2017年12月01日

●「救世主が自動生成されるシステム」(EJ第4657号)

 ネット上には、映画『マトリックス』に関する分析やレポート
や論文が数多くアップロードされています。それらを参照しなが
らEJを書いていますが、なかでもマトリックスのシステムの謎
に鋭く迫っている優れたレポートがあります。映画をご覧になっ
た方は、一読の価値があります。
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  「マトリックスの世界と人生論を考察する」/勝手創千界
                 http://bit.ly/2Btykvz
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 以下は、このサイトの論考を私なりに解釈して、マトリックス
のメカニズムを解明していきます。
 「ザ・ワン」の救世主は、アノマリー(異端児)の数が一定数
に達すると、アノマリーの統合体として自然に生成される仕組み
になっています。映画での救世主ネオは、計算によると、6人目
の救世主ということになります。
 それでは、ザ・ワンの役割は何でしょうか。上記サイトの著者
は次のように述べています。
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 システム上のアノマリー、つまり現在のマトリックスの仕様に
より必然的に生まれたアノマリーは、一定以上蓄積されると特殊
な計算式により統合体となる。この統合体こそが救世主と呼ばれ
る存在で、緻密に計算された選択を自ら選んだ後、オラクル(預
言者)の発言により、アーキテクトの待つ白い部屋(モニターが
いっぱいある部屋)に導かれる。
 マトリックスはこのアノマリーの統合体である「救世主」を検
討し、参考にし、プログラムの元(ソース)を書き替え、それを
主プログラムにリロードすることで、アノマリーさえも計算に入
れた新しいバージョンへとバージョンアップする。
                   http://bit.ly/2Btykvz
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 これによると、ザ・ワンの役割は、マトリックスをリロードし
バージョンアップさせることです。そのさい、アノマリーの溜ま
り場であるザイオン都市もリセットされ、再生されることになり
ます。ザイオンの再生には、ザ・ワンがマトリックス内から、女
性を16体、男性7体を選択し、彼らを基にしてザイオンが一か
ら再生させることになります。
 マトリックスは、そのルールに従わないアノマリーが増え過ぎ
ると崩壊してしまうように設計されています。そのため、アノマ
リーが一定数に達すると、ザ・ワンが自動的に生成され、そのザ
・マンがあたかも主体的にマトリックスをバージョンアップさせ
結果としてマトリックスを存続させるのです。マトリックス自体
がそういうシステムになっているのです。
 ザ・ワンは、アーキテクトの待つ部屋に案内されますが、そこ
で究極の選択を迫られます。2つのドアの選択です。
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    右のドア ・・ マトリックスをリロードする
    左のドア ・・ 何もしないで元の世界に戻る
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 このアーキテクトとネオの対話シーンがあります。英語ですが
雰囲気はお伝えできると思います。このとき、ネオは自分はザ・
ワンであることを自覚してアーキテクトと対峙しています。
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     ◎アーキテクトとネオの対話/4分46秒
              http://bit.ly/2BjqAer
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 これまでのザ・ワンは、すべて右のドアを開けています。もし
左のドアを開けると、マトリックスは近く崩壊し、ザイオンもリ
セットされるので、全人類が死に絶えてしまうからです。どちら
のドアを開けるかは、ザ・ワンに一応託されていますが、実質上
右のドアしか選べないようになっているのです。
 このように、マトリックスのシステムの前提では、人間はマト
リックスの中か、ザイオンのどちらかにいることになります。し
たがって、マトリックスが崩壊してしまうと、全人類は死んでし
まうことになります。だから、ザ・ワンは右のドアしか開けられ
ないのです。
 しかし、モフィアスやトリニティは、ザイオンからも脱出して
いるのです。彼らは、必要に応じてマトリックスのなかに侵入し
スミスらと戦闘を繰り広げます。また、彼らはマトリックスのな
かでスミスたちと戦うための訓練プログラムの仮想空間まで用意
して、ザ・ワンであるとネオを鍛えるのです。
 モフィアスがネオを培養槽から救出し、仮想訓練空間でネオに
現在人類が置かれている状況を説明するシーンがあるので、ご覧
ください。英語ですが、時間は2分59秒です。
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     ◎訓練プログラムにようこそ/2分59秒
              http://bit.ly/1mueTY7
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 ザ・ワンのネオは、円形の部屋でアーキテクトと対決しますが
ネオは右のドアではなく、左のドアを開けるのです。つまり、マ
トリックスとザイオンの崩壊を選んだことになります。マトリッ
クスの状況が変化してきているからであり、ちょうどそのとき、
トリニティが危機的状況に陥っていたからです。躊躇いもなく左
のドアを開けたネオは、全速力でトリニティの救出に向います。
そういうザ・ワンのネオの行動に驚愕するアーキテクトの顔がと
ても印象的でした。
 このように、マトリックスのシステムは、実によく考えられて
おり、なかなか深淵です。勝手創千界のサイトの著者はこういっ
ています。「映画『マトリックス』は人間の精神世界の映像化を
果すための映像技術として革命的である」と。
            ──[次世代テクノロジー論/47]

≪画像および関連情報≫
 ●「アーキテクト」とは何者か
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   予言に従い、「ソース」を目指し、ようやくたどりついた
  ネオ。ドアを開けると、そこには神々しい白い光が広がる。
  そして、そこにいたのは・・・。髭もじゃのただのおやじ。
  いや、失礼。「ソース」での出来事が、本作のクライマック
  スとなるだろうと思い、観客は見ていたに違いない。しかし
  そこにいたのは、ただのオヤジだった。彼は、「アークテキ
  ト(設計者)」と名乗る。マトリックスの生成と、ネオとザ
  イオンの正体について語るが、それは謎解きではなく、禅問
  答。哲学論議にも近い。前作では明かされなかったいくつか
  の秘密は明かされたが、このシーンを見て、余計映画が分か
  らなくなった人の方が多かったに違いない。本作で最も面食
  らうシーン。このシーンがあるがゆえに、ほんどの観客は、
  単純に痛快なアクション映画ではなく、「意味不明な不可解
  な映画」として、頭を抱えながら、帰宅するはめになる。
   さて「アーキテクト」とは何者だったのか?プログラム?
  AI?機械?人間?
   それともただのオヤジ?映画で彼が自ら語る以上の説明が
  ない以上、本当の「アーキテクト」の正体は、次作での追加
  説明を待たなくてはいけない。映画のストーリーり辻褄あわ
  せに熱心になると「マトリックス」は余計分からなくなる。
  しかし、もう少し映画を高いところから見て、「象徴」ある
  いは「テーマ」という視点から見ると、本作は実に単純であ
  る。彼自身は言う。「私がマトリックスを作った」アーキテ
  クトとは、マトリックスの作り手である。
                   http://bit.ly/2Ad1FvP
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ザ・ワン(救世主)のネオとアーキテクトの対話.jpg
ザ・ワン(救世主)のネオとアーキテクトの対話
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする