2018年01月11日

●「マスコミ封殺を口にする安倍政権」(EJ第4680号)

 自民党の仕掛けた次の2つの衆議院選挙は、通常の選挙とは少
し違う側面があったといえます。
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    1.2012年12月14日/衆議院議員選挙
    2.2014年10月14日/衆議院議員選挙
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 どこが違うのでしょうか。一言でいうと、自民党員にとっては
いわゆる“風”が吹いていたので、たとえ新人でも自民党の名の
もと、比較的有利に選挙戦を戦うことができたのです。それは、
次の3つの背景があったからです。
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 1.民主党政権よりはマシと考える国民は多く、自民党に風
   が吹いていたからである。
 2.株価が上昇し、実感はほとんどないものの、景気の上昇
   が予感できたからである。
 3.野党がバラバラであり、自民党員としては比較的ラクな
   戦いであったことである。
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 2012年12月の選挙では、民主党政治にうんざりしていた
国民の多くは、自民党を選んでいるので、新人でも野党の中堅ク
ラスの候補者に勝利を収めることはできたといえます。この選挙
で自民党は圧勝し、多くの新人議員が当選します。その結果、政
権を奪い返して、第2次安倍政権が誕生したのです。
 それから約2年後の2014年10月の選挙も自民党は、上記
の背景に助けられ、それに10%への消費増税を延期するという
オマケが付いたので、この選挙も自民党にとっては、比較的ラク
な選挙になったのです。そして、2年前の選挙で当選した新人議
員のほとんどが再選を果たすことができています。このようにし
て生まれたのが、後に「魔の2回生」と呼ばれる自民党の新人若
手議員です。
 ちなみに、自民党は、2013年の参院選にも勝利しており、
自民党の議員のなかには、かなりの奢り高ぶりがみられる議員が
多くなってきたのです。とくに経験の浅い2回生の新人議員の思
い上がりはひどく、その後、数々の不祥事を起こすことになりま
す。それが「魔の2回生」と呼ばれるゆえんです。
 2015年6月のことです。安倍シンパの自民党若手・中堅議
員たちによる勉強会「文化芸術懇話会」が、作家百田尚樹氏を講
師に招ねいたその席で、報道圧力、メディア支配などの過激な話
が出て盛り上がったのです。これがマスコミに大きく報道され、
問題になったことを覚えている人も多いと思います。この会合に
集まったのがいわゆる「魔の2回生」です。
 時の幹事長の谷垣禎一氏は、このままでは安保法案審議に影響
を与えることを懸念し、懇話会代表の木原稔党青年局長を更迭し
1年の役職停止処分、問題発言を行った3人を厳重注意処分にし
たのです。これについて、6月28日付の朝日新聞は次のように
報道しています。
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 懇話会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるの
が一番」と発言した大西英男氏(東京16区)、「スポンサーに
ならないことが一番(マスコミに)こたえる」と発言した井上貴
博氏(福岡1区)、「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持って
いくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全
に乗っ取られている」と発言した長尾敬氏(比例近畿ブロック)
の3人を厳重注意にした。谷垣氏は、党総裁の安倍晋三首相と協
議したうえで4人(木原稔氏を含む)の処分を決めたことも明ら
かにした。      ──2015年6月28日付、朝日新聞
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 この大西、井上、長尾の3氏は、いずれも「魔の2回生」であ
り、とくに大西氏については、その後、これ以外にも、数々の失
言や不祥事を起こしているにもかかわらず、これら3人はいずれ
も2017年の衆院選で3選を果しています。つくづく野党の不
甲斐なさを痛感します。
 この「文化芸術懇話会」という名の勉強会は、2015年9月
の自民党総裁選を無投票で乗り切りたい安倍首相が、最側近に命
じて、若手議員のシンパを増やす目的で作られたものです。その
ため、萩生田光一氏や加藤勝信氏が顧問格で入っているのです。
 したがって、政権によるマスコミ支配は、安倍首相の本音とい
うことになります。首相自身がそう考えている証拠です。
 したがって、安倍首相周辺としては、谷垣幹事長(当時)の木
原稔議員への処分には大いに不満だったのです。そのため、党総
裁の無投票当選と安保法案の2つが実現するや、木原稔議員の処
分を解いています。1年のはずの役職停止処分が3ヶ月で解除さ
れたのです。これに関する野党幹部の反応を示しておきます。
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◎民主党枝野幹事長
 真面目にコメントするレベルの話ではない。「笑うしかない」
の一言に尽きる。
◎維新の党今野幹事長
 最初は厳しく処分して、世論が冷めたころに処分を甘くする。
自民党の体質である。
◎社民党又一幹事長
 どさくさに紛れて、処分を軽減するのはめちゃくちゃだ。表現
の自由、報道の自由を軽視する自民党の本質がよく表れている。
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 国政選挙で勝利を重ねるごとに安倍政権はだんだん強気になり
メディア支配を強化しています。しだいにそれはルール化され、
当然のことのように行われています。それを続けると、言論の自
由は封殺され、独裁化が進行します。しかし、メディアは既に政
権の意向を忖度して自主規制をするようになっています。情けな
い限りです。      ──[メディア規制の実態/004]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍政権/恐怖のメディア弾圧に屈するフジとテレ東
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   勉強会翌日の2015年7月26日夜、テレビ各局はメイ
  ンのニュース番組でこの件を報じたが、その内容や温度には
  明らかにばらつきがあった。
   『ニュースウオッチ9』(NHK)では、河野憲治キャス
  ターが「報道の自由、表現の自由は、いうまでもなく民主主
  義の根幹。自民党の若手議員の発言や、とりわけ作家の百田
  尚樹氏による『沖縄の2つの新聞は潰さなければならない』
  という発言は、報道機関に所属する者として決して認められ
  ない」とカメラ目線で主張した。
   また、「メディアの是非は視聴者や読者が決めます。こう
  した発言をする政治家の是非は、選挙で有権者が決めます」
  と述べたのは『NEWS ZERO』 (日本テレビ系)の村
  尾信尚キャスターだ。
   『NEWS 23』 (TBS系)の膳場貴子キャスターは
  「権力による報道規制にほかならないと思うのですが」と、
  コメンテーターに問いかけるかたちだった。
   『報道ステーション』(テレビ朝日系)の古舘伊知郎キャ
  スターは、この問題を伝えた後で「こういう話をしているだ
  けでこの番組もこらしめられるんですかね」と苦笑いした。
  さらに、「政権が気に入る意見とか、お気に召す報道をする
  ことで世の中が豊かになるとは思えない」と締めくくった。
                   http://bit.ly/2qsRDDu
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マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員.jpg
マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする