2018年01月05日

●「自民党には『3つの大罪』がある」(EJ第4677号)

2018年最初のEJです。今年もよろしくお願いします。
 安倍政権が誕生したのは2012年12月26日のことです。
民主党前政権の国政運営失敗への国民の怒りを背に受けて、今年
で丸5年になりますが、その間、次の5回の選挙でことごとく勝
利し、磐石の政権運営を続けています。
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    1.2012年12月14日/衆議院議員選挙
    2.2013年 7月21日/参議院議員選挙
    3.2014年10月14日/衆議院議員選挙
    4.2016年 7月10日/参議院議員選挙
    5.2017年10月14日/衆議院議員選挙
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 国政ではありませんが、安倍政権が唯一負けた選挙は2017
年7月の都議会議員選挙だけです。このように5回の国政選挙で
勝利した結果、依然として50%前後の高い支持率を保ち「一強
多弱」の政権が続いています。
 しかし、いわゆる「モリカケ疑惑」への内閣の誠意なき対応に
反発し、2017年4月〜8月には不支持が支持を上回る時期が
ありましたが、野党の信じられない不手際もあり、またしても安
倍政権の復活を許しています。それは、この政権の仕掛けも効い
ており、支持率が50%に戻ろうとしています。
 安倍政権の功罪はいろいろありますが、最も許せないことがあ
ります。それがこの政権の巧妙なる「メディア規制」です。今年
のEJは、このテーマからはじめます。
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    安倍政権の巧妙なるメディア支配の実態を探る
     ─ 安倍政権の驚くべき仕掛けとは何か ─
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 安倍晋三首相が他の首相と違うのは、2回目の首相であるとい
うことです。2006年9月〜2007年8月まで第1次安倍政
権を運営しています。そのとき、「消えた年金問題」が起こり、
国民から強い怒りを買います。この問題は連日国会で取り上げら
れ、メディアでも大きく報道され、第1次安倍政権は、完膚なき
ままに叩かれたのです。安倍首相には、そのときのトラウマが強
く残っています。そのとき、安倍氏は「メディアだけは何とかし
ないといけない」と考えたはずです。
 この安倍政権のメディア規制を取り上げて書いている著者は何
人かいますが、核心に迫っているものは少ないです。しかし、そ
のなかにあって、本音のところをあますところなく、400ペー
ジにわたって、痛烈に暴いている本があります。今回のテーマは
この本を中心として書いていくので、最初にご紹介しておくこと
にします。
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                古賀茂明著
       『日本中枢の狂謀』/講談社刊
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 安倍政権に限らず、そもそも自民党政権には「3つの大罪」が
あるといいます。自民党議員のベテラン議員で、この大罪につい
てはっきりと口にする議員は皆無ですが、自民党の若手のホープ
の小泉進次郎議員はそれを明言しています。これについて、古賀
茂明氏は、小泉議員の名前を「若手自民党政治家K」と伏せては
いるものの、次のように述べています。
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 日本が抱える大きな問題は、よく考えれば当然だが、ほとんど
自民党政治の結果である。つまり、政治的責任はすべて自民党に
あるといっても過言ではない。このことを考えるとき、私が思い
出すのは、いま自民党でもっとも人気のある若手政治家K氏の言
葉だ。ある会議で私の講演を聞いたK氏は、自民党の失敗につい
て、「3つの大罪」という言葉で要約した。第1は、900兆円
超(当時)の借金大国にしたこと。第2は、少子高齢化を放置し
て社会保障の基盤を危うくしたこと。第3は、原発の安全神話を
作り福島の事故を招いたことである。K氏はさらに、自民党が過
去の過ちを反省せずに政権に返り咲いたら、同じ過ちを繰り返す
のではないかと心配だと述べた。私にはそのときの記憶が鮮明に
残っている。                ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 安倍首相がよくいう言葉に「われわれが野党だったとき、これ
までの政治を反省して・・・」というのがあります。ところが、
安倍政権が政権に復帰したとき、3つの大罪のどれも無視して政
権運営に当たっています。何も反省していない証拠です。
 安倍首相は、何かにつけて民主党政権の失敗を口にしますが、
日本の現状に一番責任があるのは自民党政権です。計画なき財政
運営に終始し、少子高齢化にも有効な対策を施さず、原発再稼働
は積極的に進める──少なくとも、安倍政権は自民党の3つの大
罪など、カケラらも認めていないのです。
 その安倍政権のなかにあって、日本の現状には少なくとも責任
のない若手の小泉進次郎議員は、自民党の大罪を明確に認め、反
省の弁を口にしていることは立派であり、大したものです。しか
し、その力量については及び腰なところがあります。それでも将
来大いに期待のできる人材であることは確かです。
 メディアを規制する──独裁者が必ずやることです。自分を批
判する人の意見を封殺し、批判を抑え込むのです。そうすれば、
批判は表面上は出ないようになりますが、表面に出ない批判はマ
グマのように鬱積し、渦を巻きます。例えば、モリカケ問題の中
途半端な終り方には多くの国民が不満を持っています。本来そう
いうことを糾弾する責任はメディアにありますが、そのメディア
が完全に安倍政権に抑え込まれ、それが、だんだんひどくなって
います。こんなことは本来あってはならないことですが、それが
常態化しています。   ──[メディア規制の実態/001]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍政権の圧力とテレビ局の忖度/池上彰氏の指摘
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   今回の参院選(2016年)に際して、自民党は弁護士を
  引き連れて放送局に乗り込み、公職選挙法違反の政党CMを
  流せと圧力をかけた。安倍政権において、こうしたメディア
  圧力はもはや日常茶飯事になっている。そして、テレビ局は
  完全に飼いならされ、圧力をかけられる前に自ら政権の意向
  を忖度し、過剰な自主規制を行っている。
   ところが、これまで本サイトが何度も具体的に報じてきた
  ように、テレビメディアにかかわる当事者たちからは、なか
  なか具体的な話が出てこない。安倍政権に追い詰められて、
  キャスター辞任に追い込まれたテレビ朝日『報道ステーショ
  ン』の古舘伊知郎氏にしても、TBS『NEW23』の岸井
  成格氏にしても、最後まで「政治的な圧力はなかった」「特
  定の圧力を感じたことはない」という姿勢を崩さなかった。
  結局、これからもテレビの世界で生きていくことを考えると
  本当のことは言えない、ということなのだろう。
   しかし、そんななか、いまも現役で数々のテレビ番組に出
  演中の有名ジャーナリストが、この圧力問題についてかなり
  踏み込んだ証言をした。そのジャーナリストとは池上彰氏。
  池上氏は、緊急復刊された「朝日ジャーナル」(朝日新聞出
  版)における元共同通信社編集主幹の原寿雄氏との対談で、
  テレビ局の自主規制、さらに政権からの圧力の詳細を具体的
  に語っているのだ。池上氏はまず「『報道の自由度』と言い
  ますが、国が報道の自由を制限しているか、それとも報道機
  関の側が勝手に自主規制したり、忖度したりして、自ら自由
  を狭めているのか。日本では後者が多いような気がします」
  と指摘した上で、古巣のNHKの体たらくを嘆く。
                   http://bit.ly/29Q5s37
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古賀茂明氏.jpg
古賀 茂明氏
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2018年01月09日

●「安倍政権がメディアにかけた規制」(EJ第4678号)

 安倍政権はメディアに対して何をしたのでしょうか。この政権
によるメディア規制をまとめると、次の3つになります。
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 1.政権を批判するジャーナリスト、政治評論家、テレビコ
   メンテーターなどをテレビに出さないようにする。
 2.テレビから、政治番組、とくに視聴率の高い土日祝日に
   政治テーマを取り上げる番組を大幅に縮小させる。
 3.よく読まれている週刊誌、夕刊紙などの諸雑誌から、政
   治記事をメイン記事から外し、拡散を防止させる。
─────────────────────────────
 こうしたメディア規制は、必ずしも安倍政権の専売特許ではな
く、自民党の勢いが明らかに落ちた時期から、自民党政権が苦し
まぎれに始めたものであるということです。
 いま考えるとその時期は、第1次安倍政権(2006年9月〜
2007年9月)の頃からなのです。第1次安倍政権は1年で挫
折し、その後の自民党は、福田政権、麻生政権とその勢いは衰え
ていき、2009年に民主党に政権を奪われるのです。
 第1次安倍政権の発足当時の支持率は70%を超えるすこぶる
高いものだったのです。その高支持率を一挙に下げたのは、安倍
首相が、郵政国会において、郵政民営化法案に反対して党を除名
された議員の復党を許したことです。
 さらに、閣僚の不祥事・失言が相次ぎ、2006年に佐田玄一
郎国・地方行政改革担当大臣の事務所費問題を皮切りに、農林水
産大臣(松岡利勝、赤城徳彦)の事務所費問題、久間防衛大臣の
「原爆投下はしょうがない」発言などにより、閣僚計4人が次々
に交代するなどして、支持率は24%まで下落したのです。
 当時メディアは、政治をテーマに取り上げて討論する番組が多
く、第1次安倍政権の不祥事がそういう番組で連日取り上げられ
たことが安倍政権にとって大きなダメージとなったことは確かで
す。そのときのトラウマが、第2次安倍内閣において「メディア
は何とかしないといけない」と安倍首相に考えさせたとしても不
思議はないのです。
 安倍政権が誕生して5年間になります。その結果、何が起こっ
たでしょうか。まず、いえることは、休日のテレビが非常につま
らなくなったことです。お笑い芸人たちによる長時間のお笑い番
組、各種クイズ番組など、はっきりいって大量の時間を使ってや
るほどの番組ではなく、愚民化番組です。
 思い出して欲しいのは、以前の土曜、日曜の休日は、もっと政
治番組が多かったはずです。最も国民がテレビを見る機会の多い
休日だからこそ、国民全体が関心を持つべき政治のテーマについ
て、考えるべきなのです。
 漫画家の小林よしのり氏は、沖縄での「朝まで生テレビ」の出
演をきついので断ったとの話のなかで、政治番組の司会者の中心
であった田原総一朗氏の政治番組について、ブログで次のように
述べています。
─────────────────────────────
 田原総一朗氏がよくあの歳で、あんな不自然な生活(「朝まで
生テレビ」のこと)が続けられるものだ。田原氏は日曜の朝の政
治報道番組を持つべきなのだ。昔は、日曜の朝から政治家を呼ん
で、ガンガン討論していたから、国民への政治への関心もなんと
か維持できていた。
 最近はテレ朝が「報道ステーション・サンデー」すら消滅させ
TBSの関口宏の番組(「サンデーモーニング」)と、NHKの
物静かな討論番組しかなくなってしまった。
 今の日曜朝は酷い!
 どのチャンネルもバラエティ番組ばっかりで、世の中、深刻な
ことは何もないように、ヘラヘラ、ギャーギャー騒いでいる。あ
れを見ていると、さっさと北朝鮮あたりがテレビ局にミサイルぶ
ち込んでくれんかなと思ってしまう。
 昔、田原総一郎がやっていたような、政治家を呼んでガンガン
討論させる番組が、日曜朝にないと、国民の政治への関心が消滅
してしまう。今のテレビの政治報道番組の熱気のなさは、ジャー
ナリズムの退廃であり、民主主義の危機だと思う。テレビ局は、
もっと政治と国民を繋ぐ使命感を持ってほしい!
         ──小林よしのり氏 http://bit.ly/2E1Kw72
─────────────────────────────
 小林よしのり氏は、あえて言及していませんが、これは自民党
によるメディア規制の結果であり、そのことについて暗に批判し
ています。このテーマでこれから明らかにする安倍政権による露
骨なメディア規制がもたらしたものです。この国ほど、テレビで
政治が議論されない国はないと思います。
 テレビでの政治討論といえば、NHKの「日曜討論」が一番古
いはずです。1957年10月からスタートし、現在も続いてい
ます。しかし、主催がNHKであり、内容がいまひとつピリッと
しません。小林よしのり氏がいうように「物静かな討論番組」に
なってしまっています。少なくとも本音がガンガン語られる番組
ではないのです。
 1987年に現在も続いている政治番組が誕生しています。そ
れは次の2つです。
─────────────────────────────
      ◎「朝まで生テレビ」
       1987年 4月/ テレビ朝日
      ◎「サンデーモーニング」
       1987年10月/TBSテレビ
─────────────────────────────
 1987年といえば、竹下政権の時代です。その後、宇野政権
海部政権、宮沢政権と続き、いろいろな政治スキャンダルも生ま
れた時代です。1988年には「リクルート事件」が起こってい
ます。テレビで取り上げるには格好な政治的テーマが数多くあっ
たのです。       ──[メディア規制の実態/002]

≪画像および関連情報≫
 ●「対案出せ」にしどろもどろの青木理/1日の政治討論番組
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   作家の室井佑月が1日の討論番組『いま、日本を考える/
  2018』(BSテレビ朝日)で、「頭おかしい」とヒステ
  リックに司会者に噛み付く様子が放送され、SNS上で話題
  となっている。
   同番組はBSテレビ朝日が放送する新春恒例の討論番組で
  田原総一朗がパネラーで登場するほか、井上達夫(東京大学
  大学院教授)や三浦瑠麗(国際政治学者)ら、保守・リベラ
  ル両陣営の論客らが参加する、裏『朝生』というべき番組。
  司会が田原ではなく、”テレ朝唯一の常識人”と評判の小松
  靖アナが、思想の左右にとらわれず是々非々で討論を仕切る
  という点で、放送前から「期待できる」という声が飛び交っ
  ていた。
   「青木さんは番組冒頭で安倍政権は戦後最低最悪』と切っ
  て捨てて批判したのですが、これに対し小松アナが中盤に田
  原の制止を無視して、『ボクは青木さんに聞きたい。そこま
  で安倍政権を戦後最悪だと言うなら対案を出すべきでは?』
  と正論をぶつけた。そこで青木さんは『ボクはジャーナリス
  トだから対案を出す立場にない』と即答して議論を避けたん
  ですが、小松アナはさらに畳み掛けて、『そこまで言うなら
  対案がないと説得力がない』。『その話をするとワタシは社
  会部だとかおっしゃるんですが、そんなの関係ない』と青木
  さんを追い込んでしまった。すると、いつもは切れ味鋭い青
  木さんが小松アナとは目を合わせず、『あの、いや・・』と
  しどろもどろになってしまいました」(週刊誌記者)
                   http://bit.ly/2CQz9iM
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小林よしのり氏.jpg
小林 よしのり氏
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2018年01月10日

●「なぜ、日曜の政治番組は減ったか」(EJ第4679号)

 1989年4月2日からテレビ朝日と朝日放送の共同制作によ
る「サンデープロジェクト」という番組がスタートしています。
時間は毎週日曜の午前10時〜11時45分まで、そのキャッチ
コピーは「日曜日の朝は、ニッポンを考えよう」。総合司会は、
「朝まで生テレビ」と同じ田原総一朗氏です。
 この番組の企画者は、早河洋氏(現テレビ朝日会長兼CEO)
です。報道畑のディレクター/プロデューサーとして活躍し、久
米宏による「ニュースステーション」、田原総一朗による「朝ま
で生テレビ」を成功させ、そのうえで「サンデープロジェクト」
(サンプロ)を立ち上げたのです。
 当初の視聴率こそNHKの「日曜討論」と同レベルの5%前後
でしたが、その後視聴率は徐々に上昇し、1990年代に入ると
視聴率は「日曜討論」を上回るようになります。NHKはこれに
対抗するため、それまで録画だった放送を生放送に切り替えます
が、サンプロには及ばなかったのです。
 このサンプロの成功に刺激されたフジテレビは、同様の政治番
組「報道2001」を1992年4月からスタートさせます。そ
のため、日曜日の午前中は、報道2001、サンデーモーニング
日曜討論、サンデープロジェクトというように政治討論番組一色
になり、見る方は時間に合わせてチャンネルを変えたものです。
 サンプロは、各党党首、幹事長クラスの発言は頻繁にニュース
に取り上げられるなど、世論に与える影響も多く、「サンプロ現
象」という流行語まで生み出すようになります。
 しかし、現在日曜の午前中は、日曜討論とサンデーモーニング
は残っているものの、報道2001はこれまでの85分から55
分に放送時間が大幅に縮小され、「新報道2001」として細々
と残っているだけです。この手の政治番組の中心だったサンプロ
は2010年3月に突然番組が打ち切られたからです。
 このサンプロの突然の打ち切りの原因については、本当のとこ
ろはわかっていません。当事者である田原総一朗氏が何も語らな
いからです。しかし、当時サンプロのコメンテーターのひとりで
あるインサイダー編集長の高野孟氏は、次のようにブログで書い
ています。
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 司会の田原総一朗への好き嫌いはあるだろうが、そういうこと
を超えて、この番組が日曜日午前中のテレビ世界を1個の「文化
空間」とする上で先導的な役割を果たしてきたことの功績は計り
知れない。日曜日の朝に早起きして、フジTV「報道2001」
から始まってちょっとだけTBS関口宏の「サンデー・モーニン
グ」に寄ってからNHK「日曜討論」を経てサンプロを観る(だ
からゴルフは出来るだけ土曜日に)・・・というのは全国的な地
方人士のライフスタイルにまでなっていた。
 そうであれば、その文化空間をどう育むかという観点から、サ
ンプロを止めた後にどんな発展的な企画を提起するかの責任がテ
レビ朝日にはあるはずだが、そんな考慮は何一つないまま、朝日
新聞出身の君和田正夫会長(前社長)の「田原嫌い」ゆえの番組
打ち切り指令に、初のテレビ朝日生え抜き社長の早河洋は、唯々
諾々と従った。
 早川は、伝説的な大プロデューサー=小田久栄門の直下にあっ
て、「ニュースステーション」や「朝まで生テレビ」やサンプロ
を作ってきた張本人で、その意味では田原の歴戦の同志であるが
今回彼が田原に対して語ったことは余りにも情けない、ただのサ
ラリーマン社長としての保身の言葉でしかなかった。「申し訳な
い。サンプロを止めろと言っているのは君和田だ。私は君和田に
引き立てられて社長になった立場上、何も言えない。黙って受け
入れてくれ」。            http://bit.ly/2CsXavH
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 高野孟氏によると、サンプロ中止の原因は「朝まで生テレビ」
での拉致被害者問題に関する田原氏の発言に対して家族会などか
ら厳重な抗議があり、田原氏ともに謝罪に追い込まれた当時の君
和田会長の強い意向であるといわれています。しかし、本当のこ
とは誰にもわかっていないのです。
 サンプロで思い出すのは、小沢一郎問題の陸山会事件への対応
です。他のテレビ局(とくにTBS)が「小沢=巨悪」の論陣を
張るなかにあって、サンプロでは、郷原信郎弁護士をコメンテー
ターとして出演させ、東京地検特捜部とは異なる見解を展開させ
徹底的に「小沢無罪」の論陣を張ったことです。
 この事件は、政権を失い、小沢政権が誕生することを恐れる自
民党の意向を受けて、東京地検特捜部が無理筋を承知で、虚偽捜
査報告書まで作って小沢一郎氏を有罪にしようとした事件です。
メディアは検察に全面協力しましたが、サンプロは終始それとは
反対の論陣を張っていたと思います。その結果、結局小沢氏は無
罪を勝ち取ったものの、肝心の政権交替した民主党では、ほとん
ど何もすることができなかったのです。結果としてこれは自民党
にとって利すること大であったといえます。
 しかし、結果は検察にとっては屈辱そのものであり、そのため
サンプロを潰したのは検察ではないかとまでいわれているほどで
す。ところが小沢一郎氏に対して有罪の論陣を張って完敗したマ
スコミは、小沢氏の名誉回復を図るどころか、その後、現在でも
マスコミは徹頭徹尾小沢氏を無視し、自民党を助けています。そ
の頃から自民党はメディアの取り込みを図るようになります。
 サンプロの後番組は、小宮悦子氏をキャスターとした報道番組
「サンデー・フロントライン」になったのです。田原総一朗氏に
ついては「朝まで生テレビ」とともに、BS朝日での1時間枠の
「激論!クロスファイア」を新設し、司会として現在も出演して
います。
 また、テレビ朝日は、2004年4月から「ニュースステーシ
ョン」に代わって「報道ステーション」をスタートさせています
が、これも早河編成制作部長(当時常務)が実現させたものなの
です。         ──[メディア規制の実態/003]

≪画像および関連情報≫
 ●サンプロ特集「言論は大丈夫か」は予定通り放映されるか
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   権力を監視する機能を失った現在のテレビにおいて、20
  06年3月26日放送の「サンデープロジェクト」(テレビ
  朝日)は異彩を放っていた。東京立川で自衛隊のイラク派遣
  反対ビラを撒いた市民団体メンバーの逮捕などを取り上げ、
  公安警察の暴走を批判的に報じた。第2弾以降の共謀罪問題
  などが予定通り放映されるのかが懸念されている。
   後半の特集コーナーで放映された「ビラ配り逮捕で75日
  拘置」は、「言論は大丈夫か」というシリーズの第一弾。公
  安警察が対象者を尾行しビデオ撮影した映像なども流されて
  反響をよんだ。今後は、容疑者を匿名発表する権限を警察に
  与える問題や、共謀罪をテーマにする、と番組内でも公表し
  ている。3月26日の番組終了後、この企画を担当したジャ
  ーナリスの大谷昭宏氏の事務所には、嫌がらせ電話などが殺
  到した。
   3月28日、東京都文京区の文京区民センターで行なわれ
  た共謀罪反対の集会に出席した大谷氏は、シリーズ「言論は
  大丈夫か」について話した。それによれば、第一弾だけでは
  終わらず、最大のポイントは、現代の治安維持法ともいわれ
  る共謀罪の問題点を番組で取り上げることにあるという。パ
  ネラーとして同集会に出席したジャーナリストの寺澤有氏を
  はじめ、参加者らは、「予定通り番組内で放映されるのか」
  「放映されたとしてもトーンダウンされる恐れはないのか」
  との懸念を表明した。       http://bit.ly/2lWhRJ7
  ───────────────────────────

田原総一朗氏.jpg
田原 総一朗氏
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2018年01月11日

●「マスコミ封殺を口にする安倍政権」(EJ第4680号)

 自民党の仕掛けた次の2つの衆議院選挙は、通常の選挙とは少
し違う側面があったといえます。
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    1.2012年12月14日/衆議院議員選挙
    2.2014年10月14日/衆議院議員選挙
─────────────────────────────
 どこが違うのでしょうか。一言でいうと、自民党員にとっては
いわゆる“風”が吹いていたので、たとえ新人でも自民党の名の
もと、比較的有利に選挙戦を戦うことができたのです。それは、
次の3つの背景があったからです。
─────────────────────────────
 1.民主党政権よりはマシと考える国民は多く、自民党に風
   が吹いていたからである。
 2.株価が上昇し、実感はほとんどないものの、景気の上昇
   が予感できたからである。
 3.野党がバラバラであり、自民党員としては比較的ラクな
   戦いであったことである。
─────────────────────────────
 2012年12月の選挙では、民主党政治にうんざりしていた
国民の多くは、自民党を選んでいるので、新人でも野党の中堅ク
ラスの候補者に勝利を収めることはできたといえます。この選挙
で自民党は圧勝し、多くの新人議員が当選します。その結果、政
権を奪い返して、第2次安倍政権が誕生したのです。
 それから約2年後の2014年10月の選挙も自民党は、上記
の背景に助けられ、それに10%への消費増税を延期するという
オマケが付いたので、この選挙も自民党にとっては、比較的ラク
な選挙になったのです。そして、2年前の選挙で当選した新人議
員のほとんどが再選を果たすことができています。このようにし
て生まれたのが、後に「魔の2回生」と呼ばれる自民党の新人若
手議員です。
 ちなみに、自民党は、2013年の参院選にも勝利しており、
自民党の議員のなかには、かなりの奢り高ぶりがみられる議員が
多くなってきたのです。とくに経験の浅い2回生の新人議員の思
い上がりはひどく、その後、数々の不祥事を起こすことになりま
す。それが「魔の2回生」と呼ばれるゆえんです。
 2015年6月のことです。安倍シンパの自民党若手・中堅議
員たちによる勉強会「文化芸術懇話会」が、作家百田尚樹氏を講
師に招ねいたその席で、報道圧力、メディア支配などの過激な話
が出て盛り上がったのです。これがマスコミに大きく報道され、
問題になったことを覚えている人も多いと思います。この会合に
集まったのがいわゆる「魔の2回生」です。
 時の幹事長の谷垣禎一氏は、このままでは安保法案審議に影響
を与えることを懸念し、懇話会代表の木原稔党青年局長を更迭し
1年の役職停止処分、問題発言を行った3人を厳重注意処分にし
たのです。これについて、6月28日付の朝日新聞は次のように
報道しています。
─────────────────────────────
 懇話会で「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるの
が一番」と発言した大西英男氏(東京16区)、「スポンサーに
ならないことが一番(マスコミに)こたえる」と発言した井上貴
博氏(福岡1区)、「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持って
いくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全
に乗っ取られている」と発言した長尾敬氏(比例近畿ブロック)
の3人を厳重注意にした。谷垣氏は、党総裁の安倍晋三首相と協
議したうえで4人(木原稔氏を含む)の処分を決めたことも明ら
かにした。      ──2015年6月28日付、朝日新聞
─────────────────────────────
 この大西、井上、長尾の3氏は、いずれも「魔の2回生」であ
り、とくに大西氏については、その後、これ以外にも、数々の失
言や不祥事を起こしているにもかかわらず、これら3人はいずれ
も2017年の衆院選で3選を果しています。つくづく野党の不
甲斐なさを痛感します。
 この「文化芸術懇話会」という名の勉強会は、2015年9月
の自民党総裁選を無投票で乗り切りたい安倍首相が、最側近に命
じて、若手議員のシンパを増やす目的で作られたものです。その
ため、萩生田光一氏や加藤勝信氏が顧問格で入っているのです。
 したがって、政権によるマスコミ支配は、安倍首相の本音とい
うことになります。首相自身がそう考えている証拠です。
 したがって、安倍首相周辺としては、谷垣幹事長(当時)の木
原稔議員への処分には大いに不満だったのです。そのため、党総
裁の無投票当選と安保法案の2つが実現するや、木原稔議員の処
分を解いています。1年のはずの役職停止処分が3ヶ月で解除さ
れたのです。これに関する野党幹部の反応を示しておきます。
─────────────────────────────
◎民主党枝野幹事長
 真面目にコメントするレベルの話ではない。「笑うしかない」
の一言に尽きる。
◎維新の党今野幹事長
 最初は厳しく処分して、世論が冷めたころに処分を甘くする。
自民党の体質である。
◎社民党又一幹事長
 どさくさに紛れて、処分を軽減するのはめちゃくちゃだ。表現
の自由、報道の自由を軽視する自民党の本質がよく表れている。
─────────────────────────────
 国政選挙で勝利を重ねるごとに安倍政権はだんだん強気になり
メディア支配を強化しています。しだいにそれはルール化され、
当然のことのように行われています。それを続けると、言論の自
由は封殺され、独裁化が進行します。しかし、メディアは既に政
権の意向を忖度して自主規制をするようになっています。情けな
い限りです。      ──[メディア規制の実態/004]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍政権/恐怖のメディア弾圧に屈するフジとテレ東
  ───────────────────────────
   勉強会翌日の2015年7月26日夜、テレビ各局はメイ
  ンのニュース番組でこの件を報じたが、その内容や温度には
  明らかにばらつきがあった。
   『ニュースウオッチ9』(NHK)では、河野憲治キャス
  ターが「報道の自由、表現の自由は、いうまでもなく民主主
  義の根幹。自民党の若手議員の発言や、とりわけ作家の百田
  尚樹氏による『沖縄の2つの新聞は潰さなければならない』
  という発言は、報道機関に所属する者として決して認められ
  ない」とカメラ目線で主張した。
   また、「メディアの是非は視聴者や読者が決めます。こう
  した発言をする政治家の是非は、選挙で有権者が決めます」
  と述べたのは『NEWS ZERO』 (日本テレビ系)の村
  尾信尚キャスターだ。
   『NEWS 23』 (TBS系)の膳場貴子キャスターは
  「権力による報道規制にほかならないと思うのですが」と、
  コメンテーターに問いかけるかたちだった。
   『報道ステーション』(テレビ朝日系)の古舘伊知郎キャ
  スターは、この問題を伝えた後で「こういう話をしているだ
  けでこの番組もこらしめられるんですかね」と苦笑いした。
  さらに、「政権が気に入る意見とか、お気に召す報道をする
  ことで世の中が豊かになるとは思えない」と締めくくった。
                   http://bit.ly/2qsRDDu
  ───────────────────────────

マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員.jpg
マスコミ支配の発言をする自民党木原稔議員
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2018年01月12日

●「週刊ポストの編集方針変更の理由」(EJ第4681号)

 「週刊ポスト」という雑誌があります。1969年8月に小学
館によって創刊され、現在も続いています。30代〜40代の男
性サラリーマンがメインの読者層です。小学館の雑誌には、この
ほかに「女性セブン」と「SAPIO」があります。
 「週刊ポスト」は、基本的にはゴシップ暴露誌ですが、政治的
批判記事をトップ記事にして取り上げる特色があります。その基
本的姿勢は保守的、反中、反韓で、政治不正は許さじの記事が多
く、大きな事件は連載して追及するなど、なかなか読み応えがあ
るので、私は内容にかかわらず、「週刊現代」と一緒に毎週必ず
買うことにしていたのです。
 ところが、2015年頃から、突然政治記事が紙面からほぼ完
全に消滅し、読者層を老年層に切り替えたのか、医療、介護、医
薬などの記事がメインになったのです。2017年にあれほど盛
り上がった「森友/加計問題」ですら、本来であれば「週刊ポス
ト」が好んで取り上げるテーマであるのに、一行たりとも報道し
なかったのです。一体何があったのでしょうか。
 2015年4月のことです。「週刊ポスト」は、時の高市早苗
総務相の大臣秘書官を務める実弟がかかわったとされる「高市後
援会企業の不透明融資」問題をトップ記事に取り上げ、報道した
のです。続いて5月には、東京地検特捜部が捜査を開始した日本
歯科医師連盟(日歯連)から菅官房長官が代表を務める自民党神
奈川県連に3000万円が迂回献金されていた事実をスッパ抜い
ています。自民党への連続攻撃です。
 このときの「週刊ポスト」の編集長は三井直也氏という人物で
あり、反安倍政権の姿勢を明確にし、毎号のように安倍政権の不
正疑惑を記事として取り上げたのです。いかにも「週刊ポスト」
らしい記事といえます。このとき「週刊ポスト」の発行人は、森
万紀子氏という人物です。森氏は、同じ小学館の「女性セブン」
の編集長でもあります。
 三井直也編集長による高市早苗総務相の実弟の関わる記事は、
事実を基にして慎重に書かれており、その実弟が否定している日
本政策金融公庫の不正融資に関与した疑いについては、いっさい
書いていないのです。
 ところが、高市総務相の実弟は、「週刊ポスト」に対して、名
誉棄損訴訟を起こしてきたのです。それも三井編集長だけでなく
発行人の森万紀子氏、担当編集者、ライターにいたるまで、その
記事に関わった全員を被告とするという厳しい訴訟であり、警視
庁への刑事告訴まで行っています。
 こういう訴訟は「恫喝訴訟」、すなわち「スラップ訴訟」とい
い、お金もかかるので、滅多にやらない徹底抗戦的な訴訟なので
す。以下は、スラップ訴訟の定義です。
─────────────────────────────
 スラップ訴訟とは、ある程度の発言力や社会的影響力のある、
社会的に優位といえる立場の者が、特に発言力や影響力を持たな
い相対的弱者を相手取り訴訟を起こすこと。強者が弱者に対して
訴訟をしかけることで、半ば社会的な恫喝あるいは報復として機
能する。               http://bit.ly/2EiuyFT
─────────────────────────────
 もちろん、菅官房長官は、自身への疑惑に関しても同様の措置
をとっています。官邸からのこのスラップ訴訟に小学館幹部は震
え上がったといわれます。この場合、官邸側としては、自民党の
閣僚や幹部に関しては、自分に非があるなしに関係なく、直ちに
こういう措置を取ることに決めているようです。高市総務相の実
弟の訴訟も官邸の指示に沿って行われています。ある週刊誌編集
幹部は次のように述べています。
─────────────────────────────
 高市総務相のケースもそうでしたが、自民党は閣僚や幹部のス
キャンダルを週刊誌がやろうとすると、すぐに党の顧問弁護士を
たてて、『訴訟するぞ』とプレッシャーをかける作戦をとってい
ます。新聞とテレビは抗議だけで黙らせることができるが、週刊
誌はそうはいかない。それで、週刊誌がいま、いちばん恐れる訴
訟をもち出して、圧力をかけるわけです。週刊誌もよほどの鉄板
の事実がない限り、スキャンダル追及なんてできなくなってしま
いました。          ──週刊誌編集幹部のコメント
─────────────────────────────
 これを受けて小学館幹部は、あわてて三井編集長の更迭を決断
しますが、あまり急に更迭させると、他のマスコミから不審に思
われるので、一年後に更迭しています。一説によると、この名誉
棄損裁判と編集長人事について、官邸と小学館の間で、何らかの
取引があったのではないかといわれています。
 それ以後、「週刊ポスト」は、編集方針を変更し、ほとんど政
治記事を取り上げず、現在にいたっています。これは、明らかな
官邸からの圧力の結果であり、他誌についても、スラップ訴訟を
起こされないよう政治記事の取り上げには慎重になります。もし
訴訟を起こされると、コスト的に引き合わないからです。そのた
め、今後安倍政権にどんな疑惑があっても、よほどの証拠と豊富
な資金力がない限り、取り上げることを控えるはずです。これこ
そ「忖度」そのものであり、国民の知る権利の侵害ですが、多く
の国民は、それに気づいていないのです。
 古賀茂明氏によると、一党独裁国家にいたるホップ、ステップ
ジャンプがあるそうです。まず、政府がメディアに圧力をかける
のがホップです。その効果が浸透してくると、メディアが自粛し
て、つまり、忖度して、政府を批判する報道をしなくなります。
これがステップです。
 この期間が相当長く続くと、国民は政府が何もしなくても、民
主的手続きによって、特定の候補者を選ぶようになります。これ
がジャンプです。一党独裁国家は、このようにして誕生するので
す。ナチスヒットラー政権もこのようにして誕生しています。安
倍政権もまさに同じステップを踏みつつあります。
            ──[メディア規制の実態/005]

≪画像および関連情報≫
 ●文藝春秋社長が安倍政権を「極右の塊」と発言/花田紀凱氏
  ───────────────────────────
   2016年12月6日夜、市ヶ谷の私学会館で、保坂正康
  さんの新刊『ナショナリズムと昭和』の出版記念会が開かれ
  た。参加者は250人ほど。そこで発起人代表として文藝春
  秋松井清人社長が挨拶したが、これが驚くべきものだった。
  「極右の塊である現政権をこれ以上暴走させてはならない」
  ──現政権、つまり、安倍政権を「極右の塊」と批判したの
  だ。「暴走」と難じたのだ。
   お断りしておくが、朝日新聞の社長ではない。文藝春秋の
  現社長がこう言ったのだ。「メディア自体がおかしくなって
  しまっている」とも言ったという。むろん、保坂さんの出版
  記念会だから、保坂さんへのリップサービスということもあ
  ろう。しかしそうだとしても、度がすぎる。僕自身はこの会
  に出ていないが、出席者の一人にそう聞いたので、何人かの
  出席者に確認して確認した。
   出席していた元文藝春秋専務の半藤一利さんもこう言った
  という。「昔は反動と言われていた私が今や、極左と言われ
  ている。私より激しい松井社長などなんと言われることか。
  世の中の軸がズレてしまっている」。文藝春秋といえば、戦
  後ずっと、いや、菊池寛が創刊して以来、穏健な保守の代表
  だったはずだ。そういう読者が文藝春秋を支えてきたのでは
  なかったか。数年前、売れ行き不振を理由に、オピニオン誌
  『諸君!』を休刊した頃から、文藝春秋がおかしくなってい
  ると思っていたが、ここまで来ていたとは。
                   http://bit.ly/2CK9hYz
  ───────────────────────────

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菅官房長官の疑惑を報道した「週刊ポスト」
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2018年01月15日

●「2014年になぜ選挙をしたのか」(EJ第4682号)

 なぜ、安倍一強内閣ができてしまったのでしょうか。結論から
先にいうと、2014年10月の衆院選で自民党が勝利したから
であるということができます。そのとき、安倍政権はいろいろな
仕掛けをしており、それが一定の成果を収めたのです。安倍政権
は、この選挙に勝利してから、大きく変わるのです。例えば、な
り振り構わないメディア規制をはじめるなど、政権維持のためな
ら何でもやるという姿勢になったのです。
 2012年12月の選挙は、自民党にとっては勝って当然の選
挙だったといえます。しかし、2014年10月の選挙は、その
直前まで、ほとんどの人が選挙のあることを予測していなかった
のです。2013年7月には参議院選があったし、それにも自民
党は勝利しています。それに政権奪取から2年しか経過していな
いし、もし選挙をすると、政権奪取後、毎年選挙をしていること
になる──だから、選挙はないと考える人が多かったのです。
 だが安倍首相の本音は、2015年9月の自民党総裁選の無投
票当選です。安倍首相としては追い込まれるのは厭なのです。し
かし、それまでには、集団的自衛権の行使容認のための関連法の
成立や九州電力川内原発をはじめとする原発の再稼働など、不人
気な政策ばかりであり、支持率が下がる恐れがあります。それに
野党は2012年の衆院選と2013の参院選敗北のダメージか
ら立ち直っていない状況です。だから、野党の準備が整わない内
に解散すれば、選挙に勝ていると判断したのです。
 しかし、選挙を行うには、そこに自民党として「解散の大義」
が必要になります。そのため、「消費増税を延期するため」とか
いろいろ議論されたのです。選挙でこれほど「解散の大義」が議
論されたのは初めてのことです。古賀茂明氏は、このときの大義
論について、次のように述べています。
─────────────────────────────
 まずは「消費税増税延期は三党合意を覆すものだから国民の信
を問うのは当然」と主張。しかし、「三党合意に基づく消費税増
税法の景気条項には、景気回復未達成のときには増税を延期する
と書いてある」と反論されて完敗する。
 次に持ち出した大義は、「税制は民主主義の根幹。増税延期で
国民の信を問うのは当然」というものだった。安倍氏のブレーン
は、「代表なくして課税なし。そんなイロハもわからないのか」
と、税制を変えるなら選挙で国民の代表を選び直す必要があると
語っている。(中略)
 その後、安倍政権の大義論は選挙の争点論にシフトしていく。
そこで主張されたのは「アベノミクスを進めるか止めるのかを問
う」との議論。しかしこれも「アベノミクスの第三の矢を止めて
いるのは安倍総理自身だ」という批判を誘発することになった。
 そして最後に安倍総理の側近が展開したのが、「今回の選挙は
財務官僚・自民党内守旧派族議員連合と改革派・安部総理の闘い
だ」という主張だ。これはある意味、嘘といえない面もあったが
そんな政府・与党内の対立を選挙の大義にしても、誰もピンと来
ない。結局、「大義論」はいつしか話題から消えて、投票日を迎
えることになった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権が本当に「解散の大義」を問うのであれば、集団的自
衛権行使容認の閣議決定のときにこそやるべきです。なぜなら、
それは実質的な憲法改正であるからです。しかし、そういう肝心
なときは国民の信を問うとはいわないのです。2014年と同じ
ような趣旨で安倍政権は2017年も解散に踏み切っています。
 それでは、安倍政権は2014年の選挙から政権維持のために
一体何をしたのでしょうか。
 それは、露骨なメディア規制です。権力者にとって、メディア
を規制しようとする誘惑は強いものがあります。なぜなら、権力
者は、自らの権力を長く維持しようとするため、自らを批判する
政敵を排除し、言論を封殺しようとします。それは、多くの場合
だんだん露骨になり、暴走するものです。そして、必ず、その権
力者は滅んでいるのです。人類の歴史は、権力者による言論弾圧
の歴史であるという人もいます。
 安倍政権がメディアを規制する前にやったことがあります。そ
れは、最も身近にいる官僚を味方につけることです。それは、官
僚にエサを与えることですが、それを国民に絶対に知られてはな
らないのです。あくまで国民に対しては「官僚と戦っている安倍
政権」というイメージを持たせる必要があります。
 そこで、政権の判断でできて、国民が目につきにくいことをい
くつもやっています。戦っているイメージを演出したのは「財務
省と戦っている」イメージです。これについて、古賀茂明氏は、
次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍総理は就任早々、公務員改革を封印している。たとえば、
巨大政府系金融機関のトップを民間人から財務・経産両省の次官
級OBの天下りポストに戻してやった。これは「天下りは完全に
フリーにするから政権に協力しろ」という、官僚たちへの密かな
メッセージだと受け取られた。
 そして2014年4月には、東北復興予算の財源として、平均
7・8%削減していた国家公務員給与を元に戻し、10月には月
給平均0・27%、年間ボーナス0・15ヶ月分の引き上げを決
めた。それに続いて15年も16年も、国家公務員給与は引き上
げられている。増税で対立しかねない財務省には好きなだけ国債
を発行させ、彼らが一番喜ぶ公共事業の配分という利権を増やし
た。総選挙における自民党の分厚い公約集には、各省の予算要求
項目がずらりと並ぶ。官僚への配慮が見え見えで、アベノミクス
第三の矢である規制改革の本気度もゼロだということがよく分か
る内容だった。         ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/006]

≪画像および関連情報≫
 ●公務員制度改革を漂流させる「2つの壁」/人羅格氏
  ───────────────────────────
   国家公務員の人事体系をめぐる制度改革論議が再浮上して
  いる。安倍内閣は秋の臨時国会で関連法案を提出する構えだ
  が、民主党政権時を含めた5年にわたる迷走の結果、この問
  題をめぐる与野党の「熱気」は実際はかなり冷めている。政
  治主導の導入というかけ声をよそに過去3度関連法案が廃案
  となり、今や「決まらない政治」の象徴的テーマにすらなり
  つつある。中央官庁のタテ割り打破や能力主義導入など本来
  の目的もかすみかねない。「何のための公務員制度改革か」
  が問われている。
   政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長・安倍晋三首
  相)が2013年6月28日に決定した基本方針は各省の幹
  部人事を一元管理するための「内閣人事局」を14年春に設
  置し、首相が任命する「国家戦略スタッフ」制度を新設する
  ことや女性の積極登用方針などが盛りこまれた。関連法案を
  秋の臨時国会に提出し制度化を図るが、内閣人事局に与えら
  れる具体的な権限や制度設計は示されず、参院選後に結論を
  先送りした。もともと公務員制度改革は官僚の天下りへの批
  判が強まる中、「省あって国なし」とまで言われる中央官庁
  のタテ割り意識や、硬直的な人事体系の是正に向け第1次安
  倍内閣が手がけた。そして福田内閣の08年、自民、民主、
  公明3党が賛成し、国家公務員制度改革基本法が成立した。
                   http://bit.ly/2FCX7PF
  ───────────────────────────

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何か不愉快そうな安倍首相
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2018年01月16日

●「公然と文書でメディアを規制する」(EJ第4683号)

 2014年11月20日といえば、第2次安倍政権による衆議
院解散前日のことですが、在京テレビキー局の編成局長と報道局
長に次の文書が届いたのです。当時の萩生田光一自民党筆頭副幹
事長と福井照報道局長が差出人のA4一枚の文書です。後世に残
る前代未聞の、とんでもない文書なので、少し長いですが、その
全文をご紹介します。
─────────────────────────────
 平成26年11月20日
 在京テレビキー局各位
 編成局長殿 報道局長殿
            自由民主党筆頭副幹事長 萩生田光一
                   報道局長  福井 照
 選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保について
 のお願い
 日頃より大変お世話になっております。
 さて、ご承知の通り、衆議院は明21日に解散され、総選挙が
12月2日公示、14日投開票の予定で挙行される見通しとなっ
ております。つきましては、公平中立、公正を旨とする報道各社
の皆様にこちらからあらためてお願い申し上げるのも不遜とは存
じますが、これから選挙が行われるまでの期間におきましては、
さらに一層の公平中立、公正な報道姿勢にご留意いただきたくお
願い申し上げます。
 特に、衆議院選挙は短期間であり、報道の内容が選挙の帰趨に
大きく影響しかねないことは皆様もご理解いただけるところと存
じます。また、過去においては、具体名は差し控えますが、ある
テレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実
として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった
ところです。したがいまして、私どもとしては、
 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただ
  きたいこと
 ・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期してい
  ただきたいこと
 ・テーマについて、特定の立場から特定政党出演者への意見の
  集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
  こと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、ある
  いは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中
  立、公正を期していただきたいこと
──等について特段のご配慮をいただきたく、お願い申し上げる
次第です。以上、ご無礼の段、ご容赦賜り、何とぞよろしくお願
い申し上げます。
─────────────────────────────
 この文書は、時の政権がメディアに対して圧力をかけた証拠に
なる文書です。少なくとも先進国において、メディアに文書まで
送って、これほど露骨な圧力をかけた例はないはずです。
 文書のなかに「過去においては、具体名は差し控えますが、あ
るテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事
実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあっ
た」という部分がありますが、これは、1993年に起きた「椿
事件」のことを指しています。
 1993年といえば、7月18日に行われた衆議院議員選挙に
おいて、与党自民党は解散時の議席は維持したものの過半数を割
り、非自民で構成される細川連立政権が誕生したのです。その結
果、自民党は、結党以来はじめて野党に転落したのです。
 1993年10月に産経新聞にある記事が掲載されたのです。
その記事は選挙前に当時の報道番組「ニュースステーション」の
スタッフに対し、テレビ朝日の椿貞長報道局長が次のように発言
したと書かれていたのです。
─────────────────────────────
 小沢一郎のけじめをことさらに追及する必要はない。今は自民
党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立
を成立させる手助けになるような報道をしようではないか。
        ──椿貞長報道局長 http://exci.to/2r4OdXZ
─────────────────────────────
 この産経新聞の記事を受けて、郵政省(当時)は椿発言を重視
し、江川晃正放送行政局長が緊急記者会見を開き、放送法に違反
する疑いがあり、その事実があれば、電波法第76条に基づく無
線局運用停止もありうることを示唆しています。これによって、
衆議院は、自民党と共産党の訴えを受けて、椿貞長氏に対する証
人喚問を実施したのです。
 この証人喚問で椿氏は、「誤解を招く発言をしたことは事実で
あるが、偏向報道するよう指示していない」と主張。その後1年
以上かけたテレビ朝日の内部調査の結果でも、偏向報道を行った
事実はないとする報告書を郵政省に提出し、郵政省はそれを受け
入れ、テレビ朝日に対する免許取り消しなどの措置を見送ってい
ます。したがって、上記萩生田文書にある「それを事実として認
めて誇り」という部分は事実と異なります。
 とにかくこの総選挙で自民党は野党に転落したのですが、自民
党としては、その悔しさゆえにその敗因を己にあることを素直に
認めず、テレビのせいにしようとしたことは明らかです。それは
選挙後の細川連立内閣の支持率の高さに対して、当時の加藤紘一
議員が次のようにいっていることからもよくわかります。
─────────────────────────────
 ウンチャンナンチャンじゃないが、敗因は6チャン(TBS)
10チャン(テレビ朝日)の影響だな。   ──加藤紘一議員
─────────────────────────────
 もうひとつ特筆すべきことがあります。それは、安倍首相自身
が、この1993年の選挙で、衆議院議員に初当選していること
です。安倍首相の「テレビ憎し」はこのときからはじまっている
のです。        ──[メディア規制の実態/007]

≪画像および関連情報≫
 ●加計報道は第2の椿事件である
  ───────────────────────────
   現在、マスコミは加計学園の件で安倍内閣を倒閣すべく、
  一方的な安倍叩きの偏向報道、印象操作、捏造報道をしてい
  る。やりたい放題になっていると言っていい。テレビで国会
  での加戸氏の証言をまったく取り上げない件ひとつでも、そ
  れは明白だ。虚偽の内容でないかぎり、新聞は自分たちの主
  義主張を紙面に押し出して書いても構わない。しかしテレビ
  は違う。放送法というのがあり、テレビは公正中立の内容で
  なければならない。
   今のテレビ報道は明らかに公正中立ではない。今年に入っ
  てからの森友・加計の報道には、まったく客観性が見られな
  い。過去半年間、テレビが伝える、この件に関する報道のど
  こをとっても、放送法に抵触するのではないかとさえ思う。
  本来なら放送法を適用し、総務省はテレビ局の放送免許取消
  をすべきだろう。それをやらなければ、マスコミが政権を作
  ったり壊したりと日本の政治を自由に操る、マスコミ傀儡政
  権ばかりになる。
   政府は放送法を適用することに消極的だが、過去に一度だ
  けテレビ局を追い込んだことがある。それが1993に起き
  た椿事件だ。これは放送史上初めて、放送法違反による放送
  免許取消し処分が本格的に検討された事件である。
                   http://bit.ly/2uZXXDJ
  ───────────────────────────

萩生田光一氏.jpg
萩生田 光一氏
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2018年01月17日

●「久米宏への不満が椿事件の原因か」(EJ第4684号)

 椿事件については多くの記述がありますが、そのほとんどは、
テレビ朝日側が良くないというスタンスに立った意見です。しか
し、多くの情報を集めてみると、やはり、自民党の度重なる報道
圧力が原因といわざるを得ないのです。その直接原因はテレビ朝
日の報道番組「ニュースステーション」にあったのです。椿報道
局長(当時)は、次の2つの理由を上げています。いわば「ニュ
ースステーション」は自民党の目の敵にされていたのです。
─────────────────────────────
1.選挙前数年間、自民党側からの「ニュースステーション」
  久米宏氏に対する風当たりが強かったというより暴力的で
  あったと考えている。
2.山下厚生大臣(当時)が「『ニュースステーション』のス
  ポンサーの商品名はボイコットすべきである」というよう
   な発言があったこと。
─────────────────────────────
 久米宏氏がメインキャスターを務めるテレビ朝日の「ニュース
ステーション」は、全4795回の平均視聴率が14・4%とい
う報道番組としては圧倒的な人気番組だったのです。
 私もなにか政治的な事件が起きると、「これを久米宏はどのよ
うに料理するか」と考えて、毎日番組を見たものです。とにかく
刺激的な番組だったと思います。
 環境問題の専門家で、ニュースステーションにたびたび出演し
た青山貞一氏は、久米宏氏について次のように述べています。
─────────────────────────────
 久米さんは、歯に衣着せぬ物言いと言うより、ぽろっと本音を
言ってしまう。それも事前の打ち合わせを無視し、「生番組」で
何でもかんでも言ってしまう。番組が終わる前は、CMの前にぽ
ろっと本音を言ってしまう。そんなところに最大の個性と価値が
あったと思う。
 他方、久米さんは政権政党、とくに自民党を公然と真っ向から
批判してきた。その結果、自民党にニュースステーションは徹底
マークされ攻撃を受けてきた。よく言われるのは事実と意見(価
値判断)をないまぜにすると言った批判だ。確かにこれはごもっ
ともだが、久米さんは、それを何ら意に介せず、視聴者に向かっ
て久米流を貫徹した。キャスターは、原稿を読み上げるアナウン
サーではない。まさにたたかうキャスターであったと言える。
 一口で言えば、政権政党に喜ばれるような政府広報的な報道や
大本営的な報道は到底報道とは言えない、と言う意味で久米ニュ
ースステーションは、報道の本道を歩んできたことになる。
                   http://bit.ly/2EHclll
─────────────────────────────
 このように「ニュースステーション」は、視聴率の高い人気番
組であっただけに、そこで自民党が批判されると、そのダメージ
は大きかったのです。番組が始まったのは1985年10月7日
であり、小泉政権の2004年3月26日に終了しています。な
ぜ終了したかというと、久米宏氏の希望であったといわれます。
その理由を久米宏氏自身は、次のように明らかにしています。
─────────────────────────────
 「政治とテレビの関係」にあったのかもしれないと今になって
思う」。2001年に小泉政権が誕生した際、マスコミを巧みに
利用した「小泉劇場」の演出に結果的にテレビが加担したことで
「そこに生じたテレビと政治のいわば『不義密通の関係』。政治
とテレビの関係に嫌な予感を覚えたことが、『そろそろ潮時だ』
と決めるに至った原因ではなかったか」。
                   http://bit.ly/2r4rWcJ
─────────────────────────────
 田原総一朗氏は、久米宏氏の「ニュースステーション」を高く
評価し、次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 「ニュースステーション」という番組は、権力に対する監視装
置だったといえる。久米宏氏がまた報道の世界に戻ってきてくれ
たら面白い。               ──田原総一朗氏
─────────────────────────────
 このように、自民党は「ニュースステーション」に対してたび
たび威圧を加えており、テレビ朝日側としては大きな不満が充満
していたことは確かです。しかし、椿貞良元テレビ朝日報道局長
を衆議院の証人喚問に引っ張り出すことに成功したものの、自民
党は、そのとき政権を失っていたのは皮肉な話です。
 証人喚問は、どういう状況だったのでしょうか。証人喚問は、
1993年10月25日に行われており、衆議院政治改革特別委
員会で次のように行われています。今となっては、懐かしい名前
が並びます。
─────────────────────────────
     衆議院政治改革特別委員会/石井一委員長
     ◎自民党質問者
      谷垣貞一議員、町村信孝議員
     ◎共産党質問者
      矢島恒太議員
─────────────────────────────
 1993年7月の衆議院解散は「嘘つき解散」といわれていま
す。同年5月31日に時の宮沢首相は「総理と語る」(NHK)
という番組で、ジャーナリストの田原総一郎氏からインタビュー
を受けたさい、「今国会中に衆議院の選挙制度改革をやる」と断
言したのです。しかし、実際には自民党内の意見をまとめきれず
に次の国会へ先送りしたことに野党は反発し、通常国会閉幕直前
に日本社会党・公明党・民社党が共同で内閣不信任決議案を提出
したのです。当時自民党は衆議院の過半数を握っていたので、当
然否決できると思われたのですが、党内から造反者が続出して可
決されたのです。これが「嘘つき解散」と呼ばれるゆえんです。
            ──[メディア規制の実態/008]

≪画像および関連情報≫
 ●「嘘つき解散」の造反劇の内幕
  ───────────────────────────
   (うそつき解散)の造反劇は、前年に党内最大派閥・経世
  会の会長・金丸信が東京佐川急便事件で逮捕されたことに端
  を発している。金丸が去った後、派内人事や、金丸の処遇を
  巡って、小渕恵三・橋本龍太郎・梶山静六らと、小沢一郎・
  羽田孜・奥田敬和・渡部恒三らとの対立が表面化し、竹下派
  七奉行による激烈な主導権争いを繰り広げた。最終的には派
  閥オーナーである竹下登の工作もあって、小渕が経世会会長
  に就任した。小沢らは小渕派経世会を脱会し、羽田を先頭に
  改革フォーラム21(羽田派)を結成した。これによって党
  内最大派閥は完全分裂し、小渕派は党内第4派閥、羽田派は
  第5派閥に転落した。
   そして、その後の党役員の人事にあたって、宮澤が小渕派
  を優遇し羽田派を冷遇したことで、羽田派は宮澤内閣に対し
  て態度を硬化させる。羽田派は非主流派として、宮澤内閣に
  「政治改革関連法案を絶対に通すべきだ」と強く迫り続けた
  が、結局同法案は党内からの反対もあり廃案となり、これが
  羽田派の内閣不信任案へ賛成票を投じる結果に至った。羽田
  派に属していた船田元・中島衛の2閣僚も、それぞれ大臣の
  職を辞して不信任案に賛成票を投じた。自民党内閣への内閣
  不信任案採決の際に自民党議員が欠席・棄権した例は他にも
  あるが、不信任票を投じたのはこの時のみである。
                   http://bit.ly/2DAv1El
  ───────────────────────────

「ニュースステーション」当時の久米宏氏.jpg
「ニュースステーション」当時の久米 宏氏
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2018年01月18日

●「もうひとつの圧力文書が存在する」(EJ第4685号)

 16日付のEJでお知らせした自民党の圧力文書を私は「日刊
ゲンダイ」紙上ではじめて知ったのですが、一番最初に報道した
のは、動画サイト「ニューズ・オプエド」です。「オプ・エド」
とは「opposite editorial/オポジット・エディトリアル」の略
で、ある新聞記事に対して、同じ新聞内で反論や異論を述べる欄
のことです。詳しくは、次のURLをクリックしてください。
─────────────────────────────
        ◎ニューズ・オプエド
        https://op-ed.jp/about_oped/
─────────────────────────────
 そもそもこの圧力文書は、古賀茂明氏によると、自民党詰めの
記者クラブ「平河クラブ」にいる各テレビ局のキャップ(各社の
クラブのトップ)に直接手渡されたといいます。
 もちろん、それぞれの記者クラブの記者から、各新聞社の政治
部にも届いているはずですが、どこ社も報道しないのです。「触
らぬ神に祟りなし」のスタンスです。放置すれば、自分たちの首
を絞めることになるのに何もしないとは情けない話です。古賀茂
明氏はこの件について次のようにコメントしています。
─────────────────────────────
 記者クラブでは、こういうときに阿吽の呼吸でカルテルが成立
する。どの社も記事化に動いていないことを確認しつつ、「君子
危うきに近寄らず」で沈黙していたのだ。選挙が近い時期にこう
した情報を流して、自民党に逆恨みされることを心配したのだろ
う。だから、あえて取材をしたり、確認を取ったりしなかったの
だ。スクープしたニューズオプエドは視聴者がまだ少なく、社会
的な影響力が弱いから、無視してもそのうちこの情報は消える。
そんな思惑があったかもしれない。各社とも、すぐには後追いの
報道をしなかった。             ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 実は自民党の圧力文書はもうひとつあります。これは、既報の
圧力文書の差出人の一人である自民党の福井照報道局長が、テレ
ビ朝日の「報道ステーション」のプロデューサーに宛てた手紙で
すが、2014年11月24日報道の「報道ステーション」の内
容について批判したものです。これは、既報の圧力文書の6日後
に出されています。
─────────────────────────────
           平成26年(2014年)11月24日
                    株式会社テレビ朝日
          「報道ステーション担当プロデューサー殿
              自由民主党/報道部長 福井 照

 冠省 貴社の11月24日付「報道ステーション」放送に次の
とおり要請いたします。

 貴社の11月24日放送の「報道ステーション」において、ア
ベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国
民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイル
を強調して紹介する内容の報道がなされました。
 サラリーマンや中小企業にもアベノミクスが効果を及ぼしてい
ることは、各種データが示しているところです。たとえば、賃上
げ率はこの春2・07%と過去15年で最高となっており、中小
企業においても、3分の2の企業が賃上げを行っております。ま
た、中小企業の景況感も22年ぶりにプラスになっております。
アベノミクスの効果については種々の意見があるところです。意
見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論
点を明らかにしなければならないとされている放送法四条四号の
規定に照らし、特殊な事例をいたずらに強調した24日付同番組
の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとはいえま
せん。貴社におかれましては、公平中立な番組作成に取り組んで
いただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます。
                      ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
 要は、報道では、アベノミクスの効果が大企業や富裕層にしか
届いていないといっているが、中小企業にも届いていることを各
種データが示しているではないかと反論しているのです。これは
完全な番組内容に対するイチャモンです。テレビの報道に対する
露骨な圧力であり、許し難い脅迫です。
 EJでもテーマとして「アベノミクス」は取り上げましたが、
ある経済政策の効果については、いろいろな分析や見方があり、
どれが正しくて、どれが間違っているかを決めつけることは困難
なものです。それにもかかわらず、自民党がこのような文書を送
り付けた理由は何かということについて、古賀茂明氏は次のよう
にコメントしています。
─────────────────────────────
 当時は、アベノミクスが一般庶民や中小企業に恩恵を与えてい
ないということが、各種世論調査でもはっきりしていた。ところ
が自民党は、それを伝えられると選挙に不利だから、庶民や中小
企業に恩恵が及んでいる例を探して報道しろという、まったく理
不尽なことを要求してきたのだから驚きである。
 しかし、もっと驚いたのは、放送法の規定をわざわざ引用した
ことだ。「俺たちは政権与党だ。いうことをきかないと、免許剥
奪もあるからな」という最大級の脅しなのだ。幸い、このプロデ
ューサーは、この文章を一笑に付して、まったく相手にしなかっ
たそうだ。もちろんテレビ朝日のなかでは、経営トップにまで、
この文書は報告された。そして、この件は完全に極秘扱いになり
長く伏せられていたのだ。    ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/009]

