2017年11月28日

●「マトリックスは未来の世界なのか」(EJ第4654号)

 シンギュラリティの先のことを描いている2つの映画作品を再
現します。
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    1.映画『トランセンデンス』(2014年)
  → 2.映画『マトリックス』  (1999年)
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 映画『マトリックス』は次の3部作になっています。公開され
た年月も記しておきます。
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 『マトリックス』           1999年 9月
 『マトリックス/リローデッド』    2003年 6月
 『マトリックス/レボリューションズ』 2003年11月
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 このうち最も重要なのは第1作の『マトリックス』であり、こ
の作品のコンセプトについてじっくりと考えてみることは、意義
があります。もし、この映画をご覧になっていない方は、DVD
も出ていることであり、ぜひ視聴されることをお勧めします。
 この映画のコンセプトは非常に難解です。はっきりしているこ
とは、時代設定はAI(人工知能)が全人類の知能を超えるとい
われる2045年のシンギュラリティ以降の話であることです。
 映画『マトリックス』には、そのコンセプトというか哲学につ
いて、複数の優れたレポートがあり、これからのAIが極度に発
達する社会での人類のあり方にヒントを与えてくれるような気が
します。そういうわけで、それらのレポートを参考にして、少し
詳しく述べることにします。
 この映画の設定について、劇場用アニメ映画『ゴースト・イン
・ザ・シェル/攻殻機動隊』の監督である押井守氏は、ネット上
のレポートで、次のように述べています。
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 『マトリックス』とは、人間に代わって地上を支配した機械が
永続的なエネルギーを得る為に、人間を「電池」として管理する
為のシステムである。全ての人間は、人工子宮の中で生産され、
赤ん坊になると、生体維持装置のチューブや電気プラグに繋がれ
て、一体ずつカプセルに閉じこめられる。そしてコンピューター
は、彼らの脳の刺激に応じて「現実世界を彼らの脳の中に作り出
し(仮想現実)」、人間は一生それに支配されて生涯を終えるの
である。      ──押井守氏/「映画『マトリックス』が
          本当に伝えたいこと〜君は心の囚人」より
                http://bit.ly/2BlvPez
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 映画では、人類がどうしてそうなったかについて、詳しい説明
はないのです。そこでネット上の「マトリックスの世界」の作者
は、次のように記述しています。
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 人類にとって機械は良きパートナーだった。人間はより高性能
の機械を創造し、世の中を便利にしていった。あるとき1体のロ
ボットが不満から人間を殺してしまう事件が発生した。知性があ
るまでに進化したロボットは裁判を受け有罪となってしまう。
 この事件を契機として日頃機械に敵意を持っている人間は機械
を迫害する。迫害を受けた機械は、機械だけの国「ゼロワン」を
作った。ゼロワンで生産される機械は性能が良く、経済力は人類
のそれを凌駕してしまった。困った各国は一致団結してゼロワン
を経済封鎖してしまう。なんとか誤解を解きたい機械は共存の道
を模索するが、人類と戦争状態に突入してしまった。
 機械は事態の推移に疑問を感じながらも、圧倒的な武力で人類
を追い詰めた。人類は、機械の電力が太陽であることから空をナ
ノテクノロジーの雲で覆い地球を闇とした。この時から機械は人
間を電池の代わりに使用することを実行。更なる圧倒的な機械軍
団の前に人類は追い詰められていく。
 一方、機械は人類の不思議な性質を理解するために人間の生体
研究を開始した。生態研究の過程で人間に夢を見させると効率よ
く電力を得られることからマトリクスを創出。マトリクスとは電
池として繋がれている人間に仮想の世界を見せるシステム。
                   http://bit.ly/2i4St6b
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 ところが、そういう「マトリックス」から脱出して、レジスタ
ンスの船「ネブカドネザル」を拠点として行動するAIと戦う人
類の一団がいるのです。そのリーダーが、伝説的なハッカーとし
て知られるモフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)であり
女性士官のトリニティ(キャリー=アン・モス)です。
 このモフィアスとトリニティに現実の世界に連れ戻された青年
がいます。この青年がこの映画の主役であり、キアヌ・リーブス
演ずるトーマス・A・アンダーソンです。彼は、大手ソフトウェ
ア会社に勤める優秀なプログラマですが、そういう表の顔と、ど
のような犯罪にも加担するハッカー「ネオ」という裏の顔もあっ
たのです。
 そのネオは、最近、寝ているのか、起きているのか、自分の存
在が現実ではないような、何となく奇妙な感覚によく襲われてい
たのです。そこで、そのことを夜の仕事仲間に次のように問いか
けてみます。
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  You ever have that feeling where you're not sure if
  you're awake or still dreaming?
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 これに対して仲間の一人は「君は、コンピュータプラグを抜く
ことが必要なんだよ」と返したのです。つまり、ネオは、自分が
現在置かれている異常な状況に少し気づきはじめていたのです。
そして、この情報がモフィアスの耳に入り、モフィアスは、トリ
ニティを介してネオに会うことになるのです。
            ──[次世代テクノロジー論/44]

≪画像および関連情報≫
 ●ただのアクションSFではない映画『マトリックス』
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   マトリックスとは、「子宮」を意味するラテン語が語源で
  そこから「何かを生み出すもの」を意味する言葉となってい
  ます。また、数学で習う行列式のことを指したりもします。
  コンピュータプログラムの基礎となる要素ですね。イメージ
  しやすいものだと、エクセルの行と列のこともマトリックス
  と呼べますね。
   それらを踏まえてSFの世界では電脳の仮想現実、つまり
  ヴァーチャルリアリティのことをマトリックスと呼びます。
  ウィリアム・ギブスンという小説家が自身のSF小説内でこ
  の言葉を使ったのが始まりです。
   電脳バーチャルリアリティの考え方については、哲学にお
  ける仮説の一つである「水槽の中の脳」がベースになってい
  ますね。水槽の中の脳とは、「この現実世界は脳が電気信号
  として感じているだけの幻覚ではないのか?」という仮説で
  す。脳は神経細胞を通る電気信号で意識/感情/思考を働か
  せているので、電極を繋いで微弱な電流操作をすることで、
12345678901234567890123456789
  「仮想現実」を脳に体験させ、それを僕たちが認識している
  だけではないのかというものです。まさに、今作マトリック
  スの舞台そのものですね。マトリックスの世界の住人は後頭
  部に挿されたプラグから電気信号を流され、知らず知らず仮
  想現実の中で生かされ続けています。大半は目覚めることな
  く仮想現実の中で一生を終えます。
                   http://bit.ly/2A5f2yH
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映画『マトリックス』.jpg
映画『マトリックス』
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロジー論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする