問して、イスラエルと日本の両方の国旗の前で、ネタニ
  ヤフ・イスラエル首相と両国が連携を強化することを表明し
  た。これまでもイスラエルとの対話はあったが、このような
  形式をとることはなかった。イスラエルとはサイバーテロや
  無人機など、安全保障関連分野での提携を深めようとしてい
  る。イスラム社会の反発は当然、予想されることであり、安
  倍首相は配慮が足りない。     http://bit.ly/1H1KmMq
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イスラエルで演説する安倍首相.jpg
イスラエルで演説する安倍首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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