≪画像および関連情報≫
 ●メディア幹部よ、安倍首相と仲良く飯を食ってる場合か!
  ───────────────────────────
   安倍首相に近い自民党の若手議員が立ち上げ、2015年
  6月25日に開かれた勉強会「文化芸術懇話会」で、日本経
  団連に依頼して広告主を通じてメディアに圧力をかけようと
  の発言があったとされることに対し、野党などから「権力を
  持った者の驕り」などとする批判が出ている。
   朝日新聞記者時代から、メディアの世界で20年以上飯を
  食ってきた筆者にとって、権力を持つ政権与党の政治家がそ
  んなことを言い出すこと、あるいは考えることについて、何
  の驚きもない。権力者だったらそれくらいのことは当然考え
  る。ただ、メディアも取材に来ている、あるいは発言が外に
  漏れる可能性のある半ば公式的な場面で、そういう発言が出
  ること自体に驚いている。どういう意味での驚きかというと
  「メディアもここまで舐められているのか」という驚きであ
  る。その懇話会が開かれた前日の24日、朝日新聞の首相動
  静(25日付朝刊)をみると、安倍首相と記者らメディア関
  係者が銀座の料理店で食事をしている。そのメンバーは次の
  通り。朝日新聞の曽我豪・編集委員、毎日新聞の山田孝男・
  特別編集委員、読売新聞の小田尚・論説主幹、日本経済新聞
  の石川一郎・専務、NHKの島田敏男・解説副委員長、日本
  テレビの粕谷賢之・メディア戦略局長、時事通信の田崎史郎
  ・解説委員。首相と食事をすることは取材の一環なのだろう
  が、メンバーの中には政権中枢の政治家のゴーストライター
  として知られた人物もいる。       ──井上久男氏
                   http://bit.ly/2FH8Lcw
  ───────────────────────────

自民党/福井照議員.jpg
自民党/福井 照議員
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2018年01月19日

●「TBSの編集を叱責する安倍首相」(EJ第4686号)

 2014年11月18日、安倍政権になってからのはじめての
解散の3日前のことです。安倍首相はTBSの「ニュース23」
に出演したのです。そのとき、番組では街角インタビューとして
次の質問をするVTRの映像を流しています。
─────────────────────────────
     景気が良くなっていると実感していますか
─────────────────────────────
 映像には、「景気が良くなったとはあんまり思わない」「景気
が悪いですし、解散総選挙して出直し」「アベノミクスは感じて
ない」「大企業しかわからへんのちゃうかな」という声が多かっ
たのです。これに対して、安倍首相は、次のように猛然と反論し
たのです。
─────────────────────────────
 これはですね、街の声ですから、皆さん(TBS)選んでおら
れると思いますよ。もしかしたらね。われわれが政権を獲ってか
ら、国民総所得はプラスになっています。マクロでは明らかにプ
ラスなんですよ。ミクロで見ていけば、色んな方々がいらっしゃ
います。中小企業の方々、小規模事業者の方々で、名前を出して
「テレビで儲かってます」って答えるのはですね、そうとう勇気
がいるんですよ。    ──安倍首相 http://bit.ly/2ENp6v0
─────────────────────────────
 これは明らかな首相の難クセです。街の声を聞いているのです
から、「マクロではプラスなんですよ」といってもはじまらない
のです。安倍首相にしてみれば、番組はVTRを編集して、「景
気の良さは実感していない」という人をわざと多くしているとい
いたいのでしょう。
 しかし、それは違います。2014年は、4月に消費税が8%
に増税されており、個人消費は大きく落ち込んでいたのです。景
気が良いと感じない人が多いに決まっています。質問された人は
正直に答えています。番組はそれを街の声として視聴者に伝えた
に過ぎないのです。
 問題なのは、官邸がこのTBSの番組作りを「放送法第4条第
4項」の違反であると、とらえたフシがあることです。おそらく
首相は相当怒って官邸に戻り、「テレビを何とかしろ!」と腹心
の議員に命じたと思います。これが、その直後の11月20日と
26日のテレビ局への圧力文書になったものと思われます。
 それでは、「放送法」第4条第4項とは、どのような条文なの
でしょうか。次に示します。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
   度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 「放送法」第4条は、確かにテレビ番組の制作者向けの条文で
す。TBSは街角インタビューで、おそらく正直に声をひろって
編集していると思います。首相が出演するからといって、まさか
安倍首相が怒るとは思っていなかったと思うからです。
 NHKテレビは、街の声をひろうとき、肯定的意見と否定的意
見の数を意識して揃えていると思われます。景気の実感について
は「実感しない」と「実感する」の声を何とか同数揃えようとす
るのです。なぜなら、同数であれば官邸から文句は出ないからで
す。しかし、そういう情報操作をすると、本当の声を吸い上げる
ことができなくなります。つまり、事実を事実として伝えること
ができなくなるのです。
 これは、第4条第2項の「政治的に公平であること」を守ろう
とした結果、第3項の「報道は事実をまげないですること」を守
れないことになります。そもそもテレビ局のVTRの編集にまで
総理大臣がクレームをつけるべきではないのです。そんなことを
すれば、「表現の自由」を冒すことになるからです。このことは
「放送法」第1条の違反になりかねないのです。これについては
来週のEJで取り上げて検討します。
 この安倍首相のTBSへの叱責について、古賀茂明氏は、著書
のなかで取り上げ、次のように述べています。
─────────────────────────────
 2014年には、安倍総理がTBSの番組に出演した際、街頭
インタビューの映像にクレームをつけている。「景気がよくなっ
ていると実感していますか」という質問に、「していない」とい
う答えが続出するVTRに怒ったのだ。そのことを国会で指摘さ
れると、安倍総理はこう答えた。「私にも言論の自由がある」。
 これは「迷言」どころか、ほとんどブラックジョークである。
そもそも、言論の自由は憲法によって国民に保障されたものだ。
「権力者によって言論の自由を抑圧されるということがあっては
いけない」と定めたものなのである。逆にいえば、権力者に対し
ては、言論の自由を抑圧してはいけない、権力を濫用してはいけ
ないという戒めなのである。
 安倍総理がTBSの番組に出演したのは、「安倍晋三という一
国民として」ではない。総理として、つまり、権力者としてであ
る。そんな立場の人間が、自分のいいたいことを思うがままに振
りかざしたら、それはすなわち権力の濫用であり、言論の自由を
抑圧することになる。総理が報道の内容にクレームをつけるとい
うことは、圧力をかけているということ以外の何物でもない。し
かし安倍総理には、そういう意識がまったくないのだ。
                      ──古賀茂明著
               『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/010]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍首相、TBS「街の声」に異議/「意図的な編集」
  ───────────────────────────
   安倍晋三首相が、解散・総選挙を特集したテレビの報道番
  組で「街の声」を意図的に編集したのではないかと異議を唱
  えたことが、話題になっている。そのイライラぶりに、ネッ
  トでは批判的な声も出ている。
   解散表明の会見後、安倍首相は、テレビ番組などをハシゴ
  して精力的に説明行脚した。嫌いだとされる朝日系には出演
  せず、メディアを選んでいたようだ。TBS系の報道番組で
  ある「NEWS23」にも、安倍首相は一番最後になって出
  演した。父親で同じ政治家の故・晋太郎氏が毎日新聞記者出
  身であることから、毎日系のTBSも選ばれた可能性がある
  が、それは分かっていない。
   番組では、毎日新聞の岸井成格特別編集委員ら3人が安倍
  首相に対峙する形でインタビューが行われた。安倍首相はま
  ず、岸井氏らから質問を受けて、今衆議院を解散する理由に
  ついて説明し、アベノミクスはうまくいっていないとの指摘
  についても長々と反論した。しかし、岸井氏は、庶民の間で
  は景気回復が実感になっていないと指摘し、続いて、番組が
  事前に取材した「街の声」がVTRで紹介された。
   そこでは「株価が上がってきてアベノミクスの効果はあっ
  た」「解散・総選挙で民意を問うのはよい」といった好意的
  な声もあったが、「お給料は上がってない」「景気も悪い」
  「全然アベノミクスは感じていない」「大企業しか分からへ
  ん」など否定的なものが多かった。これに対し、岸井氏が何 
  か聞こうとすると、安倍首相はそれを制止し、次のようにま
  くし立てた。           http://bit.ly/2mLEiSD
  ───────────────────────────

TBSを叱る安倍首相.jpg
TBSを叱る安倍首相
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2018年01月22日

●「都合よく解釈されている/放送法」(EJ第4687号)

