2018年01月15日

●「2014年になぜ選挙をしたのか」(EJ第4682号)

 なぜ、安倍一強内閣ができてしまったのでしょうか。結論から
先にいうと、2014年10月の衆院選で自民党が勝利したから
であるということができます。そのとき、安倍政権はいろいろな
仕掛けをしており、それが一定の成果を収めたのです。安倍政権
は、この選挙に勝利してから、大きく変わるのです。例えば、な
り振り構わないメディア規制をはじめるなど、政権維持のためな
ら何でもやるという姿勢になったのです。
 2012年12月の選挙は、自民党にとっては勝って当然の選
挙だったといえます。しかし、2014年10月の選挙は、その
直前まで、ほとんどの人が選挙のあることを予測していなかった
のです。2013年7月には参議院選があったし、それにも自民
党は勝利しています。それに政権奪取から2年しか経過していな
いし、もし選挙をすると、政権奪取後、毎年選挙をしていること
になる──だから、選挙はないと考える人が多かったのです。
 だが安倍首相の本音は、2015年9月の自民党総裁選の無投
票当選です。安倍首相としては追い込まれるのは厭なのです。し
かし、それまでには、集団的自衛権の行使容認のための関連法の
成立や九州電力川内原発をはじめとする原発の再稼働など、不人
気な政策ばかりであり、支持率が下がる恐れがあります。それに
野党は2012年の衆院選と2013の参院選敗北のダメージか
ら立ち直っていない状況です。だから、野党の準備が整わない内
に解散すれば、選挙に勝ていると判断したのです。
 しかし、選挙を行うには、そこに自民党として「解散の大義」
が必要になります。そのため、「消費増税を延期するため」とか
いろいろ議論されたのです。選挙でこれほど「解散の大義」が議
論されたのは初めてのことです。古賀茂明氏は、このときの大義
論について、次のように述べています。
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 まずは「消費税増税延期は三党合意を覆すものだから国民の信
を問うのは当然」と主張。しかし、「三党合意に基づく消費税増
税法の景気条項には、景気回復未達成のときには増税を延期する
と書いてある」と反論されて完敗する。
 次に持ち出した大義は、「税制は民主主義の根幹。増税延期で
国民の信を問うのは当然」というものだった。安倍氏のブレーン
は、「代表なくして課税なし。そんなイロハもわからないのか」
と、税制を変えるなら選挙で国民の代表を選び直す必要があると
語っている。(中略)
 その後、安倍政権の大義論は選挙の争点論にシフトしていく。
そこで主張されたのは「アベノミクスを進めるか止めるのかを問
う」との議論。しかしこれも「アベノミクスの第三の矢を止めて
いるのは安倍総理自身だ」という批判を誘発することになった。
 そして最後に安倍総理の側近が展開したのが、「今回の選挙は
財務官僚・自民党内守旧派族議員連合と改革派・安部総理の闘い
だ」という主張だ。これはある意味、嘘といえない面もあったが
そんな政府・与党内の対立を選挙の大義にしても、誰もピンと来
ない。結局、「大義論」はいつしか話題から消えて、投票日を迎
えることになった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
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 安倍政権が本当に「解散の大義」を問うのであれば、集団的自
衛権行使容認の閣議決定のときにこそやるべきです。なぜなら、
それは実質的な憲法改正であるからです。しかし、そういう肝心
なときは国民の信を問うとはいわないのです。2014年と同じ
ような趣旨で安倍政権は2017年も解散に踏み切っています。
 それでは、安倍政権は2014年の選挙から政権維持のために
一体何をしたのでしょうか。
 それは、露骨なメディア規制です。権力者にとって、メディア
を規制しようとする誘惑は強いものがあります。なぜなら、権力
者は、自らの権力を長く維持しようとするため、自らを批判する
政敵を排除し、言論を封殺しようとします。それは、多くの場合
だんだん露骨になり、暴走するものです。そして、必ず、その権
力者は滅んでいるのです。人類の歴史は、権力者による言論弾圧
の歴史であるという人もいます。
 安倍政権がメディアを規制する前にやったことがあります。そ
れは、最も身近にいる官僚を味方につけることです。それは、官
僚にエサを与えることですが、それを国民に絶対に知られてはな
らないのです。あくまで国民に対しては「官僚と戦っている安倍
政権」というイメージを持たせる必要があります。
 そこで、政権の判断でできて、国民が目につきにくいことをい
くつもやっています。戦っているイメージを演出したのは「財務
省と戦っている」イメージです。これについて、古賀茂明氏は、
次のように述べています。
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 安倍総理は就任早々、公務員改革を封印している。たとえば、
巨大政府系金融機関のトップを民間人から財務・経産両省の次官
級OBの天下りポストに戻してやった。これは「天下りは完全に
フリーにするから政権に協力しろ」という、官僚たちへの密かな
メッセージだと受け取られた。
 そして2014年4月には、東北復興予算の財源として、平均
7・8%削減していた国家公務員給与を元に戻し、10月には月
給平均0・27%、年間ボーナス0・15ヶ月分の引き上げを決
めた。それに続いて15年も16年も、国家公務員給与は引き上
げられている。増税で対立しかねない財務省には好きなだけ国債
を発行させ、彼らが一番喜ぶ公共事業の配分という利権を増やし
た。総選挙における自民党の分厚い公約集には、各省の予算要求
項目がずらりと並ぶ。官僚への配慮が見え見えで、アベノミクス
第三の矢である規制改革の本気度もゼロだということがよく分か
る内容だった。         ──古賀茂明著の前掲書より
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            ──[メディア規制の実態/006]

≪画像および関連情報≫
 ●公務員制度改革を漂流させる「2つの壁」/人羅格氏
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   国家公務員の人事体系をめぐる制度改革論議が再浮上して
  いる。安倍内閣は秋の臨時国会で関連法案を提出する構えだ
  が、民主党政権時を含めた5年にわたる迷走の結果、この問
  題をめぐる与野党の「熱気」は実際はかなり冷めている。政
  治主導の導入というかけ声をよそに過去3度関連法案が廃案
  となり、今や「決まらない政治」の象徴的テーマにすらなり
  つつある。中央官庁のタテ割り打破や能力主義導入など本来
  の目的もかすみかねない。「何のための公務員制度改革か」
  が問われている。
   政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長・安倍晋三首
  相)が2013年6月28日に決定した基本方針は各省の幹
  部人事を一元管理するための「内閣人事局」を14年春に設
  置し、首相が任命する「国家戦略スタッフ」制度を新設する
  ことや女性の積極登用方針などが盛りこまれた。関連法案を
  秋の臨時国会に提出し制度化を図るが、内閣人事局に与えら
  れる具体的な権限や制度設計は示されず、参院選後に結論を
  先送りした。もともと公務員制度改革は官僚の天下りへの批
  判が強まる中、「省あって国なし」とまで言われる中央官庁
  のタテ割り意識や、硬直的な人事体系の是正に向け第1次安
  倍内閣が手がけた。そして福田内閣の08年、自民、民主、
  公明3党が賛成し、国家公務員制度改革基本法が成立した。
                   http://bit.ly/2FCX7PF
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何か不愉快そうな安倍首相.jpg
何か不愉快そうな安倍首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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