2018年01月18日

●「もうひとつの圧力文書が存在する」(EJ第4685号)

 16日付のEJでお知らせした自民党の圧力文書を私は「日刊
ゲンダイ」紙上ではじめて知ったのですが、一番最初に報道した
のは、動画サイト「ニューズ・オプエド」です。「オプ・エド」
とは「opposite editorial/オポジット・エディトリアル」の略
で、ある新聞記事に対して、同じ新聞内で反論や異論を述べる欄
のことです。詳しくは、次のURLをクリックしてください。
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        ◎ニューズ・オプエド
        https://op-ed.jp/about_oped/
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 そもそもこの圧力文書は、古賀茂明氏によると、自民党詰めの
記者クラブ「平河クラブ」にいる各テレビ局のキャップ(各社の
クラブのトップ)に直接手渡されたといいます。
 もちろん、それぞれの記者クラブの記者から、各新聞社の政治
部にも届いているはずですが、どこ社も報道しないのです。「触
らぬ神に祟りなし」のスタンスです。放置すれば、自分たちの首
を絞めることになるのに何もしないとは情けない話です。古賀茂
明氏はこの件について次のようにコメントしています。
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 記者クラブでは、こういうときに阿吽の呼吸でカルテルが成立
する。どの社も記事化に動いていないことを確認しつつ、「君子
危うきに近寄らず」で沈黙していたのだ。選挙が近い時期にこう
した情報を流して、自民党に逆恨みされることを心配したのだろ
う。だから、あえて取材をしたり、確認を取ったりしなかったの
だ。スクープしたニューズオプエドは視聴者がまだ少なく、社会
的な影響力が弱いから、無視してもそのうちこの情報は消える。
そんな思惑があったかもしれない。各社とも、すぐには後追いの
報道をしなかった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
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 実は自民党の圧力文書はもうひとつあります。これは、既報の
圧力文書の差出人の一人である自民党の福井照報道局長が、テレ
ビ朝日の「報道ステーション」のプロデューサーに宛てた手紙で
すが、2014年11月24日報道の「報道ステーション」の内
容について批判したものです。これは、既報の圧力文書の6日後
に出されています。
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           平成26年(2014年)11月24日
                    株式会社テレビ朝日
          「報道ステーション担当プロデューサー殿
              自由民主党/報道部長 福井 照

 冠省 貴社の11月24日付「報道ステーション」放送に次の
とおり要請いたします。

 貴社の11月24日放送の「報道ステーション」において、ア
ベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国
民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイル
を強調して紹介する内容の報道がなされました。
 サラリーマンや中小企業にもアベノミクスが効果を及ぼしてい
ることは、各種データが示しているところです。たとえば、賃上
げ率はこの春2・07%と過去15年で最高となっており、中小
企業においても、3分の2の企業が賃上げを行っております。ま
た、中小企業の景況感も22年ぶりにプラスになっております。
アベノミクスの効果については種々の意見があるところです。意
見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論
点を明らかにしなければならないとされている放送法四条四号の
規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した24日付同番組
の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとはいえま
せん。貴社におかれましては、公平中立な番組作成に取り組んで
いただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます。
                      ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 要は、報道では、アベノミクスの効果が大企業や富裕層にしか
届いていないといっているが、中小企業にも届いていることを各
種データが示しているではないかと反論しているのです。これは
完全な番組内容に対するイチャモンです。テレビの報道に対する
露骨な圧力であり、許し難い脅迫です。
 EJでもテーマとして「アベノミクス」は取り上げましたが、
ある経済政策の効果については、いろいろな分析や見方があり、
どれが正しくて、どれが間違っているかを決めつけることは困難
なものです。それにもかかわらず、自民党がこのような文書を送
り付けた理由は何かということについて、古賀茂明氏は次のよう
にコメントしています。
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 当時は、アベノミクスが一般庶民や中小企業に恩恵を与えてい
ないということが、各種世論調査でもはっきりしていた。ところ
が自民党は、それを伝えられると選挙に不利だから、庶民や中小
企業に恩恵が及んでいる例を探して報道しろという、まったく理
不尽なことを要求してきたのだから驚きである。
 しかし、もっと驚いたのは、放送法の規定をわざわざ引用した
ことだ。「俺たちは政権与党だ。いうことをきかないと、免許剥
奪もあるからな」という最大級の脅しなのだ。幸い、このプロデ
ューサーは、この文章を一笑に付して、まったく相手にしなかっ
たそうだ。もちろんテレビ朝日のなかでは、経営トップにまで、
この文書は報告された。そして、この件は完全に極秘扱いになり
長く伏せられていたのだ。    ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/009]

≪画像および関連情報≫
 ●メディア幹部よ、安倍首相と仲良く飯を食ってる場合か!
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   安倍首相に近い自民党の若手議員が立ち上げ、2015年
  6月25日に開かれた勉強会「文化芸術懇話会」で、日本経
  団連に依頼して広告主を通じてメディアに圧力をかけようと
  の発言があったとされることに対し、野党などから「権力を
  持った者の驕り」などとする批判が出ている。
   朝日新聞記者時代から、メディアの世界で20年以上飯を
  食ってきた筆者にとって、権力を持つ政権与党の政治家がそ
  んなことを言い出すこと、あるいは考えることについて、何
  の驚きもない。権力者だったらそれくらいのことは当然考え
  る。ただ、メディアも取材に来ている、あるいは発言が外に
  漏れる可能性のある半ば公式的な場面で、そういう発言が出
  ること自体に驚いている。どういう意味での驚きかというと
  「メディアもここまで舐められているのか」という驚きであ
  る。その懇話会が開かれた前日の24日、朝日新聞の首相動
  静(25日付朝刊)をみると、安倍首相と記者らメディア関
  係者が銀座の料理店で食事をしている。そのメンバーは次の
  通り。朝日新聞の曽我豪・編集委員、毎日新聞の山田孝男・
  特別編集委員、読売新聞の小田尚・論説主幹、日本経済新聞
  の石川一郎・専務、NHKの島田敏男・解説副委員長、日本
  テレビの粕谷賢之・メディア戦略局長、時事通信の田崎史郎
  ・解説委員。首相と食事をすることは取材の一環なのだろう
  が、メンバーの中には政権中枢の政治家のゴーストライター
  として知られた人物もいる。       ──井上久男氏
                   http://bit.ly/2FH8Lcw
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自民党/福井照議員.jpg
自民党/福井 照議員
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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