 放送法第4条を再現します。安倍政権は、この法律をタテにし
てメディアに圧力をかけています。
─────────────────────────────
(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条
 一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二 政治的に公平であること。
 三 報道は事実をまげないですること。
 四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角
   度から論点を明らかにすること。
─────────────────────────────
 安倍政権は「2項」を金科玉条にして「公平に報道しろ!」と
圧力をかけています。テレビ局がある政治的テーマについて50
人の国民に対して街頭インタビューをしたとします。そのとき、
ほとんどの国民が否定的意見だったと仮定します。そのテレビ局
はそのビデオを報道するでしょうか。
 現在の日本のテレビ局は報道しないと思います。なぜかという
と、報道すれば確実に官邸からクレームがくるからです。これが
「忖度」です。官邸が放送法をタテにして嫌がらせをしてくると
考えるからです
 2014年11月18日の「ニュース23」では、安倍首相出
演の場で、そのビデオをあえて流したのです。当時の岸井成格メ
インキャスターの判断です。インタビューをして出た結果につい
て、報道するのは報道機関としての使命と考えたからです。もち
ろん、50人からのインタビューの結果であると断る必要があり
ます。これは、放送法第4条第3項にしたがっています。
 しかし、安倍首相はその場で不満を表明し、「故意に政権に不
利に編集されている」といい張ったのです。もちろん放送法第4
条第2項でいう「政治的に公平であること」に反しているという
ことがバックにあります。
 ところで、日本の放送免許は「更新」ではなく、「再免許」制
であることをご存知ですか。
 米国などでの放送免許は、とくに違反がなければ、運転免許と
同様に「更新」されますが、日本の場合は、制度上は競合他社が
名乗りを上げれば「競願」審査ができる仕組みになっています。
つまり、すべての審査を一からやり直すことのできる「再免許」
方式をとっているからです。
 もし「再免許」になると、放送局の免許は、親局、中継局、中
継用の無線局など、膨大な数の申請書類が必要になります。中継
局ひとつとっても在京キー局で191局もあるからです。こうい
う状況では官邸の恫喝はテレビ局に対してきわめて効果的です。
そのため、どうしても「触らぬ神に祟りなし」ということで、政
権に忖度してしまうのです。
 その後も「ニュース23」のアンカーである岸井成格氏は政府
批判の報道を続けたので、TBSは2016年3月いっぱいで、
岸井成格氏の「ニュース23」アンカー降板を決めています。明
らかなテレビ局の過剰反応といえます。
 そもそも放送法は、「放送の自由」を守るために存在している
のです。したがって、政権に批判的な報道に対し、放送法をたて
に攻撃するなど、本末転倒です。放送法の第1条は、次のように
書かれています。
─────────────────────────────
(目的)
第1条 この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福
    祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ること
    を目的とする。
  一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらす
    ことを保障すること。
  二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって
    放送による表現の自由を確保すること。
  三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放
    送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。
─────────────────────────────
 放送法第1条第2項に「表現の自由」の確保があります。この
第2項の主語は、行政行為を規定するものであり、行政を管理監
督する「政府」ということになります。つまり、政府が「放送の
不偏不党、真実及び自律を保障する」ことになるのです。
 「放送法には不偏不党と書いてある」──よく政治家が使う言
葉ですが、「不偏不党」は放送業者に対するものではなく、政府
に対するものです。政府が、不偏不党、真実及び自律を保障しな
ければならないのです。
 したがって、自民党による報道機関への不当な政治介入は「放
送の不偏不党、真実及び自律」を妨げる行為であり、放送を所管
する総務省は自民党に対して行政指導をしなければならないので
す。なぜなら、そういう行政指導が「放送による表現の自由を確
保する」ことにつながるからです。
 菅官房長官は、昼夜を問わずテレビのコメンテーターや有識者
と会食し、彼らを懐柔しているといわれます。しかし、岸井成格
氏だけは、その懐柔に一切応じなかったといわれています。
─────────────────────────────
 一強多弱の政治状況が続き、圧倒的優位を保つ安倍政権の官房
長官に食事に呼ばれれば、悪い気はしない。そして、いろいろ面
白い情報を教えてもらえれば、自分の仕事上、大きなプラスにな
る。そういう計算で、誰もが菅官房長官の軍門に降り、会食後は
あからさまな政権批判をしなくなったそうだ。民主党のプレーン
として有名だった政治学者なども、いとも簡単に寝返っていく様
を見ながら、菅官房長官の秘書官も、その手練手管に舌を巻いた
という。   ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』/講談社刊
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/011]

≪画像および関連情報≫
 ●古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力/狡猾なやり口
  ───────────────────────────
   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが、次々と降板
  に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
  こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力
  だが、その実行犯といえば、やはり、安倍政権のゲッベルス
  菅義偉官房長官をおいていないだろう。
   本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには
  週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、つい
  にあの人が菅氏の"やり口"について語った。あの人とは、昨
  年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧
  力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い
  込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀氏が菅官房長官に
  ついて語ったのは「週刊金曜日」(金曜日)2015年12
  月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この
  鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授
  の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵
  守を求める視聴者の会」による「ニュース23」(TBS)
  のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが
  まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなとい
  う感じです」と驚嘆し、このように述べている。「賛同人の
  名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。安倍政
  権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に国家統
  制の時代に入りますね」。     http://bit.ly/2DoLxGf
  ───────────────────────────

安倍政権に厳しい岸井成格氏.jpg
安倍政権に厳しい岸井 成格氏
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2018年01月23日

●「私も言論の自由がある/安倍首相」(EJ第4688号)

 安倍首相がTBSの番組に出席し、街角インタビューのVTR
に対してクレームをつけたことを国会で指摘されたとき、安倍首
相は、次のように答えています。
─────────────────────────────
         私にも言論の自由がある
              ──安倍首相
─────────────────────────────
 この発言を聞く限り、安倍首相は「憲法というものがわかって
いない」といわざるを得ないのです。言論の自由というものは、
憲法によって国民に保障されているものであり、権力者によって
抑圧されることがあってはならないものです。何を勘違いしてい
るのでしょうか。上記の発言に対し、古賀茂明氏は「これは『迷
言』どころかブラックジョークである」と述べています。
 安倍首相はTBSの番組に首相(権力者)として出演していま
す。安倍晋三という一個人としてではないのです。それがわかっ
ていて上記の発言です。古賀茂明氏は、安倍首相に対して次の疑
問を抱いています。
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 もしかすると、安倍総理は権力者に自由を保障しているのが憲
法と勘違いしているのではないか。だとしたら、「憲法は権力を
縛るものだ」という立憲主義とは正反対の思想である。安倍総理
がそんな人間であるというだけで、総理不信任の十分な理由にな
るのではないか。    ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
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 安倍政権は、「放送法」というものを正しく理解していないよ
うにみえます。知っていてそうしているのか、知らないでやって
いるのかはわかりませんが、報道機関に堂々と報道の自由を制限
する文書を届けるという先進国ではあり得ないことをするところ
をみると、正しく理解していないものと思われます。ここで20
14年11月20日に在京テレビキー局に届けられた文書のなか
の自民党の要望事項を再現します。
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 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただ
  きたいこと
 ・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期してい
  ただきたいこと
 ・テーマについて、特定の立場から特定政党出演者への意見の
  集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
  こと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、ある
  いは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中
  立、公正を期していただきたいこと
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 この部分だけで、「公平」「公正中立」「公正」という言葉が
7回も出てきます。文書全体では、これらの言葉は実に11回も
出てくるのです。もし米国で公権力がメディアにこんな文書を送
り届けたら、大騒ぎになります。トランプ大統領がメディアに対
して「フェイクニュース」というレベルではないのです。
 ところが、在京テレビキー局は、公権力から、これほどひどい
恫喝文書を受け取りながら、どこの社も静観して、報道も抗議も
していないのです。ここで重要なことは、放送法第4条には「政
治的に公平であること」とはありますが、「中立」とは書いてい
ないことです。それなのに文書では「中立」という言葉を何回も
使っているのです。
 立教大学社会学部メディア社会学科教授の砂川浩慶氏の本には
この自民党による在京テレビキー局への文書に関する連名の緊急
メッセージが掲載されています。この緊急メッセージは、次の7
人の連名です。
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   砂川浩慶立教大学社会学部メディア社会学科教授
   岩崎貞明放送レポート編集長
   石丸次郎氏/ジャーナリスト/アジアプレス
   岸井成格毎日新聞特別編集委員
   坂本衛氏/ジャーナリスト
   原寿雄元共同通信編集主幹
   水島宏明法政大学教授/ジャーナリスト
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
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 この緊急メッセージには、自民党の「お願い文書」の問題点を
述べていますが、長いので以下に要約します。
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 1.「中立」という誤った考え方を放送局に要求している
   対立する両者から等しく距離を置き、どちらの味方もしな
   い「中立」は言論報道機関が必ず守るべき原則ではない。
   政党Aが独裁政治を目指して政党Bと対立すれば、民主主
   義社会の報道機関は政党Aを批判して当然である。
 2.放送の「政治的公平」を「番組単位」で要求している
   放送法が放送局に対して求める「政治的な公平」とは、本
   来単一番組において実現を目指すべきものではなく、一定
   期間に流された放送番組全体の中で判断すべきものであり
   これは、総務省の過去の答弁からも明らかである。
 3.取材および報道における「公平中立」を要求している
   街頭インタビューに応える人々の声は、場所によって偏り
   が出て当然である。仮にそのインタビューの結果を放送局
   が操作し、政権与党政策への支持・不支持のバランスをと
   ればそれは事実を曲げた報道であり、捏造である。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
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            ──[メディア規制の実態/012]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍民主党のあくど過ぎるメディア戦略
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   自民圧勝が伝えられる衆院選。調子に乗った自民党がまた
  ぞろ、テレビ報道に報道圧力を加え始めた。2014年の解
  散総選挙では、安倍首相の側近である萩生田光一衆院議員に
  よる在京キー局への「圧力文書」の送付が発覚したが、今回
  は、自民党のネトウヨ議員・和田政宗参院議員がその先兵役
  をになっている。
   和田議員は選挙を間近に控え自民党広報副本部長に就任し
  たばかりだが、連日、テレビ局や番組名を名指しするかたち
  で、こんなツイートを繰り出しているのだ。「テレ朝社員で
  モーニングショー出演の玉川徹氏の印象操作が酷い。今日は
  日本人を馬鹿にするような発言も。「自民堅調」との世論調
  査に対し「安倍総理はやめなくていいんだ」。「森友加計問
  題は日本人は関係ないんだ」という発言をいずれも嘲笑しな
  がらコメント。論評の域を超え印象操作に近い発言が続く」
  「12日の報道ステーション、45分間の党首討論は何だっ
  たのだろうか。森友問題、前川問題(加計学園獣医学部新設
  について)に30分を割き、憲法9条改正について15分で
  全て終了。何か意図があるのだろうか。9条改正は必要だと
  しても、北朝鮮問題や経済政策など国民に直結する課題を全
  く議論させず」。「報道のTBSは完全に死んだ。総理の生
  出演。キャスターは質問で課題を明らかにする力の発揮のし
  どころであったが、そもそも質問力すらなかった。星浩キャ
  スターの外れたイヤホンから、強い口調のディレクターの指
  示。総理の話を遮りまくり」。   http://bit.ly/2zvLd70
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マスコミ懲らしめ発言/安倍首相.jpg
マスコミ懲らしめ発言/安倍首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする