2018年01月10日

●「なぜ、日曜の政治番組は減ったか」(EJ第4679号)

 1989年4月2日からテレビ朝日と朝日放送の共同制作によ
る「サンデープロジェクト」という番組がスタートしています。
時間は毎週日曜の午前10時〜11時45分まで、そのキャッチ
コピーは「日曜日の朝は、ニッポンを考えよう」。総合司会は、
「朝まで生テレビ」と同じ田原総一朗氏です。
 この番組の企画者は、早河洋氏(現テレビ朝日会長兼CEO)
です。報道畑のディレクター/プロデューサーとして活躍し、久
米宏による「ニュースステーション」、田原総一朗による「朝ま
で生テレビ」を成功させ、そのうえで「サンデープロジェクト」
(サンプロ)を立ち上げたのです。
 当初の視聴率こそNHKの「日曜討論」と同レベルの5%前後
でしたが、その後視聴率は徐々に上昇し、1990年代に入ると
視聴率は「日曜討論」を上回るようになります。NHKはこれに
対抗するため、それまで録画だった放送を生放送に切り替えます
が、サンプロには及ばなかったのです。
 このサンプロの成功に刺激されたフジテレビは、同様の政治番
組「報道2001」を1992年4月からスタートさせます。そ
のため、日曜日の午前中は、報道2001、サンデーモーニング
日曜討論、サンデープロジェクトというように政治討論番組一色
になり、見る方は時間に合わせてチャンネルを変えたものです。
 サンプロは、各党党首、幹事長クラスの発言は頻繁にニュース
に取り上げられるなど、世論に与える影響も多く、「サンプロ現
象」という流行語まで生み出すようになります。
 しかし、現在日曜の午前中は、日曜討論とサンデーモーニング
は残っているものの、報道2001はこれまでの85分から55
分に放送時間が大幅に縮小され、「新報道2001」として細々
と残っているだけです。この手の政治番組の中心だったサンプロ
は2010年3月に突然番組が打ち切られたからです。
 このサンプロの突然の打ち切りの原因については、本当のとこ
ろはわかっていません。当事者である田原総一朗氏が何も語らな
いからです。しかし、当時サンプロのコメンテーターのひとりで
あるインサイダー編集長の高野孟氏は、次のようにブログで書い
ています。
─────────────────────────────
 司会の田原総一朗への好き嫌いはあるだろうが、そういうこと
を超えて、この番組が日曜日午前中のテレビ世界を1個の「文化
空間」とする上で先導的な役割を果たしてきたことの功績は計り
知れない。日曜日の朝に早起きして、フジTV「報道2001」
から始まってちょっとだけTBS関口宏の「サンデー・モーニン
グ」に寄ってからNHK「日曜討論」を経てサンプロを観る(だ
からゴルフは出来るだけ土曜日に)・・・というのは全国的な地
方人士のライフスタイルにまでなっていた。
 そうであれば、その文化空間をどう育むかという観点から、サ
ンプロを止めた後にどんな発展的な企画を提起するかの責任がテ
レビ朝日にはあるはずだが、そんな考慮は何一つないまま、朝日
新聞出身の君和田正夫会長(前社長)の「田原嫌い」ゆえの番組
打ち切り指令に、初のテレビ朝日生え抜き社長の早河洋は、唯々
諾々と従った。
 早川は、伝説的な大プロデューサー=小田久栄門の直下にあっ
て、「ニュースステーション」や「朝まで生テレビ」やサンプロ
を作ってきた張本人で、その意味では田原の歴戦の同志であるが
今回彼が田原に対して語ったことは余りにも情けない、ただのサ
ラリーマン社長としての保身の言葉でしかなかった。「申し訳な
い。サンプロを止めろと言っているのは君和田だ。私は君和田に
引き立てられて社長になった立場上、何も言えない。黙って受け
入れてくれ」。            http://bit.ly/2CsXavH
─────────────────────────────
 高野孟氏によると、サンプロ中止の原因は「朝まで生テレビ」
での拉致被害者問題に関する田原氏の発言に対して家族会などか
ら厳重な抗議があり、田原氏ともに謝罪に追い込まれた当時の君
和田会長の強い意向であるといわれています。しかし、本当のこ
とは誰にもわかっていないのです。
 サンプロで思い出すのは、小沢一郎問題の陸山会事件への対応
です。他のテレビ局(とくにTBS)が「小沢=巨悪」の論陣を
張るなかにあって、サンプロでは、郷原信郎弁護士をコメンテー
ターとして出演させ、東京地検特捜部とは異なる見解を展開させ
徹底的に「小沢無罪」の論陣を張ったことです。
 この事件は、政権を失い、小沢政権が誕生することを恐れる自
民党の意向を受けて、東京地検特捜部が無理筋を承知で、虚偽捜
査報告書まで作って小沢一郎氏を有罪にしようとした事件です。
メディアは検察に全面協力しましたが、サンプロは終始それとは
反対の論陣を張っていたと思います。その結果、結局小沢氏は無
罪を勝ち取ったものの、肝心の政権交替した民主党では、ほとん
ど何もすることができなかったのです。結果としてこれは自民党
にとって利すること大であったといえます。
 しかし、結果は検察にとっては屈辱そのものであり、そのため
サンプロを潰したのは検察ではないかとまでいわれているほどで
す。ところが小沢一郎氏に対して有罪の論陣を張って完敗したマ
スコミは、小沢氏の名誉回復を図るどころか、その後、現在でも
マスコミは徹頭徹尾小沢氏を無視し、自民党を助けています。そ
の頃から自民党はメディアの取り込みを図るようになります。
 サンプロの後番組は、小宮悦子氏をキャスターとした報道番組
「サンデー・フロントライン」になったのです。田原総一朗氏に
ついては「朝まで生テレビ」とともに、BS朝日での1時間枠の
「激論!クロスファイア」を新設し、司会として現在も出演して
います。
 また、テレビ朝日は、2004年4月から「ニュースステーシ
ョン」に代わって「報道ステーション」をスタートさせています
が、これも早河編成制作部長(当時常務)が実現させたものなの
です。         ──[メディア規制の実態/003]

