2018年01月25日

●「安倍政権によるメディア規制効果」(EJ第4690号)

 放送法の問題は、23日のEJで述べていますが、現在、安倍
政権がメディアに対して要求していることは、「表現の自由」を
著しく冒し、国民の知る権利を妨害している可能性が高いので、
重ねて補足することにします。
 自民党は、放送法第4条第2項をたてにして、「政治的公平」
を「番組単位」で求めています。要するに、「どの党も公平に扱
え」というわけです。しかし、放送を所管する総務省は、1つの
番組内でそうするのではなく、一定期間内に放送された番組全体
でバランスを取るよう指導しています。単一番組内で政治的公平
を行うことは事実上困難だからです。そのため、テレビ局自体が
面倒だと感ずると、政治関係の情報をカットしてしまうことも十
分考えられます。それが自民党の狙いでもあります。
 そもそも放送法第4条は、強行法規ではなく、倫理規定である
といえます。放送事業者は公共の電波を使うのであるから、この
ことを心に留めて番組づくりをしなさいという性格の法規であり
これに違反しているからといって、総務省が何らかの処分を下す
ことはあり得ないことです。
 しかし、安倍政権は、放送事業者が、単一番組でも放送法第4
条に違反すれば、総務大臣が放送免許の取り消しができると勝手
に解釈しています。しかし、放送法の趣旨からすると、自民党が
放送業者に圧力を加えるようなことをすれば、それこそ放送法第
1条第2項によって、「表現の自由」が侵害される恐れがあると
して、総務省は自民党に対して警告できるのです。
 この自民党のマスコミ弾圧の動きに呼応するかのように、7人
の著名人が呼びかけ人になって新聞に出した放送法第4条に関す
る意見広告について、古賀茂明氏は、自著において、次のように
厳しく批判しています。
─────────────────────────────
 この全面広告と一連の抗議行動の特徴は、意見の内容が、明ら
かに政府や自民党のマスコミ弾圧に同調した形で行われているこ
とだ。代表者も安倍総理に近く、いわば安倍政権の世論操作部隊
と見られても仕方のないようなメンバーである。さらに、この事
件の最も重大な問題は、読売新聞と産経新聞が、特定の個人を非
難する意見を、その非難される個人に反論の機会を与えないまま
掲載したことだ。(中略)
 政府批判の声を上げると政府に近い人間が集まり、大金を使っ
て批判者をバッシングする。さらに、放送法で停波する権限があ
るという総務省に抗議を行い、テレビ局に圧力をかける。天下の
大新聞がそれをサポートする。このような状況は何を意味するの
か。岸井氏は、翌2016年3月末に、「ニュース23」を降板
させられた。一個人が、良心にしたがって真実を報じ、正論を主
張することは、もはや不可能になってしまったのだろうか。
            ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権によるメディア規制は、2015年に入るとますます
露骨になります。なぜかというと、2014年の衆院選と、20
13年の参院選に圧勝して、安倍政権はメディアコントロールに
自信を深めたからです。
 報道規制を強めた2014年の総選挙では、安倍政権の直接介
入とそれに恐れをなしたテレビ局の忖度によって、劇的な効果を
上げているからです。
 その効果はどれほどのものであったのでしょうか。もちろんマ
スコミは一切報道しませんが、政治学者の逢坂厳氏が、2015
年3月27日に、インターネットニュースサイト「ザ・ページ」
で配信した「『政治とメディア』テレビの選挙報道は史上最低に
〜データが示す2014年総選挙の実態〜」で、次のように分析
しています。
─────────────────────────────
 解散日から投票日までの総報道量は70時間17分。これはこ
の10年間で最も報道量の多かった05年総選挙の5分の1、最
も少なかった03年選挙と比べても半分にしか過ぎない少なさで
ある。(中略)まず、キー局全体では、14年は12年に比して
42%の報道しかされなかった。民放は、ほとんどが40%を下
回っている。特にフジテレビは26%と3分の1以下に報道量を
減らしている。番組のタイプ別では、ワイドショーが17%と極
端に報道量を下げている。どれもひどいがテレビ朝日(11%)
や、フジテレビ(3%!)の数字が目立つ。2012年にはフジ
テレビのワイドショーは、活発な選挙報道を展開し、看板番組の
『とくダネ!』は放送批評懇談会からその選挙報道に対して月間
ギャラクシー賞を授与されるなどしていた。しかし、2014年
の選挙では、選挙特集を組まなかったどころか、選挙に関連する
情報提供をほとんどおこなわず、フジのワイドショーの報道量の
激減に大きく貢献している。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 これを見ると、テレビ局の報道自粛(忖度!)のひどさは目に
余ります。これは政権与党にとってきわめて都合のよい話です。
少し圧力を強めると、あとはテレビ局側が勝手に自粛してくれる
からです。なかでも安倍首相の「お友達テレビ」といわれるフジ
テレビの「3%」は驚きです。そういえば、最近同局の「とくダ
ネ!」は、一切見なくなっています。こんなことをすれば、フジ
の視聴率が低迷するのは当然のことです。
 この2014年の総選挙におけるメディア対策に味をしめた安
倍政権は、2015年からは、もっと露骨に政権を批判するテレ
ビのコメンテーターを一人ずつ番組から外していきます。そのな
かにテレビ朝日の「報道ステーション」でコメンテーターを務め
ていた古賀茂明氏もそのターゲットとされるのです。これは、国
民の知る権利を妨害する政権政党が絶対にやってはいけない策略
です。         ──[メディア規制の実態/014]

≪画像および関連情報≫
 ●国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ!
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   安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国際社会で大き
  な問題になった。国連の人権理事会が2017年11月14
  日、日本の人権状況を審査する作業部会を約5年ぶりに開催
  したのだが、そこで各国から「報道の自由」に対する強い懸
  念の声が続出したのだ。
   本サイトでお伝えしてきたとおり、第二次安倍政権以降、
  官邸はテレビなどのマスコミを常時監視しており、報道に対
  する圧力は日々苛烈を極めている。今年5月には昨年来日調
  査を行った国連人権理の特別報告者のデービッド・ケイ氏が
  報告書(未編集版)を公表し、そのなかで安倍政権による報
  道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していた。
   そして、今回の国連の対日人権審査では、たとえばブラジ
  ルやベラルーシ代表が特定秘密保護法による「報道の自由」
  の侵害に懸念を示し、アメリカ代表などはさらに踏み込んで
  日本の「放送局をめぐる法的規制の枠組み」を問題視。政府
  による電波停止の根拠となっている放送法4条の改正と、独
  立した第三者監督機関の設立を求めたのである。人権理によ
  る最終的な勧告は来年に行われるが、そこに日本の「報道の
  自由」の現状を憂慮する文言が組み込まれる可能性は極めて
  高いと見られる。        http://exci.to/2DDYWhd
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砂川浩慶氏.jpg
砂川 浩慶氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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