≪画像および関連情報≫
 ●サンプロ特集「言論は大丈夫か」は予定通り放映されるか
  ───────────────────────────
   権力を監視する機能を失った現在のテレビにおいて、20
  06年3月26日放送の「サンデープロジェクト」(テレビ
  朝日)は異彩を放っていた。東京立川で自衛隊のイラク派遣
  反対ビラを撒いた市民団体メンバーの逮捕などを取り上げ、
  公安警察の暴走を批判的に報じた。第2弾以降の共謀罪問題
  などが予定通り放映されるのかが懸念されている。
   後半の特集コーナーで放映された「ビラ配り逮捕で75日
  拘置」は、「言論は大丈夫か」というシリーズの第一弾。公
  安警察が対象者を尾行しビデオ撮影した映像なども流されて
  反響をよんだ。今後は、容疑者を匿名発表する権限を警察に
  与える問題や、共謀罪をテーマにする、と番組内でも公表し
  ている。3月26日の番組終了後、この企画を担当したジャ
  ーナリスの大谷昭宏氏の事務所には、嫌がらせ電話などが殺
  到した。
   3月28日、東京都文京区の文京区民センターで行なわれ
  た共謀罪反対の集会に出席した大谷氏は、シリーズ「言論は
  大丈夫か」について話した。それによれば、第一弾だけでは
  終わらず、最大のポイントは、現代の治安維持法ともいわれ
  る共謀罪の問題点を番組で取り上げることにあるという。パ
  ネラーとして同集会に出席したジャーナリストの寺澤有氏を
  はじめ、参加者らは、「予定通り番組内で放映されるのか」
  「放映されたとしてもトーンダウンされる恐れはないのか」
  との懸念を表明した。       http://bit.ly/2lWhRJ7
  ───────────────────────────

田原総一朗氏.jpg
田原 総一朗氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
RDF Site Summary